Viewpoint 2015年1月 原油価格50ドル ミッドストリーム・エネルギーと MLP市場の変革要因 これまで以上に重要性が高いアクティブ運用 タイラー・ローゼンリクト、バイス・プレジデント兼ポートフォリオ・マネージャー ベンジャミン・モートン、シニア・バイス・プレジデント兼ポートフォリオ・マネージャー ロバート・ベッカー、シニア・バイス・プレジデント兼ポートフォリオ・マネージャー 編集者:パーク・ミラー・ジョンソン 3 2015年に続く要因とは 3 前提:方向が分かれる2つの 構造的な追い風 4 原油価格の方向性を決める 主な短期要因と長期要因 4 ミッドストリーム・エネルギー 投資における留意事項 6 10年平均に近いMLPの バリュエーション 7 まとめ 世界の多くの地域で天然ガスや原油、天然ガス液(NGL)の生産が鈍化 するなか、北米は世界のエネルギー市場の成長を牽引する原動力と なってきました。パイプラインや処理施設を通じて輸送インフラを提供 するミッドストリーム・エネルギー企業は、輸送・処理量の増加や一貫 して高いエネルギー資 源価格、産業 全 般に活発 な設備 投 資の恩 恵 を 受けて、過去5年間にわたり目を見張るようなリターンを享受して きました。しかし、多くのエネルギー資源価格の急落が、この投資環境を 変容させました。今や稼 動する掘削装置 数が減少し、一部の原 油・ ガス田は掘削の採算が悪化しており、生産の伸びが鈍化すると見られる ことから、マスター・リミテッド・パートナーシップ(MLP)のファンダ メンタルズや分配金の見通しを理解することが、これまで以上に重要 となっています。 こうした課題はあるものの、短期的には値動きの激しい調整局面に おいて、市場の混乱から逆に投資機会が生じています。長期的には米国 で必須のエネルギー自給が、ミッドストリーム・エネルギーのバリュー・ チェーン全般にわたり引き続き投資機会をもたらします。 当資料は投資一任運用会社およびそのアドバイザーへの情報提供を目的として、 コーヘン&スティアーズ・キャピタル・マネージメント・インクが作成したものです。 原油価格50ドル:ミッドストリーム・エネルギーとMLP市場の変革要因 コーヘン&スティアーズの実物資産戦略 グローバル 不動産証券 コモディティ グローバル 天然資源株 グローバル上場インフラ株 およびマスター・リミテッド・ パートナーシップ(MLP) グローバル上場インフラ株とMLP 概要 過去5年間の一貫して高い原油価格と掘削技術の進歩は著しいものでした。こうした 環境が、北米のエネルギー・バリュー・チェーン全般にわたり、企業の大規模な設備投資 を促進してきました。世界の多くの地域で天然ガス、原油および天然ガス液の生産が 鈍化してきた一方で、米国とカナダは世界のエネルギー市場の成長を牽引する原動力と して浮上してきました。 こうした変化は、エネルギー・インフラストラクチャーに特化したミッドストリーム・エネルギー企業の投資 リターンを強力に押し上げてきましたが、直近のほぼすべてのエネルギー資源価格の大幅な下落が、基本的 な環境を変容させました。多くのMLPでは資金を投じる機会が減少し、一部の原油・ガス田における生産量 の伸びが減速し、資源価格の下落が収益率を圧迫しているため、分配の成長は低下すると予想されます。 今 年2015年は2014年以上にそうした傾向が強まり、エネルギー市場は値動きの激しい展開が続き、 ミッドストリーム・エネルギー企業やMLPの収益率は各社で格差が拡大すると予想しています。パフォー マンスに影響を及ぼす要因として、資産の所在地(保有する原油・ガス田)、バランスシートの健全性、業務 契約の構造、資源価格の影響度、スポンサーとの関係などが挙げられます。 課題は増えているものの、米国で必須のエネルギー自給がミッドストリーム・エネルギー資産クラスへの強力 な長期投資機会を提供する一方、短期的には、世界のエネルギー市場における現在の値動きの激しい調整 局面において生じる混乱から逆に投資機会が出てくると、引き続き考えています。 2 原油価格50ドル:ミッドストリーム・エネルギーと MLP市場の変革要因 2015年に続く要因とは ボラティリティが急上昇した2014年10〜12月期においても、強力なスポンサーを持ち、魅力的な原油・ガス田に ミッドストリーム関連資産を保有し、本質的な競争力のあるMLPの価格は上昇しました。