平成27年1月21日 北九州市の環境国際戦略 北九州市環境局 環境国際戦略課 武藤義博 1 1 北九州市の概要と公害克服の歴史 2 北九州市の位置と基本情報 北九州机场 人口:965,000人(2014年) 面積:487.88Km2 GDP:337百億円(2011年) 3 北九州地域の主要企業 新日鐵住金八幡製鉄所 TOTO 安川電機 三菱化学 トヨタ自動車、日産自動車 4 北九州市産業近代化のはじまり 1901年 八幡製鐵所(日本初の国営製鉄所)操業開始 5 1950年代の北九州市の状況 6 生活排水や工場廃水によ る水質汚濁や廃棄物で覆 われた河川(1960年代) 7 公害克服の要因:多様な関係者のパートナーシップ 市 市民の民間企業の視察 民 大学教授との大気汚染対策の勉強会 パートナーシップ 環境監視や環境インフラ整備 低公害型生産工程と汚染防止装置 地方自治体 民間企業 8 北九州市の公害克服 1960年代 現在 9 北九州市における環境政策と経済政策の両立 環境汚染(硫黄酸化物) Environmental Pollution (mg-SO3/100c㎡/day) 2 1968 1968 1.5 1969 69 経済発展とともに 環境汚染も改善 1970 1967 1 1963 1962 1964 1966 1965 1961 1971 1972 1973 1974 1960 1960 0.5 1976 1977 1978 1980 1980 1979 0 0 5 10 15 20 25 Economic Development 経済発展(製造品出荷額:千億円) (Value of Shipments: 100Billiom Yen) 出典:世界銀行「日本の経験調査」 30 10 民間企業の取組み:省エネルギー 生産単位当たりの エネルギー消費 紙・パルプ 鉄鋼 セメント 石油化学 省エネルギー 年 11 OECDグリーンシティプログラム・北九州レポート 2011年 OECDグリーンシティプログラ ムのグリーン成長都市に選定 OECDアルター局長 より「北九州レポー ト」(日本語版) を受領 2013年 OECDが北九州レポート(北 九州のグリーン成長)を発行 フランス・パリ、 米国・シカゴ スウェーデン・ストックホルム とともにグリーン成長都市に選定 世界で四都市のみ (2013年10月) 2 環境国際協力の展開 13 海外諸都市への国際協力 環境再生の過程で培った経験、ノウハウを力に 世界の環境改善に貢献 研修員受入: 150国 7,453人 専門家派遣: 175人 公益財団法人 北九州国際技術協力協会 (KITA) 設立 1980年 独立行政法人 国際協力機構 九州国際センター (JICA 九州) 設立 1989 年 14 大連市との環境国際協力の成果 1979年 友好都市締結(当時旅大市) 1981年 大連で「公害管理講座」を開講 1993年 「大連・北九州技術交流セミナー」開催 大連市環境保護研修員受入(2002年まで毎年実施) 1995年 「大連・北九州環境保護交流会」開催 1996-1999年 大連市環境モデル地区開発調査実施 2001-2002年 北九州・大連 CPモデル事業開始 15 大連市の環境改善 (大連市環境モデル地区開発調査) 2001年大連市 グローバル500受賞 (北九州市は1990年に受賞) 1994年 2000年 16 中国要人の訪問 1 習近平・中国国家副主席が2009年12月16日に北九州市を訪問 人民日報(2009年12月17日付): 『北九州市は環境保護と先進的技術の発展において豊富な経験を 有している。これは中国の現実に当てはめながら、お手本として真剣 に学ぶに値するものである。』 7 中国要人の訪問 2 唐家璇 新日中友好21世紀委員会座長 元国務委員 中日友好協会会長 平成26年6月8日(日)に北九州市を訪問 18 東アジア経済交流推進機構 大連市 天津市 烟台市 青島市 ● 仁川市 蔚山市 下関市 釜山市 福岡市 北九州市 熊本市 ※環境部会の活動実績 ■日中韓の10都市(現在11都市)で構成 ■2004年11月設立 ■ものづくり、環境、物流、観光の 4部会の活動を通じて、経済交流を推進。 