資料4-5 省エネポテンシャルとコストの関係について(PDF

資料4-5
省エネポテンシャルとコストの関係について
平成27年2月17日
資源エネルギー庁
省エネルギー対策課
費用対効果の観点から見た省エネポテンシャル
 我が国において徹底した省エネを実現するためには、どれくらいのコストをかけると、エネルギー効率をど
の程度改善できるかといった費用対効果の観点が重要である。
 省エネ対策を限界削減費用※で評価すると、単純に下の図のように大きく3つに分類することが可能。
※限界削減費用:追加的にエネルギー消費量を削減するために要する費用(円/万kl)
 省エネ対策の費用対効果を一定の整理に基づき評価した上で、費用対効果の水準に応じて、講じるべき
施策について検討することが可能。ただし、費用と効果を定量的に算出するにはいくつかの留意点が存
在する。(後掲)
自立的な普及が相当難しい対策
i.
限界削減費用 円/万kL
• 耐用年数での投資回収が困難
• 普及の初期段階のためイニシャルコスト低減、効率向上が課題であり、技術開発
や量産効果による後押しが必要
条件によっては投資回収が可能なため実施される可能性がある対策
ii.
• 運用方法等によっては投資回収が可能
• 導入事例等の増加により、運用方法の確立、知名度向上が必要
省エネ効果 万kL
iii.
自然体で導入が進むと想定される対策
• 投資回収が可能であり、経済合理性の観点からは自立的に普及が進むと想定さ
れる(だが実際には進んでいない)
• 実施を阻害している要因となる「省エネバリア」を分析し、適切な施策を講じる必要
※省エネバリアの例:情報不足、動機の分断、限定合理性、資金調達力、隠れた
費用、リスク 等
1
省エネ補助金の省エネ費用対効果
 省エネ補助金の採択案件の費用対効果は、投資額1億円あたり1,100~2,400キロリットル
程度。
 これらの投資は省エネ補助金による支援がなければ、行われていなかった可能性が高い。
 従って、省エネ補助金において採択されている案件は、『条件によっては投資回収が可能なた
め実施される可能性がある対策』に該当すると考えられる。
(kL/億円)
省エネ費用対効果(kL/億円)
3,000
2,500
(二次エネルギーベース)
新規採択案件の費用対効果推移
2,405
2,000
1,762
1,500
1,116
1,000
500
0
H25補正
International Workshop
※費用対効果:毎年の省エネ効果(計画値)×法定耐用年数分/投資額(補助対象経費)
H25
H26
※平成25年度、平成25年度補正、平成26年度における新規採択案件計3,863件の交付実績、投資総額836億円
for challenge to use
ISO 50001 Energy management system
2
業種別に見た省エネポテンシャルとコスト①
大分類業種別費用対効果(kL/億円)
(kL/億円)
3,000
2,500
(二次エネルギーベース)
2,285
2,000
1,725
1,474
1,211
1,000
852
798
783
671
620
614
609
591
543
500
393
388
公務(他に分類されないもの)
1,337 1,301
建設業
1,500
教育,学習支援業
学術研究,専門・技術サービス業
金融業,保険業
不動産業,物品賃貸業
運輸業,郵便業
情報通信業
宿泊業,飲食サービス業
複合サービス事業
医療,福祉
サービス業(他に分類されないもの)
生活関連サービス業,娯楽業
農業,林業
電気・ガス・熱供給・水道業
卸売業,小売業
製造業
0
平成25年度、平成25年度補正、平成26年度の補助金実績平均値
3
業種別に見た省エネポテンシャルとコスト②
製造業中分類業種別費用対効果(kL/億円)
(kL/億円)
5,000
4,000
(二次エネルギーベース)
3,783
3,245
2,950
3,000
2,839 2,645 2,543
2,139 2,084
2,027
2,000
1,887
1,770
1,472 1,436
1,339 1,329 1,289 1,284 1,279
1,187
1,064
1,000
933 925 907
318
平成25年度、平成25年度補正、平成26年度の補助金実績平均値
情報通信機械器具製造業
プラスチック製品製造業(別掲を除く)
繊維工業
非鉄金属製造業
電気機械器具製造業
家具・装備品製造業
印刷・同関連業
飲料・たばこ・飼料製造業
食料品製造業
金属製品製造業
その他の製造業
業務用機械器具製造業
生産用機械器具製造業
なめし革・同製品・毛皮製造業
