安倍政権の「暴走」ストップ、くらし第一の奈良県政へ

安倍政権の「暴走」ストップ、くらし第一の奈良県政へ
- 県議会議員選挙の争点と日本共産党の6つの提言-
2015年 1月 日本共産党奈良県委員会
1.荒井県政の特徴と県民のくらしの実態
2.提言 ①:県民の所得の増加でくらしと地域経済の再生を
②:医療・福祉の充実で安心できる県民生活を
③:子どもの基本的人権を保障する教育を
④:「食料」「木材」の自給率向上をめざして
⑤:災害に強く、「住み続けられる」奈良県へ
⑥:「憲法・平和・民主主義」を守り、清潔で公正な県政を
3.かけがえのない日本共産党の議席を大きく伸ばしてください
はじめに 2015 年 4 月、県民の平和と暮らしを大きく左右する大切な選挙-知事選、県議会議員
選挙など「いっせい地方選挙」がたたかわれます。
総選挙で日本共産党が大きく議席を伸ばしたことは、「この道しかない」という安倍政
権の暴走を阻み、国民の声が届く新しい政治「別の道」を求めていることを鮮明にしまし
た。しかし、消費税増税がもたらした「増税不況」、格差を拡大した経済政策「アベノミ
クス」の行き詰まり、「日本を海外で戦争する国」にする国づくり、原発の再稼働や沖縄
での米軍新基地建設など、国民との矛盾は何一つ解消されていません。今度の選挙は、
「亡
国の政治」を突き進む安倍内閣の暴走ストップ、県民のくらし第一の県政を実現する大事
な選挙です。
ところが県は、県民の声には冷たく、安倍内閣の「骨太の方針」に同調した「経済体質
の強靭化」を謳った「企業誘致・生産拠点整備事業」や文化財保護法などで厳しく規制さ
れている古都・奈良の魅力を壊す「大宮通りプロジェクト」、県営プール跡地への「大型
高級ホテル誘致」、オーベルジュ(ホテル)棟を併設した「食と農の魅力創造大学校」な
ど、不要・不急な事業に巨額を投じるなどのムダな事業をすすめています。しかも、日本
共産党以外の議員がこれらの事業を後押ししており、どの問題をとっても県政の大きな争
点となっています。
この間、日本共産党奈良県会議員団に託された3200通を超える「くらしのアンケート」
には、
「収入が減り、年金も下げられ、このうえ増税では生活が苦しくなるばかり」
「正社
員の仕事に就きたい」「子どもの医療費の窓口負担をなくしてほしい。お金がないときに
は病院に行けない」など、切実な県民の声が寄せられています。
日本共産党は、この声に応え、だれもが安心して住める奈良県をつくるため、県民の皆
さんと共同してオール与党県政と正面から対決し、県民のいのちとくらしを守り、地域経
済の再生をめざす「奈良県政への6つの改革提言」を訴え、この選挙をたたかいます。
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1.荒井県政の特徴と県民のくらしの実態 (1)安倍政権の暴走に追随した開発優先、福祉切り下げの県政 安倍政権の経済対策「アベノミクス」の破たん、行き詰まりにより地方の景気回復の遅
れがいよいよ明らかになっています。勤労者の実質賃金は増税前から 17 カ月も前年を下
回っています。消費支出の落ち込みが昨年 4 月の消費税増税以来 8 カ月連続し、増税に
よるくらしや地域経済への打撃も深刻です。大企業や資産家のもうけをまず増やすという
「アベノミクス」は大企業と中小企業、富める人と貧しい人、都市と地方の格差を拡大し、
“恩恵”など受けていないというのが国民大多数の実感です。
そのうえに、2015 年度予算編成のなかで社会保障費の大幅削減を表明し、医療・介護、
年金、生活保護、障害者福祉など「抑制策の総ざらい」となる大改悪へ暴走しようとして
います。総選挙直後、安倍首相と会談した経済団体代表は、社会保障などについて「一部
の人たちにとって苦い薬を飲むような施策を実行できるのは安倍政権しかない」と発言す
る異常な様相を示しています。
奈良県においても、産業・経済と雇用、地域振興はいよいよ重要な課題となっています。
それだけに、県が地域経済とくらしの守り手「住民福祉の増進」という地方自治体の本来
の役割を発揮することが切実に求められています。ところが荒井県政はどうでしょうか。
荒井県政の第一の特徴は、県の「脆弱な地域経済を強化」するために、オリンピックや
リニア中央新幹線で「幻想」をふりまき、県民のくらしをないがしろにした「国土強靭化」
や大型開発事業をすすめていることです。1社当たり30億円を限度とした補助金をつけた
企業誘致、不要・不急な産業用地造成や京奈和自動車道・大和北道路建設に巨額の資金を
投入しています。県営プール跡地への高級ホテル誘致を核とした大型複合施設建設に固執
し続け、政府にも、リニア中央新幹線『奈良市付近駅』の確定や、三重・奈良ルートの早
期開業などを要望しています。
第二に、社会福祉や医療制度の充実には冷たい態度を続けています。社会保障の財源と
して消費税 10%への増税の必要性を説き、TPP(環太平洋連携協定)交渉への参加では
県民生活や地域経済への影響は小さいと、その影響を過小評価しています。子どもの医療
費助成の窓口負担の無料化を実施していないのは近畿では奈良県だけです。国保引き下げ
のための県独自助成にも背を向けたままです。
第三は、
「奈良県行政経営マネジメントプログラム」(2014 年 12 月)を策定し、県と市
町村が連携して役割・機能・サービスの権限移譲や集約化・効率化を図る「奈良モデル」
の推進を図り、市町村合併政策に代わる安倍内閣の広域連携・「地方創生」政策を先取り
しようとしています。「プログラム」では、消防力の低下を招く「消防の広域化」を強行
したのに続き、国保料(税)の引き上げにつながる「国保の広域化」、徴収目標を持った「市
町村税の徴税強化」、減免、課税免除制度の見直し、使用料・手数料の値上げ、公務員給
与への能率給の導入など、県民に圧力をかけることにとどまらない「県民いじめ」の施策
が目白押しです。
第四に知事の政治姿勢の問題です。知事がすすめようとする施策に対する県民の意見や
疑問の声に耳を傾けようとせず、逆に「敵視」するかのような姿勢です。
「『大きな声』を
出せば意見が通るというのは民主主義と違う」と述べ、知事の見解と異なる県会議員の質
問が気に入らないことをもって、
「民主的でない」、
「(質問に)あまり答える気にならない」
2
と答弁を拒否するなど、民主主義を否定する態度をとり続けています。
若草山への「モノレールやバス案」では、日本イコモスからの懸念表明、奈良弁護士会
の「反対意見書」、2 万 8000 筆を超える県内外からの「反対署名」を無視して導入に固執
する態度を示しています。文化財の保全・整備、古代を今に活かす公開と情報発信を重要
な仕事としている研究者・学者に対し、「宝物は研究所に凍結保存し、開くときは『俺だ
けが見るよ』という『考古学のその一派』」などと事実を捻じ曲げた攻撃を加えています。 平城宮跡の「国営公園」化事業でも、宮跡中枢部の遺構、往時の姿を著しく損なう国交
省の事業を「何ら問題はない」と強弁し、保存管理団体としての県の責任を放棄し、古都
の歴史的・文化的景観を壊そうとしています。(9 月本会議、予算委員会での答弁など)
県議会の各会派は、行き詰まった自民党政治に追随する荒井県政をオール与党で支えて
います。唯一、日本共産党県会議員団が「県民が主人公」の立場で願いを県政に届け、自
治体本来の役割を取り戻すため健闘しています。
(2)暴走する自民党政治で困窮が増す県民の暮らし ① 「くらし向き」が「悪くなった」と68%の県民が回答 日本共産党県会議員団が実施した「暮らしのアンケート」では、68%の人が昨年より
「くらし向き」が「悪くなった」と答え、
「良くなった」と答えた人は 4%にすぎません。
悪くなった理由のトップに 42%の人が「給与や年金の減少」をあげ、ついで「税金が増
えた」27%、「医療・介護・国保の負担増」24%と続いています。
消費税8%への増税の影響について、「変わらない」と 22%の人が、「負担が増えた」
と 75%の人が答えています。記述欄には「物価もあがり、そのうえのに増税ですごく負担」
「景気が良くなったとはとても思えない。貧富の差をなくして」「給料があがらないのに
