〔新製品・新技術紹介〕 地中熱ヒートポンプシステムの最適運転 古 谷 光 輝 * 石 山 友 通 * Optimal Control Method for Ground Source Heat Pump System by Mitsuteru FURUYA, & Tomomichi ISHIYAMA Spreading and expanding a heat pump system utilizing ground thermal energy, which is one of the renewable energies, require an understanding of the characteristics of the system and the establishment of an optimal control method according to conditions. East Japan Railway Company and Ebara Refrigeration Equipment & Systems Co., Ltd. jointly conducted a demonstration experiment with the aim of establishing a control method to make the most efficient use of ground thermal energy. Experimental equipment for a ground source heat pump (GSHP) system was installed on the premises of East Japan Railway Company in Saitama City, Saitama Prefecture, and test operations were conducted for 8 months from July 2013 to February 2014 to grasp the operating characteristics of borehole type GSHP. Furthermore, an optimal control method was devised based on the observed data. Keywords:Renewable energy, Ground source heat pump (GSHP), Optimal control method, Ground heat exchanger (GHE), Ground thermal energy usage, Visualization, Time required for recovering underground temp.,Radiant panel 1.は じ め に 地中熱交換器を最小限にした地中熱 HP システムにお 地中熱は,2014 年 4 月に閣議決定された新しい「エネ いて,再生可能エネルギーである地中からの採放熱量を ルギー基本計画」の中で,再生可能エネルギーの一つと 増大させるためには,システムを長時間運転する必要が して,その導入拡大が期待されている。また,地中熱を ある。しかし長時間運転すると,冷房運転の場合,地中 利用するヒートポンプ(HP)システムは, ヒートアイラン 熱交換器の周囲温度の上昇に伴い冷却水温度が上昇し, ド現象の緩和や地球温暖化対策として期待でき,年間を 地中熱 HP の運転効率が低下する。また,地中熱 HP と他 通じて温度が安定している地中を熱源とすることによっ の熱源機との複合システムにおいては,中間期等の外気 て,効率の高い運転をすることができる。この省エネル 条件によっては,水冷式や空冷式の熱源機よりも地中熱 ギー性及び環境性に優れた地中熱 HP システムを普及拡 HP の運転効率が低下し,システム全体の効率を低下さ 大していくためには,そのシステム特性を把握し,条件 せることがある。 に応じて適切に運転する制御手法を確立することが不可 そこで,前記課題を解決するための最適運転制御手法 欠である。 を確立することを目的に実証試験を行った 1)。埼玉県さ 地中熱 HP システム普及の最大の課題は,地中熱交換 いたま市にある東日本旅客鉄道㈱の敷地内に,地中熱 器の設置費等の初期導入コストが高いことである。初期 HP システムの試験設備を設置し,2013 年 7 月から 2014 年 導入コストを抑制するためには,設置する地中熱交換器 2 月までの 8 箇月間の試験運転を行い,ボアホール方式 を最小限にする,あるいは他の熱源方式と組み合わせる における地中熱 HP の運転特性を把握した。また,実測 ことによって地中熱 HP システムの設備能力を小さくす データを基に最適運転制御手法を考案した。 る必要がある。 以降に,試験設備概要,冷房運転での試験結果及び実 測データを基に考案した最適運転制御手法について報告 する。 荏原冷熱システム㈱ * 11 ─ ─ エバラ時報 No. 246(2015-1) 地中熱ヒートポンプシステムの最適運転 る設備とした。ボアホールの断面図を図 1 に示す。 2.試験設備 図 2 にシステムフロー,写真 2,写真 3 に試験設備の外 観,表 1 に主要機器仕様を示す。試験設備は,呼称 5 馬 2-1 試験設備の概要 実証試験で使用したボアホール方式の地中熱 HP シス テムの施設概要及び主要機器の仕様を次に示す。 