2015年2月 円安がもたらす日本向け投資の拡大

円安がもたらす日本向け投資の拡大
シンガポール駐在員事務所
佐藤
円安進み日本買い
海外資金、不動産に 1 兆円
憲彦
などの言葉が新聞紙上を賑わしてい
ます。2014 年の海外企業による日本の不動産取得額は、1 兆円近くと、前年の 3 倍に増え
過去最高となったそうです。円安による投資負担の軽減、日本企業の業績改善や 2020 年東
京オリンピック開催による地価、オフィス賃料の上昇を見込んだ動きとなっているようで
す。
2014 年のシンガポールと日本の 2 国間投資も大きく増加し、M&Aの総取引額は 30 億米
ドルを上回り、2013 年の 15 倍以上に跳ね上がりました。その大部分の 27 億米ドルは、シ
ンガポールから日本へのM&A投資が占めています。なかでも不動産投資が活発で、主な
ものは以下のようなものがあります。

シンガポール政府公社による「パシフィックセンチュリープレイス丸の内」買収

シティ・デベロップメンツ(CDL)と米投資会社による「腕時計大手セイコー
ホールディングスの創業者旧邸宅」買収
その他にも、大手サービスアパート運営会社や不動産投資信託運営会社などによるホテル
やサービスアパートの買収・開発が続々と発表されています。
こうした動きは、大手企業による不動産案件に止まらず、介護、物流、観光などの分野
でも活発化してきています。また、民間個人レベルでも広がりをみせており、休日のシン
ガポールのホテルでは、日本のマンション物件を対象とした不動産投資セミナーが頻繁に
開催されており、高い成約率となっているようです。
また、昨今の円安は、日本向け投資の拡大だけではなく、製造業の国内回帰の動きも加
速させています。パナソニック、シャープ、キャノンなどは、日本市場向け家電の生産の
一部を海外から国内に戻すことを発表しています。
円安により
日本から海外へ
海外から日本へ
のビジネス展開は、何れも新たな局面
を迎えてきていると言えるでしょう。
(2015 年 2 月)