増税では生活できない」など、悲鳴と怒りの声が渦巻いています。予定される 10%への
増税については、
「反対」43%、
「見直すべき」24%、
「時期が悪い」15%と、82%の人が
「待った」をかけています。増税が「必要」という 14%の人の中からも「増税はぜいた
く品だけにしてほしい。食糧、日用品は増税しないで」と書き込まれています。
「消費税 10%への増税」に賛成し、
「早くやってほしい」という荒井知事に、県民のく
らしに思いをはせる気持ちがあるのでしょうか。県が 6 月に実施した「県民アンケート」
でも、40%の人が「くらし向き」が「悪くなった」と答え、昨年より 3 ㌽増えています。
その理由は「毎日の生活費の増加」が昨年より 13 ㌽増え 42%に、
「税や保険料の負担」7
㌽増の 48%、
「給与や収益の減少」2 ㌽増の 66%です。この結果に知事は、
「消費税率 8%
への引き上げにともない、6 割の県民が購入を控えたり、安いものを買うなどの工夫をし
ており、ぅらし向きの実感に大きな変化はない」
( 2014 年 9 月本会議)と強弁しています。
生活保護受給者は、保護費受給に「負い目を感じ」ながら、生活費を限りなく切り詰め
ることを余儀なくされています。
「スーパーで見切り品や広告の品を買う」
「野菜は近所に
人に譲ってもらう」
「風呂の回数を減らす」
「デイサービスでの『お花見会』など、お金の
かかる行事に参加できない」といい、「人としての生活ができるよう国が決める『最低限
生活』の基準をこれ以上さげないで、弱者切り捨ての政策を止めてほしい」と訴えていま
す。(「奈良民主医療機関連合会」の調査)
中小企業家同友会が会員企業を対象とした消費税増税に関するアンケートでは、県内の
8 割近い企業が増税で悪い影響を受けています。58%の企業が「影響が出ている」と答え、
3
「今後、影響が出る」と答えた企業を加えると 76%に達し、
「影響はない」と回答した企
業は 11%でした。消費税増税による仕入れ価格の上昇を販売価格に完全には転嫁できな
い企業が 34%ありました。また、取引先から値引き要求など「不当な行為」を受けたと 9%
の企業が答えています。消費税率 10%への引き上げについて「中止すべき」
「延期すべき」
と答えた企業が 42%、
「わからない」と答えた企業が 32%で、
「実施すべき」26%を上回
っています。
② 働く人の39%が「非正規の職員・従業員」 総務省がまとめた「就業構造基本調査」(2012 年 10 月)によると、県内で 56 万 4000
人が働いていますが、
「正規の職員・従業員」は 32 万 600 人で、2007 年と比べ 2 万 4000
人(7.0%)減少しています。他方、パートやアルバイト、派遣など非正規で働く人は 21
万 1000 人で、2007 年と比べ 9300 人(4.6%)増加しています。非正規の割合が 39.7%、
全国で 7 位の高水準です。その比率は男性で 23%、女性では 60%に達しています。15
~34 歳未満の若年雇用者 16 万人のうち、6 万 3000 人(39.2%)の人たちが「非正規」
で働いています。
奈良労働局の調べ(2014 年 11 月)では、有効求人倍率は 0.84 倍で、全国平均の 1.12 倍
を大きく下回っています。しかも、求人の半数は「パート」の求人で、「常用・フルタイ
ム」の社員の有効求人倍率は 0.72 倍で、
「事務的職業」などはわずかに 0.21 倍しかなく、
「正社員」として就職することが困難となっています。
非正規で働く人たちのうち 23%の人は「正社員を希望しながら、正社員として働く会
社がなく、やむなく非正規で働いている人」です。今後、「正社員に変わりたい」と希望
する人の割合は 26%です。なかでも、若年層では 41%に達し、派遣社員、契約社員の人
も、ほぼ 2 人に 1 人が正社員になることを願っています。
ところが安倍政権は、「生涯ハケン」「正社員ゼロ」社会へのたくらみに加え、「残業代
ゼロ」「過労死促進」の「新たな労働時間制度」の導入にむけた法案を通常国会に提出す
る準備をすすめ、動きが緊迫化しています。
奈良県では、公立小・中学校の先生は「正規教員」が当たり前ですが、「臨時的教員」
や「非常勤講師等」で働く先生の割合が 12%に達し全国第 2 位の劣悪さです。県庁など
でも非正規雇用職員が増加し、時給 1000 円に満たない官製ワーキングプアーがつくりだ
されています。しかも知事は「全国一律最低賃金制度」の確立や、時給 1000 円への引き
上げの要求を「国の仕事」として見放しています。
国際社会は「人間らしい労働」の実現が大勢です。派遣労働、非正規雇用を増大させ、
過労死するほど働かされる社会は、日本経済の健全な成長にとってマイナス以外の何もの
でもなく、安倍政権の雇用破壊には大義も道理もありません。
③ 減り続ける賃金 - 年収 105 万円も減少( 2000 年比) 労働実態も劣悪で、働く人を使い捨てにする「ブラック企業」「ブラックバイト」が横
行しています。日本民主青年同盟奈良県委員会が取り組んだ「若者の労働実態調査」では、
二人に一人が非正規雇用で働き、年収も 200 万円未満です。 4割の青年が「サービス残業がある」と答え、「3 カ月に満たないうちに、群馬から奈
良、長崎と転勤を命じられた」「1 日 14 時間を超えて働かされ、『働きが悪い』と上司か
4
ら暴力を受け、精神疾患を患い退職に追い込まれた」などの実態が報告されています。
長時間・過密労働は民間企業にとどまらず公務員、教育、医療・介護などの職場にも広
がっています。県立学校で働く先生の 1 カ月あたりの勤務時間が、月 80 時間から 100 時
間業務に従事した先生のべ 750 人、月 100 時間以上従事した先生がのべ 830 人に達して
います。
アルバイトで学費や生活費の一部を賄う学生にも、社員並みに過度な責任やノルマが押
しつけられています。「ほぼ毎日、飲食店で働いているが、客がいない時間帯を『待機時
間』として給与が支払われず、月3万円の給料にしかならない」「洋服販売にノルマがあ
り、商品を買わせる」など、労働関係法を無視した行為を告発する声が寄せられています。
他方、県内に働く人の賃金は 2000 年以降、年平均して 2%づつ減ってきました。減り
続ける賃金を 2000 年と比較すれば、その減収額は全国平均では 1 カ月約 4 万 1000 円、
年収換算で 48 万円ですが、奈良県では減少額がその 2 倍に達し、月 8 万 8000 円、年収
105 万円も減少しています。
賃金格差も拡大しています。従業員 5 人以上の事業所に働く人の「(毎月)きまって支給
する給与」は 1 カ月 22 万 704 円ですが、従業員 5 人未満の事業所では 17 万 1826 円で
す。就業者の約 4 割を占めるパートタイム労働者の賃金は 8 万 6799 円で、一般労働者の
賃金 30 万 3285 円の 28.6%に過ぎません (「2013 年毎月勤労統計調査特別調査」)。
このうえに 4 月から 8 兆円もの消費税増税と、憲法 25 条が保障する国民の権利を骨抜
きにする社会保障費の負担増・給付減で、合わせて 10 兆円もの史上最悪の負担が国民に
押しつけられているのです。
提言1.県民の所得の増加で暮らしと地域経済の再生を 県が県政の最も大きな課題としてあげているのが「地域経済の構造的な問題」です。県
内の生産活動によって生み出される付加価値(雇用者報酬、土地・資本などの財産所得、
企業利潤としての企業所得)のうち、企業所得の割合が 22%と低く、法人税収入が全国
最下位にあることや、「買い物」などでの県外消費の比率が高く、県の収入となる県民一
人当たりの地方消費税額が 46 位にあることなどです。
このため県は、県内への「投資、雇用、消費」を拡大し、県経済の「自立」を図るため、
「県内への企業誘致」「生産拠点整備」に巨額を投入しています。「県内消費の拡大」「観
光客の増加」を理由に、世界遺産に登録されている平城宮跡・朝堂院広場の舗装工事や関
連する朱雀大路西側の公園事業、県営プール跡地へのホテル誘致、若草山一重目へのバス
