円安がもたらす日本向け投資の拡大 シンガポール駐在員事務所 佐藤 円安進み日本買い 海外資金、不動産に 1 兆円 憲彦 などの言葉が新聞紙上を賑わしてい ます。2014 年の海外企業による日本の不動産取得額は、1 兆円近くと、前年の 3 倍に増え 過去最高となったそうです。円安による投資負担の軽減、日本企業の業績改善や 2020 年東 京オリンピック開催による地価、オフィス賃料の上昇を見込んだ動きとなっているようで す。 2014 年のシンガポールと日本の 2 国間投資も大きく増加し、M&Aの総取引額は 30 億米 ドルを上回り、2013 年の 15 倍以上に跳ね上がりました。その大部分の 27 億米ドルは、シ ンガポールから日本へのM&A投資が占めています。なかでも不動産投資が活発で、主な ものは以下のようなものがあります。 シンガポール政府公社による「パシフィックセンチュリープレイス丸の内」買収 シティ・デベロップメンツ(CDL)と米投資会社による「腕時計大手セイコー ホールディングスの創業者旧邸宅」買収 その他にも、大手サービスアパート運営会社や不動産投資信託運営会社などによるホテル やサービスアパートの買収・開発が続々と発表されています。 こうした動きは、大手企業による不動産案件に止まらず、介護、物流、観光などの分野 でも活発化してきています。また、民間個人レベルでも広がりをみせており、休日のシン ガポールのホテルでは、日本のマンション物件を対象とした不動産投資セミナーが頻繁に 開催されており、高い成約率となっているようです。 また、昨今の円安は、日本向け投資の拡大だけではなく、製造業の国内回帰の動きも加 速させています。パナソニック、シャープ、キャノンなどは、日本市場向け家電の生産の 一部を海外から国内に戻すことを発表しています。 円安により 日本から海外へ 海外から日本へ のビジネス展開は、何れも新たな局面 を迎えてきていると言えるでしょう。 (2015 年 2 月)
© Copyright 2025 ExpyDoc