Oracleホワイト・ペーパー 2014年7月 Oracle Database Applianceのパフォーマンス 評価/比較 Oracle Database Appliance X4-2 対応版 Oracle Database Applianceのパフォーマンス評価/比較 目次 エグゼクティブ・サマリー ......................................................... 2 対象読者 ......................................................................... 3 目標 ............................................................................. 3 Oracle Database Applianceのパフォーマンス・アーキテクチャ ......................... 5 Oracle Database Applianceの構成テンプレート....................................... 6 Swingbenchとは ................................................................... 7 Swingbenchのダウンロードと設定 ................................................... 8 パート1:Order Entryベンチマーク(OLTP).......................................... 9 データベースとスキーマの設定 .................................................. 9 Swingbenchワークロードの設定 ................................................. 12 OEワークロード・テストのパフォーマンス結果 .................................... 13 データベースおよびオペレーティング・システムの統計 ............................ 15 パート2:Sales Historyベンチマーク(DSS)........................................ 18 データベースとスキーマの設定 ................................................. 18 Swingbenchワークロードの設定 ................................................. 19 SHワークロード・テストのパフォーマンス結果 .................................... 21 データベースおよびオペレーティング・システムの統計 ............................ 22 パート3:従来の環境とOracle Database Appliance環境でパフォーマンスが異なる 場合のトラブルシューティング .................................................. 24 結論 ............................................................................ 26 付録A:データベース・デプロイ後のスクリプト(OE) ................................ 27 付録B:OEベンチマーク用のSwingbench構成ファイル .................................. 28 付録C:SHベンチマーク用のSwingbench構成ファイル .................................. 31 付録D:ワークロードを発行してデータベース統計を収集するためのスクリプト .......... 34 Oracle Database Applianceのパフォーマンス評価/比較 エグゼクティブ・サマリー Oracle Database Applianceは高可用性を備えたOracleデータベース・システムです。事前に構築、 チューニング、パッケージ化が完了している統合データベース・ソリューションであり、ハードウェ ア、ソフトウェア、ネットワーク、ストレージのすべてが1台の4U構成に収納されています。Oracle Database Applianceのハードウェア構成およびソフトウェア構成では冗長性が確保され、システム 内のすべてのシングル・ポイント障害から保護されます。 図1:Oracle Database Appliance 具体的には、Oracle Database Applianceは2ノードのIntel X-86 64ビット・クラスタであり、ハー ド・ディスク・ドライブとソリッド・ステート・ディスクで構成されるSASストレージが直接接続さ れています。Oracle Linuxオペレーティング・システム(OS)、Oracleリレーショナル・データベー ス管理システム(RDBMS)、Oracle Real Application Clusters(Oracle RAC)ソフトウェア、Oracle Clusterware、Oracle Automatic Storage Management(Oracle ASM)などの実績のある標準ソフト ウェア・コンポーネントが稼働します。事前に構築、テスト、チューニングが完了した構成である ため、Oracle Database Applianceは迅速に導入でき、顧客サイトへ到着した日に導入が完了するこ ともよくあります。また、よくある構成の手動チューニングは必要ありません。 さらに、Oracle Database Applianceには、パッチ適用、アップグレード、トラブルシューティング などのシステムの管理と維持に使用できる、Oracle Appliance Managerソフトウェアが搭載されて います。 このホワイト・ペーパーの目的は、OLTPやDSSのようなワークロードをOracle Database Appliance で実行したときのパフォーマンスを実際に調査して記載すること、およびシステム・アーキテクト やデータベース管理者がOracle Database Appliance上で実行される標準化されたSwingbench(無償 のパフォーマンス・テスト・ツール)ワークロードのパフォーマンスを評価し、従来の環境と比較 するための手順を示すことです。Oracle Database Applianceの最大IOPSや最大MBPSの性能を示すこ とは、このホワイト・ペーパーの目的からは外れます。 Oracle Database Applianceは小型サイズでありながら、非常に強力なデータベース・サーバーです。 このベンチマークの過程で実行されたパフォーマンス・テストでは、Oracle Database Applianceは OLTPタイプとDSSタイプの両方のデータベース・ワークロードについて、スケーラブルなパフォーマ ンスを示しました。Oracle Database ApplianceのすべてのCPUコアをアクティブ化した構成では、 2 Oracle Database Applianceのパフォーマンス評価/比較 Swingbench同時ユーザー数は20,000を超え、1秒あたりのSwingbenchトランザクションは20,300を超 え、平均応答時間は16ミリ秒未満で維持されました。また、DSSワークロードを使用した場合、Oracle Database Applianceの持続的なI/Oスループットは2975MB/秒を簡単に超えました。 注:このテストは、1台のストレージ・エンクロージャを使用して実行されました。現在、Oracle Database Applianceは最大2台のストレージ・エンクロージャをサポートしています。標準構成に2 台目のストレージ・エンクロージャを追加することで、OLTPとDSSの両方のワークロードについて、 トランザクション(IOPS)とスループット(MBPS)の観点からパフォーマンスをさらに強化できま す。 対象読者 このホワイト・ペーパーは、Oracle Database Applianceのパフォーマンス特性を理解および評価す ることに関心のあるIT部門長、データベース管理ディレクター/マネージャー、データベース・アー キテクト、CTO、CIO、購買マネージャーにとって有用です。また、Oracle Database管理者、システ ム管理者、ストレージ管理者が自身の環境でパフォーマンス・テストを実施する際に、このホワイ ト・ペーパーの情報が役立つ可能性があります。Oracle Database Applianceで実行される特定のワー クロードのパフォーマンスをさらに強化させることのできるベスト・プラクティスを学習できます。 