当日配布資料(897KB)

新規酵母株を用いた
バイオマスからの油脂の一貫分泌生産
龍谷大学
島 純
京都大学
谷村あゆみ
理化学研究所 高島昌子
遠藤力也
大熊盛也
明治薬科大学 杉田 隆
1
新技術開発の背景
温暖化ガス排出抑制技術の必要
化石燃料依存から脱却する必要
未利用バイオマスを有効利用する必要
多方面からの
取り組み
バイオ燃料
酵母等による発酵
エタノール
草本系・
木本系
食品廃棄物・
食品ロス
未利用バイオマス
微生物等による発酵
炭化水素類
(油脂・アルカン)
微細藻による油脂生産の問題点
・生産性(生産速度)が低い
・広範な培養スペースが必要
・油脂抽出のコスト高・プロセス複雑
化成品・食品素材
原料としても有用
ディーゼル
航空燃料
微細藻
を中心に研究展開
光合成
2
食品廃棄物等のエネルギー化・環境保全の必要性
フードセキュリティー:健康で活動的な生活をおくるために
全ての人が常に安全かつ十分な食糧を入手できる状態
フードセキュリティーが
世界規模で崩壊に近づいている!
栄養不足・飢餓
発展途上国
食の循環プロセス全体のコスト増
温室効果ガスの発生
→食の循環の崩壊
→環境への悪影響の加速
日本
食品廃棄物 1700万トン
うち、食品ロス 800万トン
(食べられる状態で捨てられている食品)
我が国の米の生産量に匹敵
ほとんど埋め立て・焼却処分
3
食品廃棄物等のエネルギー化の阻害要因
食品廃棄物等の循環利用に向けて
エネルギーへの再生利用の阻害要因
○エネルギー収支のアンバランス
○化石燃料よりコスト高
典型的な食品廃棄物の組成
(1 kg あたり)
デンプン
リグノセルロース
タンパク質
脂質
リグニン
灰分
水分
51.4 g
20.6 g
36.1 g
24.1 g
23.2 g
16.3 g
828.0 g
高温・酸化ストレス
糖化
(酵素が高価)
雑菌汚染
酵母を用いた
エネルギー変換
液体燃料
化成品・食品素材
原料としての利用も視野
本技術開発では、微生物油脂の低コスト生産に注目!
4
西表島および利尻島から酵母の分離
(Suspend and
spread directly
or
Ballistospore-fall
method)
(Suspend and
spread directly)
(Spread
directly)
Incubate and pick up colony
Determine the sequence of PCR products
Compare with those of type strains pairwisely
亜熱帯域
亜熱帯林、マングローブ
Tentatively identify
黄色土(平均 pH6.6) (same species: within 0-3 base differences)
亜寒帯域
針葉樹林、伏流水のみ
火山灰土壌(平均 pH5.4)
主に担子菌酵母
種の多様性に伴い
機能も多様?
Nakama River and mangrove on Iriomote Island
Mt Rishiri from Hime-numa marsh at Rishiri Island
5
酵母ー環境を支える微生物
子囊菌酵母(カビに近い)と担子菌酵母(キノコに近い)
6
担子菌酵母の油脂蓄積性
分離した酵母株(約1,000株)を用いて
バイオリファイナリーに活用可能な成分
(アルコール、油脂等)の生産性を網羅的に評価
6炭糖からの脂質生産性の評価
300
Number of strains
菌株数
250
200
ほとんどが担子菌酵母
担子菌酵母には優れた油脂生産性株
が含まれる!
150
100
担子菌酵母は多様な炭素源
の資化能を有する
50
0
0
∣
0.2
0.2
∣
0.4
0.4
∣
0.6
0.6
0.8
1.0
1.2
∣
∣
∣
∣
0.8
1.0
1.2
1.4
Lipid concentration [g/L]
1.4
∣
1.6
脂質生産量 (g/L)
1.6
∣
The distribution of lipid accumulating ability
in terms of lipid concentration in primary screening.
多糖から一気に脂質生産できる?