屋外 地中熱交換器用としてボアホール(深さ 105 m,穴径: φ 179 mm)を 5 m 間隔で 3 本(No.1 〜 No.3)掘削した。 地中熱HP Outdoor 冷却水戻り温度 GHE outlet temp. Ground source heat pump (GSHP) 循環水ポンプ 一般的に,地中熱交換器の単位長さ当たりの交換熱量は Circulating water pump 40 W/m と言われており 2),その値から必要なボアホー 屋内 Indoor 冷温水ポンプ Cold and hot water pump ふく射パネル Radiant panel ・・・・ ル本数を算出すると 4 本となるが,初期導入コスト低減 手法検討のため,本設備は 1 本少ない 3 本とした。各ボア ホールに写真 1 に示す U チューブと呼ばれる内径 25 mm のポリエチレン製の熱交換器を 2 対挿入した。また 3 本 中 2 本の地中熱交換器は,温度測定用パイプ内に深さ 10 m ごとに熱電対を設置し,地中温度の変化を確認でき 地中熱交換器 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ Ground heat exchanger (GHE) 電力量計 Watt-hour meter 温度センサ Water temperature sensor 温湿度計 Air temperature & humidity meter 温度センサ (地中用) Underground temperature sensor 流量計 ボアホール Water flow meter Borehole No.1, 2, 3 図 2 システムフロー(冷房時) Fig. 2 System flow (cooling mode) 14-31 01/246 写真 1 U チューブ Photo 1 U-Tube ボアホール ボアホール Borehole (No.1 to 3) Bore hole ID 179 mm 地中熱HP GSHP 14-31 02/246 地中熱交換器(102 m) Ground heat exchanger (102 m) Boring depth (about 105 m) ボーリング深度(約105 m) 写真 2 屋外試験装置 Photo 2 Outdoor experimental equipment 温度計測用パイプ (20 A) Pipe for temp. mesurement (20 A) 25 AダブルUチューブ Double U-tube 25 A けい砂充填 Filled with silica sand 見える化したシステム 挿入用おもり ふく射パネル Weight for insertion Visualization display Radiant panel 14-31 03/246 図 1 ボアホール断面図 Fig. 1 Sectional view of bore hole 写真 3 屋内試験装置 Photo 3 Indoor experimental equipment 12 ─ ─ エバラ時報 No. 246(2015-1) 地中熱ヒートポンプシステムの最適運転 表 1 機器仕様 Table 1 Specifications of main experimental equipment 機器 Equipment 仕様 Specification 長さ Length 102 m 間隔 Interval 5m 穴径 Hole diameter φ 179 mm チューブ Tube ダブル U チューブ Double U-tube 25 A けい砂 Silica sand 2号 No.2 設置個所 Number of installation holes 3 冷房能力 Cooling capacity 12.9 kW 暖房能力 Heating capacity 16.6 kW 冷媒 Refrigerant R407C 台数 Number of HPs 1 地中熱交換器 Ground heat exchanger (GHE) 地中熱 HP Ground source heat pump (GSHP) 図 3 見える化したシステムの画面 Fig. 3 Visualization screen 力の水熱源チラー(地中熱 HP) ,地中熱交換器,ポンプ, ふく射パネルで構成される。冷房運転時は,地中熱 HP で製造した冷水を屋内に設置したふく射パネルに供給し 冷房する。冷水を製造した際に地中熱 HP から放出され た排熱は,地中熱交換器を介して地中に放熱される。暖 14-31 04/246 房運転時は,地中熱交換器を介して地中から採熱する。 写真 4 PM モータ搭載ポンプ Photo 4 Pump mounted with PM motor (model SSLD) 地中熱 HP ではその熱を熱源として,温水を製造する。 製造された温水は,ふく射パネルに供給し暖房する。 2-2 試験設備の特徴 3.試験結果 (1)見える化したシステム 空冷 HP と比較した場合の CO2 削減量,システムの運 長時間運転における地中熱 HP システムの特性把握の 転状況,地中熱採放熱量,地中温度等がリアルタイムで ため,表 2 に示す条件によって試験を行った。その結果 容易に把握できる見える化したシステムを試作した。ま を 3-1,3-2 に示す。 た,インターネット回線を通じて遠隔地においても,同 じ画面が見えるようにした(図 3) 。 