ホウレンソウ・ブロッコリーの機能性成分の向上 農林総合研究センター(農産物安全性担当) キーワード:野菜、ホウレンソウ、ブロッコリー、機能性成分、βカロテン、アスコルビン酸 1 技術の特徴 県産主要農産物であるホウレンソウとブロッコリーの機能性成分はβカロテンとアスコルビン酸(ビ タミンC)です。ホウレンソウのβカロテン含量は品種による差が認められました。ブロッコリーの機 能性成分であるβカロテンとアスコルビン酸は追肥によって含量の向上が図れます。 2 技術の内容 (1)ホウレンソウ ①県内産ホウレンソウ(11∼12月収穫)のβカロテン含量は、2862∼5536μg/100g・fwの範囲にあっ て、3000∼3500μg/100g・fwに最も多く分布しました。また、アスコルビン酸( ビタミンC)含量は、 35∼151mg/100g・fwの範囲で、100∼120mg/100g・fwに最も多く分布しました 。(食品標準成分表によ る含量は4200μg/100g・fwおよび35mg/100g・fw) ②ホウレンソウのアスコルビン酸は図1に示すように春夏期に比べ冬期で多く、夕穫りと朝穫りでは 夕穫りが朝穫りに比べ多く含まれました。 ③ホウレンソウのβカロテン含量は、図2に示すように品種によって高低がありました。また、アス コルビン酸含量は他の品種にに比べ特に低い品種がありました。 ④県内産ホウレンソウの実態調査結果(収穫時期:11月下旬∼12月中旬)では、各品種ともアスコル ビン酸含量は施肥量が少ないほど高い傾向が認められました。 ⑤アスコルビン酸含量の向上には増施は効果がなく、βカロテン含量の向上には品種選択が効果的で す。 (2)ブロッコリー ①県内産ブロッコリーのβカロテン含量は421∼1106μg/100g・fwの範囲にあって、600∼800μg/100g ・fwに最も多く分布しました。アスコルビン酸含量は99∼209mg/100g・fwの範囲で、100∼120mg/100g・ fwに最も多く分布しました。(食品標準成分表による含量は800μg/100g・fwおよび120mg/100g・fw) ②ブロッコリーのアスコルビン酸含量は、基肥施肥量の増加に伴って減少が認められました。βカロ テンおよびアスコルビン酸含量とも化成肥料+追肥で、両成分とも含量が高まり、抗酸化能について も化成肥料+追肥の試料が他に比べて高い傾向が認められました。 ③アスコルビン酸・βカロテン含量の向上には元肥の増施は有効ではなく、追肥の効果が高い傾向が 認められました。 3 具体的データ アスコルビン酸 mg/100gfw 70 夕穫り 60 朝穫り(翌日) 50 40 30 20 10 0 4月22日 図1 5月8日 6月4日 6月30日 10月20日 11月19日 12月19日 ホウレンソウの採取時期とアスコルビン酸含量 プラトン おかめ サンライト おかめ おてもやん パレード プラトン リード アクティブ パレード リード サンピア アクティブ サンピア タイタン タイタン おてもやん サンライト 0 図2 表 1000 2000 3000 4000 βカロテン μg/100g・fw 6000 0 20 40 60 80 100 アスコルビン酸 mg/100g・fw βカロテン μg/100gfw 750 ± 185 604 ± 97 421 ± 2 559 ± 28 604 ± 61 708 ± 85 750 ± 123 754 ± 183 793 ± 94 723 ± 118 951 ± 150 1106 ± 93 アスコル ビン酸 抗酸 化能 mg/100g・fw (DPPH消去能 ) 143.5 ± 10.2 75.2% ± 0.8 141.3 ± 11.6 77.7% ± 0.8 120.9 ± 14.4 77.9% ± 1.2 101.7 ± 17.3 80.6% ± 1.0 117.6 ± 7.6 74.1% ± 2.1 151.7 ± 4.6 76.6% ± 1.7 107.1 ± 20.5 76.9% ± 1.2 112.9 ± 11.5 77.8% ± 2.4 106.8 ± 3.1 80.3% ± 2.1 120.8 ± 7.5 81.6% ± 1.4 194.4 ± 3.8 84.0% ± 1.3 209.4 ± 0.8 - 適用地域 県内全域 普及指導上の留意点 (1)多種に及ぶホウレンソウの品種特性の把握が必要である。 6 140 県内産ブロッコリーの施肥の種類とβカロテン・アスコルビン酸含量、抗酸化能 鶏糞 (29・43・26) 鶏糞 (29・43・26) 鶏糞 (29・43・26) 化成 (15.2・19.2・11.2) 化成 (11・13.2・13.2) 化成 (4.2・4.2・4.2) 化成 (15.2・19.2・11.2) 化成 (15.2・19.2・11.2) 化成 (13.2・17.6・9.6)+バ ーク堆肥 化成 (13.2・17.6・9.6)+バ ーク堆肥 化成 (12.6・12.6・12.6)+追 肥(1・1・1) 化成 (15・15・15)+追肥 (5・0・5) 5 120 ホウレンソウの品種とβカロテン・アスコルビン酸含量 施 肥種類 ・量(10a) 4 5000 試験課題名(試験期間)、担当 農作物の機能性を活かした品質向上管理技術の開発(2003∼2005年度) 農産物安全性担当
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