資料2 滋賀県農業・水産業の現状と審議会等での主な意見 H27.2.12 農政課まとめ 農業・水産業の現状 第1回審議会の意見 【農業】 ○担い手 ・農業就業人口(販売農家)の減少(H12年:52,914人→H22年:29,472人)と高齢化の進行 (H17年:63.7歳→H22年:68.4歳) ・新規就農者数の増加(H23年~25年累計:338人)、集落営農法人の増加(H21年:76法人 →H25年:176法人) ・担い手(認定農業者、集落営農組織)へ農地集積は進みつつあるが、集積率は伸び悩ん でいる。(H21年:54%→H25年:58%) ・農業産出額が年々減少(H2年:1,004億円→H24年:665億円) ・米価の下落傾向(特にH26年産は急落)など生産物価格の低迷や生産コストの増大による 経営の悪化 【農業】 ○担い手 ・若い農業者と夢を共有しながら、3K(気持ちいい、かっこいい、稼げる)農業を実践してい きたい。 ・頑張っている若い農業者たちに思いきり元気に活動してもらえればと思っている。 ・若い人は調理の手間の省ける惣菜へのニーズが高いことから、今後は地場の野菜で惣菜 を作って売れる場所を建てていきたいと考えている。 【農業】 ○担い手 ・農業が、主婦層、子育て世代の自立のための仕 事になればいい。農業は食と、食は子育てに関わ る。これから働きたいというニーズはあると思う。 ○米・麦・大豆 ・水稲の高温障害による品質の低下(1等米比率:約66%(H16~25年10年平均)、全国平均 77%) ・麦・大豆の品質・収量が不安定。.小麦では、単収が上がらず需要量に対して生産量が不 足している。 ・米の消費量が減少する中、平成30年産米から行政による米の生産数量目標配分が廃止 され、需給調整の姿が不明確 ○米・麦・大豆 ・今の米価では厳しい部分もあり、野菜の作付け拡大に積極的に取り組んでいる。 ・「みずかがみ」は作期が若干早すぎると思うので、乾田直播により作期を遅らせ、安定した 収量を目指して取り組みたい ・「みずかがみ」の流通は、JAに流すという前提の中で作付け拡大されている。自分で売り たいと思っている農家には取り組みにくい品種になってしまっているのではないか。 【生産全般】 ・平場では生産物の販売を戦略的に考えなければ いけない。条件不利地域の場合は、平場とは違っ た固有の価値を付けた売り方を考えないといけな い。 ○野菜・果樹・花・茶 ・販売用野菜の作付面積はやや増加しているものの、野菜、果樹、花といった園芸作物の 生産量が少ない(H24年産出額:野菜45位、花き43位、果樹:47位) ・茶は高品質のかぶせ茶が増加しているが(H21年:53t→H25年:83t)、茶生産量全体は横 ばい。 ○野菜・果樹・花・茶 ・今の米価では厳しい部分もあり、野菜の作付け拡大に積極的に取り組んでいる。(再掲) ・かぶせ茶の品質が良くても、若い人はこうしたお茶を飲んでくれない。いくら生産力を高め ても、消費につながらないので不安を感じる。もっと消費してもらうためのPRが必要。 ○畜産 ・全国的な子牛不足による価格の高騰、飼料費の上昇による畜産経営の悪化 ・近江牛の飼養頭数の伸び悩み。(H21年:11,361頭→H25年:11,945頭) ○畜産 ・輸入飼料の価格の変動に影響されないよう、国産の飼料で近江牛を飼養し、今後は滋賀 県の飼料を使って近江牛を作り、滋賀県生まれの牛を育てるプランを考えている。 ・霜降りが多いから良いという時代は終わっていると思っており、飼養頭数を増やすことも大 切だが、近江牛とは何なのか、見直す時期に来ているのではないか。 ○生産基盤 ・優良な農地である農用地区域内の農地面積が減少(H21年:50,790ha→H24年:50,627ha) ・耕作放棄地面積の増加(H12年:1,720ha→H22年:2,073ha) ・農業用水利施設の多くは、古くから整備が進んで耐用年数を超えつつあり、老朽化が進行 (機能保全計画を策定した基幹水路施設:H21年:196箇所→H25年:440箇所) ・担い手への農地集積に伴う地域ぐるみによる水路、農道等の適切な保全体制の脆弱化 ・農業構造の変化等に伴う土地改良区の弱体化 ○生産基盤 ・集落の大半の農地を預かっている中で、集落の中の農村まるごと保全向上対策や、農地 中間管理機構とどう関わっていくかが課題である。 ・東日本大震災の後、電気代が高騰し、米価の下落もあって、土地改良区の運営が厳しい。 【水産】 ・琵琶湖漁業の漁業経営体数の減少(H10年:809経営体→H20年:592経営体)。 ・魚種によっては漁獲量が回復傾向(ニゴロブナ:H20年:39t→H24年:48t、ホンモロコ:H20 年:10t→H24年:14t)にあるものの、琵琶湖漁業全体の漁獲量は年々減少(H20年:1,368t →H24年:959t) 【水産】 ・シーフードショー(水産物)に出展した経験では、マーケットは関東と感じている。 ・琵琶湖の魚についても今の人たちは食べ方を知らないため、生産者が店に立って販売員 を育て、売ってもらうまで持っていかなければと思っている。 欠席委員の意見(審議会の意見と重複は除く) 農業・水産業の現状 第1回審議会の意見 欠席委員の意見(審議会の意見と重複は除く) 【消費】 ・「おいしが うれしが」キャンペーンの推進など地産地消の取組が進む(登録店舗の拡大 H21年:596店→H25年:1,180店)。 ・近江米、近江牛、近江の茶、湖魚について県産農畜水産物の主要品目として県外に発信 し、ブランド化を推進しているが、近江米は近畿以外で、近江の茶、湖魚は、滋賀県以外で 認知度が低い。 ・県内卸売市場の県産野菜の入荷率は、生産量が伸びないこともあり、低迷(H19年:24.9% →H23年:25.6%) ・環境こだわり農産物の認知度の伸び悩み ・「秋の詩」など県独自品種の作付割合の減少(H21年:15%→H25年:14%) ・GAP取組組織は増加しているが。(H21年:51組織→H25年:126組織) 【消費】 ・滋賀県は情報発信力が弱いのではないか。どんどん滋賀県に来てもらい、県の良さや味 のファンを作っていけば良いのではないか。 ・物流の発達により北海道、東北の方々と関西で競争するという時代となっており、待ってい ては売れない。県外に出向くと滋賀県のイメージは良く、バイヤーにも聞く耳を持ってもらえ る。 ・シーフードショー(水産物)に出展した経験では、マーケットは関東と感じている。(再掲) ・生産者も人任せにしないで、直接販売やインターネットを活用する等工夫が必要。 ・若い人たちに野菜の食べ方や農産物の加工品の味を分かってもらえない。また、かぶせ 茶の品質が良くても、若い人はこうしたお茶を飲んでくれない。いくら生産力を高めても、消 費につながらないので不安を感じる。もっと消費してもらうためのPRが必要。(再掲) ・琵琶湖の魚についても今の人たちは食べ方を知らないため、生産者が店に立って販売員 を育て、売ってもらうまで持っていかなければと思っている。(再掲) ・実演販売でおいしいと思ってくれる若い人もたくさんいるので、そういうパフォーマンスも必 要であり、消費者を育てていくことも必要。 ・若い人は調理の手間の省ける惣菜へのニーズが高いことから、今後は地場の野菜で惣菜 を作って売れる場所を建てていきたいと考えている。(再掲) 【消費】 ・消費者に対して、加工製法など、もっと情報開示 すべき。正確な情報を伝え、値段の理由、加工方 法、栽培・飼育・漁法の苦労などを伝え、納得して 買ってもらわないといけない。 ・希少野菜は量販店で扱うものではなく、より付加 価値の高いところに出荷して生産者の方に儲けて もらうのが良い。 ・地産地消に関しては、競争とは別に、流通業界の 中で誰かが船頭となって、地元の物をきちっと扱お うとしていくことが大事。 ・平場では生産物の販売を戦略的に考えなければ いけない。条件不利地域の場合は、平場とは違っ た固有の価値を付けた売り方を考えないといけな い。(再掲) 【農山漁村】 ・集落内の寄り合い回数は、年間平均17.8回と全国で最も多く、集落機能の高さが特徴。 ・一方で、農家数の減少(土地持ち非農家の増加)、高齢化の進行により、集落機能の低下 が懸念される。 ・特に、中山間地域など生産条件の不利な地域では過疎化や高齢化の進行により、農業生 産活動の継続だけでなく、集落共同活動が困難に。 ・野生獣による農作物の被害額は減少しているものの依然高い水準にある(H24年:347百 万円→H25年:227百万円)。 ・農家民宿や体験活動など都市農村交流は活発になっている。(農家民宿開業数H21年:9 件→H25年:66件) ・農山漁村地域は、県土の保全、水源の涵養、自然環境の保全、文化の伝承、保健休養な どの多面的機能を持つ。 【農山漁村】 ・地域を元気にしようと、また、地元の人が地元の物を消費するようなところにと、古民家を 利用して地元で採れた野菜を使い農家レストランをしている。 ・中山間地にある村を消滅させてはいけない。あぜや水の管理も大切で、今、農村を守るべ きは私たちであり、そういうことが少しでも反映される次の施策を要望する。 ・地域内で協力し、地域力をつけていくことが重要であり、農業者、漁業者の知恵を上手く生 かし合いながら、お互いが刺激し合い向上していくことが必要。 ・農業を通して文化を大切にしながら、農村文化や食文化を子供たちにつなげていくことや、 地域から全国に発信していくことも大切と考えている。 ・琵琶湖や山を活かした滋賀県独自の生活空間としての農業の視点があれば良い。経済的 指標以外に生活空間、生活としての農といった視点の評価指標があれば、滋賀らしさが出 せるのではないか。 【農山漁村】 ・地域コミュニティで農業の支援者を作らないと生産 で頑張っている方が脱落してしまう。 ・人の健康問題は食と密接にかかわる。食品、食生 活、住環境、地域の環境、コミュニティのあり方など を重視していく必要。農業と医療分野との連携の可 能性があるのではないか。 【環境保全】 ・水稲の環境こだわり農産物の栽培面積の伸び悩み。(H21年:33%→H25年:39%) ・環境こだわり農業や流域単位での農業排水対策に取り組む(H21年:14,978ha→H25年: 16,145ha)ものの、代かき・田植期の河川の透視度は近年横ばい状況 ・家畜ふん堆肥の利用率の伸び悩み(H21年:64%→H25年:66%) ・水産有害生物駆除の実施により、外来魚の生息量は減少(H20年:1,400t→H24年: 1,295t) 【環境保全】 ・川の水が切れないようにすることと、農業排水対策には引き続き取り組んでほしい。 ・琵琶湖の水草のたい肥化について、以前、肥料として使われていたように、集落営農をし ている集落では使うことが可能ではないか。 【環境保全】 ・耕作放棄地も3年たてば有機農業に取り組めるほ 場になるのでは。水草は、肥料分が多くて、有用堆 肥として活用できる可能性がある。家畜ふん堆肥も 利用したいが近くにない。こういった課題を繋げるこ とで解決できるものもあるのでは。 【全般】 ・湖西、湖南、湖東、湖北の農業を取り巻く環境が違い、個性があるので、それに合った指 導や取組が必要である。 ・農協は組合員組織として農業者の所得向上を目標としているが、組合員はさまざまで、幅 広いニーズにどのように対応していくのかが課題。 ・滋賀県農業はしばしば日本農業の縮図であるといわれる。中山間地域があって、小規模 農家が多い一方で大規模農家もあるほか、米農家が多いが畜産や野菜農家もある。滋賀 県農業を考えることは、日本の農業全体について考えることにつながる。 ・農業の問題は、地産地消と東京での販売、集落営農組織と認定農業者・法人経営者、文 化と儲け、農協販売と直売というように、対立軸や矛盾点が存在する。 ・短絡的に小規模農家や農協は不要、中山間地はやめて平地で農業をやれば良いといっ た人もいるが、問題はそのような単純なものではないと考える。 【全般】 ・地域を守る視点、成長産業に乗るための視点、こ の2つの視点をどうマトリックスで議論するのか、優 先順位をどうするのか、検討することが必要。
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