魚 類 造 血 機 構 の 解 明

魚病研究 Fi
shPat
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3)
,00–00,2014.9
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平成25年度日本魚病学会研究奨励賞
識鴫鴫鴫鴫鴫鴫鴫鴫鴫鴫鴫鴫鴫鴫鴫鴫鴫鴫鴫鴫鴫鴫鴫鴫鴫鴫鴫鴫鴫鴫鴫鴫鴫鴫鴫竺
魚 類 造 血 機 構 の 解 明
森友忠昭*
日本大学生物資源科学部獣医学科比較免疫学研究室
要旨─哺乳類では,すべての血球は骨髄中の“造血幹細胞”から“造血前駆細胞”を経てつくられ,そ
の過程は様々な造血因子などにより複雑に制御されることがわかっている。一方,魚類の主要な造血部
位である腎臓中の造血幹/前駆細胞やそれらに働く造血因子などの情報は少ない,そこで我々は魚類造
血機構の解明を目的として,クローンギンブナを用いた造血細胞の移植実験を行うことで造血幹細胞の
存在を調べたり,Si
depopul
at
i
on分離法にて魚類造血幹細胞の分離を試みたり,また,半固形培地を用
いた造血細胞の培養などで,これら造血幹/前駆細胞の同定やそれに働く造血因子を調べた。
キーワード:魚類,造血幹細胞,造血前駆細胞,造血因子
はじめに─脊椎動物の血球組成は保存されている─
魚類の造血部位─なぜ真骨魚類の造血は腎臓おこるのか─
脊椎動物の血液細胞(血球)は,赤血球・栓球・顆粒
基本的な血球組成は脊椎動物間で保存されているが,
球・単球・リンパ球から構成され,これら血球の機能・
造血部位は大きく異なる。例えば陸生脊椎動物(哺乳類,
形態は脊椎動物間で比較的良く保存されている(Fi
g.1)。
鳥類など)の造血部位は骨髄であるが,多くの真骨魚類
しかし,異なる部分もある。例えば,哺乳類の赤血球や
の造血部位は腎臓である。また,軟骨魚類であるサメで
栓球(血小板)は無核であるのに対して,それ以外の脊
は生殖腺に付随するエピゴナル器官や食道付近のライ
椎動物(鳥類・爬虫類・両生類・魚類)の赤血球や栓球
ディヒ器官などで造血が行われる。また,半水生のアフ
は有核である。また,哺乳類や鳥類の顆粒球は,顆粒の
リカツメガエル成体では肝臓が造血部位であり
染色性から好中球(好異球),好酸球,好塩基球の 3種類
(NogawaKos
ak
aetal
.
,20
1
1),さらに,哺乳類でも胎生
に分けられるが,魚類では,魚種により異なる。例えば,
期の一時期に,肝臓造血がおこる。これらのことは脊椎
コイやフグでは好中球のほか好塩基球様細胞も認められ
動物の造血部位として決まった器官は無く,本来多様で
るが,ニジマス・アユ・ウナギではほとんど好中球様細
あることを意味する。このような観点からすると,真骨
胞しか観察されない(SuzukiandI
i
da,1992;中村・菊
魚類の造血部位が腎臓であってもなんの違和感も無い。
池,200
1)。しかし,いずれの種においても初期生体防御
Fi
g.2は,ギンブナ(幼魚)の組織標本を示す。コイ
に重要な「炎症部位に早期に現れ,貪食・殺菌を行う」
科魚類の腎臓は鰾の形に沿うように,頭腎と体腎に分か
好中球様の細胞は存在する(椎橋・飯田,2003)。また,
れ,頭腎中には哺乳類の副腎組織に相当する内分泌組織
哺乳類のリンパ球は T細胞・B細胞・NK細胞等に分けら
が,そして,体腎には尿細管や糸球体などの泌尿器系組
れるが,魚類でも同様の細胞が存在することが知られて
織が観察されるが,スタンプ標本を作製してみると,幼
いる(Nak
ani
s
hietal
.
