長期的な視点からみた宮崎県の雇用情勢

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2015 年 2 月 10 日
日本銀行宮崎事務所
日本銀行鹿児島支店
長期的な視点からみた宮崎県の雇用情勢
~若い世代の繋ぎ留めに向けて~
<概要>
【長期的に見た雇用情勢】

宮崎県の有効求人倍率は昨年 12 月に 0.99 倍まで上昇し、1992 年3月以来
22 年9か月ぶりとなる高水準で推移している。こうした中、働き手の数は伸
び悩んでいる。

1980 年代後半からの有効求人倍率の推移をみると、(1)バブル期、(2)「い
ざなぎ超え」の 2000 年代半ば、(3)リーマンショックを受けた景気急落後か
ら現在に至るまで、3回の回復局面を経験している。

近年、医療・福祉の求人が着実に増加し、今回の回復局面でも新規求
人の伸びに大きく寄与している。一方、求職者数も相応に減少しており、
職につくことによって求職者数が減っているだけでなく、常用労働者数
や労働力人口が減ってきていることから、若年層を中心に当地の労働市
場への参入者自体が減少し始めている様子がうかがわれる。

これまで長期的課題として捉えられがちであった人口減少・少子高齢化と
いう構造問題が、人手不足という供給力を阻害する短期的な問題として浮上
してきている可能性が高い。
【若年層の繋ぎ留めに向けて】

労働力の減少の背景には、人口の自然減のみならず、高校卒業者の県外就
職率が相対的に高いことなどを背景とした若年層の県外流出がある。さらに、
若年層の早期離職率の高さも就職支援における課題となっている。若年転職
希望者の離職理由についてみると、低収入や労働条件の悪さが主である。当
地の賃金は全国対比、九州内でも低めとなっているが、最近は全国を上回る
ペースでの改善の動きもみられている。
「地方創生」に向けて人口減少に歯止
めをかけるため、長時間労働の是正は政府施策となっている。人材育成や賃
金改善に加えて、魅力的な労働環境の整備や新しい雇用の創出に企業をはじ
めとする関係者が積極的に取り組んでいくことで、宮崎県が将来を担う世代
に「選ばれる県」になることが期待される。
1
1.最近の雇用情勢
宮崎県の有効求人倍率は、リーマンショック以降全国と同様に回復を続け、
昨年 12 月時点で 0.99 倍と、22 年9か月ぶりの水準まで上昇している(図表1)。
1980 年代以降、(1)バブル期、(2)2000 年代半ば、(3)リーマンショックを受け
た景気急落後から現在に至るまで、大きく3回の回復局面を経験してきている
が、バブル崩壊以後低迷していた有効求人倍率は今回の回復局面では約5年を
かけて大幅に改善した。
もっとも、労働需給はタイト化が進む一方で、雇用者数は全国に比べ伸びが
鈍く緩慢な増加に止まっており、宮崎県の雇用情勢は、必ずしも改善一色とい
う訳ではない(図表2)。
(図表1)全国・宮崎県の有効求人倍率の推移
1.6
倍
1.4
宮崎
1.2
全国
1
0.8
0.6
0.4
0.2
バブル期
2000年代半ば
今回
0
1980
1983
1986
1989
1992
1995
(注)シャドーは景気後退期(内閣府調べ)。
1998
2001
2004
2007
(出所)厚生労働省「職業安定業務統計」
(図表2)最近の常用雇用指数
105
104
2010年=100
103
102
101
100
99
98
97
宮崎県
96
全国
13/1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
14/1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
95
2010
2011
2012
2013
2010
(年/月)
(出所)宮崎県、厚生労働省「毎月勤労統計調査」
2
2013
(年)
2.求人・求職の動向
今回の有効求人倍率の上昇局面を、過去の景気回復局面と比較すると、第一
の特徴は、増加している求人の中身の変化である。
求人の産業別の内訳をみると、近年は医療・福祉の伸びが著しい一方で、建
設業、製造業は 1990 年代に大幅に減少し、以後横ばいとなっている(図表3)。
