平成26年中における危険物施設の事故発生状況について(PDF

別紙 1
平成26年中における危険物施設の事故発生状況について
札幌市消防局
1 危険物施設の事故発生状況
平成26年中に発生した危険物施設の事故は43件で、前年の45件から2件減少しています。
給油取扱所で発生した事故が26件(約60%)と最も多く、一般取扱所で9件(約21%)、移動タンク
貯蔵所で6件(14%)
、その他の施設で2件発生しています。
施設区分別事故発生状況(単位:件)
一般取扱所
9
破損事故
23
43
給油取扱所
26
移動タンク貯蔵所
6
流出事故
3
地下タンク貯蔵所
屋外タンク貯蔵所
1
1
過去5年間における危険物施設の事故件数は下表のとおりです。
過去の事故発生件数は平均30件ほどでしたが、ここ数年は40件台まで増加しています。これは、
給油取扱所における破損事故が増加していることが要因となっています。
危険物施設の事故の推移(過去5年間)
件
数
50
45
40
35
30
25
20
15
10
5
0
42
29
45
43
29
平成22年
平成23年
平成24年
平成25年
平成26年
火災
0
0
1
1
1
流出
14
19
12
16
18
破損
14
23
15
28
24
その他
1
0
1
0
0
別紙 1
2 危険物施設の火災事故
平成26年中に発生した火災事故は1件で、一般取扱所において発生しています。
原因不明の火災により、屋外露出の通気管のポリエチレン被覆が溶融したものです。
3 危険物施設の流出事故
平成26年中に発生した流出事故は18件で、
前年の16件から2件増加しています。
流出事故18件のうち、約41%にあたる8
件が一般取扱所で発生しており、すべて燃料供
給施設(※)で発生しています。
また、危険物の流出量は約19,770リッ
トルで、前年の約12,580リットルから約
7,190リットル増加しています。
流出量が増加した原因として、地下埋設配管
からの流出により、発見が遅れたことが流出量
の増加につながったと考えられます。
※
施設区分別流出事故発生状況(単位:件)
1
8
1
取扱所 貯蔵所
11 18 7
屋外タンク貯蔵所
地下タンク貯蔵所
移動タンク貯蔵所
5
給油取扱所
一般取扱所
3
燃料供給施設とは、共同住宅などにおいて、地下貯蔵タンク等から中継タンク(中継タンクがない
施設もある。
)及び戸別タンクを経由して、各居室の暖房機器等に灯油を供給する施設形態のこと。
過去5年間の危険物の流出量(単位:リットル)
20000
19770
15000
12580
10000
5000
6390
7740
7160
0
平成22年 平成23年 平成24年 平成25年 平成26年
別紙 1
危険物施設の流出事故発生状況
施設区分
件数
屋外タンク貯蔵所
1
地下タンク貯蔵所
1
移動タンク貯蔵所
5
主な流出事故原因の概要
・配管と配管支持架台の接触部分にピンホールが生じ、当該部分から灯油
が流出
・重油を荷卸し中、過剰注入となったため、地下貯蔵タンクの通気管から
及びサービスタンクの通気管から重油が流出
・ポンプ起動時の誤操作により、移動貯蔵タンクの内圧が高まり、注入口
を開放したところ、灯油が防護枠内に流出
・地下貯蔵タンクへ荷卸し中、給油ホースが接続されていない吐出口が開
放されていたため、移動タンク貯蔵所の吐出口から軽油が流出(写真1)
・移動タンク貯蔵所が下り坂を曲がり切れずに道路脇の崖下に転落し、底
弁操作ハンドル付近から灯油及び軽油が流出した。
(写真2)
写真1:移動タンク貯蔵所の吐出口から流出
給油取扱所
3
一般取扱所
8
写真2:崖下に転落している状況
・地下貯蔵タンクからハイオクガソリンが流出
・給油を終えた顧客車両のタイヤハウス内にガソリンが流出しているの
を発見したもの
・顧客が給油ノズルを給油口に差し込んだまま車両を発進させたため、
給油ホースが破断し、ホース内のガソリンが流出
・燃料供給施設で、点検桝内の戻り管フランジの締め付けが不良であった
ため、灯油が点検桝内に流出し、下水管に流入(写真3)
・燃料供給施設で、地下埋設の送油管に腐食孔が生じ、周囲の土壌に灯油
が流出(写真4)
写真3:フランジ接続部分から流出
写真4:地下埋設配管の腐食孔から流出
別紙 1
4 危険物施設の破損事故