堅調に推移した企業の 多くには、強固なバランスシート、資源価格の影響をほとんど、またはまったく受けない手数料を基盤とする 収益構造、数量の保証、確実な分配金の増加見込み等の特性があります。幅広い業務を行うミッドストリーム 公益企業など、原油価格の影響を直接受けない設備資産を保有する企業は、資源価格の下落による影響をさらに 免れました。 こうしたテーマの多くが2015年においても市場で中心になると見ています。MLP市場のパフォーマンスは、資産 の所在地、資源価格の影響度、バランスシートの健全性や分配性向、契約構造、そしてスポンサーとの関係に よって、各社で格差が広がると考えています。また、2015年には、昨年後半に加速した業界の集約が進むと考えて います。こうした背景に加えて、MLPユニバースにおける投資の選択肢が拡大することから、個別企業に伴うリスク を理解することが一層重要になってきました。もはや「上げ潮が船をみな持ち上げる」ことはないでしょう。 前提: 方向が分かれる2つの構造的な追い風 現在の投資サイクルを通じて、ミッドストリーム・エネルギーへの投資は、生産増加の「サプライ・プッシュ」と需要 増加の「ディマンド・プル」という2つの強力な追い風から恩恵を受けていました。原油価格が「長期にわたり 低位にとどまる」と想定される現在の環境において、これらの追い風は方向を変えてきました サプライ・プッシュの鈍化:北米は現在、この数十年間で最も多くの原油や天然ガス、NGLを生産しています。生産 の増加は続くと予想しているものの、現在の価格水準において増加の速度は低下すると考えています。1バレル 当たり50米ドルを下回る原油価格を受けて、一部のシェール・オイルの採掘はもはや採算にのらないため、多く の探鉱・生産(E&P)企業が既に設備投資予算を削減しており、なかには70%以上削減した企業もあります。 米国内で稼動する掘削装置数は、2014年9月につけたピークから約6%減少しており、今後も減少が続くと 予想されます。そのため、サプライ・プッシュは直接影響を受け、成長の一部が将来に繰り延べられるでしょう。 ディマンド・プルの構成変化:石油化学品を製 造する接触分解装置や液化天 然ガス(LNG)を製 造する液化 設備、工業施設など、新しい需要源への投資は、ミッドストリーム・エネルギー企業が新たなインフラを構築する 機会を引き続き提供すると考えられます。1ガロン当たり平均2米ドル以下のガソリン価格を受けて、SUV車の 販売増加など消費者の購買態度が既に変化し始めていることは、エネルギー・セクターに有利に働いています。 一方、現在の投資サイクルにおいて期待される成長の主要な原動力であったLNGや液化石油ガス、エタンの 輸出関連施設を建設する長期計画の一部は、勢いを失っています。その理由としては、現在の価格水準において 北米のエネルギー生産が海外市場に対するコスト競争力を失ってきたことが挙げられます。 エネルギーの需要と供給の変化、そして現在の投資サイクルの持続期間を考慮すると、 エネルギー市場における現在の不均衡が解消するには時間を要するでしょう。 そのため、目先、値動きの激しい状況が続くと予想しています。 3 原油価格50ドル:ミッドストリーム・エネルギーとMLP市場の変革要因 原油価格の方向性を決める主な短期要因と長期要因 原油価格は多くの要因から影響を受けますが、主に3つの要因が市場の需要と供給を決定すると考えられます。 非OPEC産油国(北米)の供給増加(1):北米は過去数年間にわたり世界の原油生産の増加を牽引してきた、数少 ない原動力の一つとなってきました。しかし、北米からの供給はペースが下がるものの、増加を続けると予想 されます。 世界 的な需 要:原 油 価 格 の下 落 は確 かに需 要 を押し上げるも の の、世 界 的 な 需 要 は 時 間をかけて徐 々に 拡 大 すると考えてい ま す。また、米国で自動車販売が上向くと同時に走行距離も増加している他、灯油の消 費量も季節の標準を上回っています。しかし、需要の変化が市場に浸透し、原油価格に影響を及ぼすまでには、 数四半期以上を要すると思われます。 OPECの供 給姿勢:昨今、最も顕 著な市場 の変 革 要因は、歴 史的に世界 の原 油 価格を主に下 支 えしてきた OPECであったと見ています。