神戸市各区への分権化マネジメントによる 地域活性化の検討 地域カンパニー制の導入 平成27年2月11日(水) 神戸大学経営学部松尾貴巳ゼミ 1 提案する政策 提案する政策 ・市民の意思が反映された行政につながる分権的な 組織デザインを導入し地域の活性化を図る 最終的なビジョン ・市民・職員の満足度が向上し、まちの価値が高まる 2 調査方法 ・神戸市本庁及び区役所の関係機関にヒアリングを実 施した ・大阪市や横浜市等の地域分権に向けた先進地の関 係者にもコンタクトをとり、情報を収集した ・神戸市の統計データ・各種計画等から、神戸市及び 各区の現状・課題に関する情報を収集・整理した ・その他、全国の政令市のデータも同様に収集し、提 案の参考にした 3 判明した課題等① ◎計画・評価指標(まちづくり指標)について <計画体系> ・体系上、区計画は神戸2015ビジョンと並列的なものとされているが、区の 権限で完結する事業以外についても多く記載されており、計画と区役所とし ての事業権限の整合性がとられておらず、内部組織管理に活用しにくい(下 図) 区計画事業 1. 2. 3. 4. 5. 6. 7. 8. 9. 10. 区役所権限 市役所の局主導 住民主導 建設事務所権限 4 判明した課題等② ◎計画・評価指標(まちづくり指標)について <評価指標> ・各区がそれぞれの環境に応じて、独自の指標を設定している ため、各区のパフォーマンスの比較には使用できない ・指標が末端の事業単位にのみ置かれており、ビジョンや計画 内の上位の目標に関連付けて設定されていない。そのため、 事業目標の達成と、計画の達成の間の因果関係が不明瞭 5 判明した課題等③ ◎地域重視の分権化された組織に向けた課題 <組織デザイン・事務権限> ・区役所のカバーする事務範囲が他政令市と比較して小さい ・区役所に所属していない出先機関があり、その機関がカバーするエリアが 現行の区割りと一致していない(下図) 福祉分野 区割り A区 B区 A区役所 B区役所 一致 C区 D区 不 一 致 建設分野 A建設局 C建設局 B建設局 C区役所 D区役所 環境分野 A環境センター B環境センター 6 判明した課題等④ ◎地域重視の分権化された組織に向けた課題 <予算システム> ・通常事業については、区役所から市役所事業担当部門に対し予算要求を 行っており(下図)、区役所が局と並列している組織図とずれが生じている ・他政令市と比較して区自主事業予算額も決して多いとは言えない トップ 財政・企画・総務部門等 こども家庭局 予算要求 住民都市局 ● ● 区 建設局 灘 区 保健福祉局 中 央 区 ●●局 垂 水 区 自主事業予算 以外の予算 7 判明した課題等⑤ ◎地域重視の分権化された組 織に向けた課題 <総括> ・「組織分野」、「事務権限分野」、 「予算分野」の3つの観点から、 区役所への分権度合を点数化 した。 ・結果は人口100万人以上の 都市全11市中10位! ・大都市の中では分権度は低 い 分権度合計 (300点満点) 分権度順位 横浜市 189 1 福岡市 184 2 川崎市 165 3 さいたま市 163 4 仙台市 147 5 京都市 138 6 広島市 132 7 大阪市 127 8 札幌市 122 9 神戸市 121 10 名古屋市 103 11 8 分権型組織の定義 H.ミンツバーグの経営組織論、R.サイモンズの組織デザイン論をベースに考察 中央集権的モデル(現状の神戸市) 地域分権型モデル 住民 住民 区役所 区役所 ××× ××× 教育 建設 保健福祉 ××× ××× 教育 保健福祉 建設 住民(顧客)に直接接している部門の権限・機 能を小さくとり、住民から離れた局の権限・機能 の幅を大きくする組織 住民(顧客)に直接接している部門の権限・機能 の幅を大きくとり、住民と離れた局の権限・機能 を小さくする組織 9 神戸市に地域分権化が必要な理由 ①住民の意思を反映した行政サービスを提供する ・中央集権型モデルだと、住民に遠い位置にある局に権限 や機能の幅が大きく与えられるため、住民の意向が市の意 思決定に反映されにくい。 ②環境の違いに応じた効果的な施策を地域で展開で きる ・環境が一様であれば、一律のサービスを集権的に展開し ても問題ないが、現在の神戸市は地域によって環境(土地 利用、人口構成)が大きく異なるため、環境に応じた政策が 必要。 