平成26年中に発生した破損事故は24件で、前年の28件から4件減少しています。
破損事故24件のうち、約96%にあたる23件が給油取扱所で発生しており、1件は移動タンク貯蔵所が
交通事故(玉突き事故)により破損した事故です。
給油取扱所で発生した事故の内訳は、営業用で21件、自家用で2件となっており、大半の事故が営業用で
発生している状況です。
施設区分別破損事故発生状況(単位:件)
移動タンク貯蔵所
1
フル
スタンド
10
給油取扱所
23
給油取扱所で発生した破損事故23件の内訳は、
顧客が運転する車両が固定給油設備等に衝突する
事故が16件、公道を走行する車両が進入し販売
室等に衝突する事故が3件、大型車両の荷台がキ
ャノピーに接触する事故が2件、顧客が給油ノズ
ルを差し込んだまま発進したことで給油ホースが
破損した事故が1件、駐車していた車両が自走し
注入口に衝突した事故が1件となっています。
また、給油取扱所で発生した破損事故の原因は、
車両を後退する際に後方確認を怠ったことなどの
操作確認不十分が13件、アクセルとブレーキを
間違えたことなどの誤操作が6件など、人的要因
により固定給油設備等に衝突する事故がほとんど
です。
公道を走行する車両が販売室に衝突した
自家用
2
セルフ
スタンド
11
給油取扱所における破損事故
発生要因(単位:件)
操作確認不十分13件
誤操作6件
監視不十分1件
20
人的要因
3
その他要因
0
交通事故3件
10
20
30
顧客の車両が固定給油設備に衝突した
別紙 1
5 事故防止対策について
⑴
流出事故
流出事故18件のうち、7件が地下貯蔵タンクや配管が腐食等劣化した
ことに起因する事故であり、流出量は約10,780リットル(流出量の
約55%)となっています。
日常点検などの日々の自主点検は、大きな事故につながる小さな異常を
見つけるために重要であり、自主点検を継続的に行うことは事故を防止す
るため、危険物施設の適正な維持管理のためにも不可欠なものです。例え
ば、地下貯蔵タンクや地下埋設配管など、目視では確認できない部分から
危険物が流出した場合、在庫管理や漏えい検査管による漏れの確認等の自
主点検を行っていることで、事故の早期発見につながり、被害を最小限に
食い止めることができます。
また、定期点検の実施が義務付けられている施設については、自主点検
では十分に確認できない部分を詳細に点検するためにも、確実に点検する
必要があります。
なお、流出事故を発見した際や、流出を疑う小さな異常を発見した際は、
早急に消防機関に通報してください。
※
札幌市のホームページには、危険物施設の日常点検記録表・定期点検記録表を掲載していますので、ダ
ウンロードのうえご利用ください。
アドレス:http://www.city.sapporo.jp/shobo/yobo/kikenbutsu/shisetsu/guide2.html
⑵
破損事故
破損事故24件のうち、20件が給油取扱所で発生した人的要因によるものです。給油取扱所の従業員、
施設の利用者、それぞれが注意を払えば事故を防ぐことができたものがほとんどだと思われます。給油取
扱所の従業員はもちろんのこと、施設の利用者もともに、事故防止に努める必要があります。
<給油取扱所>
・フルスタンドでは、従業員が誘導を行いましょう。
・セルフスタンドでは、しっかりと監視をしましょう。
・固定給油設備等の周囲や、販売室内に注意喚起の掲示を行いましょう。
<施設の利用者>
・給油取扱所内では必ず徐行しましょう。
・フルスタンドでは、従業員の誘導に従いましょう。
・セルフスタンドでは、停車位置が白線で示されていますので、それを目印にゆっくり車両を進
入させましょう。
6 札幌市消防局の取組み
⑴
危険物事故防止アクションプラン
札幌市消防局では、
「平成26年度危険物事故防止対策実施事
項」を策定し、危険物施設における事故の未然防止に取組んで
います。
⑵ 危険物安全週間の実施
毎年6月の第2週は、
「危険物安全週間」です。危険物施設の
立入検査の強化や保安研修会などを実施しています。
⑶ 移動タンク貯蔵所等の特別保安調査
冬期の繁忙期を控え、毎年10月1日から10月31日まで
を、
「移動タンク貯蔵所等指導強化月間」として、移動タンク貯
蔵所への立入検査を強化しています。
危険物安全週間の様子