2003 年度に全体の1割強を占めた医療・福祉の求人は、2013 年度には3割弱を
占めるに至っている。また、全体に占める割合は低いものの今回の回復局面に
おいてはこれまで低迷していた建設業でも相応に求人が増加している。
(図表3)産業別新規求人の推移
10
万人
9
8
その他
7
医療・福祉
6
5
サービス
4
飲食・宿泊
3
卸・小売
2
建設業
1
製造業
2013
2012
2011
2010
2009
2008
2007
2006
2005
2004
2003
2002
2001
2000
1999
1998
1997
1996
1995
1994
1993
1992
1991
1990
1989
1988
1987
1986
1985
0
(年度)
(注)宮崎労働局の資料を基に作成。1986 年以前は、パートタイムの求人は全てその他に分類。また、医療・福祉、
飲食・宿泊の産業分類については 2003 年度以降の分類に適用。
医療・福祉は高齢化という社会的な需要構造の変化を背景に、2008-2009 年度
に全体の求人数が伸び悩んだ局面においても底堅く推移し、そのウエイトを高
め、高齢化という需要構造の変化の影響をあらわしている。
次に、3回の回復局面を求人の増加と求職の減少に要因分解してみると、バ
ブル期以降、求職者の減少による求人倍率の押し上げ幅が高まっている(図表
4)。今回の局面において求職者は大幅に減少しているにも関わらず、雇用者数
が伸び悩んでいる。無業者や離職者の就職と工場閉鎖や倒産などの減少による
循環的な求職者の減少に加えて、今回の回復局面の第二の特徴として少子高齢
化に伴う働き手の減少が顕現化している可能性があることが挙げられる。
3
(図表4)有効求人倍率の底からの上昇の要因分解(累積)
<バブル期>
<2000 年代半ば>
上昇幅(倍)
0.8
<今回>
0.8
0.8
0.7
0.7
0.6
0.6
0.5
0.5
0.4
0.4
0.4
0.3
0.3
0.3
0.2
0.2
0.2
0.1
0.1
0.1
0.0
0.0
0.0
▲ 0.1
▲ 0.1
▲ 0.1
0.7
求職減少要因
0.6
求人増加要因
0.5
86/7
87/7
88/7
89/7
90/7
02/3
03/3
04/3
05/3
06/3
10/1 11/1 12/1 13/1 14/1 (年/月)
(注)厚生労働省「職業安定業務統計」を基に作成。
求職者の年齢層別の内訳をみると、リーマンショック以降の回復局面では、
全年齢層で減少している(図表5)。建設業をはじめ幅広い業種で特に若年層の
人手不足が強く意識されており、企業からも「若年層は県外へ出て行ってしま
う人が多いため、現場の人材の採用が難しくなっている」といった声が聞かれ
ている。年齢層別の有効求人倍率をみると、求職者の減少幅は全年齢層で概ね
同水準であるが、絶対数が少ない若年層の需給が最もタイトである(図表6)。
宮崎県は従来から高校卒業生の県外就職率が相対的に高いが(後述図表 12)、
学校卒業者数自体も減少している(図表 7-1)。求職者の減少による求人倍率の
上昇は少子高齢化の影響の表面化を示唆しており、中学生以下の年齢別の人口
の分布状況から今後もこの傾向が続くことが予想される(図表 7-2)。
(図表5)年齢層別の求職者数の推移
12
(図表6)年齢層別の有効求人倍率の推移
1.2
万人
倍
11
1.0
10
9
35-54歳
8
24歳以下
0.8
55歳以上
0.6
7
6
5
25-34歳
4
55歳以上
3
24歳以下
35-54歳
25-34歳
0.2
0.0
2
2002
2004
2006
2008
2010
(年度)
2012
(注)宮崎労働局の資料を基に作成。
2002
2004
2006
2008
2010
(注)宮崎労働局の資料を基に作成。
(図表 7-1)県内の学校卒業者数の推移
20
0.4
2012
(年度)
(図表 7-2)中学生以下の人口の状況
12
千人
千人
18
11
16
14
10
中学校
12
各年齢別( 横軸) の
人口( 縦軸)
高等学校
10
9
1992
1995
1998
2001
2004
2007
(出所)宮崎労働局「労働市場年報」
2010
2013