輸送用機械器具製造業
電子部品・デバイス・電子回路製造業
ゴム製品製造業
木材・木製品製造業(家具を除く)
はん用機械器具製造業
化学工業
石油製品・石炭製品製造業
窯業・土石製品製造業
パルプ・紙・紙加工品製造業
鉄鋼業
0
4
規模別に見た省エネポテンシャルとコスト
設備投資1億円あたりで得られる省エネ効果
原油換算で1kLの省エネに係る費用
(kL/億円)(二次エネルギーベース)
(kL/億円)
3,000
(円/kL)(二次エネルギーベース)
(円/kL)
70000
2,715
60000
2,500
58870
51261
1,951
2,000
1,699
50000
36837
40000
1,500
30000
1,000
20000
500
10000
0
0
中小企業
大企業等
平均値
中小企業
大企業等
平均値
平成25年度、平成25年度補正、平成26年度の補助金実績平均値
5
導入設備別に見た省エネポテンシャルとコスト
導入設備別費用対効果(kL/億円)
(二次エネルギーベース)
kl/億円
1,800
1,600
1,592
1,536
1,400
1,200
961
1,000
905
736
800
600
400
200
0
照明
International Workshop
空調
圧縮機
搬送・輸送
その他
for challenge to use ISO平成25年度、平成25年度補正、平成26年度の補助金実績平均値
50001 Energy management system
6
費用対効果に関する検証
考え方の整理
 費用対効果を分析するうえで、考慮すべき留意点および今回の考え方は以下のとおり。
 今回の試算は結果は一定の前提を置いたうえでのものであり、需要家の行動が必ずしも結果と一致する
わけではない点に留意が必要。
留意点
概要
今回の考え方
需要家が適切な情報を適宜得られ、かつ資金調達の
不安等もない場合を想定
②費用の範囲
情報不足や資金調達力等により実際の費用対効果を
需要家が適切に判断できず投資に至らない場合があ
る
機器のイニシャル、ランニングだけでなく意思決定に
係る隠れた費用やインフラ費用などが存在
③効果の範囲
省エネにより得られる効果・便益は光熱費削減だけで
なくNEB注なども存在
光熱費のみを対象として算出
(NEB(Non Energy Benefit)は評価対象としない)
法定耐用年数を対象年数とし割引率は考慮しない
⑤コスト・効率の見込み
実使用年数や法定耐用年数を対象年数とする場合
以外にも、需要家の投資回収年数を一律に定める場
合も
技術のコスト低減、効率改善の見込みをどのように織
り込むか
⑥社会費用か政策費用か
政府が負担する政策費用で評価するか、機器導入に
係る需要家が負担する社会費用で評価するか
社会費用で評価
①省エネバリア
④評価する期間
機器本体のイニシャルコストおよび定量化できるラン
ニングコストのみ算出
技術ロードマップ等で定められた効率改善、コスト低
減が見込まれるものとして算出
7
費用対効果に関する留意点
省エネバリア
 各対策の費用対効果の評価結果は、費用および効果の定義によって変わりうる。
 このため、一見、費用対効果が高く、経済合理性の観点から自然体で導入が進む水準と評価されるよう
な対策(1ページ目の「 ⅲ 自然体で導入が進むと想定される対策」 )であっても、下表に示すような省エ
ネバリアの存在により、実施されないケースが存在。
 具体的な施策を検討していく上では、こうした省エネバリアも踏まえて各対策の費用対効果を評価するこ
とが必要だが、単純に定量化することはできない。
省エネ対策の普及を阻害するバリアの例
省エネバリア
概要
① 情報不足
省エネ機会に関する情報欠如により、経済性に優れた機会が見過ごされる可能性がある。
② 動機の分断
導入者が省エネ対策の便益を享受できないと省エネ機会が無視される可能性がある。
③ 限定合理性
時間、情報的処理能力の限界により、正しい意思決定が行われず省エネ機会が無視される可能性があ
る。
④ 資金調達力
内部資金が不足し、外部資金調達が困難な場合、投資が停滞する可能性がある。
⑤ 隠れた費用
省エネ対策に関する情報探索や交渉等の取引にかかる費用等の存在により、省エネ対策の導入を妨
げる可能性がある。
⑥ リスク
新たな技術への信頼性が低い等の理由により、省エネ投資のリスクが高く評価される可能性がある。
出所)電力中央研究所「省エネルギー政策理論のレビュー –省エネルギーの「ギャップ」と「バリア」‐ 」
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