の導入など、古都奈良の魅力を破壊する「まちこわし」事業をすすめています。 県経済を活性化させ、中小企業と県民のくらしを元気にする決め手は、このような “大
企業がよくなれば中小企業も働く人の生活もよくなる”という安倍内閣の逆立ちした「骨
太の方針」・新成長戦略に追随した政策を追求することではありません。実質賃金をプラ
スに転換する賃上げも景気回復も実現し得ないことは、この数年で明らかです。
県がなすべきことは、県内企業数の 99%を占め、従業者数の 93%の雇用を支える中小
企業を、直接応援する政策を推進することです。「働く人の賃金を引き上げ、雇用を安定
させるルールをつくる」ことを県経済界に正面から提起することです。従業者の賃金の増
加が消費を拡大し、企業業績の改善、投資と雇用の拡大につながる健全な成長への好循環
を生み、地域経済の活性化、景気回復の道につながります。 5
(1)県民の所得の増加と安定した雇用の拡大を図ります 24 歳以下の若者の二人に一人が非正規雇用のもとで働き、長時間残業やパワハラなど
を強いられ、健康障害が広がっています。
奈良労働局は、こうした過酷な働かせ方で雇用を破壊し若者を使い捨てる「ブラック企
業」の疑いのある 82 の事業所を「重点監督」し、全体の 78%に当たる 64 事業所で賃金
不払いなどの法令違反があり、是正勧告書を交付しました。厚生労働省が過労死の認定基
準としている時間外労働 1 か月 100 時間を超えて働かせていた事業所が 13 事業所もあり
ました。労働局が「ブラック企業」に焦点を当てた取り組みを実施したのは初めてで、2013
年の参議院選挙で「ブラック企業」が大きな争点となり、この問題を追及してきた日本共
産党の躍進、世論と運動に押された結果です。日本共産党が提出した「ブラック企業規制
法案」は継続審議となっていますが、政府は今年度から、ハローワークを通じて大学生や
院生を採用する企業について採用者数、離職者数を公表するなど、法案の一部が実現して
います。
県議会でも「ブラックバイト」の問題と合わせて論戦を展開してきました。昨年 9 月県
議会では、日本共産党が提案した「ブラックバイトの根絶へ向けて政府の取り組みを求め
る「意見書」が可決されました。意見書では、学生がブラックバイトのためにバイトと学
業が両立できず、留年や中途退学に追い込まれるケースも生まれていることを指摘し、ブ
ラックバイトを根絶するための実態把握に努めることや「無利子」奨学金の充実を求めて
います
2015 年春闘で、全労連・国民春闘共闘は、
「実質賃金の低下に歯止めをかけ、大幅賃上
げとくらしの改善をはかる」目標として、月額 2 万円、時間額 150 円の賃上げ、最低賃
金要求として時間額 1000 円以上、日額 8000 円以上、月額 17 万円以上の達成をめざすと
しています。連合はベースアップ 2%以上(定期昇給維持相当分 2%を加えて 4%以上)
の賃上げ要求を掲げています。
県民の生活と権利を守るため、春闘で県民の所得を増やし、雇用を安定させるルールを
確立すること、「正社員があたりまえ」の社会実現への流れを作り出すことが、経済を土
台から強いものにするためにも不可欠です。安定して働き、住み続けられる場所と賃金が
保証されれば、労働の「質」の高まりと、生産性・企業業績の向上が得られ、奈良県経済
の活性化につながります。
・県として正規雇用の拡大目標を持ち、
「ならジョブカフェ」
「しごと i センター」におけ
る高校生、大学生、青年の就職あっせんは正規雇用を原則とするよう改めます。
・国に、労働契約法の抜本的な改正を提起し、労働契約は期間の定めのないものを原則と
し、有期雇用は臨時的・一時的な業務に限り、期間は1年を上限とします。
・労働基準監督署などと協力して、長時間労働の是正やサービス残業の根絶、均等待遇の
実現をはかります。「ブラック企業」の根絶めざし、違法な企業への指導と監督、離職
率の公表などを行い、だれもが安心して働き続けられる職場を確立します。
・県が商工会議所など経済界に「賃上げ」要請を行うと同時に、国に、最低賃金を 724
円から 1000 円に引き上げるための中小企業対策予算をふやし、中小企業への賃金助成、
税・社会保険料の減免などを実行するよう要求します。民間企業の賃金に連動する公務
員の「賃上げ」をただちに実施します。 6
(2)「産業実態調査」を活かした地場産業支援を図ります 2010 年に県が 5000 社の事業所(者)を対象に実施した「産業実態調査」では、県内
51%の事業者が不況による市場の縮小で業績が低下したと答え、市場競争のなかで、県
に販路・取引高の拡大に向けた支援を求めています。消費者の嗜好、ライフスタイルの変
化、近年のトレンド「ほんもの指向」に対応した商品づくりへの技術・販売支援を通じた
地場産業の「底上げ」が必要です。
① 地域資源と中小企業の持つ技術・知識・情報の融合 ・奈良県中小企業振興基本条例を活かし、中小企業を直接支援する予算を拡充します。県
の特長でもある日常生活に欠かせない繊維・食品・木材などの衣食住関連産業や、医薬・
医療・福祉産業などを育て、新しい商品・サービスの創出と販路開拓で業績を伸ばし、
雇用を増やす振興策をすすめます。
・
「まほろば工業ゾーン構想」による 9 億円の企業立地促進補助金、30 億円を限度とした
優遇制度を用意した企業誘致や産業用地確保、高規格・幹線道路のインフラ整備などの
事業を見直します。850 億円を投入する京奈和道・大和北道路(奈良市八条~大和郡山
間 6.3 ㎞)建設が、並行する国道 24 号線の渋滞解消対策としてすすめられていますが、
わずか 2 分の時間短縮効果しかない建設計画であり中止を求めます。
・情報化、グローバル化がすすんでいる今日では、特定企業者への重点的な支援「優良企
業育成」や、単なる工業団地形態による生産拠点整備事業を行うのではなく、技術・知
識・情報のネットワークの形成、大学や研究機関など産・官・学の連携によるこれまで
にない新しい組織・機能を持った産業集積の形成を図ります。
② 「産業振興総合センター」の機能拡充で、中小企業全体の「底上げ」 ・技術部門における技術革新への基礎研究は欠かせません。一時的な利益追求型ではない
持続した研究活動ができる体制をつくります。製造事業者のコア技術を活かした「自社
ブランド商品」を生産・販売できる支援、事業協同組合などの研究・新商品開発や販路
拡大、人材育成事業を支援し、産業全体の「底上げ」をはかります。
・商業・経営支援部門では、センターに事業者とデザイナーなどとの協働をコーディネイ
トできる機能を備え、消費者のニーズに合った「奈良ブランド」商品やサービスの開発
を支援します。
・魅力ある商店街振興や、伝統的街並みの保存・活用への助成や金融支援、融資の拡大な
どによって、地域固有の創造的な商業環境を作り出し、県内消費の拡大につなげます。
・大型商業施設の出店・撤退にあたっては、自治体、住民、商店街等との協議を行い、地
元商店街や住環境と調和した「まちづくり」を進めます。
・大企業の中小企業からの「買いたたき」や、一方的な発注打ち切りをやめさせ、適正な
取引価格、公正な取引を行うルールを確立し、中小企業の経営を安定させます。
7
③ 「公契約条例」を活用した中小企業の経営健全化 ・7 月に制定された公契約条例を活用し、県が企業に発注する公共事業・サービスの質を
確保し、入札企業間の受注をめぐる低価格競争に歯止めをかけ、中小企業経営の健全化
をはかります。発注要件に、価格や技術力に加え、労働条件の確保、環境保全などの社
会的価値に関することなどを評価項目に加え、そこに働く労働者の適正な賃金・労働条
件と雇用の安定をめざします。
・自治体が発注する小規模な工事や修繕、物品購入などの契約について、地元の中小事業
者の受注機会を拡大し、地域経済の活性化を図ることを目的とした「小規模工事等希望
者登録制度」を採用する自治体を広げます。
・住宅リフォームや家庭用太陽光パネル設置助成制度を全面的に再開させ、市町村と協力
して地域の建設工事業、内装・電気業などに仕事がまわる仕組みづくり、安全・快適な
住まいづくりをすすめます。
