NFC 技術のさらなる普及拡大に向けて注目を集める「HCE」 JICSAP が

NEWS RELEASE
平成 27 年 3 月 3 日
一般社団法人 日本 IC カードシステム利用促進協議会
NFC 技術のさらなる普及拡大に向けて注目を集める「HCE」
JICSAP がサービス展開に向けた技術検証に着手
一般社団法人 日本 IC カードシステム利用促進協議会(代表理事:平松雄一、略称 JICSAP)はこのほど、
NFC(Near Field Communication)技術の新しい提供形態である「HCE(Host Card Emulation)」に関して、
実際のサービス提供に向けた技術検証、および、課題の抽出を目的とするトライアル(実証実験)を開始しまし
た。
具体的には、NFC を搭載したスマートフォン(以下、NFC スマートフォン)上に、HCE 対応のアプリケー
ションを搭載し、いくつかの利用場面(ユースケース)を想定して、各種の技術検証を行います。
これらの研究・開発成果は、
本年 3 月 3 日~6 日まで東京ビッグサイトにて開催される『リテールテック JAPAN
2015』
(主催:日本経済新聞社)会場内の JICSAP 出展ブース(小間番号:RT1511)において、展示・公開さ
れます。また、JICSAP では3月3日午前 10 時より、同会場(東京ビッグサイト)会議棟6階にて、
「JICSAP
特別企画イベント〜かざす文化を世界に〜」を開催し、本技術検証についても紹介する予定としています。
本研究開発は、JICSAP のアプリケーション研究部会において、平成 26 年度活動として取り組んでいるもので、ア
プリケーションの開発と検証は大日本印刷株式会社、凸版印刷株式会社に協力頂きました。JICSAP では今年度の研究・
開発成果を広く一般に公開し、HCE サービスに関心のある開発者や利用者の意見を取り入れ、次年度以降も HCE サー
ビスに関する技術検証を継続していく方針です。
《JICSAP の組織概要》
JICSAP は 1993 年 3 月に、IC カード仕様の標準化、アプリケーションの調査研究、モデル構築、普及・啓発活
動や利用技術の検討などを目的として設立された一般社団法人です (会員数 39 社、平成 27 年 2 月 20 日現在)。
IC カードシステムを普及・定着させ、より高度化した社会システムを築いていくため、会員に必要となる情報の
交換を行うとともに、利用技術の普及・啓壕活動、ビジネスモデル、標準化などの調査・研究・実証実験、諸外
国との交流などを図ることを目的としています。単一企業、単一業界だけでは解決困難な問題のため、JICSAP
が、関係者間の調整機能を果たすことで、IC カード/NFC 技術や、モバイルサービス等の健全な普及を後押しす
ることを目指しています。
<本件に関するお問い合わせ先>
一般社団法人 日本 IC カードシステム利用促進協議会(JICSAP)
事務局 多田羅(たたら)
TEL 03-5259-8296 E-mail [email protected]
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(参考資料)
■本技術検証の背景
従来、NFC を搭載したスマートフォン(以下、NFC スマートフォン)を非接触 IC カードのように利用する
場合には、NFC スマートフォンに内蔵される SIM カードや特別な IC チップの中に、あらかじめ認証のための
情報(認証情報)を書き込んでおく必要がありました。これに対して 2013 年末に登場した HCE(Host
Card Emulation)では、NFC スマートフォンのアプリケーションソフトウェア上、あるいはクラウドサーバ
ー上に認証情報を格納しておくことができます(下図)。例えば、NFC スマートフォンの利用時に、モバイルネ
ットワークを通じて、都度、クラウドサーバー上に格納された認証情報を読み込み、非接触 IC カードと同様の
動作をさせることができるようになります。
これにより、NFC サービス開発の自由度が広がる一方で、取引の都度、オンライン認証しながら利用する HCE
では、現状では商用サービスの提供実績が極めて少なく、実際の利用場面での動作確認や、従来型である NFC
サービスとの共存など、日本国内での商用化に当たっては検証すべき課題が山積しています。
本技術検証では、これらの技術検証と課題の抽出を行います。
図 従来の NFC スマートフォン(左)と、HCE で動作する NFC スマートフォンの比較
(出典:Android の開発者向けページ※を元に日本語化)
※画像の引用元:
http://developer.android.com/guide/topics/connectivity/nfc/hce.html
Portions of this page are modifications based on work created and shared by the Android Open
Source Project and used according to terms described in the Creative Commons 2.5 Attribution
License.