目標 Oracle Database Applianceのハードウェア構成を簡単に確認すれば、このシステムのアーキテク チャが高可用性を達成し、標準状態で良好なパフォーマンスを発揮できるようになっていることが 分かります。ただし、各システムには多数のコンポーネントがあり、それぞれのワークロードの性 質が対立することから、顧客はしばしば(正当な権利ですが)、各種の標準的なワークロードに関 するベースラインとなるパフォーマンス比較データを要求します。このデータは、顧客がデータベー スを新しい環境に移行した後の、独自のパフォーマンスやその期待値を予測するのに役立ちます。 したがって、このホワイト・ペーパーの第1目標は、OLTPワークロードおよびDSSワークロードを実 行した際のOracle Database Applianceのパフォーマンスを数値化することになります。このワーク ロードのパフォーマンス情報を、ユーザー数、1分あたりのトランザクション数、トランザクション・ パフォーマンスなどの利用しやすい言葉で示します。また、リソース使用率、データ処理速度の観 点からシステム・パフォーマンスについても示します。 このホワイト・ペーパーの第2目標は、(従来の)非Oracle Database Appliance環境でテスト・ワー クロードを実行し、その結果をこのホワイト・ペーパーに記載された結果と比較するプロセスを説 明することです。そのために、Swingbenchの設定手順と、重要な2つのSwingbenchワークロード、す なわちOrder Entry(OLTP)とSales History(DSS)をOracle Database Applianceで実行した場合 のテスト結果を記載します。 このホワイト・ペーパーは、さまざまなOracle Database Appliance構成でユーザーやトランザクショ ンの数量を変えながら、上記の標準ワークロードにより実施した広範囲にわたるテストの結果を示す ものです。顧客は、従来のシステムに対して同じSwingbenchワークロードを実行し、このホワイト・ ペーパーに記載および説明されているOracle Database Applianceの対応する結果と比較できます。 注:Oracle Database Applianceでは、ベアメタルと仮想プラットフォームという2種類の実装を利 用できます。このホワイト・ペーパーの執筆時には、Oracle Database Applianceベアメタル構成に 対してテストを実施しました。 以下のフロー図に、従来の環境で所定のワークロードを実行した場合のパフォーマンスと、Oracle 3 Oracle Database Applianceのパフォーマンス評価/比較 Database Appliance環境で同じワークロードを実行した場合のパフォーマンスを比較する際の、こ のホワイト・ペーパーに記載された情報の用途について示します。 従来のシステムの特性を把握する(CPU、メモ リ、ネットワーク、ストレージなど) 従来のワークロードの特性を把握する (OLTP、DSSなど) OLTPか DSSか 従来の環境でSwingbench OE ワークロードを実行する パフォーマンス・データを収集する 結果をこのホワイト・ペーパーの対応する パフォーマンス・データ測定値と比較する 従来の環境でSwingbench SHワークロードを 実行する パフォーマンス・データを収集する 結果をこのホワイト・ペーパーの対応する パフォーマンス・データ測定値と比較する 図2:このホワイト・ペーパーの情報の用途 4 Oracle Database Applianceのパフォーマンス評価/比較 注:比較の際にOracle Database Applianceシステムを利用できる場合は、より充実した特定の比較 を行うために、上記に示したアプローチを使用して、同じワークロードをOracle Database Appliance 環境と従来の非Oracle Database Appliance環境の両方で実行して結果を比較できます。 Oracle Database Applianceのパフォーマンス・アーキテクチャ このホワイト・ペーパーのテストは、Oracle Database Appliance X4-2システムで実行されました。 Oracle Database Appliance X4-2システムは、2台のX86サーバーで構成され、各サーバーには2基の 12コアIntel E5-2697 CPUと256GBのメモリが搭載されます。この2台のノードは直接接続ストレージ を利用します。このストレージは、20台の900GB、10,000rpmのSASハード・ディスクと4台の200GB SAS ソリッド・ステート・ディスク(SSD)で構成されます。したがって、Oracle Database Appliance X4-2 には、合計512GBのメモリ、48のCPUコア、18TBの物理HDDストレージ、および800GBのSSDストレージ が搭載されます。拡張ストレージ・シェルフを追加することで、使用可能記憶域を2倍にすることが できます。 ディスクは、冗長I/Oコントローラと冗長HBAを介して2台のサーバー・ノードに接続されます。直接 接続ストレージは、サイズ面の制約があるものの、SAN共有ストレージ環境と比較してパフォーマン ス面で有利です。 Oracle Database Appliance内では、Oracle Automatic Storage Management(Oracle ASM)によっ てストレージの冗長性が確保されます。ディスク障害の発生時に運用を維持し、リカバリするため に、データは構成時の選択に応じて二重または三重にミラー化され、すべてのディスクに分散され ます。さらに、Oracle ASMでは、ホット・スポットの形成を防ぎ、シングル・ポイント障害を排除 するように、プライマリおよびセカンダリのASMエクステントが複数のディスクに分散されます。 Oracle Database Applianceストレージはデータベース処理に最適化され、優れたパフォーマンスを 発揮するように構成されています。データベースREDOログはSSDにホストされ、データ(ASM DATAディ スク・グループ)は比較的処理の速いHDDのシリンダ外周部にホストされます。HDDのシリンダ内周 部には、バックアップ/リカバリ・ファイル(ASM RECOディスク・グループ)がホストされます。さ らに、Oracle Database Applianceでは、Oracle ASMの拡張実装(列挙型または固定型のASMパート ナーシップ)が、ディスクのリバランス完了時間を短縮するために使用されます。 サーバー・ノードの冗長性は、Oracle Real Application Clustersによって確保されます。2つの専 用の10Gb冗長チャネルによって、Oracle Database Appliance内部での堅牢で信頼性に優れた高速ク ラスタ接続が実現されます。単独のコンポーネント障害またはノード障害が発生した場合にも、 Oracle Database Applianceは運用およびアプリケーションへのサービス提供を継続します。 また、Oracle Database Applianceには、ユーザーやアプリケーションのアクセス向けに複数の10GbE インタフェースが備わっています。これらのネットワーク・チャネルは、さまざまな用途に使用で きます。たとえば、アプリケーション、ディザスタ・リカバリ、バックアップ/リカバリ、管理ネッ トワークのそれぞれに対して専用の個別ネットワークを使用できます。 5 Oracle Database Applianceのパフォーマンス評価/比較 Oracle Database Applianceの構成テンプレート Oracle Database Applianceは、異なるクラスやサイズのデータベースを作成するための複数の標準 データベース構成テンプレートを提供および利用します。これらの構成テンプレートを使用して作 成されたデータベースは、Oracle Databaseの実装におけるベスト・プラクティス(最適なデータベー ス・パラメータ設定など)、およびベスト・プラクティスに基づいたデータベース・コンポーネン ト(データベース・ファイル、リカバリ・ファイル、REDOログ・ファイル、制御ファイルなど)の 構成と配置が自動的に行われます。 表1に、Oracle Database Applianceでのさまざまなサイズのデータベース作成で利用できる各種デー タベース作成テンプレートについて示します。Oracle Database Applianceのサイズに関するマト リックスについて詳しくは、オラクル製品ドキュメントに記載されています。 テンプレート CPU Count SGA(Gb) PGA(Gb) ログ・バッファ・サイズ プロセス数 (Mb) REDOログ・サイズ (Gb) Very Very Small 2 2 2 16 200 1 Very Small 2 4 2 16 200 1 Small 4 8 4 16 400 1 Medium 8 16 8 32 800 2 Large 12 24 12 64 1200 4 Extra Large 24 48 24 64 2400 4 Extra Extra Large 32 64 32 64 3200 4 Extra Extra Extra 48 96 48 64 4800 4 Large 表1:Oracle Database Applianceテンプレートのサイズ 意味のあるパフォーマンス比較を行うために、Oracle Database Appliance環境と非Oracle Database Appliance環境のデータベース構成を厳密に一致させる必要があります。