表 2 試験条件 Table 2 Testing conditions (2)省エネルギー形ポンプ 項目 Item 条件 Conditions 運転モード Operating mode 冷房運転 Cooling mode 冷房能力(平均) Cooling capacity (Ave.) 9.2 to 13.1 kW (12.5 kW) 冷水温度 Chilled water temp. 7℃ 冷水流量 Chilled water flow rate 38 L/min 冷却水(循環水)流量 Cooling water (circulating water) flow rate 50 L/min 運転時間 Operating time 18 h システムの省エネルギー化のため循環水ポンプに永久 磁石式(PM)モータを搭載した SSLD 型ラインポンプを 採用した。これによって,循環水量を任意に設定できる ようにした(写真 4) 。 (3)ふく射パネル 空調設備にふく射パネルを採用した。ふく射パネルは, 従来の対流空調と比べて,供給水温度を冷房時は高く, 暖房時は低く設定できる。対流空調のように吹き出しを 行わないため温度むらがなく,不快な気流を感じないこ とから,省エネルギー性,快適性に優れている。 13 ─ ─ エバラ時報 No. 246(2015-1) 地中熱ヒートポンプシステムの最適運転 3-1 地中熱交換器の放熱量の時間的変化 3-2 地中熱交換器からの冷却水戻り温度と地中熱 HP の運転効率の時間的変化 図 4 は,地中熱交換器からの放熱量の時間的変化を示 している。時間経過とともに累積放熱量がほぼ一定の割 図 5,図 6 は,地中熱交換器からの冷却水戻り温度と 合で増加していることが分かる。地中熱交換器の単位長 地中熱HPの成績係数(COP) の時間的変化を示している。 さ当たりの放熱量は 49.5 W/m と一般的な値 40 W/m と 運転開始時の冷却水戻り温度は,19.5 ℃である。運転開 比べて高い値となった。 始から 2 時間経過以降,地中の冷却能力よりも地中熱交 放熱量 kWh Ground thermal energy 換器からの放熱量が多いため徐々に温度上昇し,18 時 300 間連続運転後28.4 ℃まで上昇した。地中熱HPのCOPは, 250 運転開始時 4.6 から 18 時間連続運転後 3.7 と約 20%低下 した。 200 3-3 地中温度の回復時間 150 図 7 は,地中熱 HP システムを 12 時間連続運転した後, 100 12 時間停止する試験を 3 日間連続で実施したときの深さ 50 100 m の地中温度の変化と,1 時間当たりの地中への放 0 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 熱量を表している。3 サイクルとも運転停止直後の地中 温度は,20.6 〜 20.9 ℃,運転停止から 12 時間経過後の 運転時間 h Operating time 地中温度下降幅 3.8 〜 3.9 ℃とほぼ一定な結果が得られ 図 4 放熱量の時間的変化 Fig. 4 Operating time vs ground thermal energy た。このように現場ごとの地中温度の回復に必要な時間 は,運転停止後の温度変化のデータを収集・解析するこ とによって推定することが可能である。 3-4 地中への放熱量と COP 図 8 に前項の 12 時間運転,12 時間停止を含めて四つの 26 異なる運転/停止時間(① 8 h/16 h,② 12 h/12 h,③ 24 20 h/4 h,④連続)にて 3 日間サイクル運転したときの 22 積算地中放熱量,式から算出した運転中の平均冷却水戻 20 り温度,COP の変化を示す。図から運転時間が長く(停 18 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 運転時間 h 止時間が短く) なる程, 地中への放熱量が増加する。一方, 冷却水戻り温度は上昇し,地中熱 HP の COP は低下する。 4 条件の中では,条件 ③ 以降の冷 却 水 戻り温 度 上 昇, Operating time 図 5 冷却水戻り温度の時間的変化 Fig. 5 Operating time vs GHE (Ground heat exchanger) outlet temperature 地中温度(深さ100 m) 22 Underground temperature (100 m depth) 20.6 ℃ 20.8 ℃ 20 地中温度 ℃ Underground temperature 4.6 COP of GSHP 地中熱HPのCOP 4.4 4.2 4.0 18 +4.5 ℃ 16 16.1 ℃ −3. 8℃ −3. 9℃ +3.9 ℃ 20.9 ℃ 17.1 ℃ −3. 8℃ +4.1 ℃ +0.6 ℃ 初期地中温度 +0.9 ℃ +1. 