7
デンプン資化性・油脂蓄積性酵母の探索
典型的な食品廃棄物の組成
(1 kg あたり)
1960年代に油脂
蓄積の報告
g
g
g
g
C. terricolaの脂質生産性及び組成
40
C16:0 palmitic
30
C16:1 palmitoleic
C18:0 stearic
20
C18:1 oleic
C18:2 linoleic
10
C18:3 linolenic
other fatty acids
JCM 24523
JCM 24522
JCM 24521
JCM 24520
JCM 24519
JCM 24518
JCM 24516
0
JCM 24514
Lipid content [%]
b
JCM 24515
脂肪酸比率
Lipid contents (%)(%)
デンプン
51.4
リグノセルロース 20.6
タンパク質
36.1
水分
828.0
バイオディーゼル製造
に適する脂肪酸組成
9株 全てCryptococcus terricola
8
従来技術とその問題点
C. terricolaによるデンプンからの脂質生産
a
80
▲ C. terricola JCM 24518
* C. terricola JCM 24523
○ L. starkeyi NBRC 10381
脂質比率
(%)
Lipid content [%]
70
60
酵母細胞壁は
厚く強固
細胞内からの油脂の抽出
は煩雑かつ高コストであり、
産業利用上のボトルネック
50
40
30
20
10
0
0
2
4
6
8
10
day
培養日数
Lipomyces 属酵母(子嚢菌酵母)と比較して、
早く・大量にデンプンから直接的に脂質を生産
9
油糧酵母(細胞重量あたり20%以上の油脂を生産)
を用いた油脂生産のメリット
・ナタネなどの植物と比較して、生産効率が著しく高い
・微細藻と比較しても、生産効率が高い
・雑食性であり未利用バイオマスを活用可能である
・地域レベルでの油脂変換システムの可能性が大きい
・従属栄養であり、暗条件でも効率的に油脂へ変換
油糧酵母を用いた油脂生産の問題点
ナタネや微細藻と同様に、細胞内に脂質を蓄積した場合に、
抽出が煩雑となる。特に、原料バイオマスとの分離が困難
解決法は
油脂を油糧酵母に細胞外に分泌生産させる
10
担子菌酵母から油脂分泌性を有する酵母を発見
生育温度
10-37℃
自然環境における
油脂生産可能
資化性
グルコース
キシロース
アラビノース
グリセロール
セロビオース
デンプン
キシラン
フェルラ酸
没食子酸等
多様なバイオマス
資源から油脂生産可能
西表島から単離されたRhodosporidium toruloides 33-18株
他の R. toruloides株 で分泌現象は報告されていない
11
R. toruloides 33-18株における
油脂の蓄積量と分泌量の変化
0.9
菌体内脂肪酸
全脂質量
(g/L)
[g/L]
lipid concentration
0.8
0.7
0.6
細胞内:細胞外
≒ 7:5
菌体外脂肪酸
0.5
0.4
0.3
0.2
0.1
0
0
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
[day]
培養日数
突然変異育種及び培養条件の検討により、
さらなる油脂分泌量の増加が期待できる
12
脂肪酸組成
菌体内外の脂肪酸組成はほぼ同等、
かつ、バイオディーゼル生産に
適した脂肪酸組成である
細胞内
細胞外
13
油脂生産能の効率化に向けた突然変異の導入
2-デオキシグルコース耐性変異株の
油脂生産量
SyntheticXylose培地(0.17%YNB,
0.5%AS, 6%Xylose)からの油脂蓄積
Lipid concentration [g/L]
脂質量 (g/L)
0.8
突然変異の導入により
生産性・分泌性の向上の可能性
0.6
2-DG耐性変異株
11
0.4
R.野生型株
toruloides 33-18
0.2
0
0
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
day
培養日数
14
新技術の特徴・従来技術との比較
従来技術とその問題点
・バイオディーゼルはナタネなどの植物由来であり、生産性が低い
・微細藻を用いた場合には、広範な培養設備が必要かつ生産性
も不十分
・抽出プロセスが複雑かつ高コスト
本技術の技術的特徴
1)雑食性(でんぷん、5炭糖を含む)で高効率で油脂を生産する
酵母株を発見
2)油脂を細胞外に分泌することから抽出プロセスの低コスト化・
簡便化がはかれる。
3)新規性:野生型酵母(遺伝子操作をしていない酵母)において、
初の細胞外油脂分泌現象の発見
15
想定される用途
•油脂は、バイオディーゼル等のバイオ燃料用原
料、化学工業原料、繊維製造原料など、幅広
く利用可能である。現在は化石燃料への依存
度が高いが、微生物油脂に代替していくことが
期待できる。
•本技術により、未利用バイオマス等を活用して、
安価に油脂製造が可能となることが期待でき、
上記をはじめとした様々な工業への利用が想
定される。
16
実用化に向けた課題
•現在、油脂分泌に関する最適培養条件の検討
を進めている段階
•今後、突然変異を誘発するなど、分泌能を高め
た変異株の取得の必要
•また、未利用バイオマスの利用条件についても
検討を加える必要も
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企業への期待
•油脂分泌量の増加やバイオマス利用性については、
微生物育種手法により克服できると考えている。
•油脂の培養液からの回収技術や油脂精製技術を持
つ、企業との共同研究を希望。
•また、化石燃料からの脱却に関する技術開発中の
企業、環境分野への展開を考えている企業には、本
技術の導入が有効と思われる。
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お問い合わせ先
龍谷大学
龍谷エクステンションセンタ(REC)
産学連携コーディネーター
真部 永地
TEL 077-544-7279
FAX 077-543-7771
e-mail [email protected]
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