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第6章
第1
医学的側面からの検討
医学的な検討課題
1.医学的側面からの検討課題
(1)検討課題 1
口 と 鼻 が 水 中 に 没 し て 呼 吸 す る こ と が で き な か っ た 時 間( 浸 水 時 間 )
の長さはどれくらいであったかの推測。
プールの中でうつぶせの状態になって浮いていた「きっかけ」につ
いては,羽菜ちゃんは歩いて到達した北側プールサイド付近で,体の
バランスを崩す,顔に水がかかる,せき込む,あるいは脚を曲げた際
に頭部が水没するなど突発的,偶発的な事態に遭遇し,不意に少量の
水を吸引し,気道が閉塞されたことによって窒息状態に陥り,低酸素
状態になるなどして極めて短時間の内に意識を喪失したものと推測さ
れる。
(2)検討課題 2
救命処置の開始から入院するまでの心臓,肺,脳の状態の推測。
死亡とは,心臓,肺,脳の機能停止状態であり,主にこの 3 つの臓
器の状態について検討することが必要となる。
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第2
羽菜ちゃん本人のこれまでの状況
1.本人側のリスク要因
(1)既往歴
これまでに身体的な疾患はない。痙攣の既往はなく,意識消失など
の既往もない。
(2)急死するような状況の有無
小学校 1 年生時の心電図では不整脈などの異常所見はない。
(3)水泳能力,水泳の経験
夏休み前の授業で水泳の授業を受けていた。水を怖がることはなか
った。自宅の風呂では水に潜ることもあった。風呂で滑って水没した
ことが 2 回あったが,慌てる様子は無く,目を開けたまま浮上するこ
とができた。
(4)発達の遅れとの関連
発 達 を 診 て い た 医 師 に よ る と , 発 達 段 階 は 2∼ 3 歳 代 で , 注 意 欠 陥
的な要素はない。自ら進んで危険なことをしたり,予測不可能な行動
をとる子どもではないと指摘されている。
(5)食事
咀嚼力に問題はなかった。口いっぱいに食物を入れることもなかっ
た。
2.小括
上記1(1)から(5)を踏まえると,本人側のリスク要因として挙げ
るべきものはないと考える。
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第3
プール内での発見から入院までの状況
1.最初に水中から引き上げた時の状況
羽 菜 ち ゃ ん が 水 中 か ら 引 き 上 げ ら れ た 推 定 時 刻 は 13 時 50 分 頃 で あ り ,
「 チ ア ノ ー ゼ 」が 有 り ,「 呼 吸 」は な く ,「 筋 緊 張 」は だ ら り と し て い た 状
況であった。
したがって,呼吸停止し,低酸素状態となっていたと判断できる。
2.処置中の状況
教 員 に よ る 救 命 措 置 が 行 わ れ て い た 際 の 羽 菜 ち ゃ ん の 状 況 は ,「 顔 色 」
は 引 き 上 げ ら れ た 状 況 か ら 変 化 は な く ,「 自 発 呼 吸 」 は 無 く ,「 吐 物 の 量 」
は 多 量 で 消 化 さ れ て い な い 米 粒 が 確 認 さ れ , 駆 け つ け た 教 員 が 「 AED」 を
装 着 し た が , シ ョ ッ ク 不 要 (「 使 用 し な く て よ い 」 の 意 味 ) と 判 断 さ れ て
いる。
顔色 に 変化 が ない 状態 は ,低酸 素 状 態が 持 続し て いた こと を 意味 し てお
り , ま た , AED か ら 「 使 用 し な く て よ い 」 と い う 指 示 が 出 た の は , 電 気 的
に心筋が収縮していたためである。
3.救急隊の救急活動記録書からの状況
13 時 51 分 51 秒
消防局への電話の着信があった。
13 時 52 分 36 秒
状況の覚知,出動指令が出た。
13 時 52 分 44 秒
救急隊が出動した。
13 時 58 分 28 秒
救急車が学校に到着した。
