小規模企業景気動向調査 [平成27年1月期調査] ~ 再び悪化を示した小規模企業景況 ~ 2015 年 2 月 25 日 全国商工会連合会 <調 査 概 要> 調査対象:全国約 300 商工会の経営指導員 調査時点:2015 年 1 月末 調査方法:対象商工会経営指導員による調査票への選択記入式 <産 業 全 体> ◇…再 び 悪 化 を 示 し た 小 規 模 企 業 景 況…◇ 1 月期の小規模企業景気動向調査では、産業全体の採算および業況 DI(景気動向指数・前年同月比)は小幅悪 化、また、売上額 DI は大幅に悪化し、資金繰り DI は不変であった。経営指導員からは、①原油価格の下落に伴うコ スト減少など好材料もあるが、円安の影響で原材料価格の高騰が続き、収益を圧迫している、②景気に明るさは見ら れず、地方経済は更なる悪化をたどっているように感じるなど、引き続き景気低迷を指摘する報告があった。 <製 造 業> ◇…一部に受注増の動きがみられるものの、依然、コスト増に苦しむ製造業…◇ 製造業は、売上額 DI は小幅に悪化したものの、採算、資金繰りおよび業況 DI は多少改善した。経営指導員 から、好転材料として、①自動車関連は、引き続き、海外・国内需要が高く 24 時間体制で工場が稼動しており、 景況感は良好である、②金属加工関連は、大手企業好調のため、受注額が増えているなどの報告があった。また、 悪化材料としては、電気料金の値上げ、原材料価格の高騰など、引き続きコストが増加しており、収益を圧迫して いるとの報告があった。 <建 設 業> ◇…受注の減少、資材価格・人件費高の影響で、大幅に悪化した建設業…◇ 建設業は、採算、資金繰りおよび業況 DI は多少悪化、また、売上額 DI は 10.5pt もの悪化を示した。経営指導員 から、悪化材料としては、①引き続き、資材価格や人件費の高騰により、収益が確保できない、②住宅関連の受注が 減少しているなどの報告があった。また、好転材料としては、①土木工事関連で、一部地域で公共工事や災害復旧 工事の受注があり、多忙となっている、②リフォームや住宅修繕工事の受注があるなどの報告があった。 <小 売 業> ◇…個人消費の低迷や仕入価格の高止まりにより、厳しさが続く小売業…◇ 小売業は、採算、資金繰りおよび業況 DI は多少悪化、また、売上額 DI は大幅に悪化した。経営指導員から、 悪化材料としては、①食料品関連で、仕入価格の高止まりにより採算が悪化している、また、客単価が低下し売上 額が減少している、②衣料品関連で、低価格販売の大型店に太刀打ち出来ない、③個人消費の低迷により、売上 額が減少しているなどの報告があった。一方、好転を示す報告は少なかった。 <サービス業> ◇…家計の節約志向が続くなか、悪化を示したサービス業…◇ サービス業は、採算、資金繰りおよび業況 DI は多少悪化、また、売上額 DI は大幅に悪化した。経営指導員 から、悪化材料としては、①宿泊関連で、冬季の閑散期で利用客が減少し、売上額が低下した、②家計の節約 志向が続く中、客数や客単価が低調に推移しているなどの報告があった。また、好転材料としては、①クリーニ ング業で、原油価格の下落により燃料費が低下し、採算が好転している、②飲食関連で、宴会需要が増加した 事例があったなどの報告があった。 