(年、3月)
4
14 13 12 11 10 9 8 7 6 5 4 3 2 1 0 (年齢)
(出所)宮崎県「年齢別人口構成」(2013 年)
3.就業者数の動向
宮崎県の人口は、2000 年代入り後減少傾向が強まっている(図表8)。これに
伴い生産年齢人口も 1999 年の水準から約 10 万人減少している(図表9)。
(図表8)宮崎県の人口の長期推移
(図表9)バブル期以降の生産年齢人口
140
100
万人
%
15-64歳
万人
68
66
130
90
120
80
15-64歳割合
(右目盛)
64
62
75.4万人
65.6万人
110
70
100
60
60
58
56
54
90
50
1950
1960
1970
1980
1990
2000
2010
(年)
(出所)総務省「国勢調査」
52
1985
1990
1995
2000
2005
2010 (年)
(出所)総務省「国勢調査」、
「人口推計」
こうした中、2000 年代の回復局面(局面①)以降、労働力率は下げ止まって
おり、リーマンショック以後の回復局面(局面②)においては僅かながら水準
は上昇した。生産年齢人口が減少していることから労働力人口も減少傾向を辿
ったが、足もとの回復局面においては下げ止まっている(図表 10)。就業者数に
ついても、今回の回復局面においては若干持ち直しているが、2000 年代全体と
してみれば着実に減少している(図表 11)。有効求人倍率は上昇しているが、長
期的な少子高齢化の進行や人口減少から働き手の数の大幅な増加に期待するこ
とは難しい。
(図表 10)労働力人口と労働力率
65
万人
(図表 11)就業者数の推移
%
労働力人口
労働力率(右目盛)
66
62
64
60
62
58
60
56
58
54
56
52
54
50
52
48
万人
63
61
59
局面①
57
局面①
局面②
就業構造基本調査
労働力調査
局面②
55
1997 1999 2001 2003 2005 2007 2009 2011 2013
国勢調査
1985
(年)
(注)労働力率は、15 歳以上年齢に占める労働力人口の割合。
(出所)総務省「労働力調査」
1990
1995
2000
2005
2010
(出所)総務省「国勢調査」、
「就業構造基本調査」
、「労働力調査」
5
(年)
4.若年層の繋ぎ留めに向けて
上述してきたように、足もとの雇用情勢は、景気回復とともに、長期的な構
造問題の表面化を映じている可能性が高い。企業の一部からも「需要はあるが
人手が不足しているため受注を抑制せざるを得ない」といった声が聞かれてお
り、若年層の県外流出という長期的な課題として捉えられてきた問題は、もは
や供給力、ひいては地域経済の成長を阻害しかねない差し迫った経営課題にな
りつつある。人口の都市圏への流出は多くの地方が抱える共通の課題であるが、
宮崎県は特に高校卒業生の県外就職率が高く、若年層の流出が人口減少の大き
な要因の一つとなっている(図表 12、13)。加えて、全国に比べ相応に高い高校・
大学卒業者の早期離職率も当地の抱える課題である(図表 14)。
現在、
「地方創生」が改めて日本全体の重要な政策課題となっている。昨年 12
月に閣議決定された「まち・ひと・しごと創生総合戦略」では、人口減少を食
い止めるため、子育て世代における男性労働者の長時間労働の是正や育児休
業・有給休暇の取得率向上が主な施策に挙げられるなど、労働環境の改善に向
けた取り組みも進められている(付表2、3)。最後に、「地方創生」という政
策課題を踏まえ、若い世代の繋ぎ留めと雇用拡大について、労働条件の観点か
らの考察を試みる。
(図表 12)高校卒業者の県外就職率
(図表 13)年齢別の人口の流出入
3
総数
2013
2014
41.6%
40.5%
42.7%
1
全国4位
全国4位
全国2位
0
18.8%
18.2%
18.2%
-1
流入
(出所)文部科学省 報道発表「高等学校卒業者の就職状況に関す
る調査について」
25歳以上
14 歳以下
15-19歳
流出 -2
20-24歳
-3
-4
2010 2011 2012 2013 2014 (年)
(出所)総務省「住民基本台帳人口移動報告」