上記はOracle Database Applianceで提供されるデータベース・テンプレートのサイズに関するマトリックスですが、テス ト・ワークロードの実行前に、対応するデータベース構成を非Oracle Database Appliance環境で手 動構築するためにも使用できます。 データ処理の測定値の観点から、Oracle Database Applianceの標準的なパフォーマンス指標を以下 に示します。 6 Oracle Database Applianceのパフォーマンス評価/比較 Very Small Small Medium Large Very Large 標準的な(単一)ストレージ・シェルフを使用 1秒あたりのI/O数(IOPS) 137 275 550 825 1650 1秒あたりのMB数 145 292 583 875 1750 ログ生成率(MB/秒) 6.83 6.83 13.65 27.30 27.30 ストレージ・シェルフと拡張ストレージ・シェルフを使用 1秒あたりのI/O数(IOPS) 275 550 1100 1650 3300 1秒あたりのMB数 230 458 917 1375 2750 ログ生成率(MB/秒) 6.83 6.83 13.65 27.30 27.30 表2:パフォーマンス特性に基づいたOracle Database Applianceデータベース・モデルのサイズ Swingbenchとは Swingbenchは、Oracleデータベース環境でデータベース・ワークロードを生成し、異なるベンチマー クを使用してストレス・テストを実行するための使いやすいJavaベースのツールであり、無償で提 供されています。このツールはhttp://dominicgiles.com/downloads.htmlからダウンロードできま す。 このホワイト・ペーパーに記載したテストの実行には、Swingbenchバージョン2.4.0.845を使用しま した。Swingbenchについて詳しくは、Swingbenchのドキュメント(http://www.dominicgiles.com/ swingbench.html)を参照してください。 Swingbenchには4種類のベンチマーク(Order Entry、Sales History、Calling Circle、Stress Test) があります。このホワイト・ペーパーに示すテストでは、OLTPワークロードのテストにSwingbench Order Entryベンチマークを使用し、DSSワークロードのテストにSales Historyベンチマークを使用 しました。 Swingbenchベンチマーク ワークロード・タイプ Order Entry OLTP Sales History DSS表3:テストに使用したSwingbenchワークロード・タイプ 表3:テストに使用したSwingbenchワークロード・タイプ Order Entryベンチマークは、OEスキーマに基づいており、TPC-Cに似ています。このワークロード は、60:40の読取り/書込み比率を使用し、継続的に実行してデータベース・リソースの競合状態を 生成しながら、小さな表セットに対する典型的なOrder Entryワークロードのパフォーマンスをテス トするように設計されています。 7 Oracle Database Applianceのパフォーマンス評価/比較 Sales Historyベンチマークは、SHスキーマに基づいており、TPC-Hに似ています。ワークロードは 問合せ(読取り)中心であり、大量のI/Oを生成しながら、大きな表に対する問合せのパフォーマン スをテストするように設計されています。 Swingbenchのダウンロードと設定 Swingbenchツールは、Windows環境またはLinux環境でセットアップできます。このホワイト・ペー パーの執筆時に実施したテストでは、Linux環境を使用しました。Swingbenchソフトウェアは個別の マシンにインストールし、そのマシンを、評価対象データベースが稼働するターゲット・システム とローカル・ネットワークで接続することを推奨します。ターゲット・システム自体からSwingbench クライアントを実行すると、パフォーマンス測定値に影響を及ぼし、望ましくない不正確な結果が 生成される可能性があります。 Swingbenchをインストールするには、以下の手順を実行します。 1. Swingbenchソフトウェアをダウンロードする Swingbenchソフトウェアは次のサイトからダウンロードできます。http://dominicgiles.com/ downloads.html このホワイト・ペーパーの執筆時点で入手可能な最新のSwingbenchバージョンは2.4.0.845であ り、テストにはこのバージョンを使用しました。2.4.0.845以降のバージョンを、ワークロード の実行元となるマシンに対してダウンロードしてください。 2. ダウンロード・ファイルを解凍する <path>/bin/swingconfig.xml フ ァ イ ル を 、 こ の ホ ワ イ ト ・ ペ ー パ ー の 付 録 B に 記 載 す る swingconfig.xmlに置き換えます。このホワイト・ペーパーの付録Bには、ここで説明するOrder EntryテストとSales Historyテストの両方に使用する Swingbench構成ファイルが記載されてい ます。必要となる構成ファイルの内容を適宜選択してください。 3. ノンブロッキング乱数ジェネレータを指定する Oracle 11g JDBCドライバでは、接続文字列を暗号化するための乱数が必要です。デフォルトで は、この乱数は/dev/randomから生成されます。ただし、特定の状況で、/dev/randomを使用する 場合に、乱数生成プロセスに使用されるシステム・エントロピー・ベースのアルゴリズムが原因 で、乱数生成がブロックされ、長時間ハングし続けることがあります。この問題に対処するため に、/dev/randomの代わりに/dev/urandomを使用できます。Swingbenchの起動時に、以下のよう に(<swing benchhome>/launcher/launcher.xmlファイル内で)引数に/dev/urandomと指定する ことで変更できます。 8 Oracle Database Applianceのパフォーマンス評価/比較 変更前のエントリ 変更後のエントリ <jvmargset id="base.jvm.args"> <jvmargset id="base.jvm.args"> <jvmarg line="-Xmx1024m" /> <jvmarg line="-Xmx1024m – Djava.security.egd=file:///dev/urandom"/> </jvmargset> </jvmargset> パート1:Order Entryベンチマーク(OLTP) Order Entry(OE)ベンチマークを設定するには、以下の手順を実行する必要があります。 データベースとスキーマの設定 このホワイト・ペーパーで示すテストの実行には、Oracle Databaseリリース11.2.0.4.2が稼働する Oracle Appliance Manager 2.10イメージを使用しました。Oracle Database Applianceのパフォー マンスを非Oracle Database Appliance環境と比較する際、必要に応じて、非Oracle Database Appliance環境で別のバージョンのソフトウェアに対してこれらのテストを実行できます。Oracle Database Applianceで構成されるデータベースは、標準テンプレートと、最適化された標準パラメー タ設定を使用します。これらのパラメータに対応する設定は、従来のシステムでの設定と一致しな い可能性があります。適切な比較を行うためには、従来の環境で構成されたデータベース向けの構 成パラメータを、Oracle Database Appliance環境内の構成パラメータにできる限り近づける必要が あります。 さらに、Oracle Database Appliance向けのデフォルトのデータベース・パラメータ設定は、一般的 な用途向けに最適化されていますが、特定のパフォーマンス集約型ワークロードでのパフォーマン スを最大化するために、場合によっては調整を行う必要があります。ワークロード・テストの開始 前に、Oracle Database Appliance(および該当する場合は非Oracle Database Appliance環境)に 対して、以下の手順を実行する必要があります。