10 分権的組織デザインの整理 分 権 度 集権型組織 意思決定権限 がトップに集中 している。 事業部制 カンパニー制 分社化 各事業部に一 定の機能と権 限を持たせるこ とで、迅速な意 思決定を期待し た組織体制。 各事業部門に 予算、投資、人 事などの権限を 与え、事業部を 独立採算制に する擬似的な社 内分社制度。 特定部門を組 織から切り分 け、独立子会社 とする。カンパ ニー制と異な り、当該部門は 法人格を有す る。 業績管理の必要性 11 分権化事例① 大阪都構想 広域的に実施する ことが適切な事務 は都や事業組合へ 大阪府 大阪市役所 本庁・各部局 大阪都 5区 24区 南 区 湾 岸 区 中 央 区 北 区 東 区 西 成 区 中 央 区 城 東 区 大 正 区 区割り:細かい 権限:小(出先機関) 地域対応が重 要・区の裁量を 活かせる事務 は各区へ 区割り:大きい 権限:大(中核市程度) ◎大阪都構想の課題 ・導入に際して、大幅な法改正・法整備が必要でコストが非常にかかる ・大阪市で行っていた事務の一部は、都に移管されるため、地域分権に逆行する要素も はらんでいる 12 <概要> 分権化事例② ポートランド市 ・人口:58万人 神戸市:153万人 八王子市:57万人 ・面積:376㎢ 神戸市:552㎢ 篠山市:377㎢ ・主産業:製造業,物流業 ・「環境に優しい都市」 世界第2位 ・「住みやすい街」 世界第42位 ポートランド市HPより 13 分権化事例② ポートランド市 地域団体(防犯、 美化などの特定 の活動) 地域連合組織 (専門家の配置:市が支援) 地域分権と地域団体の活力に 市の地域担 より地域課題への対応力は向 当課 (ONI : Office of Neighborhood Involvement) 上するが、過度の分権化は、 14 ポートランド市ホームページ http://www.portlandoregon.gov/oni/25967 短期的、場当たり的な施策、 地域格差を生み出す危険性も ある。 さらに、一般市民の住民自治 意識が成熟している必要があ り、適さない地域も多い。 地域カンパニー制 <概要> ・市内各地域に対し、本庁から事務権限、及び予算・ 人事等に関する権限を大幅に委譲し、各エリアが自 らの裁量で地域の課題解決に向けた取り組みを実 施できる制度 ・後述するように、現行の区割りにこだわらず、地域 の課題解決のための戦略を管理する、地図にのら ないバーチャルな地域単位に基づく制度 ※カンパニー制 1994年にソニーが初めて導入した分権型管理制度。事業分野別に人 材・資本等の経営資源や投資権限が本社から配分され、各事業分野が あたかも独立した会社のように独立採算で運営されるシステム。 15 行政組織の分権マネジメント手法 地 域 分 権 度 神戸市 (現行) 地域 カンパニー制 都構想 (法人格授与) 地域行政組 織の権限を 大きく 市民参加型 システム 今後は、地域行政組織の権限を重視した「都構想」型シス テム、または住民自治を重視した「市民参加型システム」 への移行が必要となる可能性も。 しかし、制度の移行には大きなコストや、課題が存在する ため、当分は地域カンパニー制に基づいた分権化を志向 していく。 住民自治を重視 (地方自治の本旨) 16 地域カンパニー制 他都市制度との比較 神戸市(現行) 地域カンパニー制 大阪都構想 ポートランド市 市民参加システム 地域エリアの 法人格 なし なし あり (特別区) あり (ネイバーフッド 連合) 地域議会 なし なし あり あり (連合役員会) 主たる行政サー 行政 ビスの意思決定 主体 行政 行政&議会 住民 類似する経営組 中央集権型組 織分類 織 カンパニー制 事業部制 分社化 なし (住民自治の理 想形) 中程度 高い 高い 地域エリアの権 限 低い 17 地域カンパニー制と総合区制度 ◎総合区制度とは・・・ ・平成26年の地方自治法改正により導入された制度で、政令市 の判断で区の権限を強化した総合区を設置できる ・条例に基づき、予算・人事の権限を一部、区に移譲できる。