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13 時 59 分 00 秒
救急隊員が羽菜ちゃんのもとに到着した。
<救急隊到着時点の記録>
・羽菜ちゃんはプールサイドに背臥位。
・顔色は蒼白。
・B 教諭が胸骨圧迫を実施していた。
・ AED パ ッ ド は 貼 付 済 み ( シ ョ ッ ク 指 示 な し ) で あ っ た 。
・口腔内から食物残渣があり,清拭及び吸引を実施。
・換気を確認したが,送気抵抗あり,胸部挙上はなかった。
換気が難しいのは,気道が閉塞している可能性が大きい。気道
閉 塞 の 原 因 は ,食 物 残 渣 に よ る も の で あ る 可 能 性 が 高 い 。な お ,
喉頭けいれんが起こったとしても,その持続時間は短時間(秒
単位)であり,持続していたとは考えにくい。
< 救 急 隊 に よ る 初 見 時 ( 13 時 59 分 ) の 記 録 >
・心肺停止(意識なし,呼吸停止,総頸動脈触れず,両側瞳孔散
大 ( 5mm), 瞳 孔 反 射 な し , 顔 色 蒼 白 )
両 側 の 瞳 孔 が 散 大 ,対 光 反 射 が み ら れ な い の は 死 の 徴 候 で あ る と
いえる。
13 時 59 分 06 秒
救急隊員が心肺蘇生を開始。
そ れ ま で 学 校 が 使 用 し て い た AED を , 救 急 隊 の AED に 貼 り 替 え , 解 析
を か け た と こ ろ「 AED 不 要( 電 気 シ ョ ッ ク の 必 要 は あ り ま せ ん )」の メ ッ
セージが出た。
救 急 隊 の 持 参 し た AED 装 置 の 記 録 に は ,14 時 00 分 30 秒 か ら 記 録 さ れ
て い る 。初 期 心 電 図 波 形 は 無 脈 性 電 気 活 動( PEA)で あ り ,心 臓 に は 電 気
的 な 収 縮 が み ら れ た が 脈 は 触 れ な か っ た 。 ま た , 14 時 02 分 ま で は , 心
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電 図 上 , QRS 波 が 認 め ら れ , 14 時 04 分 30 秒 か ら は QRS 波 は 認 め ら れ な
い 。 つ ま り , QRS 波 が 認 め ら れ な く な っ た の は 心 臓 が 電 気 的 に も 収 縮 せ
ず , 心 停 止 に 近 い 状 態 と な っ た こ と を 意 味 し て お り , 心 停 止 は 14 時 04
分 30 秒 で あ っ た と 判 断 で き る 。
な お ,心 停 止 と は ,医 学 的 に は「 1.心 室 細 動 」
「 2.無 脈 性 心 室 頻 脈 」
「 3.
無 脈 性 電 気 活 動 ( Pulseless Electrical Activity: PEA)」「 4.心 静 止 」
の 4 つ に 分 け ら れ ,「 1.心 室 細 動 」「 2.無 脈 性 心 室 頻 脈 」 だ け が AED に よ
る 電 気 シ ョ ッ ク が 有 効 と さ れ て い る 。 PEA と は , 脈 拍 や 心 拍 を 確 認 で き
ないにもかかわらず,心電図のモニターには波形を示している状態のこ
とをいう。
14 時 08 分
受け入れ病院が,京都第二赤十字病院に決定した。
14 時 11 分 23 秒
救急車の車内に収容。
救急車内でも胸骨圧迫,吸引を行った。
14 時 12 分 08 秒
現場を出発。
胸骨圧迫の度に,嘔吐で口がいっぱいになり,病院に到着するまで嘔
吐 は 続 い た 。吐 瀉 物 は ,米 粒 状 の も の と 水 分 で あ っ た 。換 気 に つ い て は ,
病院に到着するまでの間に特に改善はみられなかった。
14 時 21 分 00 秒
病院に到着。
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第4
医療機関での状況
