14~16 年度 改訂経済見通し - 三菱UFJ証券

景気循環研究所 経済見通し
14~16 年度 改訂経済見通し(15 年 2 月詳細版)
2015 年 2 月 23 日
14 年度の実質成長率見通
しを▲0.7%に下方修正
三菱 UFJ モルガン・スタンレー証券景気循環研究所は、14 年度の日本
の実質 GDP 成長率見通しを、2 月 2 日時点のマイナス 0.4%から、マイナ
ス 0.7%へと下方修正した。14 年 10-12 月期の実質 GDP 成長率・1 次速報
値が、事前の予想を下回る年率 2.2%にとどまったことを反映した。
15 年度の実質成長率は
2.3%の見通し
一方、15 年度の実質 GDP 成長率は 2.3%の見通し。15 年度は、原油価
格の下落を背景にした「燃料安」が、企業収益と国内景気を大きく押し上
げるほか、円安の定着に伴う製造業の生産拠点の「国内回帰」も、15 年
度の景気拡大のけん引役となろう。消費増税後の景気悪化に対応した 3.5
兆円規模の 14 年度補正予算や、物価下振れに伴う日銀の追加金融緩和(14
年 10 月)も、主に 15 年度の実質 GDP 成長率の押し上げ要因になるとみら
れる。
追加緩和の可能性も
物価については、原油相場の大幅な下振れを反映して、消費者物価指数
(生鮮食品を除く総合=コア CPI)の前年比が 2%に達する時期は、16 年
度の上期に後ずれする可能性が高まった。日銀が重視している中長期の期
待インフレ率は引き続き高水準を維持しているが、インフレ率が一時的で
あってもマイナス圏に入る可能性が高まった場合、日銀は躊躇なく追加の
金融緩和に踏み切るとみられる。その後、インフレ率 2%の物価目標が安
主査 嶋中 雄二
景気循環研究所長
定的に持続すると判断できる 16 年度の上期まで、日本銀行は現在の量
担当(日本経済)
宮嵜 浩
表1. 国内総生産(GDP)の予測
シニアエコノミスト
03-6213-6573
2013年度
的・質的金融緩和を継続すると予想する。
(実績)
miyazaki-hiroshi@sc.mufg.jp
実質GDP
担当(海外経済)
福田 圭亮
シニアエコノミスト
03-6213-2608
fukuda-keisuke@sc.mufg.jp
景気循環研究所
東京都千代田区丸の内 2-5-2
三菱ビルヂング
個人消費
住宅投資
設備投資
民間在庫増
政府消費
公共投資
純輸出
輸出
輸入
名目GDP
(前期比)
(前期比)
(前期比)
(前期比寄与度)
(前期比)
(前期比)
(前期比寄与度)
(前期比)
(前期比)
(前期比)
(予測)
2014年
2015年度 2016年度
(予測)
2015年
10-12月期
1-3月期
4-6月期
7-9月期
(1次QE)
(予測)
(予測)
(予測)
(予測)
0.6
1.2
0.5
0.5
2.2
4.9
2.1
2.1
2.1
-0.7
2.3
2.1
2.5
9.3
4.0
(-0.5)
1.6
10.3
(-0.5)
4.7
6.7
1.8
-3.1
-11.1
-0.1
(0.7)
0.3
1.9
(0.7)
7.4
3.0
1.5
1.6
0.2
7.0
(-0.1)
0.3
-0.6
(0.4)
6.8
5.4
3.3
1.9
6.2
4.3
(0.2)
0.6
1.2
(-0.2)
6.4
8.8
3.0
0.3
-1.2
0.1
(0.2)
0.1
0.6
(0.2)
2.7
1.3
1.1
0.4
5.5
1.1
(0.5)
0.2
-2.9
(0.2)
1.9
1.1
1.4
0.3
0.0
2.0
(-0.1)
0.0
2.6
(0.1)
1.1
0.9
0.9
0.6
-2.7
3.5
(-0.3)
0.1
0.1
(-0.0)
1.4
1.8
0.4
1.0
0.9
2.3
2.4
0.9
1.1
( 前 期比年率 )
(前期比)
2014年度
-0.3
GDPデフレーター (前年比)
2.2
(注1)年度は前年度比、四半期は前期比(実質GDPについては上段が前期比、下段が前期比年率)。
(注2)カッコ内の数値は前期比(前年度比)寄与度。GDPデフレーターは前年比。
(注3)実績は2014年10-12月期1次速報時点の数値。2013年度および2014年10-12月期以外は当研究所による予測値。
(資料)内閣府「四半期別GDP速報」などをもとに三菱UFJモルガン・スタンレー証券景気循環研究所作成
1
2015 年 2 月 23 日
生産が増加に転じる
14 年1月を山として、翌 2 月より後退局面に入っていた日本の景気は、同
年 9 月を谷として後退を終え、10 月以降現在まで拡張傾向を続けている。製
造業の在庫調整が一巡する中、輸出や設備投資などの回復を背景に生産が持
ち直しており、14 年 10-12 月期の鉱工業生産指数は 3 四半期ぶりに前期比で
増加した。前年比では依然としてマイナス圏だが、15 年 1、2 月の製造工業
生産予測指数や、14 年 6 月以降 9 ヵ月連続で改善・増加の目安となる 50 を
上回って推移している製造業 PMI の動きから判断すると、鉱工業生産指数は
15 年 1-3 月期に前年比プラスに転じる可能性が高い(以上、図 1~3)。
個人消費を取り巻く
環境は改善
個人消費も、14 年 4 月の消費税率引上げ後の深刻な落ち込みから回復しつ
つある。実質消費支出金額指数(全世帯、季節調整値)は、直近 14 年 12 月
まで 4 ヵ月連続で上昇した。年明け 15 年 1 月の全国百貨店売上高は、消費税
増税以降で初めて前年同月を上回った。企業活動の活発化に伴い、家計の雇
用・所得環境は着実に改善しており、14 年 12 月の名目賃金指数(現金給与
総額、事業所企業 5 人以上)は前年比 1.3%上昇している。内訳をみると、
基本給に相当する所定内給与は 14 年 5 月に前年比マイナス圏を脱し、その後
も前年同月をわずかに上回る水準を維持している。今後についても、企業の
「人手不足」の高まりが名目賃金の上昇を促す展開が予想されるが、政労使
会議の合意を踏まえた春季労使交渉が、賃金の水準を一律に引き上げるベー
スアップ(ベア)を大幅に容認する展開となれば、賃金上昇率の底上げも期
待できる(図 4)。
図 1. 輸出は数量・金額ともに回復
140
図 2. 設備投資の関連指標
(05年=100)
80
実質輸出
130
(「増加」-「減少」、%ポイント)
60
120
40
110
20
100
0
90
-20
80
-40
輸出金額
(名目輸出)
70
(前年比、%)
中小企業売上げ見通しDI・設備投資関連(左目盛)
40
20
0
-20
-40
機械受注
(船舶・電力を除く民需、右目盛)
-60
-80
60
00
01
02
03
04
05
06
07
08
09
10
11
12
13
14
-60
05
15
(年、月次)
(注)季節調整値(輸出金額は財務省、実質輸出は日本銀行)。
(資料)財務省「貿易統計」、日本銀行「実質輸出入」をもとに三菱UFJモルガン・スタンレー
証券景気循環研究所作成
06
07
40
08
09
10
製造業PMI(右目盛)
75
65
20
60
10
55
0
50
-10
45
40
-20
鉱工業生産指数の
前年比(左目盛)
-30
35
25
03
04
05
06
07
08
09
10
11
12
13
14
13
14
15
(年、月次)
-60
(前年差、%ポイント)
(前年比、%)
15
(注1)鉱工業生産の直近2ヵ月は製造工業生産予測指数をもとにした試算値。
(年、月次)
(注2)製造業PMI( Markit/JMMA製造業PMI購買担当者指数)は、「改善・増加」の回答率に
「変化なし」の回答率の半数を加えて算出。以下の5つの指数を加重平均:新規受注数(30%)、
生産高 (25%)、雇用 (20%)、サプライヤー納期 (15%) 、購買品在庫 (10%)。
8
6
名目賃金指数(右目盛)
-40
4
-20
2
0
0
-2
20
-4
40
-6
日銀短観・雇用人員判断DI(左逆目盛)
30
-40
02
12
図 4. 家計の雇用・所得環境
(「改善・増加」+「変化なし」×0.5、ポイント)