(3)「奈良まるごとミュージアム」構想で奈良の魅力を発信します 観光客が古都・奈良に求める「もの」は、数千年の歴史のなかで形成された文化的景観
や自然遺産、古寺の文化財など、静かなたたずまいのなかで「ほんもの」に触れることが
できる「空間」です。奈良は、我が国における古代国家形成期の状況を知る上で重要な纏
向遺跡や、唐古・鍵遺跡(田原本町)、大和郡山市稗田に残る弥生時代の環濠集落遺跡な
ど、古代から人々の生活がありました。大和王権から律令国家の成立、南北朝時代から「天
誅組の変」が起きた江戸・幕末、そして現代へと受け継がれてきた日本歴史・文化発祥の
地として、いつの時代も多くの人々を魅了してきました。
県内にある 3 カ所の世界遺産や明日香にみられる歴史的文化的景観、巨樹・巨木に彩ら
れた自然、伝統芸能・音楽・祭り・アートが繰り広げられる文化芸術活動、伝統的工芸品
産業など、奈良の優れた地域資源で観光客をもてなし、上質な時間を過ごしてもらえる戦
略を構築し発信することが求められています。
日々のくらしのなか、奈良観光の固有価値とその重みや良さを知っている地域の人々も
参加した協議会で、
「地域益」の観点から回遊・滞在型の観光を追求し、
「奈良の魅力を創
造する」ことが大切です。観光客と地域の人々との交流は、地域の「イメージ」・知名度
の向上につながり、地域の産業振興、活性化に効果を発揮します。
観光産業を持続的に発展させるには、観光客が求めるニーズや「文化の多様性」、地域
の優位性を的確につかみ、
「ほんものの奈良」を発信することが重要です。
「奈良まるごと
ミュージアム」構想とは、商工業・観光業・地域の関係者が相互に連携し、産業の「経済
的価値」と「文化的価値」の維持・向上をはかり、地域内経済循環をすすめる構想です。
① 「奈良公園基本戦略」、「大宮通りプロジェクト」の抜本的な見直し ・奈良公園、平城宮跡、県営プール跡地の開発・利活用をすすめる「奈良公園基本戦略」
「大宮通りプロジェクト」は、奈良らしさを求める観光客への「おもてなし」のこころ
を根本から否定するものです。奈良公園観光「特区」指定を受け、文化財保護法などに
基づく厳しい規制を突き崩し、奈良の景観、文化財、自然を壊す諸事業は中止を含め抜
本的に見直します。
8
・歴史的・文化的にも「奈良らしさ」を代表する景観のひとつ、若草山へのモノレールや
バス案を断念させます。自然・景観・文化遺産の科学的な調査、研究を進め、その価値
の保全と継承を図ります。
・子ども、障害者、高齢者を含め観光客、市民が楽しめる奈良公園となるよう、景観・自
然に配慮した公園へのアクセス、バリアフリー化、安全対策を進めます。 ・木簡や地下遺構など埋蔵文化財を破壊する平城宮跡国営公園化事業を見直します。すで
に施工された第一次大極殿正殿広場のコンクリート舗装、朝堂院広場の土系舗装、駐車
場、史実にもとづかない修景柵、宮跡の中央部につくられた東屋などを撤去します。大
宮通りに面した県営公園部分の積水工場跡地での事業計画を見直します。
・文化財保護法に基づく保存管理計画を策定します。
・県営プール跡地での「奈良らしさの体現」をコンセプトとしたホテルや広場などを備え
た大型複合施設の建設を中止し、跡地の活用は、奈良市や地域住民、関係者の意見を基
にした計画を立案します。たとえば、専門家や地域住民の参加を得て、子どもから大人
までが楽しめる「地質時代から近・現代にいたる全時代を網羅した総合博物館」や、災
害・緊急時には避難場所として活用できる複合・防災施設などを提案します。
・滞在型観光の追求、リピータ客の増加を図るため、歴史的街並みの保存や景観に配慮し
た宿泊施設の新・増改築、低価格で宿泊が提供できる「民泊」施設の建設などに支援・
補助を行います。若者に奈良の魅力を伝え、拡散できる「アーカイブス・データベース」
の発信や、回遊型観光のための交通機関の整備をすすめます。
・地域のくらしの中に息づいている奈良墨、奈良人形、奈良うちわ、吉野手漉き和紙、高
山茶筌など伝統的工芸品産業と奈良観光をリンクさせ、「ものづくり」が体験できる工
房や教室への支援を行います。枯渇する工芸品製作のための道具類や、技術者の高齢化、
後継者不足に対応した施策と、伝統技術の継承を図ります。
② 観光事業と農山村振興事業の一体的運営 ・市町村ごとの特徴ある自然、歴史・風土、文化などを活かした観光資源の「ブランド化」
「旅行商品化」開発を支援します。人々との交流を楽しむ滞在型の余暇活動「グリーン
ツーリズム」、民泊、子どもたちの「林間学校」、スポーツ合宿などの誘致拡大をめざし
ます。
・使われなくなった施設や民家を活用した廉価な宿「ゲストハウス」が、若者や少ない費
用で旅をする外国の旅人たちなどを含んだ人々の文化、言葉、旅行情報などを自由で活
発に交換できるコミュニケーションの場所として広がっています。「旅行する」と「定
住する」の合間のような滞在型の宿を提供し、自分の家のように気兼ねなく、楽に過ご
せるイベントなどを運営しています。こうした手法でゲストハウスを経営する人たちへ
の支援・共同で、地域の活性化をはかります。 ・「観光」と一体となった果樹や花卉、茶、椎茸栽培など、域内での地産地消、県外への
販売をめざす地産外商型の農産加工、販売を活発にします。
(4)
「リニア中央新幹線」誘致を中止し、県民の安全な交通手段の確保を優先します 東京オリンピック開催やリニア中央新幹線開業による観光客の増加などの経済効果を
期待し、
「三重・奈良ルートと奈良市付近への『奈良駅』の早期確定」
「東京・大阪間の早
9
期全面同時開業」をめざし、「夢のリニア」などと「幻想」をふりまく誘致活動が活発に
行われています。
しかし、肝心のリニアの需要見通しや採算性、環境への影響などについて、国会でのま
ともな審議が、
「JR 東海が行う民間の事業」だとして行われないまま、着工が強行されま
した。路線の 8 割以上ものトンネル工事に伴う大気汚染、騒音・振動対策、水源の枯渇、
掘削で発生する残土の適正な処理、希少動植物の保護など、環境や自然の破壊の問題が山
積しています。技術面では、運転は遠隔装置で運転手は乗車しない、走行に現在の新幹線
の 3 倍以上の電力を消費する、最高時速 500 キロ㍍で走行し、発生する強力な電磁波に
よる人体への影響など、安全・安心な対策技術も未確立です。
にもかかわらず県は、三重・奈良ルートによる全線同時開業を促進するため、JR 東海
に財政負担を極力かけることなく、建設が先行して実施できる仕組みを政府に提案してい
ます。建設に係る土地取得と土砂処分は「通過地域の県に責任がある」として、JR 東海
から寄付金を募り、県費負担を合わせてトンネル工事を実施し、完成後はトンネルを JR
に譲渡する仕組みや、トンネルの排出土砂を全量買い取る提案です。リニアの奈良への確
実な誘導にどれほどの県費を使うのか、県民から多くの疑問や不安がだされています。
安倍内閣のリニア建設の狙いは、「三大都市圏と沿線地域とのアクセス・利便性向上」
で、「企業が世界で一番ビジネスがしやすい都市づくり」と「大企業の『稼ぐ力』を取り
戻す」ことです。県が期待する「もっと県内で働き、買い物してもらい、楽しんでもらい
たい」とは逆に、東京~大阪間が“一つの経済圏”になり、“ストロー現象”で奈良の財
産である「ヒト、モノ、カネ」が大都市圏に流出し失われてしまいます。県はリニアが誘
致できれば「ゆっくりじっくりと楽しめる観光県」にできるといいますが、リニアの駅が
できたから観光客が増えるものではありません。 ・都市間の移動時間を短縮することよりも、県民の安全・安心な交通手段を確保すること
こそ求められています。誘致による県民的意義に乏しく、安全性が未確立な技術に巨額
の県民負担を強いるリニア中央新幹線を建設する必要はなく、誘致合戦や、駅前の「ま
ちづくり」計画を中止します。
・東海道新幹線や在来線の安全対策、地震・津波対策の強化こそ急務です。在来線の廃線、
ローカル線・近鉄線の駅無人化、運行本数の削減などをやめさせ、県民の安全・安心な
交通手段の改善を図り、地域振興、観光振興をすすめます。
・県内バス路線の廃止が相次ぐなか「買い物難民」が社会問題化しています。国にバス路
線への補助復活を求め、県は市町村が運営するコミュニティバスやデマンドタクシー運
