資料3-2 経済の好循環の強化に向けて ~格差について~ (説明資料) 平成27年2月12日 伊藤 元重 榊原 定征 高橋 進 新浪 剛史 1 1.所得格差の現状について 経済成長を追求しながら、その中で格差是正に取り組むことが重要。成長が止まれば、格差が固定する。 近年、我が国では、高齢化、単身世帯化の中で、ジニ係数でみると緩やかに格差が拡大してきたが、高齢者 への所得再分配が機能し、再分配後の格差はほぼ横ばい。ただし、2010年と2004年を比較すると、若年層の ジニ係数は若干上昇。 生活の程度に関して中流と考える割合は、ほとんど変化しておらず、また、役員と従業員の報酬の差異もほ とんど拡大していない。 格差の状況については、捕捉できるデータが古いこともあり、引き続き幅広く検証していく必要。 図表1. ジニ係数の推移 図表3. 生活の程度の捉え方 ( %) 0.50 60 0.4703 等価当初所得 0.45 所 得 格 差 56.6% 「中流意識」 50 2001年 2008年 2014年 40 大 0.40 30 0.35 所 得 格 差 等価可処分所得 12.4% 10 小 0.3219 24.1% 20 0 0.30 2001 04 07 10 下 (年) 図表2. 年齢階層別ジニ係数の変化 ジニ係数(等価当初所得) 0.75 0.65 0.65 2010 年 0.45 5 所得再分配後 2010年 0.45 3 2004年 75歳以上 70 ~ 74 65 ~ 69 60 ~ 64 55 ~ 59 50 ~ 54 45 ~ 49 40 ~ 44 35 ~ 39 30 ~ 34 25 ~ 29 75歳以上 70 ~ 74 65 ~ 69 60 ~ 64 55 ~ 59 1 50 ~ 54 0.25 45 ~ 49 0.25 40 ~ 44 2 35 ~ 39 0.35 30 ~ 34 中の上 上 (2013年) 役員給与・賞与 1,750万円 従業員給与・賞与 560万円 4 0.35 25 ~ 29 中の中 (役員給与・賞与/従業員給与・賞与) 0.55 2004 年 中の下 図表4.役員と従業員の給与等の比較 (資本金10億円以上) ジニ係数(等価可処分所得) 0.75 0.55 1.2% 4.6%(2014年) 3.1 0 2008 09 10 11 12 (備考)厚生労働省「所得再分配調査」、内閣府「国民生活に関する世論調査」、財務省「法人企業統計年報」により作成。等価所得とは、世帯単位で把握した世帯の所得を 世帯員単位に変換するため、世帯の所得を世帯人員の平方根で除した値。 13 (年) 2 2.効果的な再分配機能の拡充に向けて 我が国の社会保障給付は先進諸国に比べて、現役世代への支出が相対的に少ないという特徴があ る。母子世帯、若年失業者・無業者等への就業支援、子育て世帯に対する税制・給付面からの支援 措置等により、自助自立を支援し、格差の固定を是正すべき。 一般に、社会保障支出が大きいほど、政府の規模は大きくなる傾向がある。ただし、日本では、経済 再生と財政健全化を両立していく必要があり、政府の規模拡大を通じて再分配機能を強化するには 限界がある。高齢者中心から現役世代を含めたバランスのとれた資源配分へとシフトすべき。 図表5. 社会保障給付費の各国比較(2011年) (%、GDP比) 35 10.4% 高齢(年金、介護保険等) 7.7 社 会 保 障 支 出 医療費 1.4 家族 1.0 障害・業務災害・疾病 積極的労働政策 日本 0.2 米国 英国 0.3 失業 日本 20 スイス オーストラリア エストニア 15 アイスランド イスラエル 韓国 10 トルコ メキシコ y = 0.6673x - 8.2337 R² = 0.7824 スウェーデン 0 20 0.0 カナダ 5 フランス 0.5 生活保護その他 25 ドイツ 0.1 住宅 オーストリア フランス ベルギー デンマーク イタリア ポルトガル スウェ ーデン スペイン フィンランド オランダ ギリシャ ドイツ アイルランド スロヴェ ニア ノルウェ ー ルクセンブルグ 英国 ハンガリー 米国 ポーランド スロヴァ キア チェ コ 30 1.4 遺族年金 図表6. 一般政府支出総額と社会保障支出の大きさ 2.0 4.0 6.0 8.0 10.0 (備考)OECD Social Expenditure Database より作成(2015年2月ダウンロード). 現金給付と現物給付の合計. 12.0 (%、GDP比) 25 30 35 40 45 一般政府支出総額 50 55 60 (%、GDP比) (備考)OECD Stat より作成(2015年2月ダウンロード)。2011年のデータ、ただしカナダは2010年。 一般政府支出は、中央政府、地方政府、社会保障基金の合計 3 3.地域特性を活かした地域格差の是正に向けて 地域ごとに、置かれた環境の違いがあり、所得面からのみ地域格差を議論するのは不適切。むしろ、 地域の多様性を活かした独自の発展を遂げていくことが重要。特色ある観光や農業がカギとなる。 企業がそうした特色ある地域の取組を支援するため、国の再分配によらず、ふるさと納税のように、 企業自ら地方に貢献できる仕組みを拡充すべき。(例)地方自治体等に対する寄附の活用促進に向 けた官民連携の取組など 地域の教育や文化、コミュニティの再生に個人の資産を還元する税制や寄附の仕組みを検討すべき。 対日投資・国内投資の促進や産業活性化に向けて、地域ごとのワンストップサービスを実現すべき。 図表7. 居住する地域の活性化のために期待する政策 新産業の創出 図表8. 法人企業の指定寄附金等の支出額 46.8 35.6 41.9 福祉、医療の充実 52.1 35 商店街活性化、中心市街地の活性化 38 33.1 防犯、防災対策の充実 農林水産業、伝統地場産業、既存産業振興 31.9 19.1 生活環境や産業振興の基盤整備 27 特色ある教育の充実 24.3 22 観光・交流の促進 12.7 14.5 メディアやIT基盤の充実 0 20 47.7 (億円) 3,000 2,459 2,500 2,000 1,726 1,500 30.6 993 小都市 大都市 40 1,624 1,207 1,265 1,000 37.1 25.7 2,575 (%) (備考) 内閣府「人口、経済社会等の日本の将来像に関する世論調査」(平成26年6月)より 作成。居住している地域が活力を取り戻したり,更に活性化するために,特に期待する政策 はどのようなものか、との質問(複数回答)。産業や生活基盤関連の項目を要約・抜粋。 ・回答者数は、大都市(回答者のうち政令指定都市および特別行政区に居住する者)455人、 小都市(人口10万人未満の市に居住する者)432人 500 0 2006 07 08 09 10 11 12 (年度) (備考)国税庁「会社標本調査」により作成。指定寄附金等は法人企業による 国、地方公共団体に対する寄附金及び財務大臣が指定して告示した寄附金 (赤い羽根の募金等)。 4
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