70
30
11
(資料)内閣府「機械受注統計調査報告」、日本政策金融公庫「中小企業景況調査」をもとに
三菱UFJモルガン・スタンレー証券景気循環研究所作成
図 3. 鉱工業生産指数の先行指標
(%)
60
-8
60
80
82
84
86
88
90
92
94
96
98
00
02
04
06
08
10
12
14
(年、四半期)
(注1)名目賃金指数は現金給与総額(事業所規模30人以上、調査産業計)。
(注2)日銀短観・雇用人員判断DIは全規模合計・全産業。
(資料)日銀「短観」、厚生労働省「毎月勤労統計」をもとに三菱UFJモルガン・スタンレー証券景気循環研究所作成
巻末に重要なお知らせを記載していますので、ご参照ください。
2
2015 年 2 月 23 日
燃料安と企業収益
15 年度は、原油価格の下落を背景にした「燃料安」が、企業収益と国内景
気を大きく押し上げると予想される。燃料の平均輸入価格(円ベース)は 14
年初め以降、下落傾向を辿っている(図 5)。燃料のほぼ 100%を海外からの
輸入に依存する国内企業にとって、燃料価格の下落は企業収益プラスに寄与
する。当研究所が、最近の燃料価格の下落(14 年 1 月→12 月)が各産業に与
える影響を、2012 年産業連関表をもとに試算したところ、石油製品を筆頭に、
電気や基礎化学製品、ガス・熱供給などの産業で大幅な値下げ余地が発生す
るとの計算結果が得られた。各産業の値下げ幅を、それぞれの売上高(産出
額、2012 年)に乗じて計算すると 6 兆 4,376 億円となり、これが最近の燃料
安に伴う、燃料調達コストの削減額(年換算値、全産業ベース)と推定でき
る(表 2)。今後は燃料調達コストの削減が、交易条件の改善を通じて、企
業収益を徐々に押し上げる展開が予想される(図 6)。
輸出は「採算改善」
交易条件の改善に、輸出数量の拡大が加わることで、輸出企業の収益拡大
から「数量拡大」へ
に拍車がかかりそうだ。15 年 1 月の輸出数量指数(速報)は前年比 11.2%上
昇した。増加率は 14 年 12 月(3.9%)から大幅に拡大しており、2010 年 12
月(12.4%)以来約 4 年振りの大きさとなっている。海外景気の回復に加え
て、輸出企業が円安による為替差益を原資に、現地通貨建ての販売価格を大
幅に引き下げたことで、輸出数量の増加ペースが急加速したとみられる(図
7)。輸出企業はこれまで、値下げによる数量拡大よりも、輸出採算の改善を
優先してきたとみられるが、14 年秋頃から輸出企業の価格戦略が変わった可
能性がある。
表 2. 燃料安が各産業に与える影響
図 5. 燃料価格の推移
(14年1月=100)
105
売上高(2012年)
石炭
石油ガス類
(億円)
100
加重平均
95
90
14年12月
87.7
85
80
原油・粗油
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
石油製品
電気
基礎化学製品
ガス・熱供給
その他の鉄鋼
自動車
政府・その他
小売
卸売
製鉄
全産業計
75
13
14
(前年比、%)
200
経常利益(右目盛)
40
30
150
交易条件(3四半期先行、左目盛)
100
20
50
10
0
0
-10
-20
-50
-30
-100
-40
85
90
95
00
05
(億円)
-8.9%
-5.8%
-2.4%
-6.6%
-1.0%
-0.4%
-0.3%
-0.4%
-0.3%
-1.2%
16,425
9,412
3,620
2,776
1,867
1,824
1,600
1,567
1,515
1,362
9,036,283
-0.7%
64,376
図 7. 値下げで輸出数量の増勢が加速
図 6. 交易条件と経常利益
(前年比、%)
50
(%)
184,527
162,772
148,246
42,197
178,315
438,886
500,497
365,510
573,125
112,941
( 注 ) 「 原 油 及 び 粗 油 +石 炭 +石 油 ガ ス 」 輸 入 価 格 の ピ ー ク か ら 直 近 ま で の 下 落 幅 ( 9.4% 、 14年 1月 → 同 年 12月 )
が 、 各 産 業 の 産 出 価 格 に 及 ぼ す 影 響 を 、 2012年 SNA産 業 連 関 表 の 均 衡 価 格 モ デ ル を も と に 試 算 。
表中の売上高は、産業連関表の産出額に相当する。
( 資 料 ) 内 閣 府 「 SNA産 業 連 関 表 」 、 財 務 省 「 貿 易 統 計」 を も と に 三 菱 UFJモ ル ガ ン ・ ス タ ン レ ー 証 券
景気循環研究所作成
(年、月次)
( 注)加 重平均 は2012年暦年 の輸入 金額を もとに 算出。
( 資料) 財務省 「貿易 統計」 をもと に三菱 UFJモルガ ン・ス タンレ ー証券 景気循 環研究 所作成
60
値下げ余地
10
15
50
40
30
20
10
0
-10
-20
-30
-40
-50
(前年比、%)
(前年比、%)
輸出数量指数(左目盛)
-10
-5
0
5
輸出物価指数・契約通貨ベース
(右逆目盛)
10
値上げ
15
00 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15
(年、四半期)
(注1)交易条件=輸出物価指数÷輸入物価指数。直近は15年1月。
(注2)経常利益は全規模企業、金融保険業を除く全産業ベース
(資料)日本銀行「企業物価指数」、財務省「法人企業統計季報」をもとに三菱UFJモルガン・
スタンレー証券景気循環研究所作成
(資料)財務省「貿易統計」、日本銀行「企業物価指数」をもとに
三菱UFJモルガン・スタンレー証券景気循環研究所作成
巻末に重要なお知らせを記載していますので、ご参照ください。
3
-15
値下げ
(年、月次)
2015 年 2 月 23 日
製造業の「国内回帰」
円安の定着に伴う製造業の生産拠点の「国内回帰」も、15 年度の景気拡大
のけん引役となる。製造業の海外現地生産比率に対する、ドル・円レートの
2 年程度の先行性から判断すると、15 年度は、生産拠点の海外移転に歯止め
がかかり、徐々に国内生産比率が上昇するタイミングとなる(図 9)。現在、
一部の主要企業の「国内回帰」事例が報じられているが(表 3)、国内で製
造を再開ないし新設する拠点は総じて、大都市圏から離れた地方に存在する。
今後、円高による採算悪化で生産を休止していた地方の工場が相次いで操業
を再開し、さらには増産体制の強化から設備投資を実施する展開が予想され
る。政府は「地方創生」を経済政策の柱に据える方針を打ち出しているが、
地方では現在、雇用や設備の不足感が大都市圏以上に高まっている。地方に
おける潜在的な労働力の掘り起こしを政府が推進することで、「国内回帰」
に伴う雇用・所得環境の改善は、地方でより実感されることになろう。
14 年度補正予算
なお、政府は消費税増税後の家計負担軽減策として、3.5 兆円規模の経済
対策を打ち出し、15 年 2 月 3 日に 14 年度補正予算が成立した。経済対策の
内容は、災害復旧・復興支援や円安対策、地方活性化が中心となっている(表
4)。政府は補正予算の早期執行を図っており、同予算の経済効果は 15 年度
の上期中に集中する可能性が高い。景気対策の出動によって、15 年度は国内
景気の急速な立ち上がりが期待できるとともに、主に建設部門や地方におけ
る「人手不足」の強まりによって、賃金および物価の上昇圧力の強まりが予
想される。
表 3. 国内回帰の事例
企業名
ソニー
図 9.海外生産比率と為替レート
国内生産・ 投資の内容
上昇
生産拠点
○ スマートフォン向け画像センサー
4.0
長崎県諫早市
熊本県菊陽町
3.0
香川県丸亀市
2.0
住友理工 ( 旧 東 海 コ ゙ ム工 業 )
○ 自動車用防振ゴム、車用ホース
愛知県小牧市
1.5
リコー
○ 閉鎖工場を環境事業の拠点に再生(蓄熱製品開発など)
静岡県御殿場市
1.0
○ 芳香消臭剤の一部
宮城県大和町
0.5
愛媛県新居浜市
0.0
三井造船