以下のデータベース初期化パラメータの変更後、 その変更を適用するには、データベースを再起動する必要があります。 データベースの設定 Oracle Database ApplianceではOracle RACデータベース、Oracle RAC Oneデータベース、およびシ ングル・インスタンスのEnterprise Editionデータベースを作成できますが、このパフォーマンス・ テストの実行時には、Oracle Real Application Clusters構成を使用しました。したがって、Oracle Database Appliance内の両方のサーバー・ノードがアクティブにOracle Databaseインスタンスを実 行し、データベース・ワークロードのリクエストに応答しました。以下の変更はまとめて一度に行 う必要があります。また、変更を適用するには、データベースを再起動する必要があります。 9 Oracle Database Applianceのパフォーマンス評価/比較 1. データベースの監査機能を無効化する Oracle Database Applianceでは、データベースの監査機能がデフォルトで有効化されています。 データベースの監査機能がパフォーマンスへ不要な影響を及ぼして、テスト結果が偏る可能性が あります。テストの実行中は、データベースの監査機能をオフにすることを推奨します。 SQL> alter system set audit_trail=none scope=spfile; SQL> alter system set audit_sys_operations=false scope=spfile; 2. ロールバック・セグメント数を増やす Order Entryワークロードでは、UNDOセグメントのエンキューで競合が見られる場合があります。 この競合は通常、UNDOセグメントが急速にオフライン化/オンライン化されるために引き起こさ れます。この動作について詳しくは、MOS Note 1332738.1に説明があります。多数のUNDOセグメ ントをオンライン状態に維持するために、以下のパラメータを設定します。 SQL> alter sid=’*’; 3. system set “_rollback_segment_count”=12000 scope=spfile “_buffer_busy_wait_timeout”パラメータを設定する データベースのパフォーマンス関連のバグ13344323に対処する必要があります。このバグは、バッ ファ・ビジーの待機状態につながる可能性のあるDBWRからのポストの欠落に関連する可能性があ ります。回避策として、_buffer_busy_wait_timeoutパラメータを20ms(2)に設定します。 SQL> alter system set “_buffer_busy_wait_timeout”=2 scope=spfile sid=’*’; 4. 追加のREDOログ・グループを作成する デフォルトでは、Oracle Database Applianceでの初期データベース設定時に、インスタンスあ たり2つのREDOログ・グループのみが作成されます。高いパフォーマンスのアプリケーションで は、このデフォルトのREDOログ・グループ数は不十分であり、パフォーマンス・ボトルネックに つながる可能性があります。この結果、場合によっては“Thread ‘n’ cannot allocate new log”、 “Checkpoint not complete”などのエラーや、空きバッファ待機イベントなどが発生します。そ のため、パフォーマンス集約型ワークロードでは、追加のREDOログ・グループを作成する必要が あります。このプロジェクトで実施したテストでは、インスタンスあたり合計4つのREDOログ・グ ループ(各グループのサイズは1GB)をOracle Database Applianceに対して作成しました。 この操作は、Oracle Enterprise ManagerまたはSQLコマンドを使用して実行できます。 5. Order Entryスキーマ・オブジェクトを格納するためのSOE表領域を事前に作成す る SQL> create tablespace soe datafile ‘+DATA’ size 30G autoextend on maxsize unlimited uniform size 1M segment space management auto; 10 Oracle Database Applianceのパフォーマンス評価/比較 6. PROCESSESパラメータ値を増やす SQL>alter system set processes=12000 scope=spfile sid=’*’; スキーマの設定 Order EntryワークロードはOEスキーマ内にデータを生成し、データベース内で競合を引き起こすよ うに設計されています。結果の一貫性を確保するため、複数のワークロード・テスト実行サイクル を実行した場合に、オブジェクトの拡大によって結果が一貫しない状態になることを避けるために、 OEデータベース・スキーマを再構築することを推奨します。 Order Entryスキーマは、oewizard(Swingbenchのグラフィカル・ユーティリティ)を使用して設定 できます。以下の画面に、OEスキーマを設定してデータを生成するプロセスについて示します。 $ cd /tmp/swingbench/bin $./oewizard ログインと接続の詳細情報を指定する Partitioning Option、BigFile表領域を選択する これらのテストに1GBのデータ・サイズを使用する 11 Oracle Database Applianceのパフォーマンス評価/比較 デフォルトの並列度(48)を使用する 注:データ生成プロセスの完了までに最大10分程度かかります。 図3:Swingbench OEスキーマの設定プロセス テスト対象のワークロードでは、以下の2つの索引は使用されないため、これらの索引を削除してDML のパフォーマンスを改善できます。 SQL> SQL> SQL> SQL> SQL> SQL> drop drop drop drop drop drop index index index index index index "SOE"."CUST_LNAME_IX”; "SOE"."CUST_EMAIL_IX”; "SOE"."ITEM_PRODUCT_IX"; "SOE"."CUST_ACCOUNT_MANAGER_IX"; "SOE"."ORD_CUSTOMER_IX"; "SOE"."ORD_ORDER_DATE_IX"; このテスト・データベースは、最初に“EXTRA LARGE”テンプレートを使用して作成されました。そ の後、より少ないコア数(LARGE、MEDIUM、SMALL、VERY SMALL)のデータベース構成に変更した際 に、他のデータベース・パラメータ(SGAサイズなど)については減らしませんでした。この判断を 下したのは、生成される測定値が、単純にOracle Database ApplianceでのCPU構成を制限して、他 のリソースについては制限なく利用しようとするユーザーにとって公平なものとなるようにするた めです。 注:Oracle Database Applianceでは、Pay-As-You-Grow(システム規模に応じた支払い)方式のソ フトウェア・ライセンスを利用できます。ただし、少ないCPUライセンス数でも、メモリ・リソース、 ストレージ・リソース、ネットワーク・リソースの利用は制限されません。 このテストの実行時には、同時に有効化するコア数が異なる6種類のCPU構成(コア数8、16、24、32、 40、48)についてテストしました。なお、標準のOracle Database Appliance構成ではハイパースレッ ディングが使用されるため、CPUのパフォーマンスはさらに向上します。 Swingbenchワークロードの設定 ここでは、Order Entry(OLTP)ワークロードをテストするためのテスト環境の設定方法について説 明します。 12 Oracle Database Applianceのパフォーマンス評価/比較 OEワークロードは、以下の属性とパラメータを使用して構成しました。 属性 Value User Count 可変(20000、16500、13500、1000、7000、3000) Think Time 最小間隔=850ms、最大間隔=1050ms Pool Size 最小プール・サイズ=100、最大プール・サイズ=1100 Run Time 50分間 表4:Swingbench OEワークロード構成の設定値 Order Entryワークロードは、以下の問合せおよびトランザクション要素により構成しました。 1. Customer Registration 2. Process Orders 3. Browse Products 4. Order Products SwingbenchではPL/SQLトランザクションとJavaトランザクションがサポートされますが、実行した テストでは結果を記載する目的で、PL/SQLトランザクションのみを使用しました。 