(図表 14)学校卒業者の3年以内離職の状況
高校卒業者
60
%
50
50
40
40
30
30
20
大学卒業者
%
20
宮崎
全国
6
2011
2010
(年卒)
2009
2011
2010
2009
2008
2007
10
2006
10
宮崎
全国
2008
60
2007
全国
2012
2006
宮崎
千人
2
(年卒)
(注)宮崎労働局の資料を基に作成
近年仕事を辞めた人の離職理由をみると、宮崎は全国対比高齢化が進んでい
ることもあってか介護・看護、病気・高齢を理由に離職した人の割合がやや高
い。全体としては全国と概ね同様に、男性では労働条件の悪さや低収入、女性
では出産・育児といった理由も多くなっている(図表 15)。
労働局が県内の若年離職者を対象に行った離職理由の調査を見ると、高卒・
大卒者共に、労働条件に関する理由が、仕事内容や人間関係といった理由を上
回って最も多い(図表 16-1)。また、高卒者では低収入を理由にした離職が1割
を超えており、低賃金が高卒者にとって卒業時点からの県外就職の動機の一つ
となっている(図表 16-2)。また、長時間労働と並んで、当初の労働条件と実態
が異なっているという理由が約1割も存在している。
当地の労働環境と賃金についてみてみると、労働時間や休暇取得率といった
面では全国とほぼ同水準かやや劣る程度であるが、賃金は全国に対して低く、
特に女性の賃金が低いことから九州内でみても低位となっている(図表 17-1、2、
18)
。
(図表 15)男女の前職の離職理由
16
(%、男、全年齢)
宮崎
16
(%、女、全年齢)
宮崎
全国
12
12
8
8
4
4
全国
0
0
低収入
低収入
労働条件の 介護・看護 病気・高齢 自分に
悪さ
向かない
仕事
労働条件
の
悪さ
結婚
出産・育児 介護・看護 病気・高齢
自分に
向かない
仕事
(注)総務省「就業構造基本調査」
(2012 年)を基に作成。本人都合によるもの(定年退職や事業所の業績不振など以外)
を掲載しているため各理由の合計は 100 に満たない。また、該当割合が1%に満たない項目を除く。
(図表 16-1)離職理由の調査結果
50
(図表 16-2)離職理由の詳細
(%、複数回答)
高卒者
40
大卒者
30
20
10
0
労働条件
仕事内容
本人
家族都合
人間関係
などの
職場環境
職場都合
など
(注)宮崎労働局の資料を基に作成。ハローワークに
登録している概ね学校卒業後3年以内
(2011-2013/3 月卒)の離職者を対象に離職理
由について調査。
低収入
長時間労働
(休みが少ない)
当初の労働条件と
異なっていた
実際に働いてみると仕事が
自分に合わなかった
高卒者
大卒者
10.3%
5.7%
7.4%
10.9%
9.9%
10.9%
23.6%
14.4%
(注)宮崎労働局の資料を基に作成。複数回答。上段3項目は左
図「労働条件」、最下段は「仕事内容」に含まれる。
7
(図表 17-1)男女の1日あたりの仕事時間
男性
女性
(図表 17-2)有給休暇の取得率
宮崎
全国
1人あたり取得率
7時間1分
5時間7分
6時間 56 分
4時間 50 分
宮崎県
全国
(注)
学生などを除く有業者の休日・非番等を含んだ週全
体の仕事時間の1日あたりの値。
(出所)総務省「社会生活基本調査」(2011 年)
45.5%
47.1%
(出所)総務省「就労条件総合調査」(2013 年)
、
宮崎県「労働条件等実態調査」(2013 年度)
(図表 18)宮崎の各種賃金指標
男
女
宮崎
全国
宮崎
全国
25.9 万円 32.6 万円 18.8 万円 23.3 万円
一般労働者計
九州7位
23.2 万円
製造業
7位
31.5 万円
15.3 万円
7位
26.4 万円
卸・小売業
32.7 万円
16.2 万円
4位
29.4 万円
医療・福祉
14.4 万円
34.7 万円
20.2 万円
18.3 万円
15.9 万円
13.8 万円
962 円
15.1 万円
6位
20.0 万円
17.6 万円
5位
短時間労働者計
24.6 万円
7位
6位
大卒初任給
21.8 万円
6位
4位
高卒初任給
20.4 万円
7位
19.5 万円
4位
1,095 円
828 円