○ 船舶、港湾クレーン
中国生産の3割を
段階的に国内移管
TDK
○ スマートフォンや自動車向け電子部品
○ 電子レンジ、IH調理器具
○ 家庭用エアコン、ドラム式洗濯機
ダイキン工業
シャープ
ホンダ
日産自動車
低下
岡山県玉野市
千葉県市原市
大分県大分市
-24
-16
-8
0
8
-0.5
16
-1.0
24
32
88
兵庫県神戸市
90
92
94
96
滋賀県草津市
滋賀県草津市
○ 中型冷蔵庫、52型以下の液晶テレビ、空気清浄機など
大阪府八尾市
栃木県矢板市
○ 国内向けミニバイク(50cc)生産の一部
熊本県大津町
○ 新型ミニバン「ジェイド」の部品調達で国産品採用を拡大
埼玉県狭山市
○高速の料金割引継続
○ 欧州向け新型「フィット」生産を日本に移管
埼玉県寄居町
○トラック事業者の燃料費対策
福島県いわき市
○ 北米向け主力SUV(多目的スポーツ車)
福岡県苅田町
○ 海外で少量生産している小型車
キヤノン
○ 国内生産比率を4割→5割に引き上げ
アイリス オーヤマ
○ LED照明の生産を中国から国内に戻す
2~3年後をめどに
6割まで引き上げ
東芝
○ フラッシュメモリーの新工場を新設
トヨタ自動車
○ 研究開発費を200億円積み増して9800億円に
(トヨタ九州) ○ 新型車「レクサスNX」向けエンジンを増産
98
00
02
04
06
08
10
12
14
16
(年度)
表 4. 14 年度補正予算
○ 家庭用エアコンの一部
○ 米国向けエンジン生産
財源
個人消費・円安対策
○商品券配布などで個人消費を喚起
○中小企業の資金繰り支援
2016年3月末まで
1年間延長
○住宅ローン金利の引き下げ
○省エネ住宅向けエコポイント
地方活性化
外国人観光客の受け入れ
拡大を支援
神奈川県横須賀市
○自治体向け交付金
長崎県、大分県
○中堅・中小企業の海外での販路開拓を支援
災害復旧・復興加速
佐賀県鳥栖市
○広島土砂災害や台風で被害を受けた学校や
公共施設を復旧
○火山観測の施設整備
三重県四日市市
-
税収上振れ
1.7兆円
(国債費の不用)
(0.5兆円)
前年度決算の剰余金
2.0兆円
税外収入
数千億円
新規国債発行の減額
▲0.8兆円
財源計 : 3兆円強
事業費 : 3.5兆円程度
○原発周辺の防災対策
福岡県苅田町
(注)財源の内訳はいずれも当研究所の推定(概算)。
「国債費の不用」は補正予算の財源には計上
されない。
(資料)日本経済新聞(2014 年 12 月 22 日付け)などをもとに三菱 UFJ モルガン・スタンレー証券
景気循環研究所作成
(注)一部に検討中ないしは見込み案件を含む。
(資料)各種報道資料をもとに三菱UFJモルガン・スタンレー証券景気循環研究所作成
巻末に重要なお知らせを記載していますので、ご参照ください。
4
円高
-32
(注)海外現地生産比率は年度。ドル・円レートは暦年末(直近は15年2月)。
(資料)内閣府「企業行動に関するアンケート調査」、日本経済新聞社資料をもとに
三菱UFJモルガン・スタンレー証券景気循環研究所作成
静岡県袋井市
逆に、赤字の続く
デジカメの生産を
中国に移管
-48
-40
-1.5
秋田県、山梨県
○ 縦型洗濯機
パナソニック
海外現地生産比率
(前年差、左目盛)
2.5
○ 大型の建造設備(ドック)を16年ぶりに新設
○ マスク
(%)
ドル・円レート
トレンドからのかい離率
(2年先行、右逆目盛)
3.5
今治造船
小林製薬
(%ポイント)
円安
2015 年 2 月 23 日
インフレ率は、原油安のあおりを受けて、急速に鈍化している。14 年 12
実際のインフレ率と
月の消費者物価指数(全国。生鮮食品を除く総合=コア CPI)の前年比上昇
期待インフレ率
率は、消費税率引き上げの影響(2.0%ポイント)を除いたベースで 0.5%と、
11 月の 0.7%から 0.2%ポイント縮小した。ガソリンなどのエネルギー価格
の下落が、12 月のコア CPI 前年比を 0.1%ポイント押し下げた(図 10)。た
だ、コア CPI の前年比に先行して動く「中小企業の販売価格 DI」(日本政策
金融公庫「中小企業景況調査」)は上昇に転じており、かつ日本銀行が集計
している家計の物価見通し(今後 1 年間と今後 5 年間)も足元にかけて持ち
直しの動きを示している(図 12)。黒田日銀総裁は、1 月 21 日の会見で「特
に企業・家計のアンケート調査でみた中長期的な予想物価上昇率はしっかり
と維持されていますので、今のところ、インフレ期待は中長期的にみて上昇
しているという従来の判断を変える必要はない」と述べている。
原油安が長期のインフレ期待に波及せず、短期的なインフレ期待の低下に
期待インフレ率と
とどまるならば、家計の支出行動は活発化する可能性が高い。過去を見ると、
消費者マインド
期待インフレ率の長期と短期のスプレッドが拡大すると、約 3 四半期のタイ
ムラグを伴って、消費者態度指数が上昇している(図 13)。短期的な原油安
は必ずしもデフレ脱却を妨げず、消費者マインドの改善を促す面もある。
図 11. コア CPI と販売価格 DI
図 10. コア CPI とガソリン価格
(前年比、%)
(前年比、%)
(前年比、%)
40
コアCPI(月次、右目盛)
30
15
中小企業の販売価格DI(右目盛)
10
2
5
1
10
0
1
0
0
-5
0
-10
-1
-20
15年2月16日
-15.4%
(135.4円/㍑)
-40
-15
-2
08
09
10
11
12
13
14
コアCPI(左目盛)
-2
-3
07
-10
-1
ガソリン価格(週次、左目盛)
-30
15 (年)
-25
07
10
11
12
13
14
15
図 13. 期待インフレ率と消費者マインド
今後5年間
1.1
1.2
09
(注)コアCPIは消費者物価指数(生鮮食品を除く総合)。消費税増税の影響を除く。
(資料)総務省「消費者物価指数」、日本政策金融公庫「中小企業景況調査」をもとに
三菱UFJモルガン・スタンレー証券景気循環研究所作成
1.4
1.6
08
(年、月次)
図 12. 短期と長期の期待インフレ率
(%)
-20
-3
(注)コアCPIは消費税の影響を除く。ガソリン価格は全国店頭レギュラーガソリン。
(資料)資源エネルギー庁「石油製品価格調査」、総務省「消費者物価指数」をもとに三菱UFJモルガン・スタンレー証券
景気循環研究所作成
2.0
20
3
2
14年12月
0.5%
20
(「上昇」-「下落」、%ポイント)
4
3
(%)
(ポイント)
期待インフレ率
「今後5年間」-「今後1年間」
(3期先行、四半期、左目盛)
1.2
1.0
50
45
0.8
0.8
0.4
0.6
0.0
0.6
40
0.4
35
0.2
-0.4
30
0.0
今後1年間
-0.8
消費者態度指数(月次、右目盛)
-0.2
-1.2
-0.4
07
08
09
10
11
12
13
14
25
20
07
15
(注)修正カールソン・パーキン法を用いて当研究所が算出。
(年、四半期)
(資料)日本銀行「生活意識に関するアンケート調査」をもとに三菱UFJモルガン・
スタンレー証券景気循環研究所作成
55
08
09
10
11
12
13
14
15 (年)
(注)期待インフレ率は修正カールソン・パーキン法を用いて当研究所が算出。
(資料)日本銀行「生活意識に関するアンケート調査」、内閣府「消費動向調査」をもとに
三菱UFJモルガン・スタンレー証券景気循環研究所作成
巻末に重要なお知らせを記載していますので、ご参照ください。
5
2015 年 2 月 23 日
追加緩和の可能性も
日銀は、仮にインフレ率の下振れが一過性だったとしても、デフレへの逆
戻りを決して容認しないという強い姿勢を、実際の行動で示す必要がある。
当研究所は、15 年 2 月までに消費者物価総合、持ち家の帰属家賃を除く総合、
生鮮食品を除く総合(コア)、食品・エネルギーを除く総合(コアコア)の
どれか 1 つでも前年同月比がゼロないしマイナスになった場合、あるいは 3
月中旬の東京都区部速報値がゼロないしマイナスになった場合、日銀は 4 月
7、8 日の決定会合で、長期国債、ETF の追加購入に加えて、地方債、政府関