機構総会 ○第5回機構総会が2014年8月に煙台市 で開催 ○テーマ「機構会員都市間の将来を見据え た投資促進の戦略について」 ○国際ビジネス部会の創設や新都市加入 などの新たな取組みを協議 大連市とは、2009年 からエコタウン協力を 実施 19 アジア環境都市機構 アジア環境都市機構 (2010年に以下の2つの ネットワークを再編) 旧北九州イニシアティブネットワーク (2002年) 旧アジア環境協力 都市ネットワーク (1997年) 20 環境国際協力(スラバヤ市) 生ゴミの分別・堆肥化プロジェクト(2002~) 埋立処分場での環境汚染(以前) コミュニティで堆肥化 を教える 北九州市の専門家 2000 1800 1600 1400 1200 1000 800 600 400 200 0 2005 2006 2007 2008 2009 2010 埋立処分される廃棄物量 堆肥化された廃棄物 60,000世帯以上に普及 埋立処分される廃棄物量を30%削減 さらに他都市・他国へも普及 21 環境国際協力(プノンペン市) 1999年から協力開始、プノンペンの水道の飛躍的改善 プノンペンの奇跡 北九州市職員による現地での技術指導 (1996年 ⇒2006年) 水道普及率 25% ⇒ 90% 2011年10月 給水時間 10h ⇒ 24h 長年の協力に対して、協力に携 わった職員に、カンボジア政府 より友好勲章を授与される。 無収水量(漏水)率 72% ⇒ 8% 3 環境国際ビジネスの展開 23 環境国際ビジネスへの展開 「北九州市 環境モデル都市行動計画」におけるCO2削減目標 北九州市は、2009年、「北九州市 環境モデル都市行動計画」を策定 2050年の温室効果ガス(CO2等)排出削減量の目標として、市内で50%、 アジア地域において150%削減 プロジェクト推進のため、2010年に、アジア低炭素化センターを開設 アジア諸都市への低炭素化プロジェクトの推進 CO2排出削減量の目標値 技術・プロジェクトの輸出 アジア地域で 150%のCO2削減 1,580万t 1,630万t 市 域 の 排 出 量 北九州市発 低炭素化プロジェクト 1,100万t 800万t 50% 削減 1990年 ア ジ ア 地 域 の 削 減 量 1,530万t 2005年 2018年 2030年 2050年 100万t 1,170万t 150% 削減 2,340万t アジア低炭素化センター開設 (2010年6月) 公害克服やものづくりの過程で生まれてきた環境技術や これまでの国際協力で構築してきた都市間ネットワークの活用 北九州市、日本の環境技術を集約し、環境ビジネスの手法で、 地域の活性化とアジアの低炭素化を推進 平成25年9月 北九州市のノウハウを体系的に整理した北九州 モデルを作成(日本初) 25 技術移転の重点分野 エネルギーマネージメント 下水の膜処理と海水淡水化を 組合せた水再生実証プラント 市地域節電所を核に地域のエネルギーをマネジメント 水ビジネス 配水管網の維持管理方法 北九州の技術がプノンペンへ ウォタープラザ 環境配慮型のまちづく りが進む八幡東田地区 下水からの造水量 海水からの造水量 北九州スマートコミュニティ リサイクル・廃棄物処理 1,000m3/日 400m3/日 (日明浄化センター) 官民連携 環境技術と社会 システムをパッ ケージにして 廃棄物処理の最先端施設 シャフト式ガス化溶融炉 家電リサイクル 移転 無収水量率が改善 72%(1993年)→8%(2006年) クリーナー・プロダクション及び汚染防止 クリーナープロダクション(CP)導入 ・原材料、燃料使用評価及び改善 ・生産工程の改善 ・維持管理の徹底 ・人材育成等 省エネ・省資源の実現 環境負荷低減+生産性の向上 北九州エコタウン 経済効果(25事業): ・直接投資額 約600億円 ・雇用創出 約1300人 CO₂削減:年間約20万トン 自動車リサイクル 新門司工場 安全で、ごみの再資源化と熱 エネルギーの有効利用を実現 終末処理対策 (EOP) Electric dust collector 電気集塵機 Desulfurization equipment 排煙脱硫装置 Wastewater treatment 排水処理装置 Saving electricity 日本の新成長戦略 Casting method “Cleaner Production" Companies’ countermeasures 13 アジア低炭素化センターが関わるプロジェクト ロシア ⑱ 29 56 ①⑤⑯ ⑰ ② 53 アジアの12カ国45都市 で、日本企業と連携して 79のプロジェクトを実施 北京市 ● 中 国 大連市 ⑨⑩ ●ムンバイ 日 本 49 ● ●浦項市 47 天津市 陝西省(西安市) ⑬ 大韓民国 ④ ⑭⑮ ③● ● ダヘジ ● ● ● 