OPECは11月の会合で、世界の主要石油生産国としての市場シェアを維持する ため、生産割当枠を削減しないとの決定を発表しました。この発表を受けて、原油価格は大きく下落しました。 こうした原油価格の下落は、川上のエネルギー生産に影響を及ぼすと同時に、資源価格の影響を直接的および 間接的に受けるMLPの成長動向に影響するため、ミッドストリーム・エネルギー投資に重要な意味を持ちます。 こうした要因が展開するなかで、個別のミッドストリーム・エネルギー銘柄のリスクと機会を明確に理解すること が一段と重要になるでしょう。これらの留意事項については、次のセクションで考察します。上記3つの強力な 要因が、短期的にエネルギー市場に及ぼしうる影響を予測することは難しいものの、超過供給により少なくとも 今年いっぱいは原油価格を低水準にとどめ、変動をもたらすと考えています。しかし、その後は長期的なトレンド に従い、原油価格は安定軌道に乗るとみています。 MLPの増配率中位値 米国原油生産(左軸) WTIスポット価格(右軸) $120 9,000 8,000 $100 7,000 $80 6,000 5,000 $60 4,000 3,000 2,000 1,000 4.8% 1.1% 4.1% 5.2% 6.1% 9.0% 9.7% 11.1% $40 10.4% 2.7% 3.3% 4.7% 5.0% 5.3% 6.2% $20 WTIスポット価格(米ドル) 米国の原油生産(日量バレル、1000バレル) 図1:原油生産が減少し、原油価格のボラティリティが高まるなかでも、MLPは2000年以降に 毎年一貫して分配金を増加してきた 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2014年12月31日現在。 出所:ブルームバーグ、ウェルズ・ファーゴ・セキュリティーズ、LLC 上記の過去のデータは将来のいかなる成果を保証するものではありません。過去の実績は将来の投資収益や運用成果を保証 するものではありません。 MLPについては、ウェルズ・ファーゴ・セキュリティーズ、LLCのリサーチ対象である50~80銘柄のミッドスト リーム・エネルギーMLP証券に基づく指数データを、投資可能ユニバースを代表するベンチマークとして使用しています。 (1) 石油輸出国機構(OPEC) 4 ミッドストリーム・エネルギー投資における留意事項 MLPが過去のエネルギー価格サイクルの異なる段階において、分配金をどのように増加させてきたかを見る ことは重要です。図1に見られるようにMLPは2000年以降、毎年分配金を増加させてきました。設備投資機会 の減少や想定される数量の低下、資源価格下落の逆風を受けて、成長率は向こう3年間にわたり低下すると予想 されるものの、多くのMLPは今後数年間において堅実な増配がまだ可能です。 コーヘン&スティアーズのリサーチによると、全MLPユニバースにわたる増配率は来年にかけて年率6.5%で あり、これは前回予想の9%から約2.5%引き下げられています。特筆すべきことに、平均的なMLPの 分配 成長率は低下するものの、その程度は各社で大きく異なるということです。例えば「ドロップダウン(ジェネラル・ パートナーから資産譲渡を受ける)」MLPなど一部の企業は、分配金を向こう2年間にわたり年率20%以上増加 させることがまだ可能である一方で、資源価格の影響を受ける、契約更新リスクを負っている企業は、分配金の 削減を余儀なくされる可能性があります。 リスク特性 現在の環境下でミッドストリーム・エネルギー企業へ投資する際の主なリスクには、資源価格の影響度、契約 相手に対するカウンターパーティ・リスク、各社個別のバランスシートの状況などが挙げられます。特に原油や NGLの低価格やボラティリティは、投資を検討するうえで、各社の資源価格の影響度の重要性を浮き彫りにし ます。さらに契約の輸送量による影響は大きく異なり、 「テイク・オア・ペイ(最低輸送量の保証)」契約を結ん だ企業は有利と考えられます。 原油価格の下落は、探鉱・生産(E&P)企業のバランスシートを圧迫し、パイプライン運営企業の信用力を悪化 させるため、カウンターパーティ・リスクの評価も重要性が増しています。また、資金調達力、値動きの激しい 市場に耐えうるバランスシート、付加価値を創出する実績を持つ経営陣、 「激震」が生じた際にM&Aを実行できる 企業などは、各企業を評価するうえで重要な要素です。 