行への支援をおこないます
提言2.医療・福祉の充実で安心できる県民生活を 安倍政権は、社会保障の全分野にわたり公的責任を投げ捨て、国民に「自助・自立」を
強要する予算削減と制度改悪をすすめ、生活保護法改悪や社会保障プログラム法を強行す
るなどの暴走を続けています。手当たり次第の切り捨てにストップをかけ、「医療崩壊」
「介護難民」「保育難民」など、あらゆる分野で危機に瀕している社会保障を再生し、充
実させるために力を尽くします。 10
(1)だれもが安全・安心の治療を受けられる医療制度を確立します 県内で約 38 万人、世帯数 21 万世帯が加入する国民健康保険は、年間一人当たり 9 万
4000 円の高すぎる保険料(税)が暮らしを圧迫しています。保険料の滞納率が 14%に及び、
保険証が交付されない短期保険証、資格証明交付世帯が 1 万 2000 世帯(2013 年 6 月)、保
険証の「留め置き」も 4000 件を超えました。保険料滞納者への差し押さえも、2013 年
は 1800 件に達しています。
こうしたなか、県は「市町村国保の一元化・広域化」で、保険税の計算方式の統一をす
すめ、保険料(税)については「数値目標を持った徴収の強化」を市町村に求めています。 県民負担が大幅に増えたにもかかわらず、地域の医療体制は後退・弱体化し、医師・看
護師不足も深刻で、いまだに県南部には産科がありません。救急医療機関への搬送時間も
「30 分以上 60 分未満」が 58%で、30 分未満が 27%と搬送時間が長くかかっています。
「医療崩壊」が社会問題となる中、公的医療保険・医療体制を建て直すことは待ったなし
の課題です。
・国保の広域化を中止し、国に国庫負担金の割合を 25%から 50%への引き上げを要求し
ます。保険料(税)一世帯 1 万円の引き下げのため県独自の助成制度をつくります。 ・国保加入者には年度ごとに保険証を届け、一方的な資格証明書、短期保険証の発行や、
国保料滞納者への機械的な差し押さえをやめさせます。すべての子どもに無条件で保険
証を交付させます。
・福祉医療制度の一部負担金を廃止します。子どもの医療費助成制度を中学校卒業まで拡
充し、窓口立替え払いをなくし無料化します。
・安心してお産のできる県として、南和地域医療センターに産婦人科を開設します。地域
の妊娠・出産・育児などの相談拠点としての「女性健康支援センター」「不妊専門相談
センター」「産後ケアセンター」の新増設をすすめます。周産期医療体制を充実し、
NICU(新生児集中治療室)の増設を図ります。
・医師・看護師の確保に努め、医療の公的責任を果たします。医療従事者の待遇改善を図
るとともに、県立看護学校での看護師養成数を増やし、奨学金制度の復活、院内保育所
設置など働きやすい環境を整えます。独立行政法人化された県立病院への財政的支援を
強めます。新県立奈良病院の建設に当たっては、地域住民の意見をよく聞き、旧県立奈良
病院の医療機能を残し、地域の医療・福祉・介護の拠点にします。
・県内の救急医療体制整備を急ぎ、救命救急士の養成と高規格救急車、ドクターズカー、
ドクターズヘリコプターの配置を系統的にすすめます。
(2)介護を受ける人も、介護する人も安心できる介護制度を 2013 年 4 月から 3 年にわたる県内各市町村の月額介護保険料は 4592 円となり、もは
や年金生活者には限界です。そのうえに国は、介護保険制度発足からずっと 1 割だった利
用料負担を一定の所得のある高齢者には 2 割に改悪します。他方、「軽度要介護者」の保
険制度からの締め出しも露骨で、「要支援1・2」の高齢者を保険サービス の対象から
除外しています。県内には、いまでも特別養護老人ホームへの入所待機者は 7000 人にの
ぼりますが、国は入所条件を「要介護 3」以上にする方針です。介護を必要とする人のサ
ービス利用を厳しく制限することの拡大をただちにやめさせ、誰もが迎える老後を安心し
11
て介護を受けられるようにすべきです。
・介護保険の保険料・利用料の県独自の減免制度をつくり、必要な施設の整備をおこない
ます。軽度要介護者の「介護はずし」をやめるよう国に要求し、「要支援1・2」の利
用者の実態に見合ったサービスが提供されるよう改善します。
・特別養護老人ホームを増設し、7000 人の待機者を解消するため小規模多機能施設の拡
充を図り、地域での介護、医療。福祉のネットワークをつくり、住み慣れた地域で安心
して介護などが受けられるようにします。
・地域包括支援センターは中学校区に 1 か所の増設をめざし、マンパワーや運営費の
支援をおこないます。
・認知症疾患センターを増やし、地域の支援体制をつくります。
・介護職員の処遇・労働条件を抜本的に改善し、増員への財政的な支援を図ります。
(3) 必 要な人すべてが受けられる生活保護へ 生活保護は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を国民に保障する責任を政府に
課している憲法 25 条にもとづく制度です。県内では、リストラ、ワーキング・プアなど
貧困と格差が広がるなか、保護世帯数が 1961 年の 5100 世帯から、2013 年 9 月には 1
万 4000 世帯と 2.8 倍に増加しています。その生活保護基準が3年間で最大 10%も引き下
げられます。子どもが多い世帯ほど削減額が大きくなり、子どもの貧困にも拍車をかけま
す。生活保護基準の引き下げは、最低賃金、就学援助、生活福祉資金、住民税の非課税基
準など生活のさまざまな制度に影響を与えます。
・生活保護の申請書類を市町村窓口におき、また申請書はインターネットでもダウンロー
ドできるようにするなど、保護申請をする権利を保障・拡大します。申請はすべて受け
付け、低所得者対策を後退させません。
・高齢者加算の復活を国に求めるとともに、生活福祉資金制度を利用しやすいものにし、
緊急時などの際の医療証交付など県独自の支援を実施します。
・最低年金保障制度を創設するよう国に要望します。
(4)仕事と子育てが両立できる社会の仕組みをつくります 奈良県は、子どもの出生率が 1.32 で全国比 39 位となっています。その理由として県が
実施したアンケートでは、
「経済的理由」をあげる人が 59%、次いで「仕事と子育てを両
立させる社会的仕組みが整っていないから」が 40%となっています。
女性の就労率は全国最下位です。20 歳代では 63%ですが、30 歳代には 57%に下がり、
40 歳代で再び 64%となっています。女性の望ましい生き方について「結婚・出産後も就
労を継続したい」27%、「出産による退職後に再就労したい」21%と考えています。
児童虐待相談件数が 2013 年には 1390 件と過去最多になっています。希薄な地域社会
の人間関係、核家族化や子育ての孤立化などが要因です。仕事と家庭、子育てを地域で支
え、両立できる条件の整備が求められています。
・子育て「保育新システム」による、保育の公的責任を後退させず、国と自治体の責任に よる保育制度を堅持します。保育士の処遇改善を政府に求めるとともに独自に支援を行 12
います。 ・保育所入所の待機者をなくすために、認可保育所増設など市町村を支援します。産休明 け保育、長時間保育の拡大、夜間保育や病児・病後児保育、障害児保育、一時保育など 現行制度の拡充をすすめます。保育所全体を対象にして県単独での保育士配置基準の引 き上げをおこないます。 ・障害をもつ子どもの学童保育など放課後保障をすすめます。老朽化のはげしい登美学園
については耐震化も含め施設改修をすすめ、県営として存続します。 ・安心して仕事が続けられるように学童保育事業への県の支援を強めます。指導員の保育
士等の資格取得を奨励し、有資格者に対する給与の改善を行います。 ・地域の子育て支援センターを増設し、きめ細かな支援を実施できるようにするとともに、
児童家庭支援センターに対する補助金を拡大します。 提言3.子どもの基本的人権を保障する教育を (1)「過度の競争主義」教育を改め、教育条件を改善します 子どもの人格の形成が教育の目的ですが、自民党政治はこの精神を無視し、支配層のた
めの人づくりを教育に求め、「過度の競争主義」などで教育を荒廃させ、「いじめ」問題