係機関債の新規購入を、合計年 10 兆円ペースで実施することを決定すると予
想する。
金融政策の見通し
今後の金融政策見通しについては、インフレ率 2%の「物価安定の目標」
が安定的に持続すると判断できる 16 年度の上期まで、現在の量的・質的金融
緩和が継続すると予想する。日銀は、16 年度の下期から金融緩和の縮小(い
わゆるテーパリング)を実施し、17 年度の下期にはゼロ金利の解除に踏み切
るとみられる(表 5)。
表 5. 日本の金融政策予測
予測
(期末値)
2014年度
無担保
コールレート(%)
超過準備に対する
適用利率(%)
マネタリーベース
年間増加額(兆円)
2015年度
2016年度
2017年度
上期
下期
上期
下期
上期
下期
上期
下期
0~0.1
0~0.1
0~0.1
0~0.1
0~0.1
0~0.1
0~0.1
0.50
0.10
0.10
0.10
0.10
0.10
0.10
0.10
0.25
60~70
約80
約80
約80
約80
約40
-
-
(資料)三菱UFJモルガン・スタンレー証券景気循環研究所作成
巻末に重要なお知らせを記載していますので、ご参照ください。
6
2015 年 2 月 23 日
表 6. 経済見通し総括表(年度)
(単位:10億円、05年=100、10年=100、 億円、%、%ポイント)
予 測
13年度
(実績)
名 目 G D P
[前年比」
実 質 G D P
[前年比]
国 内 需 要
[前年比]
民 間 需 要
[前年比]
個人消費
[前年比]
住宅投資
[前年比]
設備投資
[前年比]
在庫投資
[前年比寄与度]
公 的 需 要
[前年比]
公共投資
[前年比]
政府消費
[前年比]
純 輸 出
[前年比寄与度]
輸
出
[前年比]
輸
入
[前年比]
鉱工業生産指数
[前年比]
国内企業物価
[前年比]
消費者物価(生鮮食品を除く)
[前年比]
14年度
(予測)
483,128
1.8
530,576
2.1
523,717
2.5
399,216
2.3
317,089
2.5
14,945
9.3
71,544
4.0
-3,668
-0.5
124,472
3.2
22,353
10.3
102,158
1.6
7,327
-0.5
85,070
4.7
77,743
6.7
98.9
3.2
102.4
1.8
100.4
0.8
490,460
1.5
526,806
-0.7
516,978
-1.3
391,783
-1.9
307,223
-3.1
13,281
-11.1
71,458
-0.1
-118
0.7
125,193
0.6
22,785
1.9
102,500
0.3
11,287
0.7
91,376
7.4
80,089
3.0
98.4
-0.5
106.0
3.6
103.3
2.9
(0.9)
93.1
2.2
97.5
2.3
36,323
359.8
3.0
3.4
91
82.0
109.6
0.0
0.9
2.4
(消費税の影響を除く)
GDPデフレーター
[前年比]
国内需要デフレーター
[前年比]
経常収支
[前年比]
雇用者報酬(前年比、%)
失業率(%)
新設住宅着工戸数 (万戸)
原油価格 (WTI、ト ゙ル/ハ ゙レル)
ドル円レート
実 質 G D P成長率(暦年)
成長のゲタ(年度)
米実質成長率(暦年)
91.1
-0.3
95.3
0.4
7,899
-81.3
1.0
3.8
99
99.1
100.2
1.6
0.8
2.2
15年度
(予測)
16年度
(予測)
506,888
3.3
539,185
2.3
526,801
1.9
401,313
2.4
312,142
1.6
13,312
0.2
76,484
7.0
-625
-0.1
125,488
0.2
22,654
-0.6
102,835
0.3
13,157
0.4
97,589
6.8
84,433
5.4
102.3
4.0
108.7
2.5
104.3
1.0
522,198
3.0
550,498
2.1
538,444
2.2
412,074
2.7
317,920
1.9
14,137
6.2
79,786
4.3
230
0.2
126,371
0.7
22,925
1.2
103,446
0.6
11,955
-0.2
103,825
6.4
91,869
8.8
106.8
4.3
112.1
3.1
106.4
2.0
94.0
1.0
98.6
1.1
43,000
18.4
2.7
3.4
92
64.0
121.3
1.7
1.0
2.9
94.9
0.9
99.7
1.1
18,000
-58.1
3.4
3.5
93
73.0
122.5
1.9
0.7
2.9
(注)GDP実額は10億円、実質は05年連鎖価格、GDPデフレーターは05年基準、鉱工業生産、企業物価、消費者物
価は10年基準。経常収支実額は億円(年率)。消費者物価は生鮮食品を除く総合。実績は内閣府資料などより作成、
予測は景気循環研究所。
(資料)三菱UFJモルガン・スタンレー証券景気循環研究所作成
巻末に重要なお知らせを記載していますので、ご参照ください。
7
2015 年 2 月 23 日
表 7. 経済見通し総括表(半期)
(単位:10億円、05年=100、10年=100、億円、%、%ポイント)
予 測
14年度上期
(実績)
名 目 G D P
[前期比]
[前年比」
実 質 G D P
[前期比]
[同年率]
[前年比]
国 内 需 要
[前期比]
[前年比]
民 間 需 要
[前期比]
[前年比]
個人消費
[前期比]
[前年比]
住宅投資
[前期比]
[前年比]
設備投資
[前期比]
[前年比]
在庫投資
[前期比寄与度]
[前年比寄与度]
公 的 需 要
[前期比]
[前年比]
公共投資
[前期比]
[前年比]
政府消費
[前期比]
[前年比]
純
輸
出
[前期比寄与度]
[前年比寄与度]
輸
出
[前期比]
[前年比]
輸
入
[前期比]
[前年比]
鉱工業生産指数
[前期比]
[前年比]
国内企業物価
[前年比]
消費者物価
[前年比]
GDPデフレーター
[前年比]
国内需要デ フ レー ター
486,991
0.5
1.3
524,377
-1.3
(-2.7)
-0.9
515,450
-2.2
-0.8
390,184
-3.0
-1.4
306,295
-3.9
-2.8
13,450
-12.4
-7.2
71,270
-2.3
2.2
-461
0.7
0.5
125,119
0.4
0.8
22,725
0.9
3.2
102,304
0.2
0.1
10,219
0.8
0.2
89,352
3.6
6.5
79,134
-1.7
5.6
97.7
-3.4
0.7
106.3
4.2
103.4
3.3
92.9
2.1
97.3
2.4
下期
(予測)
493,745
1.4
1.9
528,914
0.9
(1.7)
-0.5
518,059
0.5
-1.7
392,636
0.6
-2.4
308,062
0.6
-3.4
13,158
-2.2
-14.3
71,660
0.5
-1.8
24
0.1
0.8
125,340
0.2
0.6
22,755
0.1
1.1
102,581
0.3
0.5
12,358
0.4
1.2
93,372
4.5
8.3
81,014
2.4
0.6
99.1
1.5
-1.9
105.7
3.0
103.1
2.5
93.3
2.3
97.8
2.3
15年度上期
(予測)
502,944
1.9
3.3
536,317
1.4
(2.8)
2.3
524,195
1.2
1.7
398,455
1.5
2.1
310,455
0.8
1.4
13,328
1.3
-0.9
74,760
4.3
4.9
-88
0.0
0.1
125,739
0.3
0.5
23,015
1.1
1.3
102,725
0.1
0.4
13,025
0.1
0.5
95,954
2.8
7.4
82,930
2.4
4.8
101.0
1.9
3.4
107.9
1.6
104.1
0.7
93.8
1.0
