不二製油の知財管理 について

資料1-3
不二製油㈱の知財管理
について
2015.2.17
不二製油株式会社
知的財産室
室長 西元 次雄
1
不二製油グループ概要H27.1末現在
設立
資本金
2014年3月期
売上高
営業利益
従業員数
1950年(昭和25年)
132億円
連結
2530億円
152億円
4408名
単体
1413億円
105億円
1171名
東京支社、3支店、1営業所、7工場、
2研究開発センター
グループ会社 国内 7社
海外 10数社
(EU1社、US2社、CN6社、他アジア9社、アフリカ1社)
2
油脂と蛋白を中心とする食品素材メーカー
(B to B がメイン)
2013年度比率
油脂
40
%
製菓・製パン
素材
大豆たん白
44
%
16
%
チョコレート用 製菓用 フライ・スプレー用
冷菓用 クリーム用
乳化油脂
粉末油脂 潤滑・離型油
チョコレート クリーム類 マーガリン類・ショートニング
チーズ素材
フィリング類
練り込み用素材
大豆たん白 豆乳 大豆ぺプチド
水溶性大豆多糖類 酸性可溶大豆たん白
大豆イソフラボン・他
大豆たん白食品
3
連結地域別売上高(単位:億円)
2014年3月期
2,647
日本
1,629
アジア
713
62%
27%
欧米
305
11%
アジア:シンガポール、マレーシア、 米州:米国
欧州:ベルギー
中国、フィリピン
インドネシア、タイ
4
企業理念と経営方針
<企業理念>
「食」の創造を通して、健康で豊かな生活に
貢献します。
<経営方針>
「ニッチでも、スペシャル、グローバルに、健康と美味し
さを提供し、世界のお客様に認めていただく食の素材
メーカー」を目指す。
独自性のある「ものづくり」
「技術の不二」を目指す。
グローバル市場に展開
(研究開発重視)
(技術経営)
(グローバル経営)
5
素材
不二製油の代表的中間素材
独自技術
特長
チョコレート用油脂
カカオ脂同等の物性
植物性クリーム
分別
酵素エステル交換
カカオ豆焙煎他
加工油脂高度利用
乳化、殺菌
植物性チーズ
乳化、発酵
用途別高機能チーズ
水溶性大豆多糖類
抽出、分離
酸乳安定化
麺、ご飯のバラケ剤
チョコレート
プレミアム豆乳
高級チョコ~廉価チョコ
用途別高機能チョコ
生クリーム置換
USS
大豆本来の旨味、コク味
(Ultra Soy Separation)
牛乳や卵に準じた分画法
6
知的財産室のミッション
1.グローバル経営に呼応した
グローバル知的財産活動
・グローバル経営と連動した海外知財の権利化/海外知財の管理
2.技術経営に資する知財活動の推進
・新素材・新技術に関する企画調査活動 →発明の創造と発掘
知財戦略会議・R&D知財戦略発表会の定期開催
ライセンスインの検討
・新素材・新技術の権利化・保護・活用
特許出願の推進
パテントクリアランスの着実な実践(他社特許情報の把握と侵害回避)
ライセンスアウトの推進
7
研究開発組織
研究開発本部 ーーー研究企画室/知的財産室
油脂開発室
食品素材研究所
チョコレート開発室
乳化・発酵食品開発室
蛋白素材開発室
機能剤開発室
蛋白食品開発室
食品応用研究所
蛋白応用開発室
油脂食品応用開発室
食品市場開発室
基盤研究所
油脂研究室
蛋白研究室
健康機能開発室
技術開発部
8
知的財産室
知的財産室長
☞特許GP(2GP)
油脂・食品GP
たん白・基礎GP
☞商標GP
☞渉外担当
☞情報担当
(研究所サーバー管理、PWS管理、特許情報発信)
☞特許管理担当(中間処理、維持年金、特許費)
☞つくば研究開発センター駐在(2人)
☞不二グループ全体の知的財産管理の事務局
(室員は一人多役で 複数グループに属する)
9
特許出願、PCT出願、商標出願件数の推移
特許、PCT,商標 出願件数
120
100
80
出
願 60
件
数
40
特許
PCT
商標
20
0
西暦
10
特許査定率、グローバル出願率の推移
特許査定率、グローバル出願率
100
90
80
70
60
特許査定率
グローバル出願率
率 50
%
40
30
20
10
0
2001200220032004200520062007200820092010
西暦
11
国内審査請求率
140
120
件数
100
80
60
40
出願数
審査請求数
57.4%
41.2%
40.3%
52.7%
2008
2009
2審査請求実施年度
3
2010
4
46.3%
20
0
2007
1
2011
5
出願数は審査請求年度の3年前の出願数
