11(PDF:911KB)

8. 総合考察
8. 1 業務目的
本業務は,アクセスの困難な山岳奥地に位置する荒廃地を対象に早期緑化を図るべく実施されてき
た航空緑化工の事例を収集・データベース化し,航空緑化工の事業効果の分析・検証・問題点の抽出
を行って,より効率的かつ効果的な航空緑化工手法を検討・立案することを目的とする。加えて,在
来種を用いた緑化や流域の生態系保全等,全国的な広がりをもつ生物多様性保全にも配慮し,国土保
全効果および生物多様性保全を両立する治山対策手法の確立を目指すものである。
8. 2 業務の課題
8. 2. 1 航空緑化工の課題

粗放な工法である特性を十分把握すること。基礎工を重視しすぎると、大面積又は散在的に発生
した崩壊地を緑化する場合やアクセス手段がない場合でも適用できる航空緑化工の特性を失う
危険性がある。

粗放な工法であるが故に,ウィーピングラブグラスのように早期にあらゆる地に生育できる植物
は早期緑化に有効である。

全面を急速に緑化できても,周辺植生の自然侵入がなければ衰退して最終的には植生の衰退等、
土砂流出防止機能の効果が限定的となる可能性もある。
8. 2. 2 航空緑化工の特徴
通常の法面工法は,立地区分によって工法を分類し使い分けるが,航空緑化工は施工性・経済性か
らスラリー工法のみ採用し、植生基材を厚くすることができない。
通常法面工法と航空実播工の分類
工法名
種子散布工
開発年代
1950~60
概要
主にトラック搭載型のハイ
ドロシダーと呼ばれる吹付
通
機を使用して,多量の用水
常
を加えた低粘度スラリー状
工
の材料を lcm 未満に散布す
法
る。
吹き付け厚 ~1cm
適用条件
主に土砂(土壌硬度 23mm
以下)や盛土法面に用いる
工法名
スラリー工法
開発年代
1960~70
種子,肥料,浸食防止材そ
航
の他の材料を混合した粘液
空
状の基材(スラリー材)を散
緑
布する方式である。
化
備考
工
厚さ
適用条件
~1cm
硬岩を除く斜面に用いる
客土吹付工
1960~70
主にポンプを用いて高粘度
スラリー状の材料を厚さ 1
~3cm に吹き付ける
植生基材吹付工
1970~80
ガン機を利用して植生基材
を厚さ3~10cm に吹き付
ける
1~3cm
左記の範囲に加えて,レキ
質土の盛土法面に用いる
スラリー工法
1960~70
左記方法に準じる
3~10cm
左記の範囲に加えて,岩盤
の法面に用いる
バーク堆肥やピートモスな
ど有機質分を併用
~1cm
硬岩を除く斜面に用いる
8-1
8. 3 施工実績
60
8. 3. 1 施工実績集計表
60 年代
70 年代
80 年代
90 年代
00 年代
3
11
1
5
20
19
55
55
13
142
東北管理局
総計
工事件数(件)
管理局
北海道管理局
40
30
関東管理局
11
47
46
18
13
135
中部管理局
1
16
33
41
28
119
1
1
8
4
14
10
2
12
1
15
0
9
37
56
54
156
95
185
191
118
601
近畿中国管理局
四国管理局
九州管理局
12
北海道管理局
東北管理局
関東管理局
中部管理局
近畿中国管理局
四国管理局
九州管理局
50
20
60年代
70年代
80年代
90年代
00年代
航空緑化工の施工実績
· 散布や施工後の追肥も加えて,工事件数=台帳数は 601 件である。
· 東北,関東,中部,九州では施工実績が多く,北海道,近畿中国,四国では施工実績が少ない。
· 一現場あたり面積が 1ha 以下の現場も多いことから、かならずしも大規模な現場のみに使用されて
いるのではない。
8. 3. 2 実施現場数
林班が一現場を示すものとして,今までどの程度の林班に実施されてきたのか集計した。
· 工事現場=施工林班数は 682 箇所であった。これは上記の工事件数の 601 を越す。
· 1 回の工事で複数の現場数=林班数を施工していることがわかる。
8. 3. 3 種子配合の変遷
工事記録の中で種子配合が明記されているものは少ない。記載があるものを,①外草,②在草およ
び A:草本,B:木本それぞれに分類し整理した。
· 外来種を除いた種子配合は試験施工を除き,工事では確認できない。
· 1990 年以降草本植物のみの種子配合も目立つ。
100%
· 木本植物が生育しないのは,初期に草本植物を大
2
4
80%
量に入れるため被圧され生育しない事例が多い。

