別添資料 情報公開制度の現状と条例改正の方向性について 1 情報公開制度の概要 市が保有している公文書を、市民の皆様や市内の団体等からの求め(開示請 求)に応じて開示する制度です。この制度によって、市民の皆様には公文書の 開示を請求する権利が保障されています。 また、それ以外の方についても、権利ではありませんが、開示の申出(任意 的開示申出)をすることができます。 以下、開示請求と任意的開示申出を併せて、「開示請求」といいます。 2 情報公開制度の現状 平成 24 年度までの開示請求件数は、年間おおむね 150 件から 200 件程度で 推移してきましたが、平成 25 年度から急激に請求件数が増大しています。市 に対する開示請求件数は近隣自治体等と比較しても突出している状況にあり ます(下表「近隣自治体等との開示請求件数の比較」参照)。 また、平成 26 年度は、12 月末で既に 1,350 件を超える開示請求がなされて おり、今後も同じペースで請求がされると今年度は約 1,800 件の開示請求が 見込まれることになります。 表 近隣自治体等との開示請求件数の比較 自治体名 平成 23 年度 平成 24 年度 平成 25 年度 平成 26 年度 春日井市 193 件 169 件 896 件 1,353 件-※ 豊橋市 316 件 464 件 476 件 豊田市 654 件 285 件 449 件 岡崎市 253 件 438 件 485 件 一宮市 92 件 71 件 99 件 瀬戸市 110 件 140 件 118 件 小牧市 35 件 40 件 61 件 尾張旭市 48 件 49 件 39 件 ※平成 26 年度の春日井市の件数は 12 月末時点の件数です。 現在、市では、写しの交付を行ったときに限り開示請求者から実費(コピー 1枚あたり 10 円など)を徴収しています。閲覧について手数料は徴収してい ません。 3 情報公開制度に要する人件費 現状をさらに詳しく分析するため、平成 26 年度の情報公開の事務処理に要 した時間及び人件費の調査をしました。その結果、次の数値(4月から 10 月 までの調査結果に基づく平均値)が算出されました。 1件の開示請求に対して事務処理に要した時間 5.0 時間/件 1件の開示請求に対して要した人件費 10,470 円/件 (人件費は、職位の平均月給を事務処理時間に割り返して算出しています。) 4 情報公開制度に対する市の考え方 情報公開制度は、市民の皆様の知る権利を尊重し、市が市政に関して市民の 皆様に対する説明責任を明確にするものであり、広く利用されるべきものです。 しかしながら、前述したとおり、開示請求件数が平成 25 年度から急激に増 大しており、それに比例して情報公開事務に係る行政コストも急激に増大して います。 情報公開請求に関する事務は、開示請求者に対して行うものであり、その請 求をして公文書の開示を受けることは、開示請求者の利益となります。現在、 利益を受ける方とそうでない方との間で行政コストに係る費用負担の公平性 を欠いていると考えます。 そこで、市は、「公文書の開示請求をして、その全部又は一部の開示を受ける」 という利益を受ける方から開示実施手数料(公文書の開示を実施する際に徴収す る手数料)を徴収することを考えています。 この方法であれば、開示請求対象の公文書が全て存在しないときや、存在し ても全て開示できないときは、開示の実施がされないため、開示実施手数料は 発生しません。このことから、開示請求をする際に文書の存否がわからないと きなどでも、情報公開制度を躊躇せず利用することが可能です。 5 情報公開・個人情報保護審査会への諮問 このような考えから、市は、情報公開制度における手数料の導入について情 報公開・個人情報保護審査会(大学教授や弁護士などの有識者5人で構成され る市の附属機関)に諮問しました。 情報公開・個人情報保護審査会からは、「開示実施手数料を導入することが 適当である」という意見を受けています(別紙「答申書」参照)。 諮問第 43 号 別紙 答 申 書 第1 答申 現行制度における開示請求者(任意的開示申出者を含む。)の費用負担は、 開示実施に係る実費負担のみであるが、公文書の開示を実施する際に徴収す る手数料(以下「開示実施手数料」という。)制度を導入することが適当で ある。 第2 説明 春日井市情報公開条例は、市民等の知る権利を尊重し、公文書の開示請求 権を明らかにし、市が市政に関して市民等に説明する責任を明確にすること を目的として、平成 13 年4月に施行された。 現行条例は、公文書の開示請求に係る費用や開示の実施に係る費用を徴収 せず、公文書の写しの交付を受ける者は、写しの作成及び送付に要する費用 を負担しなければならないとし、実費のみの負担となっている。 情報公開制度に係るコストは、行政運営に係るコストとして市が負担して いるが、春日井市の情報公開請求件数が、概ね年間 150 件から 200 件までの 間で推移していたところ、昨年度から請求件数が急激に増加しており、それ に伴い、情報公開事務に係る行政コストも増大している。そのため、本制度 を利用することによって利益を受けている者とそうでない者との間で負担 の不公平が看過し難い程度に至っている。このような状況においては、情報 公開制度に係るコストには、民主主義のコストという側面があるという点を 考慮しても、コストの全てを行政が負担することは妥当ではない。ただし、 市民等が開示請求をする際に、文書の存否や不開示決定になるか否かの判断 が容易でない場合でも、情報公開制度の利用を躊躇することのないように留 意しなければならない。 そこで、情報公開制度に共通する請求受付、開示決定(文書の探索・特定、 開示・不開示判断)については、これまで通り行政コストとして市が負担し、 開示準備(複写、墨塗り)、開示実施といった開示の実施に係る行政コスト の一部を、開示を受けることによって利益を受ける請求者に負担してもらう ことが妥当である。 よって、市は、開示を受ける全ての請求者(任意的開示申出者を含む。) から開示実施手数料を徴収する制度を導入することが適当である。 第3 答申に当たっての補足意見 当審査会会長近藤真は本答申に関連して次のとおり補足意見を述べる。 情報公開制度に係るコストは民主主義のコストであり、受益者負担とい う発想から全て請求者に負担してもらうことについては、情報公開制度の 本質を考えると難しいものである。実施機関は、公文書開示請求を行う際に 徴収する手数料(以下「開示請求手数料」という。)制度の導入については、 現在のところ考えていないとのことであるが、仮に開示請求手数料を徴収 する制度を導入する場合は、その必要性については、更なる審議が必要であ る。 第4 1 2 3 4 5 審議経過 平成 26 年 10 月 27 日 平成 26 年 11 月 19 日 平成 26 年 12 月 10 日 平成 26 年 12 月 24 日 平成 27 年 2月 5日 諮問のあった日 諮問実施機関の説明、審議 諮問実施機関から追加資料の提出があった日 審議 答申書案の審議 第5 答申に関与した委員 近藤真、堀口久、吉岡ミヤ子、髙松淳也、富田隆司
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