ま た、総合区長は特別職で、任命には議会の同意が必要 ◎地域カンパニー制との違い ・総合区制度は現行の区の権限強化が目的であるのに対し、地 域カンパニー制は、現行の区のエリアにとらわれない地域の課題 解決に向けた戦略策定のためのバーチャルな管理単位であり、 現行の区役所は今後も存続する。 ・総合区制度は、導入に当たり法律に沿った手続きが必要なのに 対し、地域カンパニー制は法律に依らず政令市の柔軟な組織設 計が可能 18 分権化の問題点 1 全体的な効率性の低下(管理コストの上昇) 2 神戸市一体としての規律の低下(市全体の意向 と分権化された地域との意向がそぐわなくなる可能 性あり) 広域エリアへの分権化と並行して、 上記問題点の解決手法を検討する必要あり →・地域クロマトグラフィーに基づく広域化(課題1への対応) ・適切な事務移譲・出先機関統合(課題1への対応) ・計画体系・評価指標体系を整理し、本庁による一体的な 管理を可能にする(課題2への対応) 19 地域の広域化① <Point> ・地域を広域化すれば、スケールメリットにより効率 性は改善する ・地域の環境が均一であれば、管理コストが下がり 効率性が保たれる 地域内の環境が出来るだけ一様になるように、 市内9区をまとめ上げ、広域エリアを設ける 20 地域の広域化② • エリアクロマトグラフィー – 様々な物質が混ざった溶液を、物質の持つ成分 ごとに分離するクロマトグラフィーという化学技法 になぞらえて、市内の各地域の特色や固有の課 題、住民の考え方や特徴によってエリア分けをす ること。 市域 エリアA エリアB 化学 溶液 物質1 物質3 物質2 物質5 21 地域の広域化③ エリアクロマトグラフィーの結果 高い 低い 高齢者割合 児童割合 東灘 北 北 80 灘 60 40 中央 中央 20 西 0 垂水 兵庫 須磨 兵庫 須磨 生活保護受給割合 東 灘 東 灘 80 灘 60.00 北 灘 60 40.00 40 中 央 20.00 0.00 中 央 20 西 0 垂 水 兵 庫 長 田 垂 水 兵 庫 須 磨 長 田 垂水 兵庫 須磨 長田 農林業従事者割合 80.00 中央 0 垂水 長田 灘 60 40 20 西 0 須 磨 北 40 20 北 東灘 80 灘 60 西 流出入人口割合 東灘 80 西 エリアD エリアC 物質4 長田 ・区別の偏差値を項目ごとにプロッ トした ・赤い線は偏差値50(平均値)の 線、青い線は実際の偏差値。高い 値ほど割合が高い ・流出入人口割合は、社会的流出 と流入の総数の区人口に対する割 合。値が高いほど住民の新陳代謝 が激しく、コミュニティの結びつきが 希薄であると想定される ・以上のデータを参考に、地域カン パニーの管理地域単位を考える 22 地域の広域化④ 北 灘 須磨 垂水 長兵中 田庫央 東灘 西 23 地域の広域化⑤ 山間地域カンパニー 北区 西区 中 央 区 沿岸部中央 地域カンパニー 東灘区 兵 庫 区 灘区 須磨区 垂水区 沿岸部西 地域カンパニー 長 田 区 沿岸東 地域カンパニー 24 適切な事務移譲・機関の統合 <Point> 効率性を確保するため関連する事務をフルセットで移譲する 現行 建設事務所 事務移譲後 パターンA 断片的委譲 市道の補修・維持 地域カンパニー 環境事務所 市道の補修・維持 鳥獣の死骸処理 地域カンパニー 環境事務所 鳥獣の死骸処理 市道の補修・維持 鳥獣の死骸処理 パターンB 包括的委譲 事務の移譲を包括的に行うことで、例えば「市道に鳥獣の死骸がある」という場合 に、地域カンパニーがワンストップで対応できる(パターンBの場合)。 その結果、それぞれの機関が個別に対応するより、効率化が図れる。 25 地域カンパニー組織 <地域カンパニーイメージ> 地域カンパニー長 A区長 B区長 A区 各部 B区 各部 地域戦略担当 旧○○事務所 旧△△事務所 ※現行の、基礎的な住民対応サービスを実施する区役所の機能はそのまま残す。地域カンパ ニーは地域の課題解決のための戦略を統括し、各部署への資源配分を実施する主体となる。 ※区や各出先機関ごとに分権化を行うことに比べ、スケールメリットを活かした効率的な行政運 営が期待できる 26 本庁によるコントロール① <地域カンパニーのコントロール> ・分権化を行うと、裁量が増す分、責任も増える ・分権化を行うと、地域カンパニーの目指すところと、 神戸市全体の目標の整合性がとれなくなる恐れがあ る 各種計画及び業績指標を活用して、市本庁が地域カ ンパニーをコントロールする必要がある 27 本庁によるコントロール② 課題の整理 市・地域共通課題 地域固有課題 市全体課題 地域別手法 市共通手法 解決手法 地域特有 地域特有 全市共通 全市共通 掲載する計画 地域計画 市計画 地域計画 市計画 市計画 評価指標 地域 独自指標 (局と協議) 市全体指標・ 局が地域別目 標を設定 市全体指標 市全体指標 管理分類 分権的 分権的 集権的 集権的 集権的 28 本庁によるコントロール③ 計画体系 市・地域共通課題 地域固有課題 地域特有 アプローチ 市計画の課題と可能な限 りリンクさせ、指標は担当 部局と協議をして決定 市全体課題 全市共通 アプローチ 市計画だけに掲載する課題 (指標は、担当部局が行政管理部署と 市基本計画がカバーする課題・事業 協議の上設定) 市・地域計画に共 通掲載する 課題 市が地域を指標(担当局 がトップダウンで設定)で 管理 地域計画 固有の課題 地域計画がカバーする課題・事業 29 本庁によるコントロール③ 計画体系 現行 市ビジョン 連携 各区計画 各個別計画 改革案 市ビジョン 各地域計画 連携 指標を通じて、市ビ ジョンが、各地域・部 門計画を統括する。 各部門計画 30 本庁によるコントロール④ 計画指標体系 <現行> 市ビジョン 大分類(6分類) 中分類(12分類) 小分類(48分類) 中分類(12分類) 小分類(48分類) 小分類(48分類) 小分類(48分類) 個別事業 個別事業 個別事業 個別事業 個別事業 個別事業 個別事業 個別事業 指標 指標 指標 指標 指標 指標 指標 指標 区計画 指標 指標 指標 指標 ※市ビジョン指標と区計画指標が独立に設定されており、因果関係が不明瞭 ※※市ビジョンの指標が、末端の個別事業にしか設定されておらず、段階的な進捗管理が不可能 <改革案> 31 本庁によるコントロール⑤ 計画指標体系 市ビジョン 大分類(6分類) 指 標 中分類(12分類) 中分類(12分類) 指 標 指 標 小分類(48分類) 小分類(48分類) 小分類(48分類) 小分類(48分類) 指 標 指 標 指 標 指 標 指標 個別事業 指標 個別事業 指標 個別事業 指標 個別事業 指標 個別事業 指標 個別事業 個別事業 個別事業 指標 指標 地域計画 指標(固有課題) 指標(共通課題) 指標(共通課題) 指標(固有課題) ※各指標の因果関係を確保・整理し、市と地域カンパニーが一体となった市政の展開を目指す 32 予算の地域分権化 <枠予算方式の導入> 各地域が財務に 直接予算要求 一般管理費 地域別課題 事業費 枠予算化(原則本庁査定なし) 各エリア財務担当が 第二次配分 各事業費 担当局が財務に要求・査定 共通課題 地域別手法 共通課題 共通手法 扶助費 各事業費 (本庁査定あり) 各事業費 (局から配分) 各事業費 (局から配分) 各エリアに配分の裁量を 与え、分権的なマネジメ ントを行う(枠予算化) 本庁財務担当部署によ る、集権的な管理を行う 予算 一般管理費 33 人事の分権化 ◎人事配属権の分権化 ・年度内に地域カンパニー長の裁量で、地域カンパニー内各課 への人員の配分を変更することが可能 ◎人事要求権の分権化 ・各地域は毎年度、地域に必要な人員数や職員の能力につい て、直接人事課と協議することができる ◎組織編成権の分権化 ・各地域は自らの課題に対応するかたちで、カンパニー内に新 しい組織を編成することができる 34 ケーススタディ① ◎A地域カンパニーのケース <地域の環境> ・高層マンションが多く、コミュニティの結びつきが弱い ・高齢者割合が高い <地域の課題> ・独居老人の生活サポート体制の確保(市・地域共通課題) →マンションが多いという特殊な環境に適した手法が必要 ・若い世代の住民数を増やす(地域固有課題) →地域固有の課題に対して、地域カンパニーが大きな裁量を 持って、解決策を実行する 35 ケーススタディ② <事業実施体制> ①独居老人サポート事業(市・地域共通課題) (1)市役所本庁担当X課 独居老人の孤独死は全市で増加傾向なので、市総合計画に課題を掲載 