98.3
1.1
下期
(予測)
510,586
1.5
3.4
541,671
1.0
(2.0)
2.4
528,896
0.9
2.1
403,723
1.3
2.8
313,723
1.1
1.8
13,317
-0.1
1.2
78,034
4.4
8.9
-1,350
-0.2
-0.3
125,173
-0.5
-0.1
22,341
-2.9
-1.8
102,832
0.1
0.2
13,295
0.1
0.2
99,197
3.4
6.2
85,901
3.6
6.0
103.7
2.7
4.6
109.5
3.6
104.6
1.4
94.3
1.0
99.0
1.2
16年度上期
(予測)
517,776
1.4
2.9
547,307
1.0
(2.1)
2.0
533,927
1.0
1.9
408,152
1.1
2.4
315,607
0.6
1.7
14,013
5.2
5.1
79,403
1.8
6.2
-870
0.1
-0.1
125,774
0.5
0.0
22,633
1.3
-1.7
103,141
0.3
0.4
13,562
0.0
0.1
103,500
4.3
7.9
89,938
4.7
8.5
106.1
2.3
5.0
111.4
3.2
106.2
1.9
94.6
0.9
99.4
1.1
下期
(予測)
526,412
1.7
3.1
553,315
1.1
(2.2)
2.1
542,362
1.6
2.5
415,682
1.8
3.0
320,164
1.4
2.1
14,253
1.7
7.0
80,175
1.0
2.7
1,090
0.4
0.5
126,680
0.7
1.2
23,049
1.8
3.2
103,632
0.5
0.8
10,360
-0.6
-0.5
104,118
0.6
5.0
93,758
4.2
9.1
107.4
1.3
3.6
112.8
3.0
106.7
2.0
95.2
1.0
100.2
1.2
[前年比]
(注)GDP実額は10億円、実質は05年連鎖価格、GDPデフレーターは05年基準、企業物価、消費者物価、鉱工業生産は10年基準。経
常収支実額は億円(年率)。消費者物価は生鮮食品を除く総合。実績は内閣府資料などより作成、予測は景気循環研究所。
(資料)三菱UFJモルガン・スタンレー証券景気循環研究所作成
巻末に重要なお知らせを記載していますので、ご参照ください。
8
2015 年 2 月 23 日
表 8. 経済見通し総括表(四半期)
(単位:10億円、05年=100、10年=100、億円、%、%ポイント)
予 測
14年度
名 目 G D P
[前期比]
[前年比」
実 質 G D P
[前期比]
[同年率]
[前年比]
国 内 需 要
[前期比]
[前年比]
民 間 需 要
[前期比]
[前年比]
個人消費
[前期比]
[前年比]
住宅投資
[前期比]
[前年比]
設備投資
[前期比]
[前年比]
在庫投資
[前期比寄与度]
[前年比寄与度]
公 的 需 要
[前期比]
[前年比]
公共投資
[前期比]
[前年比]
政府消費
[前期比]
[前年比]
純 輸 出
[前期比寄与度]
[前年比寄与度]
輸
出
[前期比]
[前年比]
輸
入
[前期比]
[前年比]
鉱工業生産指数
[前期比]
[前年比]
国内企業物価
[前年比]
消費者物価
[前年比]
GDPデフレーター
[前年比]
4~6月
(実績)
7~9月
(実績)
489,087
0.2
1.8
525,902
-1.7
(-6.7)
-0.4
517,007
-2.7
-0.2
392,118
-3.7
-0.4
305,904
-5.1
-2.8
13,935
-10.3
-2.0
71,320
-5.0
2.6
1,106
1.3
1.1
124,773
0.5
0.6
22,493
1.0
4.3
102,197
0.3
0.0
9,961
1.1
-0.2
88,683
-0.3
5.4
78,722
-5.3
5.8
98.6
-3.8
2.7
106.0
4.3
103.3
3.3
94.2
2.2
484,895
-0.9
0.6
522,852
-0.6
(-2.3)
-1.4
513,894
-0.6
-1.6
388,251
-1.0
-2.3
306,686
0.3
-3.0
12,965
-7.0
-12.4
71,221
-0.1
1.6
-2,027
-0.7
0.2
125,465
0.6
0.8
22,958
2.1
1.9
102,411
0.2
0.3
10,477
0.1
0.2
90,022
1.5
7.5
79,545
1.0
5.1
96.7
-1.9
-1.0
106.5
4.0
103.5
3.2
91.5
2.0
15年度
10~12月 15年1~3月
(実績)
(予測)
490,235
1.1
1.8
525,755
0.6
(2.2)
-0.5
515,596
0.3
-1.4
389,827
0.4
-2.0
307,524
0.3
-2.5
12,806
-1.2
-15.7
71,286
0.1
0.5
-1,252
0.2
0.4
125,602
0.1
0.6
23,090
0.6
1.7
102,504
0.1
0.3
11,923
0.2
1.0
92,493
2.7
10.9
80,571
1.3
3.7
98.4
1.8
-1.4
105.2
2.5
103.4
2.7
94.8
2.3
497,256
1.4
1.9
532,073
1.2
(4.9)
-0.6
520,523
1.0
-2.0
395,445
1.4
-2.8
308,601
0.4
-4.2
13,510
5.5
-13.1
72,034
1.1
-4.0
1,300
0.5
1.2
125,078
-0.4
0.7
22,420
-2.9
0.7
102,658
0.2
0.8
12,794
0.2
1.4
94,251
1.9
5.9
81,457
1.1
-2.1
99.9
1.5
-2.6
106.3
3.4
102.8
2.2
91.9
2.4
4~6月
(予測)
7~9月
(予測)
501,854
0.9
2.6
534,897
0.5
(2.1)
1.7
522,817
0.4
1.1
397,145
0.4
1.3
309,526
0.3
1.2
13,510
0.0
-3.0
73,475
2.0
3.0
634
-0.1
-0.1
125,671
0.5
0.7
23,003
2.6
2.3
102,668
0.0
0.5
13,097
0.1
0.6
95,287
1.1
7.4
82,190
0.9
4.4
100.9
1.0
2.3
107.3
1.2
103.9
0.6
95.0
0.9
504,034
0.4
3.9
537,737
0.5
(2.1)
2.8
525,573
0.5
2.3
399,765
0.7
3.0
311,383
0.6
1.5
13,146
-2.7
1.4
76,046
3.5
6.8
-810
-0.3
0.2
125,807
0.1
0.3
23,026
0.1
0.3
102,781
0.1
0.4
12,952
0.0
0.5
96,621
1.4
7.3
83,669
1.8
5.2
101.1
0.2
4.5
108.5
1.9
104.3
0.8
92.5
1.1
16年度
10~12月 16年1~3月
(予測)
(予測)
509,458
1.1
3.9
540,587
0.5
(2.1)
2.8
527,578
0.4
2.3
402,087
0.6
3.1
312,940
0.5
1.8
13,264
0.9
3.6
77,491
1.9
8.7
-1,608
-0.1
-0.1
125,490
-0.3
-0.1
22,658
-1.6
-1.9
102,832
0.1
0.3
13,604
0.1
0.3
98,361
1.8
6.3
84,757
1.3
5.2
102.7
1.6
4.4
108.5
3.1
104.7
1.2
95.8
1.1
511,714
0.4
2.9
542,756
0.4
(1.6)
2.0
530,215