京都 第 二赤 十 字病 院の カ ルテ か ら要 点を 抜 き出 し ,時 間経 過 に沿 っ て記
載する。
1.入院後の経過
14 時 25 分
医療機関に搬入された。すぐに酸素吸入を開始。
14 時 26 分
心臓の収縮を促すためにエピネフリン(強心剤)が静注されたが,心
拍は再開せず。
静脈中に薬剤を入れるのは,薬を迅速に作用させるためである。
14 時 30 分
肺 に 確 実 に 酸 素 を 送 る た め 気 管 挿 管 が 試 み ら れ た 。 31 分 , 35 分 に は ,
エピネフリンを再投与して心臓の収縮を促した。
14 時 37 分
心 電 図 は 無 脈 性 電 気 活 動 ( PEA)。
気管挿管をし,以後,血液ガスの値をみながら人工呼吸器の条件を調
節。
14 時 44 分
心拍再開。心拍
130/分 , 血 圧
72/44, 酸 素 分 圧
79%
14 時 45 分
脳の酸素需要を低下させるため頭部の冷却を開始し,昇圧剤の投与も
開始。
15 時 15 分
救命の最大限の努力として身体の外で血液中に酸素を送り込み,それ
を 身 体 に 戻 す 補 助 肺 装 置 ( ECMO) を 開 始 。
ECMO( Extracorporeal Membrane Oxygenation: 体 外 式 膜 型 人 工 肺 ) と
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は,重症呼吸不全に対して膜型人工肺を用いた体外循環システムにより
一時的に呼吸補助を行い,機能障害に陥った生体肺機能の回復を待つ方
法のことをいう。
16 時 29 分
ICU に 入 室 。
以後,各種の治療が行われた。
・循環状態の維持のため,強心剤,昇圧剤の使用。
・ 呼 吸 状 態 の 改 善 の た め ,補 助 肺 装 置 に よ る 酸 素 供 給 ,サ ー フ ァ ク タ
ントによる気管洗浄。
・感染対策のため,抗菌薬の静注。
・ 脳 圧 へ の 対 策 の た め ,脳 圧 を 下 げ 脳 浮 腫 を 軽 減 す る 薬( グ リ セ オ ー
ル)の使用。
し か し , 入 院 時 よ り 瞳 孔 反 射 は み ら れ ず , 徐 々 に ECMO に よ る 酸 素 化
も 不 十 分 と な り , 翌 日 の 17 時 15 分 に 心 停 止 と な り , 17 時 18 分 に 死 亡
確認。
2.検査所見
(1)入院直後の血液検査
14 時 33 分
Na:134.8, K:6.31, Cl:101
14 時 39 分
Na:147.6, K:6.17, Cl:112
14 時 45 分
Na:133.2, K:3.81, Cl: 95
であり電解質の値に大きな異常はない。
したがって,水を大量に飲んでおらず,長時間,水中に没していた
可能性は低いといえる。なお,水を大量に飲むと,血液中に水が混入
し Na や Cl の 値 が 低 く な る 。
(2)胸部単純レントゲン検査
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両側下肺野の透過性低下。腸管ガス著明。
したがって,上・中肺野には空気が入っており,長時間,水中に没
していた可能性は低いと言える。
( 3 ) 胸 腹 部 CT 検 査
両肺下葉に浸潤影あり。胸水の貯留はない。小腸拡張あり。
したがって,単純レントゲン写真と同じく上・中肺野には空気が入
っており,水中に長く没していた可能性は低いと言える。また,腸管
ガスは強制換気のためである。
( 4 ) 頭 部 単 純 CT 検 査
脳浮腫があり,皮質と髄質の境界が不明瞭化。脳内の出血はない。
頭蓋骨の骨折もない。
この事から,頭部への強い外傷は考えられない。また,上記の皮質
と髄質の境界がわからなくなっていることから低酸素性脳症と判断で
きる。
3.病名についての補足
病 歴 の 最 終 診 断 名 と し て ,「 敗 血 症 」「 急 性 出 血 性 胃 潰 瘍 」「 虚 血 性 腸
炎」
「 シ ョ ッ ク 肝 」な ど が 記 載 さ れ て い る が ,こ れ ら は 保 険 病 名 と 称 さ れ
