特集 PV EXPO/バッテリージャパン レーザーテックの Liイオン電池向け検査装置 ユーザー拡大で多様なニーズを汲み取る 全固体電池やアジア向けの展開も開始へ ●電解液中の挙動を初めて解明 レーザーテックは、電気化学反応可視化コンフ ォーカルシステム「ECCS B310」のユーザー開拓を 進めるとともに、新たな用途開発への対応やオプ ション機能の充実強化も着実に行っている。 ECCS B310は、同社のコア技術であるコンフォー カル光学系技術をベースに、白色光源を採用する ことでリアルカラーコンフォーカル画像を取得す る。フォーカス面からの反射光のみを受光するた め、ガラスや電解液などの影響を受けず、色分解 の高い高精細カラー観察が可能。また、専用設計 のIn-situ観察用窓付きセルにより、電解液中におけ るLiイオン電池の充放電中 の電気化学反応進行分布 をリアルタイムの動画で、 可視化することができる。 電気化学反応を伴った物 質・製品は全て対象とな るが、特にECCS B310の名 を世に知らしめたのはLiイ オン電池の観察だ。 Liイオン電池は、正極活 物質、負極活物質、電解 ▲「ECCS B310」 液、活物質に添加する導 電助材の材料など1000種 類以上に及ぶ材料・部材が使用されている。この ため、変化の要因は多岐にわたるが、電解液中に おける状態をリアルタイムで見る方法がなかった ため、実際の挙動を確かめることができなかった。 同社では、そこに大きな潜在的なニーズがあると 考え、電解液中の負極活物質の色変化による反応 挙動を可視化する技術開発に取り組み、2012年に その成果を学会で発表した。充電時に灰 → 緑 → 青 → 赤 → 金と変化し、放電時には金 → 赤 → 青 → 緑 → 灰の色変化が起こることが初めて明らかにさ れた。これは、Liイオン電池が開発されて以来、初 70 Electronic Journal 2015年2月号 めてわかった事実で、業界に衝撃を与えた。この 他、負極に比べ色の変化が少なくわかりにくい正 極活物質についても、青味を帯びることや明るく なるなど反応挙動の観察も実現している。 また、可視化だけでなく、「数値化」にも積極的 に取り組んでいる。リアルカラーコンフォーカル で取得した画像(動画)の色の変化や厚みの変化 を数値化するものだ。これにより、定量的な判断 が可能になり、研究開発の効率化や開発期間を短 縮することができる。数値化には信号処理が重要 となるが、2012年の販売開始後もブラッシュアッ プを継続して行い、より簡便で正確な数値化を実 現している。 さらに、納入先の増加 に伴い、ユーザーの要望 も多様化している。異な る依頼や要望に対応する ことにより、様々なニー ズを汲み取ることができ たという。多様なセルの 形状やサイズにも柔軟に 対応できる他、ニーズが 高かった全固体電池セル 用オプションも完成させ ている。 ●車載に加え、定置やモバイル向けも拡大 アプリケーション的には、車載向けが最も多い が、最近は定置向けやモバイル向けなどの引き合 いが急激に増加しているという。これまでは、国 内向けのみだったが、海外からの引き合いも増え ている。このため、まずアジアでの販売を開始、 近く出荷する予定で、さらなる拡販に注力してい く。 バッテリージャパンでは、ECCS B310を実機展示 する他、動画によるデモも実施する。
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