0.5
1.9
405,359
0.8
2.5
314,505
0.5
1.9
13,370
0.8
-1.0
78,576
1.4
9.1
-1,092
0.1
-0.4
124,856
-0.5
-0.2
22,023
-2.8
-1.8
102,832
0.0
0.2
12,987
-0.1
0.0
100,033
1.7
6.1
87,046
2.7
6.9
104.6
1.9
4.8
110.5
4.0
104.5
1.6
92.7
0.9
4~6月
(予測)
7~9月
(予測)
516,814
1.0
3.0
546,028
0.6
(2.4)
2.1
532,439
0.4
1.8
407,092
0.4
2.5
315,291
0.3
1.9
13,664
2.2
1.1
79,126
0.7
7.7
-990
0.0
-0.3
125,348
0.4
-0.3
22,310
1.3
-3.0
103,038
0.2
0.4
13,886
0.2
0.1
102,934
2.9
8.0
89,048
2.3
8.3
105.9
1.2
5.0
110.7
3.2
106.0
2.0
95.9
0.9
518,739
0.4
2.9
548,587
0.5
(1.9)
2.0
535,414
0.6
1.9
409,213
0.5
2.4
315,922
0.2
1.5
14,361
5.1
9.2
79,680
0.7
4.8
-750
0.0
0.0
126,201
0.7
0.3
22,957
2.9
-0.3
103,244
0.2
0.5
13,237
-0.1
0.0
104,066
1.1
7.7
90,829
2.0
8.6
106.2
0.3
5.1
112.0
3.2
106.3
1.9
93.3
0.9
10~12月
(予測)
17年1~3月
(予測)
522,934
0.8
2.6
549,481
0.2
(0.7)
1.6
537,724
0.4
1.9
411,196
0.5
2.3
316,680
0.2
1.2
14,347
-0.1
8.2
79,919
0.3
3.1
250
0.2
0.3
126,528
0.3
0.8
23,026
0.3
1.6
103,502
0.3
0.7
11,603
-0.3
-0.4
104,066
0.0
5.8
92,463
1.8
9.1
106.4
0.2
3.6
112.3
3.5
106.9
2.1
96.8
1.0
529,890
1.3
3.6
557,150
1.4
(5.7)
2.7
547,000
1.7
3.2
420,168
2.2
3.7
323,647
2.2
2.9
14,160
-1.3
5.9
80,430
0.6
2.4
1,930
0.3
0.6
126,833
0.2
1.6
23,072
0.2
4.8
103,761
0.3
0.9
9,118
-0.4
-0.8
104,170
0.1
4.1
95,052
2.8
9.2
108.5
1.9
3.6
113.4
2.6
106.4
1.9
93.5
0.9
(注)GDP実額は10億円、実質は05年連鎖価格、GDPデフレーターは05年基準、企業物価、消費者物価、鉱工業生産は10年基準。経常収支実額は億円(年率)。消費者物価は生鮮食品を除く総合。実績は内閣府資料などより作成、予測は
景気循環研究所。
(資料)三菱UFJモルガン・スタンレー証券景気循環研究所作成
みやざき
(15.2.23 宮嵜
巻末に重要なお知らせを記載していますので、ご参照ください。
9
ひろし
浩)
2015 年 2 月 23 日
海外経済の展望
米国経済~15 年 1-3 月期を底に、16 年半ばにかけ加速の見通し。
16 年半ばにかけ、景
米国経済は、15 年 1-3 月期を底に、間もなく加速する見通しである。15 年
気は徐々に加速する
は、財政政策の後押しも期待でき、04 年以来の高い成長率が予想される。金
見通し
融政策は 15 年秋頃にゼロ金利解除を見込むが、引き締めの効果はすぐには表
れず、景気は 16 年半ばまで堅調に推移するだろう。16 年後半から 17 年初頭
にかけては、それまでの金融引き締め効果もあり、景気は減速感を増すと予
想する。
目先の成長率は一旦
14 年 10-12 月期の成長率は、前期比年率 2.6%となり、7-9 月期の同 5.0%
から減速した。ただし、内訳をみると、個人消費や在庫投資を中心に堅調な
減速
成長が続いている。特に個人消費は、ガソリン価格低下の後押しもあり、前
期比年率 4.3%増と、06 年第 1 四半期以来の高い伸びとなった。在庫投資も、
国内需要の増加に備え企業が在庫を積み増したとみられ、寄与度は 0.8%ポ
イントとなった。一方、海外景気の減速やドル高の影響を受け、輸出は低い
伸びにとどまり、純輸出の寄与度は▲1.0%ポイントとなった。また、前期に
急増した軍事費の反動減により、政府支出がマイナス寄与となった。15 年 1-3
月期の成長率は、個人消費の反動減やドル高を背景とした輸出の減速から、
鈍化する見通しである。
在庫循環は 16 年半
米国経済見通し
景気の先行きについて、在庫循環の観点からみると、下降局面の続いた出
荷・在庫バランス(前年同月比ベース)は、15 年 2 月頃に底を打つ可能性が
ばにかけ上昇局面
表1.米国GDP総括表(単位:10億㌦、%、%ポイント)
実質GDP
14年
15年
16年
14年
(実績)
(実績)
(予測)
(予測)
1~3月期
15710.3
16089.8
16552.2
17031.9
15831.7
個人消費
16010.4
16205.6
16311.6
16396.8
16494.0
16598.5
16719.6
16854.3
16985.5
17093.7
17194.0
4.6
2.6
5.0
2.7
2.6
2.5
2.1
3.6
2.4
3.0
2.6
2.4
3.0
2.5
3.3
2.8
3.1
3.0
2.6
3.0
2.4
2.8
1.0
2.3
住宅投資
設備投資
在庫投資
(寄与度)
純輸出
10~12月期
16年
1~3月期
4~6月期
7~9月期
10~12月期
17年
1~3月期
4~6月期
7~9月期
10~12月期
1~3月期
17237.0
2.4
2.9
2.9
10967.8
11277.7
11597.0
10844.3
10912.6
10999.5
11114.9
11167.3
11236.5
11311.6
11395.5
11480.0
11565.1
11636.7
11705.9
11746.7
2.4
2.5
2.8
2.8
1.2
2.2
2.5
2.4
3.2
2.7
4.3
2.8
1.9
3.0
2.5
3.0
2.7
2.8
3.0
2.5
3.0
2.8
3.0
2.9
2.5
2.9
2.4
2.7
1.4
2.3
488.4
496.3
522.1
564.2
485.3
495.6
499.6
504.6
510.8
517.1
525.3
535.5
548.4
560.3
569.9
578.2
581.1
8.8
1.2
3.3
-0.7
4.1
2.6
5.0
5.3
5.0
4.3
6.5
5.1
8.0
6.1
10.0
7.4
9.0
8.4
7.0
8.5
6.0
8.0
2.0
6.0
11.9
1.6
5.2
8.1
-5.3
3.5
1990.6
2112.7
2207.1
2344.9
2051.5
2099.6
2144.8
2154.8
2176.0
2192.2
2216.4
2243.6
2287.2
2331.6
2365.9
2394.9
2400.9
3.0
6.1
4.5
6.2
1.6
4.7
9.7
6.8
8.9
7.6
1.9
5.5
4.0
6.1
3.0
4.4
4.5
3.3
5.0
4.1
8.0
5.1
8.0
6.4
6.0
6.7
5.0
6.7
1.0
5.0
63.6
78.8
115.2
122.4
35.2
84.8
82.2
113.1
109.0
113.1
117.2
121.4
125.6
125.6
121.3
117.0
