INTRODUCTION

INTRODUCTION
今、なぜ超現場力なのか
高い経営目標を迅速に達成する超現場力!
NPO 法人 SDC 検証審査協会 石井 敏夫
1.はじめに
われわれを取り巻く経営環境は激流の如く激変
⑥我流でなく国際規格の仲間入りをしている
上記の6つの中でも、特に③∼⑥は現場力と密
し、グローバル市場は厳しさを増している。中国、 接な関係がある。つまり、人材育成による社員の
インドネシア、タイ、インドなど、海外市場は大
力量向上、また品質、納期、コストではどこにも
きい。今や、市場ある海外へ生産拠点はシフトし、 負けない現場力を備えている。5S を徹底させて
国内は空洞化が進む一方である。海外へ進出でき
いて、ムリ、ムダ、ムラを排除している。また従
ない国内の中小企業は受注・生産量が減少し、海
業員まで浸透させるために、ISO 国際規格を駆使
外とのコスト競争などかつてない厳しさを強いら
している企業が多い。
れている。今まさに、企業淘汰の時代である。今
そして図1に示すように、高い経営目標の頂点
後生き残るためには、現場力向上、強化、ダント
に向かって、スピード感をもって達成させるのが
ツ化、これらの域を超えた超現場力が求められて
超現場力である。その現場力を支えるのが、次に
いる。厳しい環境変化に対応するため、高い経営
示す超現場力キーワード 50 である。
目標を迅速に達成させることが必要である。
ところで、浜松のあるプラスチック成形品メー
図1 高い経営目標を迅速に達成する超現場力!
利益大幅増大
カーの社長さんは、随分と前から“変化に対応す
る”では甘い、
“変化にチャレンジ”の精神を掲げ、
社是として事務所の一番見える所に掲示している。
社長さんはプラスチック成形品であれば、どんな
経営・市場・財務
原価管理
生産性向上
品質管理
納期・量管理
業界であれ、次々と顧客の要求に応えるために投
資も惜しまず現場力を信じてチャレンジしている。
国際化
まだ利益を生み出すまでに至っていないが、近い
うちに採算を合わせ、利益を生み出すに違いない。
標準化
情報管理
今回は、超現場力に相応しい、時代の流れにマ
ッチした斬新なキーワードを多く盛り込み、要点
をわかりやすくまとめている。
2.超現場力キーワード50を必要とする背景
どのような経営環境状況下にあっても、企業規
模を問わず元気で頑張っている企業の特徴は下記
人材開発
安全・環境管理
3.超現場力キーワード50 の体系
の通りである。
⑴超現場力キーワード 50 とは
①経営者の卓越したリーダーシップがある
冒頭でも述べたが、厳しい環境変化に対応する
②事業は自社の強み、特徴に特化している
ため、高い経営目標を迅速に達成させることが必
③社員を大切にし、人材育成に徹している
要である。そのための基礎知識として表1に示す
④品質、納期、コストでどこにも負けない
ような大分類 10 項目から構成されているキーワー
⑤業界で、ダントツの5S に徹している
ドである。時代の流れにマッチした斬新的なキー
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Vol.61 No.2 工場管理
❖特集❖ 超現場力獲得! キーワード 50
表1 キーワード 50 の構成
大分類
キーワード
大分類
1.経営・市場・財務
1.経営革新計画申請
2.経営戦略
3.マーケティング技法
4.バランス・スコアカード
5.クロス SWOT 分析
2.品質管理
1.3H
2.目で見る管理
3.新 QC 七つ道具
4.製造 FMEA
5.設計段階の未然防止技術 GD3
3.原価管理
1.3ム(ムリ・ムダ・ムラ)排除
2.原価指標
3.個別原価計算
4.付加価値額
5.損益分岐点
4.生産性向上
1.IE 七つ道具
2.QC 七つ道具
3.現場力向上
4.デジタル屋台
5.ロボット化
5.納期・量管理
1.リードタイム短縮
2.平準化
3.多能工化
4.自工程完結
5.SCM(サプライチェーンマネジメント)
キーワード
6.安全・環境管理
1.ヒューマンエラー
2.リスクアセスメント
3.BCM(事業継続マネジメント)
4.省エネ・省資源
5.クリーンエネルギー
7.人材開発
1.力量マップと教育訓練
2.コーチング技術
3.リーダーシップ力向上
4.ファシリテーター
5.キャリア開発
8.標準化
1.作業基準書 / 作業標準書
2.方針管理 / 目標管理
3.自己適合宣言(ISO/IEC 17050)
4.JIS Q 9100(航空・宇宙・防衛)
5.ISO9001、ISO14001 2015 年改正概要
9.情報管理
1.スマートフォン活用術
2.クラウド
3.J SaaS
4.電子マニフェスト
5.情報セキュリティ
10.国際化
1.海外での ISO 活用事例
2.地球レベルの地産地消
3.海外技術移転
4.知的財産
5.海外進出フィージビリティ・スタディ
ワードを厳選し採用した。例えば、特筆すべきキ
秀賞)を受賞された。
ーワードとして、下記の点が上げられる。
今回の“超現場力キーワード 50”は、その名が
1.経営・市場・財務では“経営戦略”
、2.品
示すように、その道の専門家の中でも特に卓越し
3
質管理では“設計段階の未然防止技術
(GD )
”
、3.
た専門家によりわかりやすく解説されているのが
原価管理では“付加価値額”
、4.生産性向上では
特徴である。
“ロボット化”
、5.納期・量管理では“リードタ
イム短縮”
、6.安全・環境管理では“リスクアセ
⑵超現場力キーワード 50 の活用法
スメント”
、7.人材開発では“コーチング技術”
、 キーワードの解説はそれぞれに共通見出しとし
“リーダーシップ力向上”
、
“ファシリテーター”
、
て、次の4項目から構成されている。
8.標準化では“JIS Q 9100
(航空・宇宙・防衛)
”
、 1.○○○とは
“ISO9001、ISO14001 2015 年改正概要”
、9.情報
管理では“スマートフォン活用術”
、
“クラウド”
、
“J-SaaS”
、新規大分類項目として従前の「10.技
これは何か、何を意味するのか、定義を記述。
2.活動が徹底できない理由(または、〇〇〇を必
要とする背景)
術革新」を「10.国際化」に命名変更して、
“海外
なぜ定着できないのか、その理由や背景を記述。
での ISO 活用事例”
、
“地球レベルの地産地消”
、
3.有効活用のポイント
“海外技術移転”
、
“海外進出フィージビリティ・ス
タディ”などである。
どのように対応したらうまくいくのかなど記述。
また、知りたいキーワードが分野ごとに一目瞭
然で、検索を容易にしている。まず、初めの取っ
なお、キーワードの“リードタイム短縮”の執
掛かりとして、キーワードの概要把握には最適で
筆担当の藤井春雄氏は、テーマ「中堅企業 D 社で
あり、必要に応じてさらに深掘りされることをお
の“ものづくり改革・意識改革”カイゼンの基本
勧めしたい。
(IE)徹底による生産リードタイムの大幅短縮
⇒ 1/15」で平成 25 年度の中小企業庁長官賞(最優
工場管理 2015/02
本特集が読者の皆様のお役に立てれば幸いであ
る。
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