ミッドストリーム・エネルギー・パイプライン契約の解説 川中のミッドストリーム・エネルギー企業は、川上や川下の取引先と様々な構造の契約を結んでいます。 契約のタイプや条件は大きく異なりますが、ほとんどの契約が広く以下の4通りに分類されます。 規制に基づく収 益率 ベース:米 連 邦 エネルギ ー 規 制 委 員 会 (FERC)などの規制当局は、パイプライン所有企業に対し、 一 般 的に「 許 容自己 資 本 利 益 率」として 計算される固 定の 収益率を認めています。このような契約には、債券に類似する 性質があります。 手数料ベース:取引先はパイプラインを通過するすべての数量 に対して固定料金を支払うことに合意します。この契約では 資 源価格の影響を直接受けないものの、取引先の出荷量が 予想を下回る場合、パイプライン運営企業の収入が減少する 輸送量リスクが生じます。 「テイク・オア・ペイ」:取 引 先 は固 定 料 金を支 払う義 務が あり、設備資産の使用状況に関わらず下限容量を保証してい ます。これは料金と容量の保証を提供するため、下振れリスク が限られ安定した契約です。しかし、契約更新を交渉する際に は、その時点の市場環 境を反映した条 件となるため、ミッド ストリーム・エネルギー企業に有利となることも不利となるこ ともあります。 資源価格ベース(売却代金の一定割合など):この契約は、 集 積・処理の分野で多く見られます。通常、ミッドストリーム 企 業 は 、生 産 者 に代 わって 天 然 ガ スの 集 積と 処 理 を 行 い ま す。MLPは処理後の残留ガス(パイプライン・クオリティの ドライ・ガス)やNGLを市場価格で売却し、指標価格に基づく 売却代 金に合意された割合を乗じた金額を生 産者に送金し ます。この契約は、足元の資源価格に応じて売上高が変動する ため、輸送量の変化と資源価格の両方の影響を受けます。 5 原油価格50ドル:ミッドストリーム・エネルギーとMLP市場の変革要因 投資リターンの考察 MLPは複数のコモディティの市場サイクルをまたぐ長期にわたり、一貫して分配金を増やす実績を示してきま した。2015年も値動きの激しい展開が続くと予想されるなか、各銘柄ごとのリターンのばらつきとパフォー マンスの二極分化はこれまで以上に拡大すると考えています。こうした環境下、高い分配性向を維持するために 増配率を削減する企業がある一方、ドロップダウンMLPなど内部的な成長機会のある企業は、引き続き既定の 事業計画を遂行するでしょう。 10年平均に近いMLPのバリュエーション 2014年12月末日現在、MLPユニバース全体の平均分配金利回りは約6.6%となっており、2014年半ばの 約5.9%から上昇しています(1)。下の表2に示されるように、MLPのバリュエーションは過去10年間の平均に回帰 してきました。同様に、米国債とハイイールド債に対するMLPの利回りスプレッドは、過去平均を大きく上回っ たままであり、インカム志向の投資家にとってMLPの魅力を高めています。金利と米国債利回りが過去最低水準 にあるため、MLPやミッドストリーム・エネルギー企業への投資は、利回りを追求する多くの投資家に魅力的な ソリューションを提供してきました。さらに、金利が低水準にとどまる限り、MLPやミッドストリーム・エネルギー 企業への投資から得られる分配金利回りは、相対的に魅力が高いと映るでしょう。 表2:インカムとバリュエーション指標 ハイイールド債対比の スプレッドが相対的に高い MLPの分配金利回りは、 相対的に魅力的なMLPの バリュエーションを 示していると考えます(1)。 MLP分配金利回り 株価割引キャッシュフロー倍率(a) 企業価値EBITDA倍率(b) MLPの米国債対比利回り格差 MLPのハイイールド債対比利回り格差 12/31/14 6.6% 12.1倍 12.1倍 5.07% 1.09% 10年平均 7.3% 11.9 倍 11.2倍 3.79% -0.88% 2014年12月31日現在。 出所:ウェルズ・ファーゴ、ブルームバーグ、コーヘン&スティアーズ 上記の過去のデータは将来のいかなる成果を保証するものではありません。過去の実績は将来の投資収益や 運用成果を保証するものではありません。 