ているものであり,病態の検討事項からは除外した。
重症患者の場合,細菌感染症となる可能性が高いために感染が起こっ
ていなくても抗菌薬を使用する。この抗菌薬の医療費を医療保険から得
るためには,医療機関は「敗血症」という診断名を付けて保険請求しな
ければ医療費として受け取ることができない。そのため,実際に身体の
中で起こっている病態(病名)ではなく,保険請求上の病名が使用され
ているものである。
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第5
解剖の所見
死 体 検 案 書 に は , 直 接 死 因 は 「( ア ) 誤 嚥 性 肺 炎 , 低 酸 素 脳 症 」 と 記 載
さ れ ,( ア ) の 原 因 と し て 「( イ ) 溺 水 」 と 記 載 さ れ て い る 。
死 因 の 種 類 に つ い て は ,「 4 . 溺 水 」 と い う 項 目 が あ る が ,「 1 1 . そ の
他及び不詳の外因」が選択されている。
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第6
医学的な面からの結果と提言
1.羽菜ちゃん発見から死亡確認までの経過
プール内での発見から死亡までの状況と各種データを組み合わせると
経過は次のとおりである。
まず,羽菜ちゃんがプール内にいたときに,口内に水が入る状況が発生
した。急に冷たい水塊が喉頭部に達したため,喉頭けいれんが起こって気
道 を 閉 塞 し た( 当 日 の 水 温 は 33℃ と さ れ て い る が ,咽 頭・喉 頭 部 の 体 温 は
37℃ で あ り , 喉 頭 け い れ ん は 誘 発 さ れ う る 。 ま た 少 量 の 水 塊 そ の も の で も
喉 頭 け い れ ん は 誘 発 さ れ う る )。
その 状 況が し ばら く続 い たた め 意識 消失 の 状態 と なり ,身体 の 筋肉 の 緊
張が低下して立位を保てなくなった。
水 の 中 に い る の で 身 体 が 浮 い た 状 態 と な り ,発 見 さ れ た 。こ の 状 況 は 28
秒以内の出来事と思われる。
発見後,プールサイドで心肺蘇生術が行われた。
昼 食 の 終 了( 12 時 20 分 頃 )か ら 1 時 間 30 分 く ら い 経 っ て い た が ,心 肺
蘇生時は胃内からの吐物が多かった。吐物の一部は気管に入り,そのため
に人工呼吸の効果が減じた。
医 療 機 関 に 搬 送 さ れ た 時 は ,心 肺 停 止 し ,低 酸 素 性 脳 症 の 状 態 で あ っ た 。
治 療 経 過 中 , 瞳 孔 反 射 は み ら れ ず , 補 助 肺 装 置 ( ECMO) に よ っ て も 脳 や 心
臓の機能を維持,回復することはできず死亡した。
2.結論
「 検 討 課 題 1」 の 浸 水 時 間 に 関 し て は , 現 場 検 証 の 結 果 か ら 16 秒 か ら
28 秒 く ら い の 時 間 と 推 測 さ れ ,こ の 時 間 で は ,浸 水 が 死 亡 の 直 接 原 因 と な
ったとは考えにくい。
また ,入 院時 の 血 液電 解 質の 値 やレ ント ゲ ン写 真 から も浸 水 時間 は 短時
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間であり,飲み込んだ水は少量であったと推測される。
「 検 討 課 題 2」 に 関 し て は , 呼 吸 を 確 保 す る こ と が で き な か っ た 要 因 が
もっとも大きいと考えられ,まず呼吸不全による低酸素状態となり,それ
に続く低酸素性脳症,さらに心不全を経て死亡に至ったと思われる。
3.再発予防策
(1)現場検証の難しさの解決策(機器を使った記録)
死因を究明するためには,事故当時,何が起こったかを知ることが
不可欠である。事故が起こる直前から,事故が起こってから 1 時間く
らいの情報が最も重要な情報となる。しかし,当時と同じ状況を再現
