大豆無中耕・無培土栽培

大豆無中耕・無培土栽培
1.試験のねらい
.夏場の暑い時期の中耕・培土作業はきつい作業である。また、高く培土すると刈り取り時の作
業加しずらく、最下着爽位置も低くなってロスや土による汚粒の原因にもなる。中耕・培土は雑
幸・倒伏を少なくするとともに増収をねらったものだが、この作業を省くことによって生じる問
題を克服し、労働を軽減するとともに収穫作業をしやすくし、延いては作付面積の減少傾向を少
しでも抑制するために大豆無中耕・無培土栽培を検討した。
2.試験方法
場所は農試本場転換畑。処理内容は昭63年:畦幅(30・45・60・75㎝)×栽植密度(12.5・
16.7・20.8本■㎡)。平元年:畦幅(20・30・40㎝)×株間(10・15・20・25㎝)。平2年:
播種日(6月18日・6月28弓・7月9日)x畦幅3g㎝x株間(10・15・20㎝)。3か年とも参考
区畦幅60×株間10㎝(培土有・無区)を設定。供試晶種はタヂナガハ。播種日:昭63年は6・月20
日、平元年は6月26日。施肥量はN:0.2,P.O。:0.8,K.O:0.8㎏■a.
3.試験結果およぴ考察
昭和63年は6月下旬以降の低温・寡照で場内作況が平年比58%と生育量少ない年であった。平
成元年は播種後の降雨による湿害があったが生育量は中程度の年であった。平成2年は生育量多
い年とみられる。
(1)培土の有無による子実重の差は認められない(図一1)。
(2)適正な栽植様式を検討した結果、生育量少の年では倒伏は殆ど無く、栽植密度を高める程子
実重は増加する。また、同じ密度であれば狭畦の方が生育量を確保しやすい。生育量中の年で
は栽植密度を高める程子実重は増加するが倒伏も増加する。生育量多の年では栽植密度を畦幅
30㎝×株間10㎝まで高めると倒伏が甚大になり畦幅30㎝x株問15㎝のやや密植で慣行(畦幅60
㎝x株間iO㎝培土有り)と比べ、いずれの播種時期でも子実重は同程度∼やや増加し、倒伏程
度も少以下で慣行と大差無い(図一1・2)。
(3)雑草発生量は栽植密度が高い程少なくなる(図一3)。コンバイン収穫で問題となる草の量
は観察では草丈10㎝以上・雑草風乾重で100g■㎡程度以上と見られ、畦幅30cm×株間15㎝で
は30g■㎡以下で少なく、培土有区と有意差は無い。畦幅60㎝×株間10㎝培土無ではコンバイ
ン収穫等に若干問題になると思われる。
(4)大粒比率は密植で低下することは無く、やや大粒化する傾向が見られる。最下着爽高は栽植
密度が高いほど高くなる(図一4)。
4 成果の要約
培土の有無による子実重の差は認められない。大豆無中耕・無培土栽培における栽植密度は畦
幅30㎝x株間15㎝の狭畦・やや密植が適当で、慣行栽培に比べ倒伏・雑草は同程度、粒はやや大
粒化し省力・多収が期待できる。さらに、最下着爽位置が高く無培土均平圃場であるため、コン
バイン収穫時の刈取りロス・土の混入による汚粒発生の減少が期待できる。
(担当者作物部湯沢正明)
一1]一
㎏/a
平2年
O一早
●丁中
48
子 倒
△・・晩
42 …一一一一一一一一一一……・・一・・一一一一一一一… 一一一一一一一一一一一…一一一
実 伏
。平元年
’
7ロー
36一孟く::;;1;ス;〔
重 程
〃 昭63年
’ 一
夕 ■…
30 ・一一…一・・一一・・一……・・…・一・……一・仙・・…’一一…・山…’一一““一一一…一一…・…
度
24
口
1」18一一一一一一一・一 一一二・ムー一一一一
■一 1一■■’一■.■一●一’一’‘‘..血●■.一・.
1〈\〃
\\.口、、...一・一!’
” ......・一口
12
60×10 60x10 30×20 30x15 30×10 60×10 60x10 30×20 30×15 30×10
有培土 無培土 無培土 無培土 無培土 有培土 無培土・無培土 無培土 無培土
図一1 年次別子実重 図一2 年次別倒伏程度
※播種日昭63年6月20日、平元年6月26日、平2年早=6月18日、中干6月28日、晩二
7月9日
9/㎡
%
100
100
Cm 」
:;O
O一平2年 0一大粒(〉7.9m)比率
雑一
大
舳
。 I…ロー平元年……
草
最
… ロー最下葵高
粒g0
25下
比
爽
60
風
靴一\/一
40
乾
20高
…\’
重20
0[
70
15
60x10 60x10 30×20 30×15 30x10 60×10 60x10 30x20 30×15 30★10
有培土’無培土 無培土 無培土 無培土有培土 無培土 無培土 無培ヰ 無培土
図一3 年次別雑草風乾重 図一4 大粒比率と最下爽高(平元年)
一12一