MLPについては、ウェルズ・ファーゴ・セキュリティーズ、LLCのリサーチ対象 である50~80銘柄のミッドストリーム・エネルギーMLP証券に基づく指数データを、投資可能ユニバースを代表するベンチ マークとして使用しています。ハイイールド債については、BofAメリルリンチ・ハイイールド・マスター・インデックスのサブ インデックスであるBofA メリルリンチ・ハイイールドB - BBインデックスを使用しています。指数定義とその他の開示事項に ついては裏表紙をご覧ください。 (a) 株価割引キャッシュフロー倍率は、2015年の推 定に基づき、割引キャッシュフロー(企業が将来経験するキャッシュ の流出入の推定)に対するMLPのユニット価格の比率を示しています。 ( b) 企 業 価 値 E B I T DA倍 率 は 、パートナーシップ がジェネラル・パートナーに 支 払うべきキャッシュフローの割合を反映 するように調整しています。このバリュエーション指標は、EBITDA(金利、税金、減価償却控除前の利益)に対する企業価値(企業 の債務、普通株式、優先株式からキャッシュ価値を差し引いた市場価値)の比率を示しています。 次ページの図3は、広範な株式市場と対比したMLPのバリュエーション指標を時系列で示しています(2)。2009年 以前(シェール関連で大規模なミッドストリーム・エネルギー投資が積み上がる前であり、 「シェール前」と表示し ています)において、平均相対プレミアムは約1.24倍でした。つまり、MLPの平均バリュエーション指 標が S&P500指数の平均バリュエーション指標を24%上回っており、これは相対的な成長率とMLPのパススルー 課税構造を考慮すると、妥当な水準であると見ています。 「シェール革命」と表示した2010年から2014年末ま での期間において、この比率は1.58倍に急上昇しており、株式に対して60%のプレミアムがついていることを 示しています。しかし、ミッドストリーム・エネルギー企業の株価が大幅に下落した2014年後半以降、この比率は 1.26倍となっており、10年平均を大きく下回り、 「シェール前」のプレミアムと同程度です。 (1) 2014年12月31日現在。 出所:ウェルズ・ファーゴ、ブルームバーグ、コーヘン&スティアーズ 上記の過去のデータは将来のいかなる成果を保証する ものではありません。過去の実績は将来の投資収益や運用成果を保証するものではありません。 MLPの分配率については、ウェルズ・ファーゴ・セキュリ ティーズ、LLCのリサーチ対象である50~80銘柄のミッドストリーム・エネルギーMLP証券に基づく指数データを、投資可能ユニバースを代表するベン チマークとして使用しています。 (2) このバリュエーション指標は、EBITDA(金利、税金、減価償却控除前の利益)に対する企業価値(企業の債務、普通株式、優先株式からキャッシュ価値を 差し引いた市場価値)の比率を示しています。 6 図3:株式のEV/EBITDAに対するMLPのEV/EBITDAの比率(a) 比率 長期平均 「シェール前」平均 「シェール革命」平均 「シェール革命」平均=1.58倍 1.8x 1.7x 1.6x 1.5x 1.4x 1.3x 1.2x 1.1x 1.0x 0.9x 長期平均=1.38倍 現在:1.26倍 「シェール前」平均=1.24倍 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2014年12月31日現在。 出所:ブルームバーグおよびコーヘン&スティアーズ 上記の過去のデータは将来のいかなる成果を保証するものではありません。過去の実績は将来の投資収益や運用成果を保証するものでは ありません。 (a) MLPについては、ウェルズ・ファーゴ・セキュリティーズ、LLCのリサーチ対象である50~80銘柄のミッドストリーム・エネルギーMLP証券に基づく 指数データを、投資可能ユニバースを代表するベンチマークとして使用しています。株式は、S&P500指数を使用しています。EV/EBITDAは、EBITDA(金利、 税金、減価償却控除前の利益)に対する企業価値(企業の債務、普通株式、優先株式からキャッシュ価値を差し引いた市場価値)の比率です。 バリュエーションが長期平均を大きく下回っている今、MLPには もはや「シェール・プレミアム」がないと考えています。 