ワークロードの実行がデータベース・パフォーマンスを妨げないように、Oracle Database Appliance と同じネットワーク上にある外部の個別のマシンからSwingbenchツールを実行しました。 所定のユーザー数に対して、複数の‘charbench’セッションを起動して、並列セッションでワーク ロードを実行しました。charbenchは、Swingbenchを起動するためのキャラクタ(コマンドライン) インタフェースです。 現実的な状況に近づけるため、すべてのテスト・シナリオで、850msから1050msまでの一定のThink Timeをクライアント側で使用しました。 OEワークロード・テストのパフォーマンス結果 ここでは、Order Entryワークロード実行のテスト結果による観察事項に焦点をあてます。各構成で の異なるテスト・ラウンドのテスト結果について以下にまとめます。各テストの総実行時間は45分 (2700秒)でした。 13 Oracle Database Applianceのパフォーマンス評価/比較 Oracle Database Appliance 1秒あたりの平均トランザ 構成とユーザー数 ワークロード・タイプ ワークロード要素 総トランザクション数 平均応答時間(ms) クション数(TPS) 48コア/20000ユーザー Order Entry(OE) Customer Registration 5595246 8.00 Process Orders 13980760 9.95 Browse Products 33559512 6.85 Order Products 13986936 15.95 Customer Registration 4648219 7.00 Process Orders 11619394 8.06 Browse Products 27888483 5.64 Order Products 11620307 14.92 Customer Registration 3809462 6.15 Process Orders 9524682 7.93 Browse Products 22861231 5.00 Order Products 9529810 14.59 Customer Registration 2830486 5.00 Process Orders 7072601 6.08 Browse Products 16971742 4.00 Order Products 7069095 11.92 Customer Registration 1787030 6.14 Process Orders 4472287 7.00 Browse Products 10718233 4.14 Order Products 4468514 13.00 Customer Registration 776753 5.00 Process Orders 1945332 5.17 Browse Products 4662759 3.00 Order Products 1942716 12.00 20333 40コア/16500ユーザー Order Entry(OE) 16896 32コア/13500ユーザー Order Entry(OE) 13851 24コア/10000ユーザー 16コア/7000ユーザー 8コア/3000ユーザー Order Entry(OE) Order Entry(OE) Order Entry(OE) 10283 7146 3108 表5:Swingbench OEワークロード・ベンチマークのサマリー 1. 20000ユーザーのSwingbenchワークロードは、最大サイズのOracle Database Applianceで問題な く実行され、トランザクションの応答時間は16ms未満に維持されました。より長いトランザク ション応答時間が許容される場合は、さらに多くのユーザー数に対応できます。 2. テストでは、1秒あたりの平均トランザクション数が20333以上に達しました。 3. 所定のパフォーマンス・レベルでの最大ユーザー数と最大トランザクション数は、構成をVERY SMALLからEXTRA LARGEにまで変更し、ユーザー数がトランザクション数とともに増加するにつれ て、高い相関でスケーラブルに拡張されました。 14 Oracle Database Applianceのパフォーマンス評価/比較 4. 各テスト・ケース(実行単位)において、Oracle Database Applianceの各サーバー・ノード上 で最大CPU使用率について観察しました。 データベースおよびオペレーティング・システムの統計 CHM/OSは、オペレーティング・システム統計を監視するための推奨されるモニタリング・ツールで す。ただし、このベンチマークでは、オペレーティング・システム統計の収集と分析にOS Watcher ツールを使用しました。OS Watcherツールは各Oracle Database Applianceサーバー・ノード上で実 行するようにデフォルトで構成されています。このツールにより収集された出力は、/opt/oracle/ oak/osw/archiveディレクトリに配置されます。スタンドアロンのOS Watcherツールは、My Oracle Support Webサイトから入手でき、従来の非Oracle Database Appliance環境にインストールできま す。詳しくは、MOS Note 301137.1を参照してください。 平均CPU使用率(Applianceレベル) コア数 usr sys idle 8 57.90 12.30 26.70 16 62.55 10.95 23.55 24 59.80 9.50 28.20 32 66.15 9.50 21.75 40 62.65 8.80 26.30 48 61.15 12.65 28.75 表6:Oracle Database Applianceでの平均CPU使用率 OEワークロードのテスト実行中、(完全に均等に分散されてはいませんが)データベース接続のロー ドバランシングを使用しました。実行キュー数はおおよそ30から60の間で推移しました。以下のグ ラフに、2台のOracle Database Applianceサーバー・ノードにおける平均CPU使用率を示します。 図4:さまざまな構成での相対的なCPU使用率 15 Oracle Database Applianceのパフォーマンス評価/比較 注:このグラフのコア数は、表6に示したテスト対象の6種類のコア数による構成に関連します。 Swingbench Order Entryワークロードは、CPUおよびREDOログのアクティビティが大量に発生する、 典型的なOLTPワークロードです。テスト中の観察によると、I/OアクティビティはREDOディスク・グ ループに属するディスクに集中していました。しかし、REDOディスク・グループはソリッド・ステー ト・ディスクで構成されているため、REDO I/Oアクティビティに関連するサービス時間はごくわず かでした。以下の表に、テストで観察されたワークロードのI/Oパフォーマンス特性についてまとめ ます。これらの統計値は、48コアがアクティブ化された実行ケースに関するものです。 パフォーマンス特性 測定値 HDD SSD サービス時間(ms) 4 0.2 ディスク・ビジー 40% 20%未満 1秒あたりの読取り回数 64 (アーカイブ関連のみ) 1秒あたりの書込み回数 1973 4133 REDO生成率(MB/秒) 44.91 上位の待機イベント log file sync(平均待機時間:4.4ms)、 gc cr block 2-way(平均待機時間:0.44ms)、 gc current block 2-way(平均待機時間:0.43ms) 表7:OEワークロード実行時のパフォーマンス観察結果 上記の測定値は、Oracle Database Appliance I/Oサブシステムの優れた効率性を表しています。Order Entryワークロードは競合を引き起こすように設計されていますが、それでも上位の待機イベントは 受容できる範囲に十分に収まっています。 さらに、ワークロードは、構成へのCPUの追加に応じて、ほぼ線形のスケーラビリティを持っています。 コア TPS ユーザー REDO MBPS 8 3108 3000 6.74 16 7146 7000 15.77 24 10283 10000 20.62 32 13851 13500 27.86 40 16896 16500 35.12 48 20333 20000 44.10 表8:CPUコア数と1秒あたりのトランザクション数およびユーザー数との相関関係 この線形のスケーラビリティは、以下のグラフで視覚的に表されます。 16 Oracle Database Applianceのパフォーマンス評価/比較 図5:CPUコア数と1秒あたりのトランザクション数およびユーザー数との相関関係の図示 ユーザー数との相関関係がほぼ線形となることも、上記のデータで実証されています。 