3位
1,007 円
7位
(注)一般労働者およびそのうち主要産業は、月当たりの所定内給与。短時間労働者
は1時間あたりの所定内給与。下段は九州7県内での順位。
(出所)厚生労働省「賃金構造基本統計調査」
(2013 年)
なお、所得分配状況をみると、宮崎は全国に比べて雇用者報酬の割合がやや
小さく企業所得は大きくなっているため、労働分配率を引き上げる余地もある
程度存在する可能性がある(図表 19)。こうした中、最近では、これまで低下傾
向にあった現金給与総額も全国を上回るペースで前年を上回って推移しており、
宮崎の雇用環境に賃金面では一定の改善の動きがみられている(図表 20)。
(図表 19)国民・県民所得の分配状況
雇用者報酬
財産所得
(図表 20) 最近の名目賃金の動き
10
企業所得
前年比、%
8
65.4
30.2
4.5
全国
66.5
50
宮崎県
4
全国
2
27.6
0
5.9
0
6
100 (%) -2
(出所)内閣府「県民経済計算」
-4
2010
2011
2012
2013
-6
13/1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
14/1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
宮崎
(年/月)
(出所)宮崎県、厚生労働省「毎月勤労統計調査」
8
今後、こうした動きが地域全体として広がっていくことが期待される。同時
に、全国的に人口が減少し少子高齢化が進捗することで現役世代の介護負担も
増加する中、子育て層や介護者など、多様な人材が働きやすい職場環境の整備
が宮崎でも期待されるところである。上述の調査において長時間労働は主たる
離職理由として挙げられているが、若年層に限らず特に男性の長時間労働は子
育て・介護の面からみても我が国の抱える課題である(付表2、3)。企業をは
じめとする関係者による労働環境の向上に向けた取り組みは、特定の企業だけ
でなく、幅広い業種や地域で多様な人材を引き付け、労働力の確保に繋がるこ
とに加え、そうした環境や幅広い人材が新しい着眼点や発想を生みイノベーシ
ョンや生産性の向上に繋がってゆくことも期待できる。また、既存企業の取り
組みに止まらず、新しい雇用の創出が若年層の流出を食い止める上で重要であ
る(付表2下)。賃金面のみに止まらず、人材育成や労働条件の改善に宮崎の企
業が行政・教育関係者と一体となって積極的に取り組んで行くことによって、
宮崎全体が働き手にとって魅力的な県となり、
「地方創生」が改めて謳われる中、
これからを担う当地の若い世代に「選ばれる県」となることが期待される。
以
9
上
付表
(付表1)産業別の従業者数の分布
100%
その他
公務
80%
医療・福祉
サービス業
60%
宿泊業・飲食サービス業
40%
卸売業・小売業
製造業
20%
建設業
農林漁業
0%
1992 2002 2012
1992 2002 2012 (年)
宮崎
全国
(注)医療・福祉および宿泊業・飲食サービス業の分類は 2002 年以降適用。
(出所)総務省「就業構造基本調査」
(付表2)まち・ひと・しごと創生「長期ビジョン」、「総合戦略」より
(今後の基本的視点:若い世代の就労・結婚・子育ての希望に応える)
○
子育てと就労を両立させる「働き方」を実現していかなければならない。育児休業な
どの取組は進展しているが、特に男性の育児休業取得率が非常に低いことが指摘されて
いる。育児は、女性のみならず、男性の問題でもある。日本は欧米に比べて夫の育児・
家事への参加度合が非常に低く、それが妻の2人目以降の出産意欲を削ぐ要因となって
いるという調査結果もあり、育児・家事に男性も主体的に参画することが重要である。
(仕事と生活の調和の実現:施策の概要)
○
子育て世代の男性に長時間労働が多く、育児休業や年次有給休暇の取得率が低い。日
本における子育て世代の男性が家事・育児に費やす時間は国際的に最低水準となってい
る。こうした長時間労働、転勤などの働き方や育児休業等の低取得率、男女の固定的な
家事・育児の役割分担意識の存在等が、妊娠・出産・育児休業取得等を理由とする不利
益な取扱いなど様々な女性に対するハラスメントの問題や女性の育児負担をより大きく