業種 産業全体 製造業 建設業 12月 1月 前月比 12月 1月 前月比 12月 1月 前月比 売上額 ▲ 15.1 ▲ 21.4 ▲ 6.3 ▲ 6.7 ▲ 9.4 ▲ 2.7 ▲ 2.3 ▲ 12.8 ▲ 10.5 採 算 ▲ 27.9 ▲ 29.9 ▲ 2.0 ▲ 26.7 ▲ 25.2 1.5 ▲ 23.0 ▲ 26.9 ▲ 3.9 資金繰り ▲ 23.1 ▲ 23.3 ▲ 0.2 ▲ 21.4 ▲ 18.8 2.6 ▲ 19.5 ▲ 20.5 ▲ 1.0 業 況 ▲ 27.6 ▲ 28.8 ▲ 1.2 ▲ 26.5 ▲ 24.6 1.9 ▲ 16.3 ▲ 20.4 ▲ 4.1 業種 売上額 採 算 資金繰り 業 況 12月 ▲ 30.0 ▲ 36.0 ▲ 29.9 ▲ 40.1 小売業 1月 前月比 ▲ 35.9 ▲ 5.9 ▲ 39.5 ▲ 3.5 ▲ 30.8 ▲ 0.9 ▲ 41.1 ▲ 1.0 サービス業 12月 1月 前月比 ▲ 21.7 ▲ 27.5 ▲ 5.8 ▲ 26.0 ▲ 28.0 ▲ 2.0 ▲ 21.6 ▲ 23.2 ▲ 1.6 ▲ 27.7 ▲ 29.4 ▲ 1.7 注)DI(景気動向指数)は 各調査項目について、増加 (好転)企業割合から減少 (悪化)企業割合を差し引い た値を示す。 全国商工会連合会 企業環境整備課 〒100-0006 東京都千代田区有楽町1-7-1 有楽町電気ビル北館19F TEL:03-6268-0085 FAX:03-6268-0997 担当:小林 美香 小規模企業景気動向調査(月次) 産業全体の業況…過去10年のトレンド… 悪化 好転 DI 10 0 -10 -20 -30 -40 -50 -60 -70 -80 -90 12月 10月 8月 6月 4月 2014年2月 12月 10月 8月 6月 4月 2013年2月 12月 10月 8月 6月 4月 2012年2月 12月 10月 8月 11年3月 東日本大震災 6月 4月 2011年2月 12月 10月 8月 6月 4月 2010年2月 08年09月15日 09年1月 08年1月2日 NY原油先物初 リーマン破産法 調査開始以来最低数値 の100ドル突破 適用申請 (-82.5)記録 12月 10月 8月 6月 4月 2009年2月 12月 10月 8月 6月 4月 2008年2月 12月 06年7月14日 07年8月9日 日銀ゼロ金 BNPパリバ、傘下の3ファ 利政策解除 ンドの償還を一時凍結 10月 8月 6月 4月 2007年2月 12月 10月 8月 6月 4月 2006年2月 12月 10月 8月 6月 4月 2005年2月 06年01月16日 ライブドア強制捜査 14年4月 15年/1月 消費税率8%に -28.8 引上げ 小規模企業景気動向調査(1月期)における商工会経営指導員の主なコメント *コメントについては、経営指導員回答の原文を掲載。 1.景気全般 <改善傾向を示すコメント> ・原油価格が下がってきた関係で、燃料費高騰に喘いでいた運送業界においては資金繰りに若干余裕が出てきた。 (愛媛県津島町商工会) ・輸出関連の製造業、建設業には好況感がある。 (兵庫県吉川町商工会) ・ガソリン代などが下がり、鴨川市まで来ることが容易になってきているのか、市外・県外からの観光客が増えている。 (千葉県鴨川市商工会) <悪化傾向を示すコメント> ・昨年同期は消費増税前ということもあり、若干の好転が見られたものの、地方経済は更なる悪化をたどっているよう に感じる。 (佐賀県唐津上場商工会) ・景気に明るさは見られず、依然として低迷が続いている。 (岩手県二戸市商工会) ・原油価格の下落に伴うコスト減少など好材料もあるが、円安の影響で原材料の高騰が続き、収益を圧迫している 状況がみられる。 (富山県高岡市商工会) 2.製造業 <改善傾向を示すコメント> ・自動車関連は、引き続き、海外・国内需要が高く24時間体制で工場が稼動しており、景況感は良好である。 (福島県大東商工会) ・年末から年始にかけ、機械部品関連は受注が伸び、安定した売上が確保できている。 (山形県村山市商工会) ・電子部品、アルミ部品、鉄鋼部品ともに、受注が増加している。 (富山県富山市南商工会) ・金属加工関連は、大手企業好調のため、受注額が増えている。 (福岡県芦屋町商工会) ・食品製造は、消費増税前の駆け込み需要の反動が若干見受けられるものの、総じて堅調に推移している。 (島根県出雲商工会) <悪化傾向を示すコメント> ・円安の影響で、原材料費の値上がりが収益を圧迫している例が見受けられる。 (熊本県芦北町商工会) ・電気料金上昇の影響は厳しい。 (愛媛県保内町商工会) ・食料品関連の製造業は、景気回復の実感はない。 (愛知県愛西市商工会) ・自動車関連の製造業は親会社からの仕事が減ってきている。 (静岡県浜名商工会) 3.建設業 <改善傾向を示すコメント> ・土木関連は、公共工事増加の影響で、売上が増加している。 (長崎県対馬市商工会) ・土木関連は、夏の台風被害の復旧工事で忙しくなっている。避難タワーや防災関連の建設業は、整備の発注が多 く、売上が増加している。 (高知県中芸地区商工会) ・リフォーム関連は安定している。 (愛知県長久手市商工会) ・建設関連は、季節的な影響で除雪作業が入り、稼働は良好である。 (山形県山辺町商工会) <悪化傾向を示すコメント> ・公共工事関連は、技術者や労働者不足により人件費が高騰し、稼働効率が悪化したことで生産性や採算性が悪 化している。 (青森県大畑町商工会) ・円安による資材の値上がりが続いており、利益確保が非常に困難になってきている。 (秋田県白神八峰商工会) ・住宅関連は、新築で家を建てる人が減っており、下請け企業は厳しい状況が続いている。 (静岡県岡部町商工会) ・公共工事は請負単価の下落だけでなく、発注量も減少している。 (山口県岩国西商工会) 4.小売業 <改善傾向を示すコメント> ・ガソリンを中心とした燃料費の下落が、僅かではあるが、収益の好転につながっている。 (宮城県みやぎ仙台商工会) <悪化傾向を示すコメント> ・衣料品関連は、低価格販売の大型店に太刀打ち出来ない。 (長崎県雲仙市商工会) ・衣料品関係の小売店は、降雪量が例年と比べ少なく、冬物衣類が低迷。 (北海道乙部町商工会) ・食料品小売業は、客単価が下がり売上が減少傾向である。また、油等の必需品の値上げが予定されており、益々 厳しくなっていくと思われる。 (栃木県芳賀町商工会) ・食料品関連は、原材料高騰による仕入単価の高騰が相変わらず続いており、利益があがっている状況とは言えな い。 (鳥取県中部商工会産業支援センター) ・個人消費の低迷により売上額が回復しない。 (石川県森本商工会) 5.サービス業 <改善傾向を示すコメント> ・クリーニング業で、重油価格の低下が燃料費の削減につながり、徐々にではあるが、業績に反映されはじめている。 (北海道新ひだか町商工会) ・飲食業は、大きな宴会が続いたので売上が伸びている。 (群馬県群馬伊勢崎商工会) ・料理・仕出しなどの飲食関連は、前月に引き続き、利用者が多い店舗が多かった。 (岐阜県池田町商工会) ・ガソリン価格安により観光関連事業が上向いている。観光関連や運送関連も、採算が改善している。韓国、中国 等の近隣国からの観光客も順調に推移しているようだ。 (福岡県筑前町商工会) <悪化傾向を示すコメント> ・旅館関連のサービス業は、1月初旬の大雪でキャンセルがあった模様である。1月は客数が減少する傾向にあるの で、大きな痛手である。 (大分県九重町商工会) ・宿泊業関連は、冬期の閑散期に入り誘客が進まず、売上や利益が低迷している。 (青森県大畑町商工会) ・家計の節約志向が続く中、客数や客単価は低調に推移している。 (島根県出雲商工会)
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