「文化ってなに?」第51号

特集:子どものために大人も学ぶ ∼ 文化芸術によるまちづくり ∼
「佐世保」からの演劇発信!
!
福岡・東京・札幌 & 韓国 公演
1998年 に 佐 世 保 市 で 旗 揚 げ し 、 活 動
17年目を迎える地元の劇団H I T ! S T A G E 。
地 元 を 中 心 に 創 作 活 動 を 続 け る と と も に、
佐世保市の人材育成事業では常に大きな力
を発揮しています。昨年今年と大きな飛躍
の年となった劇団 H I T ! STAGE から公演の
報告がありました。
佐世保を舞台とした「血の家」韓国公演
2014年、
2015年 新たなチャレンジ〔 劇団HIT!STAGEからの報告〕
5つの公演で、福岡、東京、札幌、韓国亀尾(グミ)市で上演する機会に恵まれました。福岡の劇団
「14+(フォーティーンプ ラス)」と合同公演をした「血の家」は「第19回日本劇作家協会新人戯曲賞
優秀賞」を受賞し、佐世保独特の言葉の響きと、地方都市の家族の形が、大きく評価されました。韓国
公演では、役者の後ろにハングルの字幕が設置され、観客の皆様は、佐世保弁のセリフを聞きながら字
幕を目で追って、笑ったり泣いたり、最後には惜しみない拍手をいただきました。
東京では、「Case4 ∼他人と自分∼」を上演し、佐世保弁の独特な響きに、客席から笑いが起こ
る場面も。方言のお芝居を初めて観る方もいらっしゃって、「地方の生々しさを感じた」と感想をいただ
きました。アルカス演劇さーくる「隣にいても一人」佐世保版では、演出の田原佐知子と俳優の森馨由
が参加。原版(標準語)を佐世保弁に書き直しての上演でしたが、改訂作業は思ったより難しく、ニュ
アンスを崩さない言葉を当てはめるのに苦労しました。札幌公演では、札幌版と佐世保版の競演でした。
札幌の方々からは、「何となく、意味は解る」「佐世保弁だと喧嘩のシーンの迫力が増す」などのご感想
をいただき、現地でも大きく取り扱っていただきました。「佐世保」が舞台の「血の家」は今年、東京公
演と佐世保での凱旋公演を予定しています。
公 演 月
開 催 地
2014年4月 福岡市
作 品
「血の家」14+・劇団HIT!STAGE合同公演(第8回福岡演劇フェスティバル参加作品)
作:森馨由(劇団HIT!STAGE) 演出:中嶋さと(14+)
7月 佐世保市
東京都
「Case4 ∼他人と自分∼」劇団HIT!STAGE公演
作:森馨由 演出:田原佐知子(両者とも劇団HIT!STAGE)
10月 韓国
「血の家」韓国亀尾(グミ)市公演
11月 佐世保市
「隣にいても一人」佐世保版 させぼ文化ウィーク公演
作:平田オリザ 演出:田原佐知子(Bチーム)
アルカス演劇さーくる(Aチーム・Bチーム競作)
2015年1月 札幌市
「隣にいても一人」佐世保版 札幌公演
アルカス演劇さーくる(札幌版と競演)
「隣にいても一人」佐世保版 札幌公演
これからも、劇団 HIT!STAGE の公用語は「佐世保弁」です
今回、たくさんの場所でお芝居を上演しましたが、それはすべて「佐世保弁」。地域を題材にし地
域の言葉を使ったお芝居は、ホームで上演すると土地の言葉や風習が助けになるのですが、よその
土地ではその加算がありません。一番印象に残ったのは、「血の家」の韓国公演でした。国内でだっ
て方言は伝わらない事があるのに、まして、異国の地。いくら字幕があると言っても、観客はすぐ
に飽きてしまうだろう。そう思っていたのですが、言葉が解らないからこそ、逆に見入ってしまい、
そして、演者が話す佐世保弁が、面白いリズムで響いたそうです。細かい役者さんの所作を見落と
森 馨由 さん
さず、劇中、拍手が起こったり、笑いや泣き声や、同調する声が上がったりで、ものすごい一体感
を感じました。それは、東京や札幌でも、作品は違えど大きく感じたことです。
私が作家だと名乗ると、佐世保弁のセリフを真似て、「このセリフが好き」と伝えて下さる観客もいました。私達が知ら
ない言葉を耳にする時、注意深く耳を澄ますように、観客の皆様も、同じように耳を澄ませて聞いてくれます。もちろん、
地元で上演するのが、一番大好きですが、これからも、佐世保の一部を切り取って、たくさんの場所に届けたいと思います。
文化ってなに? vol.51
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