108.4
0.0
0.1
0.2
0.0
-1.2
1.4
0.0
0.8
-0.1
0.1
0.1
0.1
0.1
0.0
-0.1
-0.1
-0.2
-420.5
-452.6
-485.9
-546.1
-447.2
-460.4
-431.3
-471.5
-471.0
-477.4
-491.7
-503.3
-522.8
-542.2
-554.2
-565.2
-572.1
(前期比年率)
(前年同期比)
7~9月期
2.2
(前期比年率)
(前年同期比)
4~6月期
10699.7
(前期比年率)
(前年同期比)
15年
-2.1
1.9
(前期比年率)
(前年同期比)
予 測
13年
0.2
-0.2
-0.2
-0.2
-1.7
-0.3
0.8
-1.0
0.0
-0.2
-0.4
-0.3
-0.5
-0.5
-0.3
-0.3
-0.2
15646.7
16011.0
16437.0
16909.5
2.2
16768.1
2.3
17420.7
2.7
18208.9
2.9
19123.8
15796.5
-1.0
1.9
17044.0
15925.6
3.3
2.3
17328.2
16123.4
5.1
2.8
17599.8
16198.5
1.9
2.3
17710.7
16287.8
2.2
3.1
17891.0
16380.9
2.3
2.9
18128.9
16481.2
2.5
2.2
18325.7
16598.3
2.9
2.5
18490.3
16728.8
3.2
2.7
18748.0
16859.9
3.2
2.9
19049.7
16972.4
2.7
3.0
19275.6
17077.0
2.5
2.9
19421.7
17128.5
1.2
2.4
19586.1
(前年同期比)
3.7
3.9
4.5
5.0
-0.8
3.3
6.8
4.3
6.4
4.3
2.5
3.7
4.1
5.0
5.4
4.6
4.4
4.1
3.6
4.4
5.7
4.8
6.6
5.1
4.8
5.2
3.1
5.0
3.4
4.5
(前年同期比)
1.5
1.3
1.5
1.4
1.7
1.8
2.1
2.2
1.4
1.2
1.7
1.5
1.6
1.5
1.2
1.4
1.4
1.5
1.6
1.7
1.7
1.9
1.9
2.0
2.0
2.1
2.1
2.2
2.2
2.3
2.2
2.3
2.2
2.3
1.0
3.3
6.6
1.4
4.2
6.2
1.0
4.6
6.1
1.4
4.8
5.7
1.1
5.0
5.6
1.2
4.8
5.5
1.4
5.2
5.4
1.5
5.3
5.2
1.5
5.7
5.0
1.5
6.0
4.8
1.1
5.7
4.7
0.5
4.7
4.6
0.0
3.1
4.6
(寄与度)
最終需要
(前期比年率)
(前年同期比)
名目GDP
(前期比年率)
GDPデフレータ
コアPCED (前年同期比)
(注)寄与度は前期比年率ベース。実質値は00年連鎖価格。水準は年率換算値。
表2.主要経済指標
鉱工業生産(前期比、%)
(前年比、%)
失業率(期中平均)
2.9
4.3
5.0
5.5
7.4
6.2
5.4
4.8
(資料)米商務省「GDP」、米労働省「Employment Situation」、FRB「Industrial Production」。見通しは、景気循環研究所。
巻末に重要なお知らせを記載していますので、ご参照ください。
10
2015 年 2 月 23 日
あり、成長率は 15 年 1-3 月期を底に加速することが見込まれる。出荷・在庫
バランスの過去の上昇局面の長さを勘案すると、米国は 16 年半ばにかけて高
目の成長率を維持すると予想される。
15 年度は財政の景気
15 年は財政政策による景気押し上げも期待できる。オバマ大統領は、13
押上げが期待される
年に発動した強制歳出削減の撤回を求めており、野党共和党の一部議員にも
これに同調する者がいる。実際、13 年 12 月には歳出カットが厳し過ぎると
の判断から、14 年度と 15 年度の強制歳出削減の一部が撤回された。仮に、
15、16 年度の強制歳出削減がすべて撤回された場合には、歳出は、それぞれ、
760 億ドル、910 億ドル、GDP 比で、0.4%、0.5%増加する。また、強制歳出
削減の対象外となっている海外緊急事態作戦費(OCO)も今後増加する可能性
がある。OCO は、米軍が、イラク・アフガニスタンから撤退する中で、ここ
数年、急激に削減されてきたが、今後は、イスラム国との新たな戦いを始め
たことで増加することが見込まれる。また、16 年に入れば、秋の大統領選を
見据えて景気対策が実施される可能性が高い。景気対策は、共和党が比較的
受け入れやすい低中所得者向け減税となるとみられる。金融政策が引き締め
に向かう中で、16 年秋の大統領選までは、比較的高い成長が予想される。
15 年から 16 年にか
15 年から 16 年にかけては、個人消費が全体を牽引すると予想する。労働
け、個人消費が全体
市場は極めて堅調に推移しており、今後は個人所得が一段と加速するだろう。
を牽引
足元では賃金上昇率の伸びが低く、所得増の足かせになっているが、失業率
が自然失業率に近づく中、賃金上昇率は遅れて上昇し、高い所得の伸びにつ
ながるだろう。ここ数年前年比 2%台前半で推移してきた実質個人消費は、
いよいよ 3%に迫る水準にシフトすると予想される。
住宅市場は、引き続
住宅投資は、3 四半期連続でプラス成長となった。新築住宅市場では、建設
き堅調に推移する見
用地や熟練労働者の不足による供給問題がボトルネックとなっているが、土
通し
地の有効活用が期待できる集合住宅の供給増加に伴い、販売活動は活性化す
ると予想される。今後も、世帯増加数や歴史的に低い住宅ローン金利水準を
勘案すると、住宅市場は一段と加速するとみられる。
FRB は、15 年 9 月に
FRB は、14 年 12 月の FOMC 声明文において、ゼロ金利解除についてのキー
ゼロ金利解除へ。16
ワードを「相当な期間」から「忍耐強く」に変更した。04 年のゼロ金利解除
年 9 月頃まで、FOMC
までのキーワードの変遷を参考にすると、早ければ、6 月の FOMC において利
ごとに 0.125%引き
上げの可能性もある。しかし、15 年 1 月に開催された FOMC の議事録では、
上げると予想
FOMC のメンバーの多くが、利上げのタイミングが早すぎた場合のリスクを重
くみていることが明らかになった。このことから、FRB は、04 年の局面より
ゼロ金利解除を急がないとみられる。FRB は、景気が拡大基調を強める中、
15 年 9 月に利上げに踏み切ると予想する。その後の利上げは、FOMC ごとに
0.125%ずつ引き上げられるだろう。FRB は、金融引き締めによる景気への悪
影響が見え始める 16 年 9 月頃に利上げを中断すると予想する。
巻末に重要なお知らせを記載していますので、ご参照ください。
11
2015 年 2 月 23 日
欧州経済~15 年成長率は 1.2%、16 年は 1.4%となる見通し。
ECB の追加緩和策で
景気は拡大基調へ
欧州経済は、ECB の量的緩和や EU 諸国の成長・雇用増進を重視する財政政
策、さらには海外経済の持ち直しを背景に、16 年前半にかけて、拡大基調を
強めると予想する。
ユーロ圏景気は低迷
抜け出す
ユーロ圏の 14 年 10-12 月期の成長率は、前期比 0.3%となり、過去 2 四半
期の低迷から抜け出した。主要国では、ドイツとスペインが高い成長率を記
録した一方で、フランスとイタリアは低い成長率に止まった。ドイツは、個
人消費が堅調に推移した上、設備投資がプラスに転換し、さらに輸出が高い
伸びを記録した。スペインも引き続き個人消費が堅調に推移している。一方、
フランスは、個人消費の回復が鈍く、設備投資も減少した。政府支出によっ
て辛うじてプラス成長を確保した形である。イタリアは輸出がプラスとなっ
たものの、内需が弱く、成長率は横ばいに止まった。労働市場改革に成功し
た国と高コスト体質を修正できていない国において、二極化が進んでいるこ