,20
1
1)。これらのことは,脊椎動
若赤血球や幼若好中球など分化途中の各種幼若血球が多
物において基本的な血球組成は共通であり,さらに,免
数観察され,共に造血部位であることがわかる(Fi
g.3)。
疫機構も良く似ていることを意味する。
また,哺乳類の主要な造血部位である骨髄造血組織は魚
類には存在せず,真骨魚の腎臓は哺乳類の骨髄と相同の
器官と考えられる。
*連絡者
Emai
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omo.
t
adaaki
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honu.
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j
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〒252–0880 神奈川県藤沢市亀井野1866
日本大学生物資源科学部獣医学科比較免疫学研究室
英語タイトル:St
udi
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shhemat
opoi
et
i
cs
y
st
em
魚類の造血幹細胞の存在証明
哺乳類骨髄中には血球の基となる造血幹細胞が存在し,
生涯に亘ってすべての種類の血液を供給し続ける。この
2
森友忠昭
Fi
g.1
.
脊椎動物の血球組成:イヌ,ウズラ,コイの血球は,それぞれ赤血球・栓球・顆粒球・単球・リンパ球より構成されている。
Fi
g.2.
ギンブナ幼魚の造血・リンパ組織。
造血幹細胞の存在は,1960年代に行われた骨髄移植実験
クローンギンブナに着目した。クローンギンブナは 3倍
により証明された。すなわち,マウスに致死量の放射線
体(3n≒150)のメスしか存在せず,単為生殖で子孫を
を照射すると骨髄が破壊され,貧血により死亡する。し
残す。そのため,ある母親から生まれた魚はすべて母親
かし,このマウスに MHCが一致する同系等のマウスより
と同じ遺伝形質を持つ。日本には多系統のクローンギン
得た,骨髄細胞を移植すると,多分化能と長期造血能
ブナが存在するが,その中には諏訪湖産クローンギンブ
(自己複製能)を持った造血幹細胞が定着し,造血が再構
ナ(S3N系統)のように,卵を近縁のキンギョ精子で受
築されるため,マウスは生き延びることができる。この
精させると,4倍体雑種をつくるものが存在する(Fi
g.
MHCが一致した個体間の移植実験は,現在もなお造血幹
4)。この 4倍体雑種は 3組のギンブナ染色体と 1組のキ
細胞の存在を証明する唯一の方法とされている。
ンギョ染色体を持つため,3倍体クローンギンブナ(ド
哺乳類と同様に魚類造血幹細胞の証明にも,MHCが一
ナー)の細胞を 4倍体雑種(レシピエント)に移植した
致した個体間での移植実験が必要である。そこで我々は
場合,拒絶反応は起こらず生着する。さらに,染色体数
魚類造血機構の解明
3
の違い(DNA含量の違い)を利用して移植後のドナー細
胞を容易に識別し,追跡することも可能である(Fi
g.5)
(Mor
i
t
omoetal
.
,2004)。
我々は,このギンブナ移植実験系を用いて魚類造血幹
細胞の存在証明を行った。すなわち,3倍体クローンか
ら腎臓造血細胞を分離し,これら細胞を 4倍体雑種に移
植した(Fi
g.6)。その後,経時的に採血し,血球を DNA
結合性の蛍光色素(Pr
opi
di
um i
odi
de,Hoechst
33342
等)で染色後,フローサイトメトリーにより解析した。
その結果,移植前のレシピエント赤血球はすべて 4倍体
であったのに対して,3ヶ月後にはドナー由来の 3倍体
赤血球が認められ,12ヶ月後には約半数の血球がドナー
由来となった(Fi
g.7)。また,同様に白血球も解析した
ところ,1年以上にわたり,ドナー由来のすべての白血
球が観察された(Fi
g.8)。このように,移植を受けた 4
倍体血中には,3倍体由来のすべての種類の血球が 1年
以上に亘って観察され,移植された腎臓造血細胞中に多
分化能と長期造血能をもった造血幹細胞が存在すること
がわかった(Kobay
as
hietal
.