させている。
(2020 年までに達成すべき重要業績評価指標)
■ 第1子出産前後の女性の継続就業率を 55%に向上(2010 年 38%)
■ 男性の育児休業取得率を 13%に向上(2013 年 2.03%)
■ 週労働時間 60 時間以上の雇用者の割合を5%へ低減(2013 年 8.8%)
■ 年次有給休暇取得率を 70%に向上(2013 年 48.8%)
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(主な施策)
○ 育児休業の取得促進、長時間労働の抑制、年次有給休暇の取得促進に加えて、勤務地・
職務等を限定した正社員制度の普及・拡大が課題になっている。
― 中小企業事業主に対する支援の拡充、男性の育児休業取得の促進等を進める。
― 年次有給休暇の取得促進策を含めた労働時間法制の見直しに取り組む。
―
組み事例を幅広く普及させるための情報発信を強化、企業に対する支援を展開。
(地方に仕事をつくり、安心して働けるようにする)
○
地方における若年世代の流出・人口減少を食い止めるためには、地域イノベーション
等を通じた、新産業の創出や既存産業の高付加価値化を行い、働く場の創出、特に「や
りがいのある」高付加価値産業を創出することが重要である。
(出所)首相官邸
「まち・ひと・しごと創生長期ビジョン」「まち・ひと・しごと創生総合戦略」
(付表3)子育て世代の生活時間分配の国際比較
6:00
4:00
日本各地のリーディングカンパニーのトップに働きかけるとともに、先進的な取り
16:00
夫
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2:00
12:00
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夫
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0:00
10:00
8:00
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家事と家族のケア
4:00
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仕事
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自由時間
米国
ドイツ
14:00
12:00
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10:00
自由時間
8:00
家事と家族のケア
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フランス
米国
ドイツ
英国
フランス
自由時間
自由時間
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家事と家族のケア
仕事
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仕事
家事と家族のケ
2:00
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英国
日本
妻
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4:00
仕事
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0:00
日本
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妻
0:00
日本
米国
ドイツ
英国
日本
フランス
米国
ドイツ
英国
(注)総務省「社会生活基本調査」より引用。日本、米国は6歳未満、それ以外は6歳以下の者がいる世帯の夫
婦、実施期間は日本、米国が 2011、ドイツが 2001-2002、英国が 2000-2001、フランスが 1998-1999 年。
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フランス