0℃ 80 Initial underground temperature 単位地中放熱量 Ground thermal energy per length 60 3.8 単位地中放熱量 W/m 0 Ground thermal energy per length 冷却水戻り温度 ℃ GHE outlet temperature 28 40 3.6 0 3.4 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 図 6 地中熱 HP 成績係数の時間的変化 Fig. 6 Operating time vs COP of GSHP 8 12 16 20 8/14 18 0 4 8 12 16 20 8/15 0 4 8 12 16 20 8/16 0 4 8 20 8/17 時間 h Time 運転時間 h Operating time 4 図 7 地中温度と単位地中放熱量の時間的変化 Fig. 7 Time vs underground temperature (100 m depth) and ground thermal energy per length 14 ─ ─ エバラ時報 No. 246(2015-1) 地中熱ヒートポンプシステムの最適運転 Integrated value for 3days 600 613 地中放熱量 400 COP − 22.1 5 23.6 22.4 冷却水戻り温度 GHE outlet temp. 地中熱HPのCOP 4.5 4.4 4 3 27.6 COP of GSHP 4.3 4.1 ※3日間の運転中の平均値 3.7 Average value during 3-days operation ①8 h/16 h ②12 h/12 h ③20 h/4 h ④24 h/0 h time 25 20 15 10 現在 次回運転開始時刻 tp ts Now 30 Next starting time 図 9 次回開始間隔の算出手法 Fig. 9 Calculation of time interval 5 Time required for recovering underground temp. 0 6 5.5 時間 Ground thermal energy 350 GHE outlet temp. 295 200 3.5 ts−tp 899 ※3日間の積算値 冷却水戻り温度 ℃ 800 Energy 放熱量 kWh 1 000 地中温度回復時間 運転時間/停止時間 Operating time / Stopping time 図 8 地中放熱量,冷却水戻り温度,地中熱 HP の COP の変化 Fig. 8 Changes in ground thermal energy, GHE outlet temp. and COP of GSHP 16 h tn 12 h 冷却水戻り温度 GHE outlet temp. COP 低下が大きいため,条件②が適当であることがわか 25 ℃ る。つまり放熱量増大と COP 低下抑制を両立させるため には,適切な運転,停止時間のサイクルを決める必要が Tp 29 ℃ 図 10 地中温度回復時間算出方法 Fig. 10 Calculation of the time required for recovering underground temp. ある。 (T1 + T2 + T3 +…Tn) Tmean = ……………………… 式 n 地中熱 HP の運転時間と COP の関係は,図 12 に示す 【記号】 とおり運転実績のデータを近似することによって,予測 Tmean:運転中の冷却水戻り温度の平均値 することができる。この図から目標 COP となる運転時間 T :冷却水戻り温度 tc を求め,図 11 のフローチャート S6 に or 条件として ts − n :運転中の計測点(10 秒ごと) tp ≦ tc を加えることによって,目標 COP 以上の運転が可 能となり,効率を優先した運転ができる。 4.新たに考案した運転制御方法 また,図 10,図 12 は,運転中の実績データをもとに適 4-1 地中熱 HP システムの最適運用手法 宜補正することによって,地中の帯水層の流量変動等状 試験結果に示したとおり,地中熱 HP システムは,運 況変化に対応した精度の高い運転が可能となる。 転時間を長くすることによって放熱量は増加するが,冷 4-2 地中熱と従来型熱源システムの複合利用 却水戻り温度上昇に伴い COP は徐々に低下するため,地 地中熱 HP システムを,従来の空冷方式や水冷方式な 中熱交換器の設置場所における放熱特性や運転状況に応 どの熱源設備と組み合わせて使用する場合では,空冷方 じて,地中温度回復時間を確保する必要がある。これに 式や水冷方式などの運転効率が最も低下する時間帯に地 よって,COP 低下の抑制と,地中熱利用量の増大の両立 中熱 HP システムを優先的に運転することが効果的であ を図ることができる。 る(図 13) 。 次に具体的な手法を示す。 これによって,地中熱 HP システムの省エネルギー効 手順 1:現在時刻 tp と地中熱システム運転開始予定時 果も最大化し,複合システム全体の効率も最大化するこ とができる。次に具体的な手法を示す(図 14) 。 刻 ts の差: (ts − tp)を求める(図 9) 。 手順 2:冷却水戻り温度 Tp から必要地中温度回復時間: 手順 1:翌日の外気温湿度予測から,各熱源方式の時 刻別システム COP を予測する。 tn を求める(図 10) 。 手順 3:手順 1 と手順 2 を常時監視・比較し,tn =(ts 手順 2:時刻別システム COP の予測から,地中熱と他 − tp)になった時点で,システムを停止させ, の方式の効率の差が最大になる時間帯を判断 地中の温度を回復させる(図 11) 。 する。 