③報告者:仲根建作氏 - 沖縄県社会福祉士会

ピアサポート活動におけるアドボカシー
沖縄県脊髄損傷者協会
沖縄県社会福祉士会
仲 根 建 作
事例説明
年齢性別:30代 女性
身体状況:頸髄損傷(C5・6)による四肢体幹機能障がいで、
ADL等ほぼ全介助。
経済状況:障害者基礎年金1級、生活保護
福祉サービス:身体障害者手帳1級
障害支援区分:5
利用サービス:訪問介護、訪問看護、生活介護、短期入所、移動
支援
生活概要:20代の時に交通事故による頸髄損傷。一人暮らし。週
間デイは、週3日ショートスティ利用し、4日は訪問系サービスを利用
している。
相談主訴:本人が自治体担当課に直接電話で通報。その後4か月
経過しているが、経過・現状の説明が無い。
訪問介護事業者による暴言等の心理的虐待と不適切なサービス提
供なので、間に入って私を支えてほしい。
■事例概要
訪問介護サービスで、ヘルパーの遅刻が常態化し、適正なサービ
ス対応を求めたところ「あなたは我儘、少しぐらいの遅刻は受け入れ
ほしい」と毎回のように”我慢は当たり前“を強要される。また、本人
からサービス適正化について計画相談員や自治体担当職員に訴え
ると、ヘルパーが直接、計画相談員や行政に個人情報をあることな
いこと情報漏えいし、心理的に虐待を受けたと訴え。
 通報を受けた自治体担当課によって、サービス提供事業者を即
座に変更したが、その後(4か月経過)について、計画相談員及
び自治体担当課から経過と対応について説明が無く、虐待とした
サービス事業者の謝罪がなかった。計画相談員からは「もう勘弁して
あげたら」とサービス事業者を擁護した発言があった。また、訴えた
サービス事業者からのサービス提供に伴う経費負担について、未払
いがあるとして、詳細不明な請求等のやり取りが心理的負担・不安
があるとして、本人からアドボカシーによる支援介入の依頼。

■緊急性の対応
自治体担当者は通報受理後に、通報されたサービス事業者
から別のサービス事業者に変更(翌日)が行われたが、その後
の、支払等での直接に虐待事業者と被虐待者が向き合う状況
は回避する必要がある。
上から目線の言葉
■要因
2年余の不適正サービス実態によって信頼関係が難しくなり、
崩れてきたところから、ヘルパーによる不適正サービスの受け入れ
強要が、心理的虐待となったケース。
さらに、虐待通報後の経過や不適正サービスに関係する請求
や領収書等のやり取りに対する支援者の悠長な対応が、不安・
不満の増強につながってしまった。
相談員及び自治体担当者による経過や現状についての説明
不足による不安、不信感の増幅
■考察
本人がサービス提供状況の自己管理ができていない。請求書、領収
書等の控え管理などの自己管理能力を高める支援ができていないこと
により、制度理解が浸透せず、不平、不満感が増す傾向になっていた。
・不適正サービスの苦情として、早期にサービス事業者は対策・解決に
向けた対応が必要であった。また、計画相談及び自治体担当者につい
てもサービス事業者に対して、苦情受付の体制整備について意見提言
する必要があった。
■検討課題
サービス提供者の人権意識の欠如
アドボカシー視点と利益相反(特に相談員)
アカンタビリティ(説明責任)とコンプライアンス(法令順守)
サービス適正化の体制(ヒヤリハットや苦情解決体制、第3者委員会
設置、第3者評価事業、オンブズマン活用)。
支援機関の連携や役割分担と終結のあり方
福祉サービス利用者の権利
 サービス利用までの手続き上の権利
でも、知的障がい、精神障
・情報の権利
がい、認知症だったら
選べる?
・意見表明する権利
苦情やNOを言える?
・選択(同意)の権利
 サービス水準・質にかかわる権利
成年後見、日常生活自立支
・適切なサービスを請求する権利
援事業の活用や外の方の関
わりからの可視化
・拘束・虐待からの自由の権利
・プライバーの権利
・個人の尊厳にかかわる呼称・性的羞恥心・肖像権
 財産管理の権利
 苦情解決・不服申し立てをめぐる権利
参考)谷川ひとみ・池田恵理子「ケアマネジャーのための権利擁護ガイド」中央法規2006
基本となる権利擁護(アドボカシー)
 アドボカシーは権利擁護の基本
▶ 利用者本人が自らの意志で表明するよう支援する
▶ 表明された意思の実現を権利として擁護していく
活動
「つらいことはつらい。嫌なことは嫌と言
える」
 全ての自己実現・決定(本人の意思)の権利を尊重し、支援すること
 生存のみでなく、その人らしい地域生活の実現を目指す
 しかし、権利実現はや行使は平等に実現は難しい。
その実現化のために、エンパワメントによる支援が必要となります。
例えば、支援会議を本人主体に(進行支援や協力感謝のあいさつ)
虐待防止のために
 徹底した人権意識向上を目指す
▶ヒヤリハットの従事者共有化
▶事例検討を定期化し、サービス利用者や障がい当事者又は外
部の専門職者を招き、評価、アドバイスを受ける
▶同性介助を目指す。
 風通しを良くし、可視化を目指す
▶民生委員やボランティア、地域住民等の外部協力者
▶おきなわふくしオンブスマン、成年後見制度等の活用
 苦情や利用者の声をサービス向上に活かし、共に高め合う
やっぱり、人権意識!
考えてほしい
虐待の7割が養護者
関係の修復、再生の
ための虐待者(加害)
ケアの仕組みが必要。