17 Oracle Database Applianceのパフォーマンス評価/比較 パート2:Sales Historyベンチマーク(DSS) Swingbench Sales History(SH)ベンチマークは、SHデータベース・スキーマに基づいており、大 規模データベース表に対する同時問合せのパフォーマンスをテストするように設計されています。 Sales Historyワークロードは読取り専用の問合せにより構成されます。このベンチマークのおもな 目標は、基盤のI/Oサブシステムの全体的パフォーマンスとスループットを測定することです。 データベースとスキーマの設定 Oracle Database Applianceは、汎用データベース・ワークロード向けに最適化されていますが、パ フォーマンス集約型アプリケーションでは、一部の設定変更によってデータベースのパフォーマン スを改善できます。このテスト・プロジェクトで実行したSales History(SH)ワークロードに対し ては、ワークロードの実行前に以下の構成手順を実行して、Oracle Database Appliance上のテスト・ データベースとSHスキーマを設定しました。 1. NOARCHIVELOGモードを設定する データベースをNOARCHIVELOGモードに切り替えて、ワークロードの実行中に不要なロギングが実行 されないようにしました。 2. DSSワークロードの全体的パフォーマンス測定に向け、特定のデータベース・パラメータを設定 または変更する 全体的パフォーマンスを測定するため、‘parallel_degree_policy’を‘auto’に設定します。こ の設定により、自動的にインメモリ・パラレル実行と文のパラレル・キューイングが有効になりま す。多数のパラレル問合せがメモリ内で実行されるため、パフォーマンスが向上します。全体的パ フォーマンスを測定するために、ワークロード実行前に以下の初期化パラメータを構成または変更 しました。 パラメータ 全体的パフォーマンス・ スループット・ テスト用の値 テスト用の値 説明 cpu_count 48 24 Oracle Databaseで使用可能なCPU数 sga_target 96G 12G 総SGAサイズ sga_max_size 96G 12G 最大SGAサイズ pga_aggregate_target 48G 24G 総PGAサイズ parallel_force_local TRUE TRUE このパラメータにより、すべてのパラレル・サーバー・ プロセス(PQ)がローカル・インスタンスのみに割り 当てられる parallel_degree_policy AUTO LIMITED 自動並列度、文のキューイング、インメモリ・パラレ parallel_min_time_threshold 10 10 文が並列であると見なされるまでの文の最小実行時間 parallel_execution_message_ size 32768 32768 パラレル実行に使用されるメッセージのサイズ resource_manager_plan null null リソース・マネージャ・プランをオフにする ル実行を有効化/無効化する 表9:Sales Historyの全体的パフォーマンス・ベンチマークおよびスループット・ベンチマークで使用するデータベース・パラメータ 3. DSSワークロードのスループット・パフォーマンス測定に向け、特定のデータベース・パラメー タを設定または変更する 18 Oracle Database Applianceのパフォーマンス評価/比較 I/Oスループットを測定するため、‘parallel_degree_policy’を‘limited’に設定します。この 設定により、一部の文に対しては自動並列度が有効になりますが、文のキューイングとインメモリ・ パラレル実行は無効になり、大量のディスクI/Oが生成されます。 SHベンチマーク・ワークロードを(従来の)非Oracle Database Appliance環境で実行する場合、そ のバージョンのデータベースに対して、これらと同様のパラメータ値を適宜使用できます。 4. データベース・オブジェクトに対して並列度を設定する デフォルトでは、SHスキーマ内のすべてのオブジェクト(表および索引)が、並列度1の設定で作成 されます。そのため、自動並列度は無効化されます。並列度を利用することでSQLパフォーマンスが 向上するため、この機能の無効化はSales Historyワークロードにとって望ましくありません。その ため、SHスキーマ内のすべての表および索引に対して並列度をAUTOに設定し、自動並列度を有効化 しました。 Swingbenchワークロードの設定 Swingbenchには、SHスキーマをインストールするためのshwizardユーティリティが付属しています。 このユーティリティは、Swingbenchホーム内のbinディレクトリ内にあります。次に例を示します。 $ cd /home/oracle/swingbench/bin $ ./shwizard 19 Oracle Database Applianceのパフォーマンス評価/比較 「Create the Sales History Schema」オプションを選択する 正しいログイン詳細情報を指定する パーティショニングに関するオプションで「Use the BigFile Tablespace」にチェックマークを付ける これらのテストに100GBのデータ・サイズを使用する デフォルトの並列度を使用する 20 Oracle Database Applianceのパフォーマンス評価/比較 データ生成が完了するまで約2時間かかります 図6:Swingbench Sales History(DSSワークロード)ベンチマークの設定プロセス SHワークロード・テストのパフォーマンス結果 parallel_degree_policyをAUTOに設定したSHワークロードの実行(全体的パフォーマンスの測定) このベンチマークの実行中は、データベース・パラメータのparallel_degree_policyをAUTOに設定 し、SHワークロードをOracle Database Appliance上で30分にわたって実行しました。データベース に対して高負荷のワークロードを発行するために、15の同時ユーザーを使用しました。 この設定で使用したSwingbench構成ファイルについては、付録Cを参照してください。この構成ファイ ルは、同様のSwingbenchテストを非Oracle Database Appliance環境で実施する際にも使用できます。 全体的パフォーマンス・テスト 実行/レポート スループット・テスト 総実行数(30分間) 平均応答時間(秒) 総実行数(30分間) 平均応答時間(秒) Sales Rollup by Month and Channel 243 17 32 145 Sales Cube by Month and Channel 262 17 29 132 Sales Moving Average 275 8 22 33 Top Sales by Quarter 260 35 24 137 Sales within Quarter by Country 300 18 33 191 表10:Swingbench Sales History(SH)ワークロードの総合的パフォーマンスおよび スループット・ベンチマーク・トランザクション・パフォーマンスのサマリー 21 Oracle Database Applianceのパフォーマンス評価/比較 15の同時ユーザーがいて、自動並列度、文のキューイング、インメモリ・パラレル実行を有効にし て実行したワークロードの場合、Oracle Database Applianceは30分で合計1340のDSSトランザクショ ンを生成できました。各Swingbenchトランザクション(DSSレポート)の平均時間は8秒から35秒の 間で推移しました。 SHワークロードの実行中におけるデータベースの待機イベントの最上位にあるのは“DB CPU”であ り、これは予測された結果です。一部、“db file scattered read”の待機イベントも観察されま したが、その待機時間はわずかなものでした。 parallel_degree_policyをLIMITEDに設定したSHワークロードの実行(I/Oスループットの測定) このベンチマークの実行中は、データベース・パラメータのparallel_degree_policyをLIMITEDに設 定し、SHワークロードをOracle Database Appliance上で30分にわたって実行しました。データベー スに対して高負荷のワークロードを発行するために、10の同時ユーザーを使用しました。 表10にまとめたとおり、各Swingbenchトランザクション(レポート)の平均時間は33秒から191秒の 間で推移しました。この実行中に得られたAWRレポートの観察結果によると、データベース・レベル では、“物理読取りの合計バイト”の平均値は2975MB/秒で、“物理読取りのI/Oリクエスト総数” の平均値は3021でした。 並列度が限定された(データベース・パラメータのparallel_degree_policyがLIMITEDに設定された) SHワークロードの実行中、データベースではおもに直接パス読取りの待機時間が発生しました。