を深刻化させています。荒井県政も、全国いっせい学力調査、体力調査の結果を利用して、
「学力は平均以上だが体力が低く、規範意識に欠ける」として、学力・体力・規範意識な
どすべての指標でベスト10入りをめざすことを教育現場に押しつけています。このこと
は、「地方教育行政の組織および運営に関する法律」にも抵触しています。
「1クラス 30 人学級制度」は、学習面でも生活面でもその効果が認められており、少
人数学級の実現、教員定数の増加など、教育条件の改善が求められていますが、県教育委
員会は、学習時のみ少人数に編成する「少人数教育」の推進をおこない、30 人学級には
消極的な態度を取っています。このため、教師の多忙化は年々深刻度を増しており、奈良
県の場合、人口急増期に大量採用した年代の教師が大量退職を迎えていることとあわせ、
過労による早期退職も増えており、退職者数に見合った教員を採用することが切実に求め
られています。
・18 歳未満の子どもの成長、発達の過程での基本的人権を守り、特別な保護と援助を保
障します。「奈良県子どもの権利条例」を作ります。
・近畿地方で最低の水準となっている県内の小・中学校普通教室のエアコン設置率を 6%
から全国平均の 33%にまで早急に引き上げます。
・
「 過 度 の 競 争 主 義 」や 上 か ら の 統 制 強 化 を 止 め さ せ ま す 。教 育 の 自 由 を 尊 重 し「 30
人以下学級」の実現で、教育格差をなくし、子どもがすこやかに成長・発達できる環境
を整えます。
・教師の多忙化解消にむけ、退職者数に見合った適正な要員を正規雇用者で配置し、教育
条件の整備をすすめます。「いじめ」問題解消へ、関係者と共同して、子どもへの安全
配慮、養護教諭などの増員などを義務付けます。
13
(2)重い教育費負担の軽減をはかり「子どもの貧困」解消に努めます 子どもの就学援助を受ける世帯が増え「子どもの貧困」解消が課題となっています。
「運
動靴を買い換えるお金がなく、サイズも小さくなり、ボロボロになっても我慢させている」
「学習机を一つだけにして、兄弟で交互に使わせている」「クラブ活動はなるべく経費が
かからない文化系に入部させた」などの声が党議員団に寄せられています。そのうえに、
県内では 23%の世帯で高校授業料の無償化が廃止され、学費無償化をうたった国際人権
規約に反しています。
・憲法 26 条に定められた義務教育無償を保障するため、クラブ活動に必要な道具や、数
字ブロック・ハーモニカなど副教材を無償で提供させ、家庭負担の軽減をはかります。
・高校授業料無償化の復活を国に求めます。県教育委員会が行っている「奨学金返還未収
金回収事業」、民間の債権回収業者による取り立てなどの非人道的、非教育的な対応は
中止します。
・経済的な困難から大学で学ぶことを断念せざるを得ない若者をなくすため、県独自の給
付制奨学金を創設します。県立大学での授業料減免申請する際には、成績等の申請条件
を見直し、憲法と教育基本法が定める教育の機会均等への県の責任を果たします。
・日本学生支援機構の有利子奨学金を無利子とするよう国に求めます。
(3)子どもの成長を保障する特別支援教育の充実を図ります 特別支援教育のニーズが急速に高まっています。障害を持つ子どもだけでなく、社会問
題化している通常の教育自体が危機的な状況を抱え、過度な競争によるストレス、いじ
め・不登校、貧困などにより、学びから排除される子どもが急増していることも関係して
います。
特別支援学級に在籍する児童生徒数は 2000 年度 1127 名から 2010 年度 2142 名へと倍
増、特別支援学校に在籍する児童生徒数は 2000 年度 946 名から 2010 年度 1421 名へと
1.5 倍化しています。特別支援学校の過密化、教育現場での新たな矛盾の解消を図り、全
ての子どもの成長発達を保障するために、養護学校の新増設をすすめます。
提言4.「食料」・「木材」の自給率向上をめざして 安倍政権の暴走は、TPP 交渉でも、
「米・乳製品など重要 5 項目は聖域」という公約を
ほごにしました。日本の主権と「食と農」の自給・安全を脅かし、県経済と県民生活にも
大きな損失を招きます。その損失試算額は農林業の生産減少額が 82 億円、農地や森林の
国土を保全する「多面的機能」の喪失額 560 億円など、総額が 640 億円にのぼります。
農業分野では、基幹的農業従事者 1 万 6000 人の 69%が 65 歳以上の人たちです。TPP
参加で生産額が 18%も減少するならば、この機会に農業生産をやめる農家が生まれ、耕
作放棄地 3595 ㌶(放棄地率 19%)がさらに拡大し、食料自給率 15%が一層低下します。 県土の 77%の面積を占める森林も、戦後造林された森林が多く、75%の森林で手入れ
が必要ですが、林業就業者の減少、高齢化などで生産活動が停滞し、間伐が適切に行われ
ず放置されてしまいます。急峻な地形も多く、表層浸食・表層土壌の流出を防ぐ機能や、
14
水質浄化、二酸化炭素吸収などの機能の低下で県土の荒廃は避けられません。
農林業を崩壊させ、県民生活における「すべての商品・サービス」に影響を与える TPP
参加に反対し、農林業従事者の「所得増大」と「食料」
・
「木材」自給率の向上をめざしま
す。農林業の再生は、県経済を内需主導、持続可能な方向へ転換するうえでも不可欠にな
っています。
(1)営農への意欲を高める「価格保障制度」拡充、6 次産業化支援を図ります ・県に政府の「21 世紀新農政」による支援を一部の大規模農家に集中し、多数の中小農
家を支援対象から排除する方針に追随しないよう求めます。国の助成要件に満たない小
規模農家への県独自の補助、新規就農者への「青年就農給付金」の補助期間の延長、親
と同じ農作物を生産し、農家の後継者になる青年への助成などの支援を行います。新規
就農者、認定農業者、集落営農等の多様な経営体の育成・確保で、農業経営の維持・存
続を図ります。
・作付けの豊凶や価格の変動が避けられない農産物の価格保障を行い、農家の生産への意
欲と誇りを高め、食料自給率の向上を図ります。
・農畜産物の特性を踏まえた品目別の価格・経営安定制度の充実・改善に取り組み、生産
費がつぐなえ、他産業なみの所得が得られる条件を保障し、多様な畑作、畜産、果樹、
野菜づくりなど「育てる農業」を可能にします。
・地域の自主性を尊重した地産地消の取り組み、学校給食などでの契約栽培、就農者と都
会の消費者が交流できる農産物直売所や産直などの「にぎわいづくり」を支援し、農業
経営と地域の再生に取り組みます。
・地域経済と雇用の拡大に寄与する農林(漁)業者と地元企業が連携した「6 次産業化」
による農林水産物の生産・加工と販売、観光などの事業への助成を行います。
・「農業経営や技術などの実践的な能力を習得する」ことを目的とした農業大学校の教育
課程を改変し、日々の生活実感からかけ離れた一流シェフ養成やオーベルジュ棟(ホテ
ル)建設に 53 億円を投入する「食と農の魅力創造国際大学校」建設計画を中止します。
・深刻な鳥獣被害対策に市町村と協力し県独自の支援を強化します。鹿や猪などを使った
ジビエ料理などの研究、食用に寄与するための必要な支援をおこないます。
(2) 木材生産から流通までの循環システム構築に取り組みます ・国の「森林・林業再生プラン」を、急峻で小規模の民有林が多く、地区外地主が多い奈
良県の実情に見合う制度に改善します。所有者の森林境界の明確化を促進し、森林所有
者と素材生産業、製材業、建設業、大工・工務店などが連携した「森林資源の循環シス
テム」を構築する取り組みをすすめます。 ・国に再造林できる原木価格の保障を要求し、間伐材の搬出や、加工流通施設の整備、流
通の円滑化を促進します。 ・県産材の需要拡大をはかるため、県産材使用住宅の建設、リフォームへの補助金の復活
や別枠融資、利子補給制度を拡充します。公共建築物や、住宅以外の建築物の木造化、
耐震・耐火の強化、土木事業への県産材の新たな利用技術の開発をすすめます。 ・「緑の雇用事業」を活用して、林業労働者の労働条件や待遇の改善をはかり、安心して