航空緑化工では,早期に全面緑化し侵食を
防止する目的が大きい。
2
60%
8
40%
· 現在の技術で外来植物(特に外来草本)を抜いた施
7
4
20%
工は困難だと思われる。

73
33
26
技術的には生物多様性に配慮した航空緑
1
0%
1960-1970
1970-1980
外草在草
化工を新たに開発する必要がある。
1
10
2
6
2000-2010
総計
2
1
1980-1990
外草在草外木
1990-2000
外草在草在木
外草在草外木在木
8. 3. 4 施工実績まとめ
· 航空緑化工に関する台帳件数は,601 件,台帳 1 件あたりの施工面積は,10.37ha。
· 全国平均で,面積あたり約 224 万円/ha,台帳 1 件あたり約 1,712 万円。
· 現場数=林班数は 682 現場(複数の林班にわたって一回の工事で施工する場合が多い)。
· 東日本は追肥回数が多いが,九州は追肥回数が少ない。これは最近の航空緑化工の傾向として追肥
を行う回数が少なくなっていることも影響している。
· 試験施工を除きほとんどの種子配合で外来草本が使用されている。
8-2
· 近年は外来木本(イタチハギ,ニセアカシアなど)を使用しない傾向にある。
8-3
8. 4 調査結果
8. 4. 1 調査項目
工事基本情報
植生
①GIS
気象
標高
方位(代表・偏差)
温量指数
周辺自然度
経過年数
工法名
追肥の有無
緑化基礎工の有無
②台帳
③実地調査
基盤
勾配(平均・最大・偏差)
地質区分(森林調査簿から)
土壌区分(森林調査簿から)
導入植物区分
導入種
土性(治山台帳から)
地質区分(治山台帳から)
成否
植被率
分布型
群落名
草本群落,植物名
木本群落,植物名
木本群落高
レキ径(代表・最大)
土性(航空緑化工指針区分)
土色
土壌硬度
pH
EC
腐植量
CEC
8. 4. 2 調査結果
現地調査の結果,緑化成績が 2 以下の立地条件を分析すると下記のとおりであった。このような立
地条件(環境条件)での航空緑化工の計画には十分な検討が必要である。緑化成績の判断基準表 8. 4-1
および調査結果一覧を 8-7~8 項に示す。
① 平均 35 度より急
② 標高 2,000m 以上
③ 軟岩もしくはレキサイズの大きい斜面
④ pH4.5 以下の強酸性土壌
緑化成績と土性および標高との関係を下図に示す。
· 緑化成績と土性の関係は,レキ分~岩という土壌硬度が堅くなると緑化成績が悪くなる。
· 標高が高くなると,緑化成績が悪くなる傾向が見られる。これは気温の影響が大きいと思われる。
y = -0.3267x + 3.6436
R2 = 0.2914
土性型
4
3
2500
緑化成績
非常に良好
良好
妥当
やや困難
困難
5
4
3
2
1
土性
粘性土
砂質土
レキ質土
軟岩
硬岩
1
2
3
4
5
2
1
0
0
1
2
3
4
緑化成績
5
y = -180.99x + 1678.1
R2 = 0.2621
2000
標高(m)
5
1500
1000
500
0
0
1
2
3
4
緑化成績
緑化成績と土性の関係
緑化成績と標高の関係
8-4
5
表 8. 4-1 緑化成績判断基準成績判定基準
判定区分
模式図
主な事例
5:非常に良好
· 植物が健全に生育している
· 植被率が 80%以上で問題となる崩壊
などが生じていない
· 正常遷移で次の群落に移行している
4:良好
· 一部不良な箇所が見受けられる
· 植被率が 60%程度であるが健全に生
育している
· 基盤が一部流出しているが大きな被害
は発生していない
3:普通
· 植物が全体的に生育しているが元気が
ない
· 現在はあまり生育が良くないが今後回
復する見込みがある
2:やや困難
·
·
·
·
1:困難
· 植被率が 20%未満で回復する見込み
がない
· 植物が全体的に枯死している
· 基盤がながれ回復する見込みがない
· 大きな崩壊が全体的に生じている
8-5
植物が全体的に生育不良である
部分的に枯死している区画がある
今後衰退傾向にある
偏向遷移でクズ群落等に覆われている
8. 5 まとめ
8. 5. 1 航空緑化工について
· 大規模災害などが発生した場合や大面積又は散在的に発生した崩壊地を緊急かつ早期に緑化する
場合に必要となる工種である。
· 道路等のアクセス手段のない奥地でも適用できる。