ほ とんどの問合せで、基盤となる表のパラレル・スキャンを直接実行していたため、これは予想どお りです。 データベースおよびオペレーティング・システムの統計 Sales Historyワークロード・ベンチマークの実行中に、OS Watcherを使用してオペレーティング・ システム統計を収集しました。 全体的パフォーマンスの測定(parallel_degree_policy=AUTO)の場合、user cpuの使用率は約90% でした。また、ディスク統計には、平均I/Oサービス時間が約6msで、ハード・ディスク・ドライブ は約10%の使用率で稼働し、ディスク読取りはディスクごとに1秒あたり約21回発生したことが示さ れました。 パフォーマンス特性 全体的パフォーマンス・テスト実行の測定値 スループット・パフォーマンス実行の測定値 HDD SSD HDD SSD サービス時間(ms) 6 0.5 8~10 0.25 ディスク・ビジー(%) 10 0 80% 0 スループット(MB/秒) 328 0 2978 0 表11:SHの全体的パフォーマンスおよびスループット・パフォーマンスのワークロード実行中に測定されたシステムI/Oパフォーマンス特性 22 Oracle Database Applianceのパフォーマンス評価/比較 I/Oスループットの測定(parallel_degree_policy=LIMITED)の場合、user cpuの使用率は約10%で した。また、ディスク統計には、平均I/Oサービス時間が約8~10msで、ハード・ディスク・ドライ ブは約80%の使用率で稼働し、ディスク読取りはディスクごとに1秒あたり約150回発生したことが示 されました。 説明の目的で、上記の4つのパフォーマンス特性、すなわちサービス時間、ディスク・ビジー(%)、 スループット(1秒あたりの読取り/書込みおよびI/Oサイズ)は、HDDタイプとSSDタイプの両方につ いて1つのディスクから取得し、その他のハード・ディスク・ドライブの統計も同様であると推定し ました。SHワークロードは、非常に多くの全表スキャンを実行するため、読取りの大部分が1MBとい う大きなサイズの読取りになっています。 そのため、parallel_degree_policyを適切な値(AUTOまたはLIMITED)に設定することがワークロー ドに対して大きく影響します。parallel_degree_policyをLIMITEDに設定してワークロードを実行し た場合はI/O集約型になり、CPU集約型ではなくなります。一方、parallel_degree_policyをAUTOに 設定してワークロードを実行した場合は、効率性が大幅に向上し、より多くの量が処理され、CPU集 約型になります。 23 Oracle Database Applianceのパフォーマンス評価/比較 パート3:従来の環境とOracle Database Appliance環境でパフォーマンス が異なる場合のトラブルシューティング アプリケーション・データベースをOracle Database Applianceにデプロイした場合に、従来の環境 でのパフォーマンスと一致しない場合があります。Oracle Database Appliance環境でのパフォーマ ンスが比較的良い場合は、おそらく問題にはならないでしょう。多くの場合、性能が劣り容量が小 さい旧式のシステムをOracle Database Applianceへと移行するため、パフォーマンスの改善も期待 されます。ただし、データベース・ワークロードのパフォーマンスが期待どおりの場合、以下の点 を考慮してください。[TK1] 1. Oracle Database Appliance上のデータベースが正しく作成されていることを確認する Oracle Database Appliance の 特 定 の デ ー タ ベ ー ス 作 成テ ン プ レ ー ト は 、 Oracle Database Appliance上で作成されるデータベース向けに事前に最適化された、釣り合いの取れたデータ ベース・パラメータ設定が行われています。Oracle Database Appliance上のデータベースの作 成には、Oracle Appliance Managerのコマンドライン・インタフェース(oakcli)を使用するこ とを推奨します。Oracle Database Appliance上のデータベース作成にDBCAを使用する場合は、 Oracle Database Appliance固有のOAKテンプレートを使用する必要があります。 2. ワークロードの実行内容が同一であることを確認する 言うまでもなく、2つの環境でパフォーマンスを比較する場合に、同一条件での比較が必要にな ります。従来の環境とOracle Database Appliance環境で異なるワークロード(SQL、コミット率 など)を実行している場合は、同じパフォーマンス・レベルは期待できません。 3. 従来の環境のテストとOracle Database Applianceテストの実行時に、同等のネットワーク・ト ポロジを使用してください。 ネットワークの待機時間は、従来の環境またはOracle Database Appliance環境でのパフォーマ ンスの重大な阻害要因となる場合があるため、考慮する必要があります。たとえば、ワークロー ド・クライアントをデータベース・ホストとは異なるネットワーク上で実行した場合、ワークロー ド・クライアントとデータベース・サーバーが同じネットワークにある場合と比較して、トラン ザクション・パッチに長い待機時間が発生する可能性があります。 注:このホワイト・ペーパーの執筆時には、ワークロード・クライアントとデータベース・サー バーは異なるホスト上に構成しましたが、その両方を同じサブネット上に配置した上でテストを 実施しました。 4. システム・リソースの割当て状況を確認する 単純に、旧式のシステムで、Oracle Database Appliance上のデータベースに対してプロビジョ ニングされている以上のリソースが割り当てられている可能性があります。このようなリソース 割当ては、2つの環境で観察されるパフォーマンスの振る舞いに多大な影響を及ぼします。 24 Oracle Database Applianceのパフォーマンス評価/比較 5. SQL実行計画を確認する 従来の環境とOracle Database Appliance環境のそれぞれで、関連するSQL文の実行計画を確認し ます。実行計画が異なる場合は、その原因を特定して修正するか、その正当性を証明するように してください。たとえば、2つの環境でのデータ量が異なる可能性があります。索引が異なる、 最適化統計が正しくないなどの原因も考えられます。 6. データベース・リソースの割当て状況を確認する 2つの環境でデータベース・パラメータ、CPU数などを確認します。意味のある比較を行うには、 Oracle Database Applianceに対して少なくとも同レベルのリソースを割り当てる必要がありま す。お使いのRDBMSバージョンに適したパラメータ設定を使用する必要があり、従来のシステム で過去のバージョンのRDBMSを使用している場合は、パラメータ設定が異なる可能性があるため 注意してください。 7. データベース・パラメータを確認する Oracle Database Appliance上では、パフォーマンスを阻害するデータベース・パラメータを使 用しないでください。従来の環境からOracle Database Applianceにデータベースを移行した場 合は、廃止された、最適化されていないパラメータ設定を使用していないことを確認してくださ い。Oracle Database Appliance上で実行中のデータベース構成を確認するには、“orachk”ツー ルを使用します。 8. Oracle Database Applianceの付加的な機能について考慮する Oracle Database Applianceには、データ破損から保護するためのデータベース・ブロックの チェックや検証などの機能が備わっています。これらの機能は、処理能力をやや消費する可能性 があります(ただし、一般的には望ましい機能です)。理論上のパフォーマンス比較の目的で、 従来の環境で使用していないパラメータについては、一時的に無効化できます。ただし、データ 破損のリスクを軽減するために、これらの保護機能を使用することを強く推奨します。 25 Oracle Database Applianceのパフォーマンス評価/比較 結論 Oracle Database Applianceは、OLTPワークロードとDSSワークロードの両方をサポートし、これら のワークロードに対して優れたパフォーマンスを発揮します。Oracle Database Applianceの完全構 成(すべてのコアをアクティブ化して大規模データベース構成に対応)を使用した場合、このシス テムは20000ユーザーによるOrder Entry(OLTP)ワークロードに対応しながら、1秒あたり20300回 を超える持続的なトランザクション・コミット率を達成しました。