Vol.35(2014.10) (PDF:241KB)

専門看護師・認定看護師
がん性疼痛看護認定看護師に合格しました
ク ロ ーバ ー 通信
みなさん、こんにちは。A 棟 3 階病棟の関口裕佳です。
2014.10
Vol.35
がん性疼痛看護認定看護師として
「がん性疼痛」はがん患者さんに起こる、と
てもつらい症状の 1 つです。現在、国民の 2 人
に 1 人ががんに罹患し、そのがん患者さんの
20~50%は、がんと診断された時すでに痛みを
経験しているといわれています。痛みは、身体
的な苦痛をもたらすことはもちろんのこと、精
神的・社会的にも苦痛をもたらします。痛みが
慢性化すると、日常生活が障害され、抑うつな
どの精神的苦痛を助長し、さらに対処が難しく
なってしまいます。しかし、効果的に鎮痛薬な
どを用いることで痛みを緩和できます。そのた
め、痛みを総合的に判断し個別的なケアを速や
かに考え、対処する必要があります。
認定看護師課程では、がん性疼痛が引き起こ
されるメカニズムやそれに対する薬物療法を
はじめとする専門的な知識を学んできました。
がん性疼痛看護は、痛みをゼロにすることだ
けが最終目的ではなく、患者さんとご家族の
QOL を維持・向上させることにあります。患者
さん自身が痛みをマネジメントし、自宅で安心
して過ごせるよう、ご希望は何か、気がかりな
ことはないかなど一緒に相談しながら支援さ
昨年度、愛知県立大学看護実践センターの認定看護師教育課程を
修了し、今年 5 月に認定試験に合格し認定証を頂きました。
せていただきたいと考えております。
また、がん性疼痛は、薬物療法だけでは緩和
できません。さみしさやイライラ、死への不安
なども痛みにつながります。そばにいることや、
マッサージ法、罨法など痛みを緩和する看護ケ
アについても患者さんやご家族と一緒に考え
ていきます。
全人的な痛みをマネジメントし、患者さんと
ご家族が望む「その人らしい生活」を「穏やか
に」過ごせるよう、みなさんと連携を図りなが
ら活動していきたいと考えています。どうぞよ
ろしくお願いいたします。
新しい薬:トラマドール塩酸塩って?
「がん疼痛の薬物療法に関するガイドライン
2014 版」が出版され、新たに「トラマドール
塩酸塩」という薬剤が、がん性疼痛の適応にな
りました。
(当センターでも採用されています。)
【商品名】トラマール○R カプセル(25mg・50mg)
【適応】がん性疼痛及び慢性疼痛
下記のような状態の場合、使用を検討します。
①非オピオイド鎮痛薬で痛みが十分和らがな
い。→弱オピオイドと呼ばれる WHO 三段階除痛
ラダーの第二段階薬群に分類されています。
②「麻薬」という言葉に抵抗が強い。
→非麻薬性のオピオイド鎮痛薬です。
③不安や遠慮により入院中、レスキューを手元
に置いておきたい。
→オピオイドですが、麻薬及び向精神薬には指
定されていないため、内服の管理も一般の薬と
変わりなく患者さま自身で管理できます。
④神経障害性疼痛の混在が考えられる。
→他のオピオイドにはない SNRI(ノルアドレ
ナリン及びセロトニン再取り込み阻害作用)が
あるため神経障害性疼痛に対しても有効であ
ると報告されています。
⑤便秘を少しでも避けたい場合。
→モルヒネより便秘の副作用が出にくいと言
われています。
⑥少しでも安価なオピオイドを希望している。
→25mg:37.5 円 、50mg:65.9 円
選択できる薬剤の幅が広がることは、患者さ
んの QOL を高めることにもつながっていくと
考えます。使用に際しては、使用上の注意点が
ありますので医師や薬剤師と検討の上、専門・
認定看護師にご相談いただければと思います。
文責:がん性疼痛看護認定看護師 関口裕佳
参考文献)がん疼痛の薬物療法に関するガイドライン 2014 年
余宮きのみ:がん疼痛緩和の薬がわかる本、医学書院