立地条件(標高、勾配、地質など)によって航空緑化工の適用が困難な場合があるが、アク
セス手段の確保が困難な奥地でも選択できる工法である。
· 古くからの課題をそのまま引き継いている。

粗放的で,不確実な方法である。

山腹・緑化基礎工を実施すれば確実性は上がるが,ヘリの作業性が損なわれる。

早期緑化のためウィーピングラブグラスなどの外来草本が使用されてきた。
· 問題を解決するための新規の技術開発等があまり見られない。

産官学共に研究が進んでいない。

施工事例が少ないことから、技術が停滞する懸念がある。
8. 5. 2 生物多様性対策
生物多様性に配慮した航空緑化工の考え方は①早期に衰退する外来草本や不稔の外来草本を使用し,
外来草本の衰退後の周辺からの侵入植生を期待する自然侵入促進タイプ(導入植生衰退タイプ)もしく
は,②外来草本を使用せず在来種を導入する,在来植物導入タイプの 2 つの考え方が存在する。
いずれの方法も,確実性等に十分な検証がなされておらず,今後の研究開発が期待される。
8-6
① 生物多様性に配慮した航空緑化工の考え方-1
自然侵入促進タイプ
外来種などは,緑化目標ではなく,簡易的な緑化基礎工として考え,侵入植生を緑化目標とする場合。
対策名
一年生の外来草本
侵入促進をめざした利用
不稔の外来草本
新表面浸食防止材
説明
外来種の一年生植物を使用し,
早期に衰退させる。枯れた植物
が表面を守るため浸食防止工効
果は枯れた後もある。
春~秋と秋~春で植物を使い分
ける必要がある。
夏緑:イタリアンライグラス
冬緑:ナギナタガヤ
種子をつけない・つけにくい植物
を使用する
セメントやアスファルト乳剤に
変わる環境に優しい浸食防止材
を使用する。
メリット
早期緑化が可能である
早期緑化が可能で,拡散の危険も
ない
デメリット
1 年後に枯れ,耐浸食性が若干低
下する。また,種子を生産し,
下流に拡散させる危険がある。
種子の値段が通常の 10 倍以上す
る。
事例が少なく長期的な浸食性な
どは未知である。
備考
雪印系ナギナタガヤカタログ
雄性不稔トールフェスク“エムエ
スティワン(MST1)カタログ
エコバインド工法カタログ
耐浸食性が向上し,在来種のみ
の緑化にも適する。
② 生物多様性に配慮した航空緑化工の考え方-2
在来植物使用タイプ
初期緑化目標が在来種であり,それがある程度長い年月生存することを期待する方法
在来種の利用
地域産の種子を利用する方法
森林内の埋土種子を使用する方
法
説明
在来種を主体とした種子配合で
行う。
採取する母樹等を選定して,
種子
を採取して用いる方法であるが,
大量の種子を短期間に得ること
は困難であり,
事前に計画的な準
備が必要である。
森林表土内に休眠している埋土
種子を利用した緑化工法である。
採取地が地域固有の植生である
必要があり,
採取地への配慮も必
要である。
メリット
外来種の使用量を低減できる。
安定した群落を形成することが
可能である。
目標とする植物群落を復元する
のが容易である。
採取可能地があれば,事前に材料
準備が必要ない。
発芽試験を実施しても種子の発
芽率等不明瞭なものが多い。
大量の種子を入手することが困
難。
表土の一部を採取することによ
り,採取地の環境を変化させる場
合がある。
復元できる植生が限られる。ま
た,
キク科の外来種やクズなどの
つる性強害雑草が侵入する場合
が多い。
表土が重量物であることから作
業効率が悪い。
対策名
デメリット
立地環境に対する適応性に偏り
が強く、
早期緑化が困難な場合が
ある。
種子採取先が海外の場合なども
ある。
8-7
8. 6 今後の展望
8. 6. 1 データベースの拡充
今回、現地調査を行ったのは 601 件(682 箇所)のうち,30 箇所程度と全体の 5%である。この件数
を増やすことで,航空緑化工による事業効果のより精度の高い予測が可能となることから、それらの
データを全国的に集め解析し,評価する必要がある。PDCA のサイクルを実施することで,より効率
的な手法の展開につながる。
8. 6. 2 生物多様性と航空緑化工