,2006)。
以上のように,哺乳類の骨髄と同様に,魚類の腎臓中
にも造血幹細胞が存在することが示された。
魚類造血幹細胞の分離─腎臓 SP細胞の分離─
上記の移植実験により,我々は真骨魚類の腎臓中に造
Fi
g.3.
ギンブナ頭腎または体腎のスタンプ標本:緑矢印は赤血
球系幼若細胞を,青矢印は好中球系幼若細胞を示す。
MayGr
uenwal
dGi
emsa,Bar=10mm
血幹細胞が存在することをレトロスペクティブに証明し
た。しかし更に詳しく調べるためには,造血幹細胞を分
離しプロスペクティブに証明する必要があった。そこで,
Fi
g.4.
諏訪湖産クローン(S3N)による“3倍体クローン”と 4倍体雑種の作製: S3Nは単為生殖のみならず両性生殖にても子孫
を残すことが可能である。S3N系統の卵(クローンギンブナは通常の減数分裂の過程を経ないため 3倍体の卵を作る)に近
縁のキンギョの精子をかけると,4倍体の雑種を生じる。一方,あらかじめキンギョやドジョウの精子を紫外線照射し DNA
を破壊しておくと,精子は発生刺激を与えるのみで,母親と同じ遺伝形質を持った 3倍体クローンを得ることができる。
4
森友忠昭
Fi
g.5.
“ 3倍体クローン”と“ 4倍体雑種”を用いた移植実験系。
Fi
g.6.
“ 3倍体クローン”と“ 4倍体雑種”を用いた移植実験系: 3倍体クローンより腎臓(頭腎および体腎)を取り出し,ステン
レスメッシュ上でピンセットを用いてすり潰すことにより,細胞浮遊液を作製した。その後 Per
col
l
(比重1
.
075)を用いた,
6
7
4倍体雑種に尾部血管より移植した。
比重遠心法にて造血細胞分画を得て,これら 5×10~10 個を 我 々 は 哺 乳 類 造 血 幹 細 胞 分 離 法 の 一 つ で あ る,si
de
Hoechst
33342で染色し,フローサイトメトリーで解析
popul
at
i
on(SP)細胞分離法を試みた。すなわち,哺乳
した結果を示している。哺乳類と同様,魚類の造血細胞
類造血幹細胞は Hoec
hs
t
33342などの化学物質を細胞外
も 通 常 の 細 胞 周 期 で あ る,“G0/
G1集 団”お よ び
へ排出する性質(mul
t
idr
ugr
es
i
s
t
anc
e)を持っている。
“S/
G2/
M集団”の他に,
“SP細胞”に分けられる。この
そのため,Hoechst染色後の骨髄細胞をフローサイトメ
SP細胞の割合は平均すると0.
33%(n=9)であり,ま
トリーで調べると,造血幹細胞は難染性分画すなわち主
た,その形態は小型のリンパ球様細胞からなっていた。
要な細胞集団から横に突き出た集団(s
i
depopul
at
i
on)中
これらの性状は哺乳類の造血幹細胞と類似していた。次
に多く含まれる。この SP細胞を回収することにより,ヒ
に,これら 3倍体から得た SP細胞を先ほどと同様 4倍
ト・マウス・イヌ・サルなどの多くの種で造血幹細胞が
体雑種に移植したところ,非常に少ない数(7
,
000~
分離されている。
30,
000個)でも造血が再構築され,SP細胞分画中に造
Fi
g. 9 は,3倍 体 ギ ン ブ ナ の 腎 臓 造 血 細 胞 を
血幹細胞が濃縮されていることがわかった(Kobay
ashi
魚類造血機構の解明
5
etal
.