しかし、地域によって環境が異なるので、実施方法は地域に任せる その代わり、全市で目標が達成できるように、きちんと地域の業績を管理 (2)A地域カンパニー A地域はマンションが多く、住民同士の関係が希薄であるため、独居老人の 捕捉率が低い →マンション内のコミュニティ活動を活性化させるコーディネーターの活用 →マンション内で高齢者の定期訪問を実施するボランティアの掘り起こし A地域カンパニーが独自に事業計画の立案実施 36 ケーススタディ③ <事業実施体系イメージ> ①独居老人サポート事業(市・地域共通課題) 計画に記載され ている目標が達 成されているか 管理 市役所本庁管理部署 指標間の因果関係を確保 孤独死者数30%減! 全市で目標が達 成できるよう、各 地域の目標設 定・進捗管理 市役所本庁担当X課 A地域 カンパニー B地域 カンパニー C地域 カンパニー 見回り実施延べ人 数30%増 見回り実施延べ人 数20%増 見回り実施延べ人 数25%増 目標はトップダウンで強制されるが、 事業実施手法に大きな裁量あり 37 ケーススタディ④ <事業実施体制> ②若者でにぎわうまちづくり事業(地域固有課題) ◎若い世代が移住しない要因 ・主要駅隣接の駐輪場が小さく、通学通勤が不便 →駐輪場の増設事業を計画(建設担当部署) ・治安が悪い地区がある →地域による夜間パトロールの促進(まちづくり担当部署) ・地域の商店街がシャッター通りになっている →若い世代の新規出店経費の補助事業(商工担当部署) A地域カンパニー内の各部署が連携して、課 題解決に向けた事業を計画・実施する! 38 ケーススタディ⑤ <事業実施体系イメージ> ②若者でにぎわうまちづくり事業(地域固有課題) 市役所本庁管理部署 若い世代の流入数 10%増!! 地域カンパニーは枠 予算化された予算を、 自らの裁量で、各部 署に配分できる A地域カンパニー 市総合計画 上位指標 市人口純増数 5%上昇 市総合計画の指標と 因果関係を確保し、 本庁と地域の目標の 整合性を担保 建設関連部署 まちづくり 関連部署 地域計画に記載さ れている目標が達 成されているか、地 域カンパニーを直接 管理 商工関連部署 目標設定、事業実施手法 共に大きな裁量あり 39 ケーススタディ⑥ <新しい分権システムの効果> ①独居老人サポート事業(市・地域共通課題) ・各地域が、自らの環境に合った効果的な事業を企画できる ・本庁担当課は、より広域的な政策や各地域の事業管理に専念できる ・事業評価がトップダウンで指定された指標を基に実施されるので、各地 域の実績が横並びで評価され、地域のインセンティブが向上する ②若者でにぎわうまちづくり事業(地域固有課題) ・各出先機関が統合されるため、地域の課題に向けて各部署が密に連 携しながら効果的な事業を展開できる ・枠予算化されるため、地域カンパニー長の判断で柔軟に資源の配分を 実施できる ・地域固有課題であっても、市総合計画との因果関係がある指標を使っ て評価されるので、市全体の利益と整合がとれた政策を展開できる 40 提案する政策まとめ ・住民の意向をより反映した市政の展開 ・地域の環境に応じた効果的な政策の実行 ・地域カンパニー制の導入による組織内分権化の実施 (事務権限移譲、出先機関の統合、分権的予算・人事システ ムの導入) しかし・・・ 分権化による効率性の 低下(管理コスト上昇) 神戸市全体の目標と地 域の目標が乖離しがち 分権化のデメリットを 解消するために・・・ ・エリアクロマトグラ フィーによる広域化 ・適切な事務移譲、出先 機関の統合 計画体系の変更・業績 指標の活用により、本 庁による管理統制を可 能に 41 最後に ~今後の展望~ ・地域カンパニー制の導入は、組織内地域分権化の第 一歩。最終的には、地域カンパニーへの法人格付与、 または住民自治型システムへ長期的な移行を行ってい く必要がある ・本庁は地域の枠を超えた広域的な行政を専ら行う。 そのためには、県や国の出先機関との二重行政の解 消、更には、近隣市町村との連携による新しい広域的 行政システムのあり方に向けた検討が必要 42 おしまい 43
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