これらの指標は、他の資産クラスと比べて魅力的なMLPのバリュエーションを示すものと考えています。短期的 に、M L P の 銘 柄によってリターンのばらつ きが大きくなると予 想されますが、M L P 市 場 全 体 は長 期 平均 に近い水準で取引されています。したがって、長期の投資期間を想定する投資家にとって、現在の値動きが激しい 時期は、MLP市場における魅力的な投資機会をもたらすと思われます。 まとめ 原油市場は「長期にわたり低位にとどまる」と見ていますが、この厳しい状況は同時に、不確実性や転換点、そして 非効率性を捉えることができるアクティブ運 用マネージャーに投資機会をもたらすことを念 頭に置く必要が あります。コーヘン&スティアーズは、エネルギー・バリュー・チェーンのなかでミッドストリーム事業に特化した、 質の高い企業に的を絞ることの重要性を常に強調してきました。引き続き、手数料ベースの収入がある企業に 加えて、資源価格の影響をほとんど、またはまったく受けず、適切な数量の保証がある企業に投資する価値が あると考えています。 また、ミッドストリーム・エネルギーへの投資機会は、従来型のパイプラインだけではないと考えています。MLP に加えて、株式会社型の企業も、その多くが米国内の大規模なエネルギー・インフラの構築から恩恵を受ける ため、ミッドストリーム・エネルギーにおける最良の投資対象になると考えています。 エネルギーの需要と供給は、設備投資と拡張が止められると同時に世界経済の成長が続くなかで、いずれ均衡 を取戻すと考えており、世界のエネルギー市場の継続的な進化によって生じる長期構造的な事業機会が、ミッド ストリーム・エネルギー・ユニバース全体にわたり多大な投資機会をもたらすと見ています。 7 コーヘン&スティアーズ インフラストラクチャー 上場株式への代替投資 指数定義 投資家は当資料に記載された指数に直接投資することはできません。指数の実績は手数料や諸経費等を控除したものではありません。 10年物米国債は、米国財務省が発行した債務証券で、期間が1年以上、10年以下のものをいいます。 BofAメリルリンチ・ハイイールド・マスター指数は、米国国内市場で発行された米ドル建て投機的格付けの社債のパフォーマンスを捉えています。 S&P500種株価指数は、幅広い業種を代表する米国大手上場企業500銘柄で構成される指数です。 当資料は投資一任運用会社およびそのアドバイザーへの情報提供を目的として、コーヘン&スティアーズ・キャピタル・マネージメント・インクが作成したものであり、作成時の一般的な環境と コーヘン&スティアーズ・キャピタル・マネージメント・インクの見解を反映しており、事前の連絡なしに変更することがあります。当資料は投資の助言、推奨、提供を目的としたものではありません。当資料は、信頼 できると考えられる情報源を基に作成しておりますが、その正確性・完全性を保証するものではありません。また、当資料のみを基準に投資の適合性をご判断することを目的とした資料では ありません。当資料中の過去のデータは、将来のいかなる成果を保証するものではありません。投資には元本を割り込む可能性などのリスクが伴いますので、細心の注意が必要となります。 当資料中の記載内容、及び見解は、特定の投資戦略、金融商品を含むいかなる投資の将来の成果を示唆、あるいは保証するものではありません。コーヘン&スティアーズ社が提供する金融 商品に投資を検討される際には、目論見書、またその他のリスク、手数料、経費等に関する資料等を十分にご確認、ご理解した上で、ご自身でご判断ください。 コーヘン&スティアーズについて コーヘン&スティアーズは専門性の高い資産クラスに特化したグローバルな資産運用会社です。1986年設立来、リートやインフラ株 および商品を含む実物資産運用におけるリーディング・カンパニーとして、お客様の資産運用に役立つ専門知識を深め、また日々革新 の提唱に務めています。ニューヨークに本社、そしてロンドン、香港、東京およびシアトルに営業拠点を置き、世界中の様々な投資家に クライアント・サービスを提供しています。 Copyright © 2015 Cohen & Steers, Inc. 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