15 ─ ─ エバラ時報 No. 246(2015-1) 地中熱ヒートポンプシステムの最適運転 5.0 開始 Start 4.5 空冷方式 水冷方式 Air cooling type 地中熱 Water cooling type GSHP ※他の方式と最もCOPの差の大きい時間帯にGSHPを運転 Operate GSHP in a time zone that has the largest difference of the system COP between GSHP and others No 運転開始時刻 Starting operation time? S2 System COP S1 システムCOP 4.0 3.5 3.0 Yes 2.5 運転開始 Start of operation 2.0 0 2 4 6 8 10 12 14 時間 h 16 18 20 22 0 Time S3 システムCOP予測 System COP prediction 低 Low 次回開始間隔算出 空冷 Air cooling Start priority 起動優先順位 Calculation of time interval (ts−tp) S4 冷却水戻り温度検知 (Tp) 空冷 高 High Detection of GHE outlet temp. (Tp) Air cooling Water cooling 水冷 空 水冷 地中熱 水 Water cooling 0 GSHP 9 時間 h 水冷 A Water cooling 空冷 W 16 Air cooling 18 0 Time S5 スケジュール Schedule Tpから地中熱回復時間を算出 図 13 複合システムにおける最適運転制御 Fig. 13 Optimal control method for complex system Calculation of the time (tn) required for recovering underground temp. from Tp 運転開始 S6 Start of operation No ts−tp ≦ tn スケジュール作成時間到来 Yes S7 Time for making a plan comes. No 停止 Stop Yes 翌日の外気条件予測情報取得 Acquisition of the outside air condition data of the next day 図 11 最適運転手法のフローチャート Fig. 11 Flowchart of the optimal control method 各ユニットの時間ごとのCOP算出 Calculation of the hourly COP for each unit 実績値 外気熱源方式のCOPの低い時間帯決定 地中熱HPのCOP Actual value Determination of the time zone when COP is low for the outside air heat source type COP of GSHP 目標値 Targeted value 地中熱HP優先運転時間帯決定 Determination of the preferential operation time zone for GSHP 時間ごとにCOPの高い熱源機から 起動優先決定 Determination of the hourly start priority order that prioritizes a heat source unit with higher COP tc 運転時間 h Operating time 終了 図 12 地中熱 HP の COP の時間的変化 Fig. 12 Operating time vs COP of GSHP End 図 14 複合システムにおける最適運転制御のフローチャート Fig. 14 Flowchart of optimal control method for complex system 16 ─ ─ エバラ時報 No. 246(2015-1) 地中熱ヒートポンプシステムの最適運転 手順 3:時間帯別に効率の高い方式から起動優先順位 る優れたシステムである。普及の課題は,イニシャルコ ストである。今回考案した最適運転制御手法は,最小限 を決定する。 の地中熱交換器で最大限の効果を引き出すことができ, 5.お わ り に 課題を改善し,地中熱 HP システムの普及拡大に大きく 地中熱 HP システムの運転特性を解析・評価した結果, 貢献できるものと考えている。 次の結論を得た。 本研究を遂行するに当たり,東日本旅客鉄道㈱ JR 東 ・運転継続によって地中熱交換器からの累積放熱量は増 日本研究開発センター環境技術研究所の方々から貴重な 加するが,地中熱HPのCOPは,運転継続に伴い徐々 ご助言とご協力を頂いた。ここに,謹んで感謝の意を表 に低下する(運転開始時COP4.6→18時間連続運転後 する。 COP3.7,約20%低下)。 ・地 中温度回復時間を考慮した「地中熱HPシステムの 最適運用手法」と「地中熱と従来型熱源システムの複 合利用の運転制御手法」を新たに考案した。 地中熱 HP システムは,太陽熱等ほかの再生可能エネ ルギーを利用したシステムと比べて,安定して利用でき 参 考 文 献 1) 谷田直之,佐藤雅文ほか:地中熱ヒートポンプシステム効率を 最大化するための制御方法,日本冷凍空調学会論文集,D3131, (2014) . 2) 北海道大学地中熱利用システム工学講座:地中熱ヒートポン プ,オーム社(2007) . 17 ─ ─ エバラ時報 No. 246(2015-1)
© Copyright 2024 ExpyDoc