す る こ と は 大 変 難 し く ,ま た ,ヒ ト の 記 憶 も 不 十 分 で あ る 場 合 が 多 い 。
水泳では,短時間に重症事故に進展する可能性が高い。そこで,機
器を使って記録する体制の整備が望まれる。プールでの水泳中は,監
視カメラなどによるモニタリングを行う。また,緊急事態が発生した
場合は,携帯電話などで現場の写真を何枚も撮っておくとよい。この
機能を使うと映像とともに正確な時刻も記録されるので,あとで検討
するときに役立つ。また,吐物などの写真も撮っておくと同時に,現
物を保存しておく。さらに,ボイスレコーダーなどで現場の状況を記
録しておくのもよい。
(2)心肺蘇生術の実地訓練
心 肺 停 止 の 人 を 救 命 す る た め に は ,そ ば に い る 人( バ イ ス タ ン ダ ー )
による心肺蘇生が不可欠である。全ての教員が,定期的に心肺蘇生の
実地訓練を行う必要がある。溺水時に心肺蘇生を行うときは,すぐに
仰臥位で行うのではなく,吐物がないことを確認してから行う。
( 3 ) AED の 設 置 と 点 検 , 実 地 訓 練
AED は , い つ で も 持 ち 出 す こ と が で き る 状 態 に し て お き , プ ー ル の
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そ ば に 設 置 す る こ と が 望 ま し い 。 ま た , AED が 設 置 し て あ る 場 所 は 全
て の 教 員 が 知 っ て い る 必 要 が あ る 。 定 期 的 に 点 検 を 行 い , AED 使 用 の
実地訓練を行う。
AED を 使 用 し た 場 合 は , 機 器 の 中 に 残 さ れ て い る 記 録 を 再 生 し て 資
料として保存しておく必要がある。
(4)緊急事態のシミュレーション
緊急事態が起こった時を想定した定期的な訓練が必要である。プー
ルサイドには,救急車の呼び方,心肺蘇生法の手順を書いた大きなポ
スターを貼っておく。
現場が混乱する一つの要因は,現場に指揮官がいないことである。
現場ですぐに指揮する人を決め,その人の指示で動くようなシミュレ
ーションをしておく。どのようなことを指揮する必要があるかについ
て は , 前 も っ て 表 に し て お く と よ い 。 例 え ば ,「 心 肺 蘇 生 」「 119 番 へ
の 連 絡 」「 AED を 持 っ て く る 」「 保 護 者 へ の 連 絡 」「 他 の 子 ど も た ち の 誘
導 」「 救 急 車 に 同 乗 」「 校 長 へ の 連 絡 」 な ど , 具 体 的 な シ ミ ュ レ ー シ ョ
ンを行う必要がある。
(5)記録の必要性
事故が起こった直前から直後までのことについて,それぞれの人が
見たこと,聞いたこと,行ったことを,時間経過に沿って,個人別に
記録しておく。その記録は訂正できないように,第三者の機関で保管
しておく必要がある。この作業は,事故直後に行う必要がある。
(6)学校危機管理官の必要性
学校管理下ではいろいろな問題が発生する。一つの学校のスタッフ
だ け で は 対 処 で き な い 場 合 も 多 い 。各 都 道 府 県 に 1∼ 2 人 の 学 校 危 機 管
理官を配置して,担当地域で起こったリスクのすべてに対処する体制
を作ることが望ましい。保護者,学校の双方に対して,リスク管理の
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専門家が早期から関与すれば,問題がこじれる可能性は低くなると思
われる。
(7)水泳を始める前の注意事項
①
食後,すぐに泳がない。
②
視認性を高めるため,水に入っても目立つ色の水着を着用する。
③
水泳能力が低い子どもは,水泳帽子の色を変える,あるいはリスト
バンドをつける。
④
水泳能力が低い子どもは,乳腺までの水深で活動する。
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