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■成熟に向かう NFC 市場と、HCE の可能性
NFC に対応したスマートフォンやタブレット等のデバイスは、世界で約 300 機種、累計では 5 億台強が出荷さ
れており、日本でも 2,000 万台以上が普及していると言われています(※)
。
※ NFC Forum 規格を搭載するデバイスの台数。2014 年末現在
このように、世界中で着実に普及が進んでいる NFC 搭載デバイスにおいて、利用が可能な新技術として登場し
た「HCE(Host Card Emulation)
」は、さらに NFC の利用場面の裾野を広げるものとして、大きな注目を集めて
います。
●(参考)HCE に関する主なトピック
2013 年 10 月
Google が、
「Android4.4(KitKat)
」以降の NFC 搭載デバイス(スマートフォンなど)で利用できる新機能として、
「HCE(Host Card Emulation)
」仕様を発表
2013 年 10 月
国際ブランド 3 社(Visa、MasterCard、American Express)が「Tokenization トークナイゼーション(※)
」技
術の活用方針を発表。
※ 実際のカード番号(16 桁)を、利用する場面(対面、非対面など)や、取引に使用するデバイスごとに、別の番号に変換した
上でトークンとして利用する技術。カード番号から変換されたトークンが漏えいした場合でも、不正な利用ができない。HCE
を決済サービスに適用する場合には、このトークナイゼーションと組み合わせて提供することが想定されている
2014 年 2 月
国際ブランドの Visa、MasterCard が、非接触決済サービス(Visa payWave、MasterCard PayPass)において HCE
をサポートすると発表
2014 年 3 月
決済サービスの国際的な業界団体である EMVCo が「EMV Payment Tokenization Specification」の初版を出版
●(参考)2014 年以降の主な HCE 導入事業者の例 ※
・BBVA(スペインの銀行)
・PrePay Solutions(ヨーロッパのプリペイドサービス事業者)
・Sberbank(ロシアの銀行)
・DCR Strategies(カナダのポイント・プリペイドサービス事業者)
・CUA(オーストラリアの信用金庫)
※ NFC Forum の資料(平成 26 年度 JICSAP エグゼクティブ懇親会講演資料 「NFC がもたらす 2020 年の変革」)
をもとに作成
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■本トライアルにおける具体的な技術検証項目
本トライアルにおける具体的な技術検証項目は以下の通りです。
① IC カードの読み取り、モバイル利用の使い勝手(通信距離、時間)の検証
② クラウドサーバーと NFC スマートフォン間での通信の安定度がサービス利用に与える影響
③ 1 台の NFC スマートフォン上での、FeliCa・Type A,B・HCE の切り替え動作の検証
■JICSAP の技術検証におけるユースケース選定の背景
先述したユースケースの選定に際しては、JICSAP が IC カード技術に造詣のある業界団体であり、IC カード
/NFC 関連の技術的知識を保有する特性を生かして、以下の条件で技術検証できるものとしました。
・公開情報のみで、ある程度、技術検証できるもの
・HCE とクラウドサーバー上の認証情報を組み合わせて提供するメリットを生かせるもの
■JICSAP で検討したユースケース例
・ ホテルチェックイン/チェックアウト
・ 免税手続き
・ プリペイド携帯・電子マネーチャージ
・ 買い物・レンタル利用(含免税)
・ SNS 利用・写真撮影
・ 屋内外ルート案内(タクシー連携等)
・ お勧め情報・クーポン利用
・ 待ち合わせ・ガイド
・ 送金
・ 両替・キャッシング(外国通貨⇒円)
・ 両替(円⇒外国通貨)
・ お土産購入
・ プリペイド残高の現金化
以上
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