肺動脈性肺高血圧症(PAH)の治療薬として効能追加

バイエル薬品株式会社
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News Release
バイエル薬品 「アデムパス®錠」
肺動脈性肺高血圧症(PAH)の治療薬として効能追加承認を取得
大阪、2015 年 2 月 20 日 – バイエル薬品株式会社(本社:大阪市、代表取締役社長:カーステン・
ブルン、以下バイエル薬品)は本日、「アデムパス®錠」(一般名:リオシグアト)について、肺動脈性肺
高血圧症(PAH)の治療薬として効能追加承認を取得しました。アデムパス錠は、NO非依存的な新しい
作用機序を持ち、さまざまな特性をもつPAH患者さんの治療に対して長期にわたり良好な結果を示して
います。アデムパス錠は、日本において、慢性血栓塞栓性肺高血圧症(CTEPH)とPAHに対する 2 つの
肺高血圧症(PH)に対して最初に承認された唯一の薬剤となります*1。リオシグアトの開発と販売は、
sGCモジュレーター領域における米国メルク社(米国とカナダ以外ではMSD、関連会社を含む)
との全世界での戦略的業務提携の一環です。
国立循環器病研究センター研究所 肺高血圧先端医療学研究部 部長 中西宣文先生は、「PAH は、
息切れ、倦怠感、失神などの症状を伴う希少な疾患で、未治療で放置した場合、致死的となる可能性
があります。また、患者さんの日常生活にも大きな影響を及ぼします。アデムパス錠の PAH への適応
拡大は私たち医師が待ち望んでいたものです。さらに、新たな作用機序を持つアデムパス錠が、
CTEPH のみならず PAH の患者さんにも使えるようになることで、多くの患者さんの症状改善が期待
できます。」と述べています。
バイエル ヘルスケア社経営委員会メンバーで、グローバル開発責任者のヨルグ・メラーは、
「リオシグアトは、PAH 患者さんを対象に単剤療法、あるいは PAH 治療に使用するエンドセ
リン受容体拮抗薬(ERA)又は経口のプロスタサイクリン誘導体との併用療法を受けている
PAH 患者さんを対象とした第Ⅲ相臨床試験である PATENT-1 試験において、臨床的に重要な複
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数の評価項目全体を通じて有意な有効性を示しました。リオシグアトは、PAH 患者さんにおい
て重要な新治療選択肢です。」と述べています。
日本において、PAH 治療薬としてのアデムパス錠の効能追加は、無作為化、二重盲検、プラセボ
対照、国際共同、第Ⅲ相試験である PATENT-1 試験の結果及び非盲検下で行われた PATENT-2 試
験の長期的データの結果に基づいて承認されました。両試験では、PAH 治療に対する経口薬アデ
ムパス錠の有効性及び安全性を評価しました。PATENT-1 試験の結果は、New England Journal of
Medicine(NEJM)誌 2013 年 7 月号に掲載されました。長期継続試験である PATENT-2 試験では、
PATENT-1 試験で有意に改善していた運動耐容能が、2 年間の観察期間中にさらに改善し、安全
性プロファイルについても良好であることが確認されました。
バイエル薬品では、2014 年 12 月に、日本ではじめての吸入型の肺血管拡張剤イロプロストについて
PAH の治療薬として製造販売承認申請を行いました。バイエル薬品は、今後も肺高血圧症に対し幅広い
治療の選択肢を提供することで、患者さんのさらなる QOL 向上に貢献してまいります。
*1: 2015 年 2 月 20 日現在
リオシグアトについて
リオシグアトは、可溶性グアニル酸シクラーゼ(sGC)刺激剤と呼ばれる新しいクラスの薬剤で、PH におけ
る重要な分子メカニズムをターゲットとした経口治療薬として、バイエルが発見・開発しました。リオシグアト
は様々な種類の PH に対する新規の治療薬として検討されています。sGC は心肺系にみられる酵素であ
り、一酸化窒素(NO)の受容体です。NO が sGC と結合すると、この酵素がシグナル分子である環状グア
ノシン一リン酸(cGMP)の合成を促します。cGMP は、血管拡張、増殖、線維化、炎症を調整する重要な
役割を担っています。
PH の病態では内皮機能不全、NO の合成障害を伴い、sGC への刺激が不十分になります。リオシグアト
には、NO-sGC 結合を安定化することにより、内因性 NO に対する sGC の反応性を高めるという独自の
作用機序があります。また、NO による刺激がない状況でも、異なる結合部位を介して sGC を直接刺激し
ます。リオシグアトは、 sGC の刺激剤として、NO-sGC-cGMP 経路を回復させ、cGMP の産生を増加させ
ることにより、NO の欠乏に対処します。
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リオシグアトはこうした新規の作用機序により、既存の PAH 治療薬に加えて治療の幅を広げる可能
性があると期待しています。また、外科的治療不適応又は外科的治療後に残存・再発した CTEPH