,2007)。
上記のように,魚類においても SP細胞分離法にて造
血幹細胞を分離できることがわかった。そこで次に,遺
伝子解析が進んでいるゼブラフィッシュより SP細胞を
分離し,マイクロアレイによる発現解析をおこなった。
その結果,SP細胞で発現が増加している遺伝子が1,
077
個同定された。これらには “
c
el
lj
unc
t
i
on”や “
i
nt
r
ac
el
l
ul
ar
s
i
gnal
i
ngc
as
c
ade”などに関連する遺伝子が多く含まれて
いた。次に,公共のデータベースより得たマウスおよび
ヒト造血幹細胞のマイクロアレイデータを用い,ゼブラ
フィッシュ,マウスおよびヒトの造血幹細胞において共
通の発現増加遺伝子を探索した。その結果,3種で共通
の発現増加遺伝子をそれぞれ40個ほど同定することがで
きた(Fi
g.10)。これらには gat
a2や egr
1,mei
s
1など
の造血幹細胞の増殖・維持に関わっているものが含まれ
ていた(Kobay
as
hietal
.
,20
10;Kobay
as
hietal
.
,2008)。
このことは,魚類では腎臓造血と造血部位は異なるもの
の,造血幹細胞の維持には,哺乳類と似た機構が存在す
るものと考えられた。
魚類造血細胞培養法の開発と造血前駆細胞の同定
Fi
g.7.
フローサイトメトリーによるレシピエント魚(4倍体雑
種)赤血球の倍数性解析:3倍体魚(S3N)より得た腎
臓造血細胞を 4倍体雑種に移植後,経時的に採血し,
赤血球を Pr
opi
di
um I
odi
de染色した。
哺乳類では,造血幹細胞から段階的な造血前駆細胞を
経て様々な血球が作られる。そして,その過程は様々な
Fi
g.8.
フローサイトメトリーによるレシピエント魚(4倍体雑種)白血球の倍数性解析:3倍体魚(S3N)より得た腎臓造血細胞を
4倍体雑種に移植後,経時的に採血し,白血球を Hoechst
33342にて染色した。また,移植12ヶ月後には,3倍体または 4
倍体白血球を分取し,それぞれのト抹標本を作製した。N:好中球,B:好塩基球,M:単球,L:リンパ球,T:栓球。
MayGr
uenwal
dGi
emsa,Bar=10mm
6
森友忠昭
Fi
g.9.
ギンブナ SP細胞の分離:ギンブナ造血細胞を Hoechst
33342で染色後,フローサイトメトリーによる解析をおこなった。
すなわち紫外線レーザーで励起し,縦軸に 400450nm(青),横軸に 580650nm(赤)をプロットした二次元展開を行った。
Fi
g.10.
ゼブラフィッシュSP細胞のマイクロアレイ解析:公共のデータベースより得たマウスおよびヒト造血幹細胞のマイクロア
レイデータを用い,ゼブラフィッシュ,マウスおよびヒトの造血幹細胞において共通の発現増加遺伝子を探索した。
Fi
g.1
1
.
哺乳類における赤血球分化とそれらに働く造血因子。
魚類造血機構の解明
7
Fi
g.12.
半固形培地を用いたコイ造血細胞の培養─コロニー形成法の概要─。半固形培地を用いたコイ造血細胞の培養:a)コイエ
リスロポイエチン存在下で形成されたコロニー。b)コロニー細胞の遺伝子発現解析。c)コロニー形成数とエリスロポイエ
チン濃度の関係。
a
b
c
Fi
g.13.
a)●●●● .
b)●●●● .
c)●●●● .