北九州市 52 上海市 ● インド ミャンマー 77 ● マンダレー 72 74 36 39 70 71 ⑪ ● ハイフォン ● ハノイ タイ パトゥムタニ県 46 ● ベトナム ● 73 ⑫マニラ ● ● 43 ラグナ 59 63 64 シェムリアップ 62 65 ● 67 ● 60 セン・モノロム バッタンバン ● ● ●プ ノ ン ペ 66 69 シハヌークビル 68 ●● ン ● カンポット、ケップ 61 ホーチミン カンボジア ⑥ ⑦ 55 ブ フィリピン 27 ●42 ● ●⑲サ イ バ ー ジ ャ プトラジャヤ ⑳● ヤ ● 50 マサイ マレーシア イスカンダル ●● 57 ⑧ 40 シンガポール メダン 35 ●メトロセ 30 31 コロール、 アイライ ● バリクパパ ン ● 33 インドネシア 45 51 54 75 ● 26 32 37 38 サウスタンゲラ 44 ン パラオ 41 ● 22 23 24 25 ス ラ バ ジ ャ カ ルヤ ● タ28 58 76 21 34 48 西ヌサトゥンガラ 州● スラバヤ市の事例 環境姉妹都市を締結(2012年11月) 28 スラバヤ市へのグリーンシティ輸出 排水処理(下水道整備) 廃棄物処理 オープンダンピングからリサイクル型中間処理へ 簡易処理から現地の実態に合った下水道整備 へ コジェネレーション&省エネ 効率的なエネルギーマネジメントシステムの導入 CO2削減の定量化手法調査 グリーンシティ輸出 スラバヤ市で行う各種事業 について、CO2削減量の定 量化 スラバヤ工業団地 北九州スマートコミュニティ事業の輸出 水道水の浄化 飲用水供給事業 水道水(飲料は不可)を浄化できる給水 機をコミュニティに設置し、安心安全な 水を提供 北九州市 太陽光発電と浄水装置により飲用水を安価に供給 都市間連携 スラバヤ市 スラバヤ市の低炭素都市計画策定支援 IGES北九州アーバンセンター、㈱NTTデータ経営研究所、アミタ㈱等 環境省「アジアの低炭素社会実現のためのJCM大規模案件形成可能性調査事業」(2013年度~) エネルギー分野 工場への熱電供 給(コジェネ) (株)NTTデータ経 営研究所 (株)NTTファシリ ティーズ 富士電機(株) 新日鉄住金エンジニア リング(株) (株)アットグリーン PT SIER(工業団地運営 会社)、PIER工業団地、 顧客候補企業、国営電 力会社(PT PLN)、 ガス会社 廃棄物分野管理 協力: (株)西原商事 焼却発電 協力: 日立造船(株) JICA案件 コジェネレーション 建築物の省エネ、 分散型電源 建設局、スラバヤ工科 大学、ホテル、商業施 設、オフィスビル、病院、 大学、市役所 一般廃棄物の分 別、リサイクル、 美化公園管理局(DKP)、 生ごみ堆肥化 環境局(BLH)、肥料会 社(PT Petrokimia) アミタ(株) エネルギー鉱物資源省、 公共事業省、環境省、 美化公園管理局(DKP)、 最終処分場管理会社 (PT Sumber Organik) 産業廃棄物のセ メント原燃料化 環境省、産業局、(日 系)企業(排出事業者)、 セメント会社(PT Semen Indonesia)、製紙会社 環境省案件 協力: ホテルへのLED照明導入 他業務にて実施中の成果を、本業務に共有。 B3排出業者 アミタ製造所 (東ジャワ州) セメント会社 (東ジャワ州) ハイフォン市の事例 ハイフォン市における水ビジネス展開 2011年10月 交流・協力協定に基づき、 水ビジネス包括協定を締結 (左:ハイフォン市筆頭副委員長) ハイフォン市は北九州市が特許を有する U-BCFの導入を決定。 2014年4月18日 姉妹都市締結 ハイフォン市グリーン成長推進計画策定支援 IGES北九州アーバンセンター、㈱日建設計シビル、㈱NTTデータ経営研究所等 環境省「アジアの低炭素社会実現のためのJCM大規模案件形成可能性調査事業」(2014年度) パイロットプロジェクトの実施・普及によるCO2排出削減可能量:約12万t/年(目標 2020年) 日 本 側 友好協力協定締結(2009年4月) 北九州市 全体とりまとめ 人民委員会 IGES 北九州市アジア低炭素化センター 姉妹都市締結(2014年4月) 低炭素都市づくり エム・アイ・ コンサルティング(株) 外務局、計画投資局、天 然資源環境局、建設局、 工商局、交通局、農業農 村開発局、工業団地管 理(HEZA) 廃棄物分野 セメント工場での廃熱発電、商業施設での省エネ、 工場での省エネ、道路照明のLED化など (株)NTTデータ経営 研究所 北九州市立大学 (株)NTTファシリティーズ (株)豊光社 その他メーカー、 エンジニアリング会社 工商局、省エネセンター 製造工場(セメント、食品、 製紙等) 大規模事業所(病院、ホテ ル、事務所ビル等) インフラ カットバ島保全 家庭系廃棄物の分別・コンポスト化、 産業廃棄物のセメント原燃料化など (株)NTTデータ経営 研究所 (株)西原商事 アミタ(株) 外務局、計画投資局 ベ ト ナ ム 側 エネルギー分野 グリーン成長推進計画の策定 (株)日建設計シビル ハイフォン市 建設局、天然資源環境局、 工業団地管理(HEZA)、 都市環境公社、 現地処理企業 包括的な資源循環(バイオガス化・固形燃料化・液肥利用)、 観光農園等における太陽光発電事業など (株)NTTデータ経営 研究所 (株)アミタ持続可能 経済研究所 人民委員会、建設局、天然 資源環境局、文化スポーツ 観光局、都市環境公社、Cat Hai県、農業関係者、漁業関 係者、住民等、観光施設、 関連行政機関 62 4 新たな動き 33 中国大気環境改善に関する都市間環境協力 唐山市 天津市 武漢市 上海市 34 北九州市日中大気環境改善事業 総合調整・推進型:都市間協力チームの設置 上海・武漢・唐山・天津 都市間 連携協力 サポート(斡旋、調整)等 北九州市 サポート(斡旋、調整)等 都市間連携協力のプラットホーム (日中友好環境保全センター、地球環境戦略研究機関等) 北九州市 日中大気 汚染改善 推進会議 構成:産業界、 大学・研究機 資金の提供、指導、助言 指導、助言 中国(環境保護部) 政府間調整 日本(環境省) 対象分野 実施予定事業 1.固定発生源対策 2.移動発生源対策(オフロード車含む) 3.VOC対策 4.建設工事の粉じん対策 5.予報・警報システム 6.汚染源解析 7.モニタリング 8.その他各都市希望分野 1.訪日研修の受入 2.専門家の派遣 3.共同研究の立案等 4.モデル事業の立案等 関、行政、市 民・NGO等 ※当面(平成26年度)、訪日研修及び専門家 派遣を実施 推進会議サポートチーム(環境局内) 構成:環境監視部、環境科学研究所、環境国際戦略室、駐上海北九州市経済事務所等 35 北九州市日中大気環境改善推進会議 1.産業界: 北九州環境産業推進会議 公益財団法人北九州国際技術協力協会 北九州商工会議所 2.研究機関 産業医科大学 北九州市立大学 九州工業大学 九州大学 3.行政 環境局 産業経済局 4.市民団体等: 環境ミュージアム(公害克服の経験、環境教育)等 36 5 まとめ 37 北九州市の環境国際戦略のまとめ 1901年 官営八幡製鉄所操業 鉄のまちとして発展 公害問題深刻化 1950年 1960年台~ 婦人会の公害対策運動 市の取り組み 企業の取り組み 公害対策局設置、公害防止条例制定 企業との公害防止協定締結 生産工程改善、汚染物質除去処理施設 工場緑化、低公害型生産技術 公害対策 公害の克服 1980年台~ JICA九州国際 センター開設 KITA設立(1980年) 環境国際協力 の基盤整備 1990年台~ 海外の環境問題解決に協力 環境国際協力 友好都市大連 大連市環境モデル地区開発調査 との環境協力 (ODA事業 1996-2000年) 2000年台~ ネットワークを 活用した都市間協力 2010年台~ 低炭素社会形成へ 環境国際ビジネスへの展開 (1989年) アジア環境協力都市ネット ワークを設立(1997年) 2000年のESCAPでの採択事項を基に 北九州ニシアティブネットワークを設立(2002年) 東アジア経済交流推進機構 設立(2004年) 環境モデル都市に認定(2008年) アジア低炭素化センター開設 (2010年) OECDのグリーン 成長都市に選定 (2011年) 38 38 環境国際協力のメリット 地球規模のメリット 〇 地球規模の環境改善・CO2削減に寄与 都市間連携のメリット 〇 〇 〇 〇 現地の環境改善や健康増進に寄与 現地の人材育成に寄与 諸都市とのネットワークの構築 国際機関との連携強化 地自体としてのメリット 〇 〇 〇 〇 情報発信力・知名度の向上 市民の意識向上 市内企業への情報提供 職員の能力向上・技術の伝承 地 域 の 環 境 ビ ジ ネ ス に 寄 与 ご清聴ありがとうございました ていたん ブラックていたん 40
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