働ける環境をつくり、系統的な林業労働者の育成に取り組みます。 15
提言5.災害に強く、「住み続けられる」奈良県へ
(1)自然災害への「防・減災」で県民の安全を
いま、日本は地震の活動期にはいったといわれ、紀伊半島大水害、広島県の土砂災害や、
東日本大震災の巨大地震と大津波、福島第一原発事故による放射能汚染、御嶽山や桜島の
噴火という、巨大かつ深刻な災害がつづいています。奈良県では、南海、東南海の海洋ト
ラフ型大地震の発生が予想され、その直接的な地震被害にあわせて、連動する直下型地震
の発生などの災害から県民の財産といのちを守る防災対策を抜本的に強化することが求
められています。こうした災害から住民のいのちと財産を守ることは地方自治体の第一の
仕事です。県は災害時の救援のためにと、自衛隊の配備を国に求めていますが、防災のた
めというなら消防力の強化こそ大切です。
・大規模な災害が発生したときに備え、救援・防災・減災の活動を進める中核的機能を持
った広域防災拠点(センター)を再整備します。拠点では、① 高度な専門的知識・技
能を持つ消防職員や消防団員のための訓練研修、②災害発生時の情報の集中と情報発信、
③ 応急活動要員の集結・出動、④ 地域内外からの救援物資の集積・配送、⑤ 県民の
防災意識の高揚、防災学習のための普及・啓発などの機能を備えます。
・地域防災計画を見直し、高齢者や障害者、住民の安全な避難など地域の防災対策を強化
します。消防広域化による消防職員の削減を中止し、抜本的増員を図るとともに、消防
署(所)にユンボなど重機の配置をすすめます。
・それぞれの地域に適応した「防災ハンドブック」「防災マップ」を作成・配布し、家庭
や自治会等にまで活用されるよう普及啓発、「自助」意識の醸成を図ります。防災の専
門職員や防災士などを養成します。
・被害を最小限にくい止めるうえで重要な学校などの公共施設や緊急輸送路沿いの住宅、
病院、大規模集客施設の耐震診断、耐震補強を計画的にすすめます。
・ライフライン施設、河川堤防、崖崩れや土石流の危険箇所、老朽へのたため池など災害
危険箇所の調査・点検をおこない、結果にもとづいた補強や防災対策をすすめます。
・近年多発する都市型水害に対し、局地的豪雨にも対応する都市型水害ハザードマップを
作成します。雨水浸透施設設置をすすめ、公共施設だけではなく田畑や池、個人住宅へ
の施設設置に補助金を出し、溜める対策を推進します。
・治山治水対策の予算を大幅にふやし、砂防事業の促進、とくに土石流危険渓流対策、地
滑り危険箇所、急傾斜崩壊危険個所の災害防止対策事業の促進をはかり、河川の保水・
遊水池機能に力点を置いた全面的な治水対策を促進します。
・都市再生機構や民間業者の開発などについても防災アセスメントを義務づけ、防災の見
地から指導監督をつよめ、自然のバランスを壊さないよう、乱開発を防止します。
(2)地域資源を活かし「住み続けられる」県東南部に 県東南部では、高齢化率が 32%になり、農地や山林の荒廃がすすみ、県南部の 41%の
人が「集落の維持は困難」と思いつつ、87%もの人たちが「住み続けたい」と願ってい
ます。しかし、昨年 5 月に発表された日本創生会議「増田レポート」では、奈良県内 39
16
市町村のうち 3 分の 2 の 26 市町村が「消滅可能性自治体」となると発表しました。「人
口流出を防ぐダム」が必要だとして、条件不利地域と都道府県との連携、地域での基幹集
落への集約を促しています。これらは、「周辺」市町村にある福祉、文化などの公共施設
や行政サービスの拠点を「集約化」させることをねらっており、結果的に「地方創生」な
どと言っていますが、そこには「周辺」地域を切り捨てていく、地方再編の方向が示され
ています。
県東南部の「住み続けたい」という希望を実現するには、買い物や通院などに不可欠な
公共交通の整備、国道 168・169 号線などの幹線道路の維持補修と、国道に通じる網の目
のような生活道路の確保が必要です。生活道路の維持補修などは財政基盤の小さな当該の
市町村まかせにするのではなく、県が建設費用の負担をすることが必要です。
・持続可能な集落地域づくりへ、過疎集落への支援を思い切って強化します。地域資源を
生かした第一次産業の振興とともに、集落の実情に合った生活と交流の拠点をつくり、
コミュニティバスの運行、高齢者集落への「集落支援員」の配置などにより、買い物や
医療、福祉、教育などの生活に不可欠な支援サービス、健康づくり活動を整備します。
・生活に欠かせない山間地域における「網の目の道路」や農・林道路など既設道路の維持
補修事業をすすめます。すべての橋梁を総点検し、洪水、土石流の流下河積阻害・治水
ネック橋梁を早期に解消します。
・現在も仮設住宅に暮らす人々への土地と住宅の供給などの小規模公共事業を優先した事
業を推進します。工事には、地元建設業者を優先して参入させ、地元での仕事の提供、
雇用の拡大につながる公共事業を展開します。
・市町村が住民と協働し自立した『経済循環型の地域振興』をすすめ、農林産品、山菜、
薬草など地域資源を活用した特産品の生産・加工・販売を支援します。
・「吉野林業」など奈良県林業「地域認証材」のブランド力を活かした商品開発、地産地
消と全国への販売展開への支援に取り組みます。間伐材の搬出等により、山と海を守り、
地域の減防災に努めます。
・保健・休養などの目的で来訪する都市住民を「自然」でもてなし、交流する観光・レク
リーション施策をすすめます。
(3)「原発ゼロ」を決断し、自然・再生エネルギーで地域経済再生を いま日本で動いている原発は一つもありません。「稼働原発ゼロ」になって1年以上が
たちます。この間、国民も企業も省エネの努力をして、電力消費を減らしてきました。そ
の努力は「原発 13 基分」にあたります。「原発ゼロ」でも立派にやっていけるのです。 大飯原発 3、4 号機の運転差し止めを命じた福井地裁に続いて、原発事故で避難中に自
ら命を絶った女性への損害賠償を命じた福島地裁の判決は、ともに「原発と人類は共存で
きない」ことをはっきり示しました。
・自然・再生エネルギー資源の活用を、県東南部の地域経済再生と雇用の重要な柱として
位置づけ、開発・普及に努力します。過酷な原発事故は、自然エネルギーの本格的な普
及を切実に求めています。
「原発ゼロ」を決断し、太陽光や 風力、小水力などを活用し
た発電、木質バイオマスの利活用など、森・水・風・光の自然エネルギーの地域での利
用を促進します。
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・エネルギー開発の地域コーディネイター導入を図り、市町村と共同して適地の調査・把
握とエネルギーを活用した事業の企画・立案、支援策の検討を行います。
・県・市町村・県内民間企業が連携してエネルギー発電の事業化へのスキーム(枠組みを
持った計画)をつくり、エネルギー自給率の向上目標を掲げ、住宅用の利用促進への補
助や公共施設等への活用、売電型の発電事業を行います。
提言6.「憲法・平和・民主主義」を守り、清潔で公正な県政を 安倍政権は、国民多数の反対を無視して特定秘密保護法の強行採決と首相の靖国神社参
拝、従来の自民党政府すら認めなかった集団的自衛権の行使を閣議決定するなど、憲法を
破壊して「海外で戦争ができる国づくり」を推進しています。
「暮らしのアンケート」では、56%の人が集団的自衛権の行使容認を「認めない」と
答え、「認めるべき」は 17%にすぎません。安倍内閣の暴走にストップをかけ、「国際文
化観光平和県」である奈良県にふさわしく憲法と平和をまもるため、「9 条の会」など草
の根から広がる共同をすすめたたかいます。
災害時の救援のためにと、県は国に陸上自衛隊駐屯地の五條市への配置を要望し、国は
ヘリポート設置の調査費を計上しています。しかし、自衛隊は国土の治安維持やアメリカ
とともに戦争する道を進もうとする軍隊です。配備を要請された石破茂自民党幹事長(当
時)は、「自衛隊の目的は国を守ることであり、人助けやがれき処理ばかりするのではな
い」と述べ、「防衛上、五條市に設置する必要性」について質問があったことに、五條市
長は「国を守るということと、なぜ五條市かという位置づけを明確にしなければならない」