8
森友忠昭
造血因子により複雑に制御されていることが知られてい
物の基本的な造血機構の理解につながると考えられる。
る。例えば,赤血球分化では造血幹細胞からはじまり,
謝 辞
“骨髄系前駆細胞”
,“
BFUE”
,“
CFUE”などの前駆細胞
を経て分化し,最終的には脱核と言う,哺乳類独特のプ
本研究を遂行するにあたり,ご助言・ご鞭撻を賜りま
ロセスを経て,無核の成熟赤血球が作られる。その過程
した日本大学獣医学科・中西照幸先生および水産総合研
には,エリスロポイエチン(EPO)やキットリガンド
究センター増養殖研究所(現水産総合研究センター中央
(Ki
t
L,st
em cel
lf
act
or
)など多くの造血因子が関わって
水産研究所)乙竹 充先生,東京大学附属水産実験所
いることが知られている(Fi
g.1
1)。
魚類でも近年のゲノム解析により,哺乳類造血関連遺
(現福井県立大学海洋生物資源学部)末武弘章先生に深く
感謝いたします。また,魚類造血幹細胞に関する実験を
伝子のホモログが多く見つかり,基本的な造血機構も哺
実際に行った,日本大学大学院博士課程・小林 功氏
乳類と似ていると考えられている。しかし,魚類の前駆
(現・米国カルフォルニア州立大学・研究員)および片倉
細胞やそれらに働く造血因子などの情報は少ない。そこ
文彦氏(現・加国アルバータ大学・研究員)に深く感謝
で我々は半固形培地を用いてコイ腎臓造血細胞を培養し,
いたします。
これにコイの EPOのリコンビナントタンパク質を加え,
これら造血因子の効果や造血前駆細胞を調べた(Fi
g.12)
(Kat
ak
ur
aetal
.
,20
14)。
Fi
g.13aは,コイ EPO存在下で形成されたコロニーの
形態を示している。ほとんどのコロニーは数十個の細胞
から構成される小型で凝集性のコロニーであった。これ
らのコロニー性状を明らかにするため,各種血球マー
カー遺伝子の発現を RTPCRにて調べたところ,赤血球
gl
obi
n,epor
(エリスロポイエチ
系のマーカーである bンレセプター)および gat
a1などを発現していたが,他
の血球マーカー遺伝子の発現は認められなかった(Fi
g.
13b)。また,異なる濃度の組換えコイ Epoを添加しコイ
腎臓造血細胞のコロニーアッセイを行ったところ,Epo
濃度依存的にコロニー数が増加した。すなわち,コロ
ニー形成数は 100ng/
ml以上の Epo存在下において最大
5
値を示し,2×10 個の腎臓造血細胞中70~130個程度の
コロニーが形成された(Fi
g.13c
)。
このように,EPO濃度依存性に赤血球系コロニーが形
成され,EPOは魚類においても赤血球造血に関与するこ
とが示された。以上,哺乳類の骨髄と同様,魚類腎臓中
には造血前駆細胞が存在することが示された。
現在,さらに Ki
t
L,トロンボポイエチン,CSF1など
の造血因子のリコンビナントタンパクを作成し,この培
養系に添加することでさらなる造血因子や造血前駆細胞
の同定に取り組んでいる。
お わ り に
脊椎動物の血球組成および機能は良くにており,また,
造血部位は異なるものの血球分化機構も共通点が多い。
これらのことは両者の共通祖先ですでに造血機構の基本
型が確立されていたことを意味する。実際,上記 SP細
胞の遺伝子解析においても,哺乳類の造血幹細胞と似た
遺伝子発現が認められ,両者を比較することで脊椎動物
の造血幹細胞維持機構の解明に役立つものと考えられる。
魚類の造血機構を解明することは,哺乳類を含む脊椎動
文 献
Kat
akur
a,F.
,B.A.Kat
zenbackandM.Bel
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14):
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nvi
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Dev
.Comp.I
mmunol
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中村弘明・菊池慎一 (200
1):動物界における免疫系の進化
(1
1)魚類の生体防御系.医学のあゆみ,199,797–80
1
.
Nak
ani
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35,1317–1323.
NogawaKosaka,N.
,T.Sugai
,K.Nagasawa,Y.Tani
zaki
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Megur
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zawa,S.Maekawa,M.Adachi
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J.
Exp.Bi
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,214,921–927
.
椎橋 孝・飯田貴次(2003)
:顆粒球─魚類好中球の活性酸素産
生機構を中心として─ ,
「魚類免疫系,渡辺 翼編」
,恒星
社厚生閣,東京,pp.87–104.
Suzuki
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da(1992):Fi
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