とが確認できた。足元の経済指標は、ユーロ圏製造業 PMI が 14 年 11 月を底
に 4 カ月連続上昇し、ZEW 景気期待指数も 14 年 10 月を底に 5 カ月連続で上
昇した。
ドイツを中心に原油
欧州景気は、昨年秋頃までの低迷を脱却し、回復局面に入ったとみられる。
安、ユーロ安が景気
目先、欧州の企業部門は、原油価格下落に伴う製造コストの低下により活発
押し上げに寄与
化し、景気拡大の牽引役となるだろう。ドイツは、企業収益の改善が労働者
へ還元されることで内需主導型の景気拡大が続くと予想される。さらに、ECB
の金融緩和を背景としたユーロ安や新興国の景気回復により、ドイツの輸出
は持ち直し、景気拡大ペースは速まるだろう。フランスやイタリアは労働市
場改革の遅れから、コスト高体質の修正が図られておらず、相対的な企業競
争力の低下を招いている。ただし、フランスとイタリアも、労働市場改革に
取り組んでいる。労働市場改革により、雇用者報酬に下押し圧力がかかる中、
政府は給与税や企業税の減税を通じて、景気を下支えする方針である。スペ
インなどの周辺国は、債務危機時に実行した労働市場改革により、企業競争
力が改善し、輸出が底堅く推移している。さらに、企業部門の回復が雇用増
につながり、内需にも改善の動きが広まっている。ユーロ圏経済は、労働市
場改革に成功したドイツやスペインを中心に、16 年にかけて、再び力強さを
増すだろう。
インフレ率は、原油
ユーロ圏の 1 月の消費者物価は、前年比▲0.6%となり、12 月からマイナ
価格の下落で、一旦
ス幅が拡大した。エネルギー価格の下落により、全体のインフレ率が押し下
低下も秋頃プラスへ
げられた。原油価格が今後緩やかに上昇していくことを前提とすれば、消費
者物価の前年比の伸びは、一旦マイナス幅を拡大した後、秋頃にプラスに転
じると見込まれる。
巻末に重要なお知らせを記載していますので、ご参照ください。
12
2015 年 2 月 23 日
ECB、大胆な量的緩和
ECB は 1 月 22 日の理事会で、量的緩和導入を決定した。15 年 3 月から 16
を導入。当分の間、
年 9 月までの 19 ヶ月間に、月額 600 億ドル、総額 1 兆 1400 億ユーロの債券
様子見と予想
を購入する。さらに、中期的な物価安定が見通せない場合は延長もあり得る
とされた。ドラギ総裁は、バランスシートを 12 年初頭の水準に引き上げると
して、足元より 1 兆ユーロの積み増しを目指している。今回導入された国債
買い入れ型の量的緩和に加え、昨年導入された条件付き長期資金供給オペを
考慮に入れると、ドラギ総裁の目標を大きく上回るバランスシートの拡大が
見込まれる。ECB の金融政策は、当分の間、様子見となると予想する。
EMU経済見通し
予測
予測
(%)
-0.4
0.9
1.2
14
15
16
17
1-3
4-6
7-9 10-12 1-3
4-6
7-9 10-12 1-3
4-6
7-9 10-12 1-3
0.3
0.1
0.2
0.3
0.3
0.3
0.4
0.4
0.4
0.4
0.3
0.2
0.1
1.4
1.1
0.8
0.8
0.9
0.9
1.1
1.3
1.4
1.5
1.6
1.4
1.2
0.9
-0.7
1.4
1.1
0.7
0.4
0.8
0.6
0.6
1.1
1.7
1.9
1.5
2013年 2014年 2015年 2016年
(実績) (予測) (予測) (予測)
実質GDP
鉱工業生産
消費者物価
(同、コア)
0.2
1.4
0.6
0.8
0.0
0.8
0.6
0.8
-0.4
0.4
0.3
0.8
0.2
0.1
0.1
0.7
0.1
0.0
0.0
0.9
0.3
0.2
0.5
1.0
0.4
1.0
0.8
1.1
0.4
1.1
1.2
1.3
0.5
1.5
1.7
1.5
0.6
1.8
1.9
1.5
0.3
1.7
2.0
1.6
0.3
1.6
2.0
1.6
0.1
1.3
2.1
1.6
(注1) 上段は前期比、下段が前年比。物価は全て前年比。コア物価は、エネルギー・食品・酒・煙草を除く。(注2) EMUは、EURO参加16ヵ国。予測は景気循環研究所。
アジア経済~中国の持ち直しに伴い、15 年の成長率は緩やかに加速へ。
アジア経済は中国の
回復を背景に加速
アジア景気は、中国経済の持ち直しを背景に、16 年にかけて、徐々に加速
すると予想する。
中国の金融・財政政
14 年 10-12 月期の中国の成長率は、前年比 7.3%と前期から横ばいとなっ
策が加速。成長率は
た。中国指導部は、昨年4月以降、構造改革路線を修正し、様々な景気下支
持ち直しへ
え策を実施したが、方針転換当初の景気対策は不十分だったとみられる。当
初の財政政策は、鉄道投資中心で広がりを欠き、金融政策も、対象を限定し
た預金準備率の引き下げや住宅ローンの窓口指導にとどまっていた。しかし、
昨秋以降、景気対策が本格化した。財政政策は、鉄道、高速道路、空港、水
道施設、発電所などのインフラ投資の承認を積極的に前倒しし、10-12 月期
だけで承認された建設プロジェクトは 1 兆 3800 億元となった。金融政策は、
11 月に政策金利の引き下げ、2 月には全商業銀行を対象とした預金準備率の
引き下げが実施された。中国経済は、これらの景気対策により、15 年から 16
年半ばにかけて、やや加速すると予想する。東アジア諸国・地域は、欧州・中
国向け輸出の回復を背景に、回復基調を強めると予想する。
巻末に重要なお知らせを記載していますので、ご参照ください。
13
2015 年 2 月 23 日
アジア経済見通し
(前年比、%)
→ 予 測
13年
(実績)
14年
(実績)
15年
(予測)
16年 14年
(予測)
1~3月期
15年
4~6月期
7~9月期
10~12月期
16年
1~3月期
4~6月期
7~9月期
10~12月期
1~3月期
4~6月期
7~9月期
10~12月期
韓国
3.0
3.3
3.6
3.7
3.9
3.5
3.2
2.7
3.4
3.5
3.6
3.7
3.8
3.8
3.6
3.4
台湾
2.2
3.7
3.8
4.2
3.4
3.9
4.3
3.4
3.6
3.7
3.9
4.1
4.3
4.3
4.1
3.9
NIEs
2.9
3.3
3.5
3.7
3.6
3.3
3.3
2.8
3.3
3.4
3.6
3.7
4.7
4.8
3.7
3.5
ASEAN4
5.0
4.3
5.2
5.3
4.0
4.3
4.0
4.7
5.0
5.1
5.2
5.3
5.4
5.4
5.2
5.1
インド
6.4
7.2
7.8
7.8
6.7
6.5
8.2
7.5
7.6
7.7
7.8
7.9
7.9
7.9
7.8
7.7
中国
7.7
7.4
7.4
7.5
7.4
7.5
7.3
7.3
7.3
7.4
7.4
7.4
7.5
7.6
7.5
7.4
Total
5.8
5.8
6.0
6.2
5.8
5.7
5.8
5.7
5.9
6.0
6.1
6.1
6.5
6.5
6.1
6.0
福田
圭亮)
(注) NIEs、ASEAN4、10ヵ国・地域の値は、各国・地域の値を、05年 のドル建て名目GDPのウエイトで加重平均したもの
(資料)各国統計資料より三菱UFJモルガン・スタンレー証券景気循環研究所作成
(15.2.23
(以
巻末に重要なお知らせを記載していますので、ご参照ください。
14
上)
2015 年 2 月 23 日
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(加入協会) 日本証券業協会・一般社団法人金融先物取引業協会・一般社団法人日本投資顧問業協会・一般社団法人第二種金融商品取
引業協会
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Securities International plcが配布致します。また、米国においては、Mitsubishi UFJ Securities (USA),Inc.が配布致します。
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