と応じています。 すでに各地で米軍も合流した合同防災演習が行われ、和歌山では、オスプレイも参加し
た防災訓練が行われました。そこでは、オスプレイのエンジン排気熱で離着陸地点の芝が
焦げ、消防が消火作業を行うトラブルが起きています。
・憲法擁護と平和を希求する県民にとって、自衛隊配備の必要はありません。防災のため
にというなら消防力を強化すべきです。
・同和対策特別事業は廃止されましたが、人権教育と名前を変えた施策が続けられていま
す。誤った同和教育・同和啓発の押しつけを改め、基本的人権を確立して、誰にも強制
されない自由な人権啓発活動をすすめます。
・県内の自治体の大半は、
「平成の大合併」による地方自治破壊の押し付けに屈せず、
「小
さくとも輝く自治体」をめざして頑張っています。とりわけ過疎化に見舞われている市
町村では、住民や職員の協力で行財政の改革を図りながら自立した運営に努めています。
過疎地だからこそ自立して住民を守るため頑張る市町村を積極的に応援する施策を講
じます。
・県と市町村の役割分担を見直し「合理化・効率化」をはかろうとする「奈良モデル」計
画には、消防・国保・水道事業などの機能低下をもたらす「広域化」、競争教育をあお
る「教育力サミット」、税金滞納の徴収強化など県民に不利益な事業が含まれています。
「奈良モデル」の行き過ぎを改め、「住民福祉の機関」としての自治体の役割を守り、
県民生活優先「住民こそ主人公」の立場を貫きます。
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3.かけがえのない日本共産党の議席を大きく伸ばしてください 2007 年の県会議員選挙で日本共産党は 3 議席から 5 議席に前進して以来、2 期連続し
て 5 議席を確保しました。あらゆる分野で「オール与党」県政と県民生活との矛盾が深刻
になるもとで唯一の野党として対決し、年度ごとに、県民の暮らしと営業を守る「予算組
み替え提案」を県に提出したたかってきました。
県議団が実施した「暮らしのアンケート」には 3200 通を超える返信があり、びっしり
と書き込まれた国政問題から県政・市町村政にかかわる要求に基づいて、知事に「緊急要
望書」を提出し、県の担当部署とも申し入れと懇談を行い、県政に意見を反映させていま
す。アンケートでは、
「政治に望むこと」で最も多かった意見が「税の無駄遣いをなくし、
借金を減らすこと」でした。議員にも「無駄のチェック」や「県民の意見を聞き議会に届
けること」などを求めています。
(1)「政務活動費」1 円からの公開など、すすむ議会の民主的改革 日本共産党県議団はこれまでに、政務活動費の 1 円からの領収書の公開や、議会出席ご
とに支払われていた日当の廃止を提案し、これを実現してきました。議会で十分な議論が
できるよう、3 人以上の会派を交渉会派とするなどの改善案を主張し、代表質問すること
ができる会派がひろがりました。本会議では発言回数の制限をなくし、少数会派にも議案
に対する賛否の理由を示す討論が保障され、議会の論戦が活発になりました。
議案の賛否の公表について、議員別に、知事提出議案、議員提出議案、委員会提出議案、
意見書・決議及び請願に対する表決の状況を、議会ホームページ及び議会図書室での閲覧
により公表することが決まるなど、議会の改革が劇的にすすめることができました。 県民の意見が反映されなくなる議員定数を削減しないように議会に働きかけているほ
か、議員報酬の 3 割削減、知事の退職金の見直しなどを要求し、県税の無駄遣いをなくす
課題に取り組んできました。
(2)対決・対案・共同で県政をリード、要求実現に全力 県議団は、県内各地で消費税増税の中止、社会保障制度改革や TPP 交渉参加反対、原
発ゼロの実現、集団的自衛権行使容認反対など、切実な要求にもとづく党派を超えた共同
をひろげたたかっています。医師会、森林組合、農業協同組合、中小企業家同友会などの
皆さんとの懇談や、各界の専門家の意見を伺い、県政の重要問題で論戦をすすめています。 県営プール跡地へのホテル誘致や、企業立地促進などの公共事業による「構造改革」を
志向した 2014 年度の県当初予算案に対し、県議団は不要・不急の大型開発事業を見直し、
経済波及効果の高い住宅リフォーム制度の復活や、県民の暮らしを応援する子どもの医療
費助成の拡充、家庭用太陽光パネル設置補助金の継続などの「予算組み替え動議」を提出
してたたかい、予算案に反対しました。 他党はどうでしょうか。自民党は、「経済の構造改革に向けた取り組み、道路網整備に
よる企業が立地しやすい環境づくりなどに知事の熱い意気込みを感じる」としてすべての
議案に賛成しました。公明党や「自民党改革」「奈良元気クラブ」の会派も、「構造改革」
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による経済効果を早く出すための「速やかな予算執行」を求めて全議案に賛成しています。 民主党は、荒井県政与党として 2011 年度予算案まで賛成してきましたが、2011 年の
知事選で対立候補を擁立して以降、2012 年、2013 年連続して医療審議会委員の人選のあ
り方や、東アジア連携事業での金の使い方などを理由に、予算に反対し野党的ポーズを示
してきました。しかし、2014 年度予算審議では、
「東アジア連携事業の取り組みに成果を
あげており、知事の意気込みが感じ取れる」として「すべての議案に賛成する」と表明し、
県政与党としての態度を再び鮮明にしました。
(3)県民のみなさんと次のような成果を得ることができました
・古都奈良の景観や、平城宮跡の地下埋蔵文化財を破壊から守るため、平城宮跡国営公
園化や奈良公園整備事業、「大宮通りプロジェクト」などで対案・提言を提起したた
かっています。若草山へのモノレール敷設計画を事実上断念させ、知事が方向転換し
たバス案についても断念させようと追い込んでいます。京奈和道・大和北道路の平城
宮跡付近を通過する地下トンネル工事に対する国への予算要望を中断させています。 ・県営プール跡地への高級ホテル誘致、食と農の魅力創造国際大学校建設など大型公共
事業などに偏重した県政を改め、県経済をけん引する中小企業の振興・活性化対策を
求めるなかで、中小企業振興条例や公契約条例が制定され、行政職員が直接企業を訪
問し要望等を聞き取る「産業実態調査」が実施されました。
・原発ゼロを目指す運動でも、原子力発電所の全停止と計画的廃炉を実現し、電力の安
定供給をめざすことを目的とした、全国初の超党派議員による「脱原発をめざす奈良
県議員連盟」が結成され、県民への啓発運動が展開されています。 ・甚大な被害が発生した県南部の災害時には、救援活動に取り組み、国の生活被災者支
援法の適用対象基準を超え、全壊が1世帯でも発生すれば被災地域として県が支援す
ることが実現しました。農業用ビニールハウスの被害や浸水家屋などにも県独自の災
害支援金が支給されることになりました。 ・お母さん方から大きな要望が出されている医療・福祉分野では、子どもの医療費助成
制度の「入院助成」を中学校卒業まで拡充させることができました。 ・周産期母子医療体制の整備・充実を継続して取りあげ、「県内で発生した患者につい
ては、県内での医療ができるように整備する」との答弁をひきだし、県立医科大学に
「総合周産期母子医療センター」、県立医大付属病院に「バースセンター」、県立奈良
病院に「地域周産期医療センター」が開設されました。
・遅れていた県のがん医療体制の推進を求めるなかでは、「がん拠点病院」の機能の高
度化や、県民へのがん啓発対策が前進しています。 議員団の力をもっと大きく 7 議席にしてください 日本共産党議員団は、どんなタブーも恐れず「オール与党」県政に対する議会のチェッ
ク機能を果たし、県民の願いを議会に届けるうえでかけがえのない存在となるようがんば
っています。どうか、建設的な提案で県政を動かす 5 人の日本共産党県会議員団を 7 人
以上の第 2 党に前進させていただくよう大きなご支援を心からお願いします。 【了】
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