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九州のがんばる農山漁村の女性たち Vol.13
取材日:H26.11.13
有限会社 さくらじま旬彩館 代表取締役
なかしま
たかこ
中島 孝子 さん
〔プロフィール等〕
略歴
平成10年に桜島町農産加工グループに加入
し、16年「有限会社 さくらじま旬彩館」に
法人化後、18年から代表取締役に就任。
使用している主な
地域農産物
完熟桜島小みかん、青切桜島小みかん、桜島
大根、青ねぎ
販売場所
道の駅「火の島めぐみ館」、鹿児島市内のデ
パートや小売店
降灰により商品価値が下がった地元の農産物に新たな付加価値を付けた加工品の開
発や、地産地消レストランの運営で「桜島」をPRしている中島孝子さんの取組を
ご紹介します。
桜島の特産物に「付加価値」を付けてPRしています!
昭和55年「火山灰の被害で商品価値が下がった桜島の農産物をどうにかし
たい」という想いがきっかけで、みかん農家の方々による農産物加工の取組が
始まりました。市場に出荷できない農産物を高値で買い取り、付加価値を付け
て特産品として販売することに感銘を受けて、平成10年に桜島農産加工グ
ループに加入し、18年より「有限会社さくらじま旬彩館」の代表取締役に就
任しました。
これまで作っていた小みかんドレッシングの売上げが伸び悩んでいた頃、産
学官連携による新商品開発に取り組みました。機能性の成分分析を行った結果、
摘果時の小みかんには「フラボノイド」が多いことが判明し、「健康的なド
レッシング」をイメージし、桜島産の椿油を使用した「青きり小みかんドレッ
シング」が完成しました。桜島の自然と情熱から生まれた
ドレッシングは、かごしま県特産品コン
クールにて鹿児島市長賞等数多くの賞を
受賞し、農家の方からも感謝の言葉を頂
「小みかんジャム」は桜島
小みかんの風味と酸味がそ
きました。 ※摘果時の青い小みかんに多く含まれるヘスペリジン(フ
ラボノイドの一種)はコラーゲンの生成を促進します。
のまま生かされています。
∼小みかんの機能性を生かし、新商品開発へ∼
産学官連携による商品開発は小みかんの機能性を知ると同時に、食品
に対する考え方やノウハウも習得でき、その後の商品開発にもつながっ
ています。今年の夏にはストレートジュースを開発・販売し、小みかん
そのものの美味しさが好評で完売しました!
∼レストランでは、桜島の旬の野菜と加工品を提供中!∼
平成15年から運営しているレストラン「おふくろの味 旬」では旬の野菜
と加工品を使って、桜島が味わえるようなメニューの開発に取り組んでい
ます。忙しい時間帯には、厨房に加工品グループのメンバーが加わり、
チームワークで安全安心の手づくりメニューを提供しています。料理に用
いた「小みかんスパイス」や「麦みそ」などの加工品も併せてPRでき、
敷地内にある道の駅の販売促進にも繋げています!
左写真は人気メニューの「火の島御
前」。桜島大根の煮物や、桜島の冠
婚葬祭で提供される名物のかき揚げ
です。食材の味を生かした「おふく
ろの味」です。
後継者の育成はコミュニケーションから
メンバー25名が大切にしていることは「コミュニケー
ション」。1日2回のティータイムを設けて、お互いの状況
を知ることでチームワークができています。子育て中の若い
方には短時間勤務制度を取り入れたり、みかん農家の繁忙期
の時期には周りの人がフォローすることで、仕事の長期継続
が可能となり、若手育成もスムーズに進んでいます。小みか
んの加工が始まる年明けの繁忙期も笑顔で乗り切ります!
調理師の免許が役に立ちました!
結婚後、子供が小さい頃に調理師免許を取得しました。きっかけは「料理が好き」
という理由からでしたが、今では加工品の開発やレストランのメニュー発案に役立ち、
メンバーと協力して新商品や新メニューを作り上げています。桜島のPRに繋がれば
との思いで、娘からの「美味しいね!」の一言を励みに頑張っています。
これからがんばる農山漁村の女性たちへのメッセージ
∼コミュニケーションをとりながら
次世代へ伝えよう!∼
食べることは人間が生きていく上で一番大切な
ことです。郷土の料理や農作物は、自分達が教
わったことを次世代に伝えることで繋がっていき
ます。また、後継者の育成には研修期間を設ける
など「投資する時期」が必要だと感じています。
楽しくコミュニケーションをとりながら、ノウハ
ウを伝えていけたらと思っています。