の患者さんにおいて臨床的有益性を示す初の治療薬となりました。リオシグアトが承認されるまで、
CTEPH 患者さんを対象として承認された薬物療法はありませんでした。
リオシグアトは、2013 年 10 月、米国において手術不適応のCTEPH、外科的治療後に持続・再発
がみられたCTEPH並びにPAHに対してアデムパス®の販売名で承認されました。日本においては、
2014 年 1 月、CTEPHを適応として承認されています。欧州及び米国では、希少疾病用医薬品指定
を受け、2014 年 3 月、欧州医薬品庁(EMA)によりCTEPH及びPAHの治療薬としてアデムパス®
錠の販売名で承認されました。
リオシグアトの開発と販売は、sGC モジュレーター領域における米国メルク社(関連子会社を含
む)との全世界での戦略的業務提携の一環です。米国メルク社(米国とカナダ以外では MSD)と
の世界規模の戦略的提携により、この領域をリードする 2 社が協力することとなりました。両社
はこの有望で新しいクラスの化合物と、患者さんの利益に向けた化合物の持つ可能性を十分に活
用する意志を表明します。承認を受け患者さんに使用可能となった初の sGC 刺激剤、リオシグア
トは、本提携の一環として生み出された最初の製品です。
肺高血圧症(PH)について
PH は、進行性で生命を脅かす深刻な心肺疾患であり、肺動脈圧が正常値よりも高くなり、右心不全や死
に至る場合があります。PH は運動能力を著しく低下させ、QOL を低下させます。PH の最も一般的な症
状は、息切れ、疲労、めまい、失神などであり、いずれも労作により悪化します。PH の症状は非特異的で
あるため、診断が遅れることは稀ではありません。わずか数ヶ月であっても治療開始の遅れは生命予後に
悪影響を及ぼすため、早期診断と正確な PH タイプの確認が非常に重要です。また、PH の専門医による
継続的な治療モニタリングや、PH のタイプと病期に適した治療が受けられるようにすることが極めて重要
になります。
PH には 5 種類あり、それぞれが患者さんに与える影響は異なります。個々の患者さんの PH の原因は異
なる可能性があるため、治療で最もよい成果を上げるために、患者さんは PH 専門医のいる施設で治療を
受ける必要があります。
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肺動脈性肺高血圧症(PAH)について
5 種類の PH のうちの 1 つである PAH は、血管収縮により肺動脈圧が大きく上昇し、右心不全や死に至
る可能性がある進行性の疾患です。PAH は、組織のリモデリング、血管収縮を引き起こす肺動脈内皮の
形態変化を特徴としています。こうした変化の結果として、肺の血管が収縮し、心臓が肺に血液を送り込
むことがより困難となります。PAH は希少な疾患であり、その患者数は 100 万人あたり 15~52 人と言われ、
男性よりも女性で発症率が高くなっています。多くの場合、PAH の原因は明らかではありませんが、遺伝
的な要因とも考えられています。
この 10 年にわたり、すでにいくつかの治療方法が提供されているにもかかわらず、PAH 患者さんの予後
は依然として不良であり、効果的な別の治療選択肢が必要とされています。PAH 患者さんの死亡率は現
在でも依然として高く、診断から 1 年で 15%、3 年で 32%となっています。
バイエル薬品株式会社
2015 年 2 月 20 日、大阪
Bayer Yakuhin, Ltd./Communications
バイエル薬品株式会社について
バイエル薬品株式会社は本社を大阪に置き、医療用医薬品、コンシューマーケア、ラジオロジー&インターベンショナル(画像診
断関連製品)、動物用薬品(コンパニオンアニマルおよび畜産用薬品)の4事業からなるヘルスケア企業です。医療用医薬品部
門では、循環器領域、腫瘍・血液領域、ウィメンズヘルスケア領域、眼科領域の4領域に注力しています。バイエル薬品は、
Science For A Better Life (よりよい暮らしのためのサイエンス)の企業スローガンのもと、技術革新と革新的な製品によって、日本
の患者さんの「満たされない願い」に応える先進医薬品企業を目指しています。
バイエル薬品ホームページ:http://www.bayer.co.jp/byl
将来予想に関する記述 (Forward-Looking Statements)
このニュースリリースには、バイエルグループもしくは各事業グループの経営陣による現在の試算および予測に基づく将来予想に
関する記述 (Forward-Looking Statements) が含まれています。さまざまな既知・未知のリスク、不確実性、その他の要因により、将
来の実績、財務状況、企業の動向または業績と、当文書における予測との間に大きな相違が生じることがあります。これらの要因
には、当社の Web サイト上(www.bayer.com)に公開されている報告書に説明されているものが含まれます。当社は、これらの将
来予想に関する記述を更新し、将来の出来事または情勢に適合させる責任を負いません。
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