同じシステム構成でSales History (DSS)ワークロードを使用した場合は、2975MB/秒を超えるI/Oスループットを達成しました。デー タベース・パラメータのparallel_degree_policyは、DSSワークロードの実行に対して多大な影響を 及ぼします。AUTO設定により、データベースでOracle Database Applianceに備わる広範囲のリソー スを活用でき、インメモリ・パラレル処理を利用できるからです。このホワイト・ペーパーの執筆 時に実施したテストでは、各種ワークロードがOracle Database Applianceから最大のパフォーマン スを引き出すために、構成に対して一部の調整とチューニングを行う必要がありました。 26 Oracle Database Applianceのパフォーマンス評価/比較 付録A:データベース・デプロイ後のスクリプト(OE) 以下のスクリプトは、Order Entryテスト環境を設定するために、Oracle Database Applianceマシ ン上に作成されたデータベースに対して実行したものです。 27 Oracle Database Applianceのパフォーマンス評価/比較 付録B:OEベンチマーク用のSwingbench構成ファイル Order Entryテストに使用したSwingbench構成ファイル(swingconfig.xml)を以下に示します。ハ イライトされた項目は、このテスト向けに修正されています。このパラメータ・ファイルは、非Oracle Database Applianceプラットフォームで同じテストを再実行するために使用できますが、適宜、デー タベース接続情報を更新する必要があります。既存の非Oracle Database Applianceシステムと Oracle Database Applianceとの適切な比較を行うためには、その他のパラメータについては変更し ないでください。 28 Oracle Database Applianceのパフォーマンス評価/比較 29 Oracle Database Applianceのパフォーマンス評価/比較 30 Oracle Database Applianceのパフォーマンス評価/比較 付録C:SHベンチマーク用のSwingbench構成ファイル Sales Historyベンチマークに使用した Swingbench構成ファイル(swingconfig.xml)を以下に示し ます。ハイライトされた項目は、このテスト向けに修正されています。このパラメータ・ファイル は、非Oracle Database Applianceプラットフォームで同じテストを再実行するために使用できます が、適宜、データベース接続情報を更新する必要があります。既存の非Oracle Database Appliance システムとOracle Database Applianceとの適切な比較を行うためには、その他のパラメータについ ては変更しないでください。 31 Oracle Database Applianceのパフォーマンス評価/比較 32 Oracle Database Applianceのパフォーマンス評価/比較 33 Oracle Database Applianceのパフォーマンス評価/比較 付録D:ワークロードを発行してデータベース統計を収集するためのスクリ プト 以下のスクリプトは、データベースに対して複数のcharbenchセッションをパラレル実行する場合 に使用するサンプル・スクリプトです。このスクリプトを、Swingbenchバイナリがインストール されたシステム上の任意のフォルダにコピーしてください。スクリプト内のハイライトされた項目 は必要に応じて修正してください。 このスクリプトを実行するには、以下のコマンドを使用します。 $perl loadgen.pl –u <no. of Swingbench users> スクリプトを実行した結果は以下のとおりです。 Total Number of Application Users : 1200 Average Transactions Per Second : 2511.05 ----------------------------------------------------------Application Module Txn Count Avg Res Time Customer Registration 125684 3.00 Process Orders 314146 3.00 Browse Production 754385 1.00 Order Products 313674 9.00 Exiting… --------------------------------------------------------------------------------- loadgen.pl ------------------------------#!/usr/bin/perl use strict; use warnings; use Getopt::Long; use Data::Dumper; use POSIX; use POSIX qw/ceil/; use POSIX qw/strftime/; use threads ( 'yield', 'stack_size' => 64*4096, 'exit' => 'threads_only', 'stringify'); use DBI qw(:sql_types); use vars qw/ %opt /; use XML::Simple; use Data::Dumper; ### 必要に応じて以下の変数を修正してください ####### my my my my my $host="hostname-scan.example.com"; $service_name="odadb"; $port=1521; $dbauser="system"; $dbapwd="welcome1"; 34 Oracle Database Applianceのパフォーマンス評価/比較 ### 必要に応じて上記の変数を修正してください ####### 35 Oracle Database Applianceのパフォーマンス評価/比較 36 Oracle Database Applianceのパフォーマンス評価/比較 37 Oracle Database Applianceのパフォーマンス評価/比較 38 Oracle Database Applianceのパフォーマンス評価/比較 39 Oracle Database Applianceのパフォーマンス評価/比較 40 Oracle Database Applianceのパフォーマンス評価/比較 41 Oracle Database Applianceのパフォーマンス評価/比較 2014年7月 著者:Ramachandran P.、Paulo Qiu、Ravi Sharma 共著者:Michael Zoll、Roland Knapp A-Team/RAC Pack Copyright © 2012, Oracle and/or its affiliates. All rights reserved.. Oracle Corporation World Headquarters 500 Oracle Parkway Redwood Shores, CA 94065 U.S.A. 本文書は情報提供のみを目的として提供されており、ここに記載される内容は予告なく変更されることがあります。本文書は一切間違いがない ことを保証するものではなく、さらに、口述による明示または法律による黙示を問わず、特定の目的に対する商品性もしくは適合性についての 黙示的な保証を含み、いかなる他の保証や条件も提供するものではありません。オラクル社は本文書に関するいかなる法的責任も明確に否認し、 本文書によって直接的または間接的に確立される契約義務はないものとします。本文書はオラクル社の書面による許可を前もって得ることなく、 いかなる目的のためにも、電子または印刷を含むいかなる形式や手段によっても再作成または送信することはできません。 お問い合わせ窓口 OracleおよびJavaはOracleおよびその子会社、関連会社の登録商標です。その他の名称はそれぞれの会社の商標です。 Oracle Direct 0120-155-096 oracle.com/jp/direct IntelおよびIntel Xeon はIntel Corporation の商標または登録 商標です。 すべてのSPARC商標 はライセンス に基づいて 使用され る SPARC International, Inc.の商標または登録商標です。AMD、Opteron、AMDロゴおよびAMD Opteronロゴは、Advanced Micro Devicesの商標または登録 商標です。UNIXはX/Open Company, Ltd.によってライセンス提供された登録商標です。0112
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