12
海外審査請求率
140
120
100
件数
80
65.4%
出願数
審査請求数
60
63.0%
40
20
57.0%
45.6%
48.2%
0
2007 2008 2009 2010 2011
1
2
3
4
5
年度
13
特許庁行政年次報告にみる
不二特許出願の状況
食品分野(食料品分野⇒食品化学分野)での
特許公開件数ランキング
98年 1位
05年 1位
99年 1位
06年 3位
00年 2位
08年 4位
01年 4位
09年 4位
02年 1位
10年 4位
03年 1位
11年 4位
04年 2位
ランキング1位目指し、出願推進中
14
特許保有件数の推移
特許保有件数
1200
1000
800
件 600
数
合計
海外
国内
400
200
0
西暦
15
権利取得の意義と戦略
<意義>
☞ライセンス料収入よりも顧客への技術の提供(提案営業)
☞中間素材メーカーとして顧客への安全・安心
☞市場占有率への貢献
☞発明者の技術思想の客観化と深化・発展の道具
☞海外新市場の開拓の道具
☞関連会社への移転技術の明瞭化
~意図せざる技術の流出の対策として
<戦略>
☞食料品分野の出願数上位を確保 (IR情報にも寄与)
☞明細書作成~出願(PCTも)~権利化までの高内製化率による
スピーディーな出願と権利化
☞外国出願、審査請求、中間手続継続、特許維持年金継続 など
費用対効果から厳選
☞グローバル経営と連動したグループ会社知財の管理
16
発明の発掘
• 原則は届出制・出願奨励
• 各開発部署はISO品質目標で出願件数設定
• 知財室メンバーが担当R&D月次報告会へ出席
→特許シード発掘
• 特許相談 (各部門単位の総合ヒヤリング)
• 明細書作成研修(入社2~3年目研究員全員)
→発明奨励と明細書内製化
• アイデアコンテストでの審査(東西各1回)
→特許シード発掘
17
権利化と保護(出願後管理システム)
☞出願後~きめ細かにワークフローにて問い合
わせ
☞優先権管理、外国出願管理
☞公開前の特許網形成
☞PCT国際段階から国内移行段階までの管理
☞審査請求要否問い合せ
☞中間手続継続の要否(特に海外関係)
☞特許維持年金の支払い継続の要否
18
権利活用(1)
独占的分野を形成
新たな顧客を獲得
ライセンス収入
グローバルなライセンスで統制と情報入手
クロスライセンス(自由度拡大)
後発でも先発を制せる可能性がある
優先審査で特許を受けた後願技術への催告
19
権利活用(2)
商標の専用使用権を取得してサブライセンスし
商品の拡販に繋げた例
顧客と共同して権利取得
電話一本で実施をやめてもらった事例
アライアンスとオープンイノベーションのために
20
商標管理
• ストック商標優先使用の原則と定期的な
新商標の募集
• 調査願に基づく商標調査
• 新商標の出願・権利化
• 定期的な使用実態調査に基づく商標の
維持・管理
・ 商標のライセンス
• グループ会社商標管理のサポート
21
知財教育
<知財室員>
1)日本知的財産協会研修への参加(2~3コース/年)
2)顧問弁理士による月例指導
明細書作成、意見書対応、審判対応
3)月例勉強会(知財トピックス:輪番性)
4)外部知財交流会への積極的な参加
<研究開発部員>
1)新入社員研修での知財ルールガイダンス
2)明細書作成実施研修(入社2~3年目)
3)文献/特許情報検索手法ガイダンス
4)パテントマップ、パテントポートフォリオ発表会参画
22
外部表彰例
○油揚・がんもどき関連
1987近畿地方発明表彰 1988全国発明表彰。
○水溶性大豆多糖類関連
1999安藤百福記念賞(優秀賞) 2000地方発明表彰(特許庁
長官発明奨励賞) 2001全国発明表彰(日本商工会議所会
頭発明賞) 2006文部科学大臣賞 2008紫綬褒章
○植物性油脂を用いた発酵食品または素材
2006文部科学大臣賞(科学技術功労者)
○豆乳ヨーグルト
2004大阪工研協会「工業技術賞」 2009大阪府発明功績者
○知財功労賞(経済産業大臣表彰/特許活用優良企業)
2009年度
23
最後に
1.不二グループ知的財産管理の課題
グローバル知財活動体制の構築
海外研究所(シンガポール他)設立へ呼応する体制
・海外知財担当者の育成
・海外グループ会社職務発明規定の整備
2.行政への要望
①5大特許庁審査基準の統一
→ 海外知財の効率的権利取得
(早期審査制度の円滑な運用)
②食品第二用途クレームのグローバルな統一
機能性食品の権利化による加工食品メーカーの保護
以上
24