地球温暖化の現状と影響 上がり始めた気温 IPCC第5次評価報告書によると、工業化初期の1880年から2012年までの間に、世界平均気温 は0.85℃上昇しています 世界の平均気温の上昇率が2000年前後から緩やかになっていますが、その主な理由は、海洋 深層による熱の吸収、 太陽活動の低下や火山活動の影響などがあげられています。 また、最近30年の各10年間の世界平均気温は、1850年以降のどの10年間よりも高温となっ ています。 図−3 世界の平均地上気温(陸域+海上)の偏差 (1850∼2012年) 0.6 年平均 0.4 1961∼1990年平均からの気温偏差(℃) 0.2 0.0 −0.2 −0.4 −0.6 0.6 10年平均 0.4 0.2 0.0 0.2 −0.4 −0.6 1850 1900 1950 2000 年 出典 「IPCC AR5 W1」 地球温暖化 知っておきたいポイント集 7 第1章 日本の平均気温も上昇している 日本の年平均気温は、100年当たり約1.14℃の割合で上昇しています。これは、世界の平均気 温が132年で0.85℃上昇しているという観測結果と比較して、 高い上昇率となっています。 福島市の年平均気温も、 同様の変化をしています。 図−4 日本の年平均気温偏差 1981−2010年平均からの差(℃) 1.5 トレンド=1.14(℃/100年) 1.0 0.5 0.0 −0.5 −1.0 −1.5 気象庁 −2.0 1890 1900 1910 1920 1930 1940 1950 1960 1970 1980 1990 2000 2010 2020 出典 「気象庁2013の世界と日本の年平均気温」 図−5 福島市の年平均気温偏差 1981−2010年平均からの差(℃) 1.5 トレンド=1.43(℃/100年) 1.0 0.5 0.0 −0.5 −1.0 −1.5 −2.0 1890 1900 1910 1920 1930 1940 1950 1960 1970 1980 1990 2000 2010 2020 出典 福島地方気象台 過去の気象データから作成 8 地球温暖化 知っておきたいポイント集 海洋上層の海水温の上昇 1971年から2010年において、 海洋の表層(0~700m) では水温が上昇し、 海面から水深75m の層は10年当たり0.11℃上昇しました。 図−6 世界平均海水温偏差 深海(m) 温度上昇 0 0.3 0.25 0.2 0.15 0.1 0.05 0 −0.05 −0.1 −0.15 −0.2 −0.25 −0.3 100 200 300 400 500 600 700 出典 「IPCC AR5 W1」 1960 1970 1980 1990 2000 2010 年 温度低下 気候システムに蓄積されたエネルギーのうち90%以上が海洋への蓄積であり、そのうち60% 以上が表層(0~700m)、 約30%が700m以深への蓄積となっています。 この海洋へのエネルギー蓄積が海水温の上昇につながり、海水温の上昇は台風や低気圧の発 達・強化の要因となっています。 また、世界の地上温度の上昇は、1951~2012年で、10年あたり0.12 ℃ となっていますが、 1998~2012年では10年あたり0.05℃と、 昇温傾向が緩やかとなっています。その要因の一つ に、 海洋深層の蓄熱が言われています。 (1022J) 図−7 世界平均海洋上層蓄熱量の変化 20 エネルギー 10 0 −10 −20 1900 出典 「IPCC AR5 W1」 1920 1940 1960 1980 2000 年 日本近海での海面水温の上昇率は、世界全体で平均した海面水温の上昇率よりも大きな値と なっています。 日本近海の海面水温上昇率 1.08℃/100年 世界全体平均海面水温上昇率 0.51℃/100年 地球温暖化 知っておきたいポイント集 9 第1章 雪氷圏の氷の減少 過去20年にわたり、グリーンランド及び南極の氷床の質量は減少しており、氷河もほぼ世界 中で縮小し続けています。 世界中の氷河の平均減少率、グリーンランド氷床の平均減少率、 南極氷床の平均減少率は表−2 のようになっています。 表−2 氷河、 グリーンランド氷床、南極大陸氷床の.氷の損失量 世界中の氷河の平均減少率 グリーンランド氷床の平均減少率 南極氷床の平均減少率 1971~2009年 226Gt/年 1993~2009年 275Gt/年 1992~2001年 34Gt/年 2002~2011年 215Gt/年 1992~2001年 30Gt/年 2002~2011年 147Gt/年 出典 「IPCC AR5 WG1」 図−8 氷河、 グリーランド氷床、南極大陸氷床での氷の損失量 氷の損失量 (Gt) 海面水位に相当 (mm) 16 5000 14 12 4000 10 3000 8 6 2000 4 1000 2 0 0 −2 1992 1994 1996 1998 2000 2002 2004 2006 2008 2010 2012年 出典 「IPCC AR5 W1」 氷河 10 地球温暖化 知っておきたいポイント集 グリーンランド氷床 南極大陸氷床 海面水位の上昇 19世紀半ば以降の海面水位の上昇率は、過去2000年間の平均的な上昇率より大きく、1901 年から2010年の期間に世界平均海面水位は0.19m上昇しました。 世界平均海面水位の平均上昇率は次のようになっています。 1901~2010年 1.7 [1.5~1.9] mm/年 1971~2010年 2.0 [1.7~2.3] mm/年 1993~2010年 3.2 [2.8~3.6] mm/年 図−9 世界平均海水面水位の推移 1900−1905年の 世界平均海面水位からの差 (mm) 200 150 100 50 0 −50 1900 1920 1940 1960 1980 2000年 出典 「IPCC AR5 W1」 1970年代初頭以降の観測された世界平均海面水位の上昇は、温暖化による氷河の質量損失や 海洋の熱膨張等により説明ができると言われています。 表−3 海面上昇 温暖化による海洋の熱膨張 1.10[0.80~1.40] mm/年 氷河の変化 0.70[0.39~1.13] mm/年 グリーンランド氷床の変化 0.33[0.25~0.41] mm/年 南極氷床の変化 0.27[0.16~0.38] mm/年 陸域の貯水量の変化 0.38[0.26~0.49] mm/年 出典 「IPCC AR5 WG1」 地球温暖化 知っておきたいポイント集 11
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