生物多様性に配慮した航空緑化工は確立しておらず,自然侵入促進工や不稔外来種子を使うなどの
対策の妥当性を評価しながら新たな対応策を開発する必要がある。特に,自然侵入促進工の場合は長
期的な評価を行うためにもモニタリング結果とあわせ技術開発が望まれる。
8. 6. 3 マネジメント
生物多様性に配慮する法面技術を航空緑化工に適用した場合,初期緑化が完成するまでに,最低で
も 3 年はかかると思われる。そのような超遅速緑化の場合,緑化の過程で,意図しない維持管理が発
生する危険性がある。それらを防止するには継続的にモニタリングを実施し,それをだれでも容易に
使用できるよう整備する必要がある。森林のように,長期的な時間軸が必要な対象物にたいしては,
戦略性を持った事業の継続が必要不可欠である。そのために,工事情報による管理から,土地情報に
よる管理を時系列適に積み上げていくのが望ましい。これらには前述の国有林 GIS とその応用はこれ
らを容易に進めるツールである。
8. 6. 4 治山事業への応用
山腹工は,航空緑化工だけではなく,山腹基礎工や緑化基礎工などで使われている多様な技術が集
まって技術体系が確立している。今後は,これらの対策工を総合的に評価し,それらと航空緑化工の
位置づけを明確にすることで,より効率的なマネジメントにつながる。
8. 6. 5 緑化指標の活用
本業務の調査では,周辺自然植生と緑化で成立している現植生群落との関係を示した「緑化到達指
数」を新たに考案した。山腹工の評価検証を,同じ視点で全国的に実施することにより,より経済的・
効率的な手法の方向性が検討できる。
8-8
調査結果
①地形図や地質図,自然度などのデータを統合した GIS によるもの,②各森林管理署等に保管されている治山台帳,③現地および航空写真等で現在の状況を確認する実地調査の3つから行った。
集計した結果を示す。
調査結果一覧-1(工事概要および現場環境)
諸元
調査
項目
成績判定
台帳
調査
国有林 GIS 等から
台帳
工法
標高 最高
平均勾配
方位 最出
温量指数
スラリー
479
24.5
S
56.0
周辺自
然度
7.25
01 有珠山
5
31
-
あり
なし
航空緑化
土性
砂質土
02 岩木山
3
32
-
あり
なし
レキ質土
スラリー
1341
28.9
W
40.3
8.19
火山岩屑
湿性腐植型弱ポドゾル化土壌
03 湯ノ沢
5
7
外在草・外在木
なし
なし
砂質土
スラリー
631
28.9
NW
59.4
6.36
火山軽石
乾性褐色森林土(粒状・堅果状構造型)
04 葛根田
4
11
-
なし
なし
粘性土
スラリー
870
35.6
NE
53.9
7.6
安山岩
適湿性褐色森林土
05 横川
1
37
-
あり
なし
レキ質土
スラリー
912
34.4
NE
64.5
7.88
花崗岩
05 床摺
4
37
-
あり
なし
レキ質土
スラリー
844
31.4
NE
65.8
7.88
なし
06 大樽川
5
29
-
あり
なし
レキ質土
スラリー
1334
36.4
E
48.8
7.75
花崗岩
07 松木
3
26
あり
なし
軟岩
アス乳系
7.00
なし
NE
68.8
7.00
花崗岩質岩石,泥岩
07 安蘇沢
3
経過年数
導入植物区分
29
追肥の有無
緑化基礎工
あり
なし
軟岩
アス乳系
955
39.1
GIS 地質
土壌
火山砕屑物
08 万座
1
7
-
なし
なし
レキ質土
スラリー
2159
26.1
NW
24.4
8.83
集塊岩及び凝灰角礫岩,安山岩
09 横手山
1
12
-
あり
筋工
レキ質土
スラリー
2193
32.8
S
26.5
4.88
斑岩,凝灰岩
10 米子山
2
17
-
なし
なし
レキ質土
スラリー
1685
31.1
W
40.3
9.13
安山岩
適湿性褐色森林土
11 ムクリ沢
4
2
-
なし
筋工
砂質土
スラリー
1353
34.0
E,SE
57.9
6.67
花崗岩
弱湿性褐色森林土
12 陣ヶ沢
5
38
-
なし
なし
レキ質土
スラリー
13 恵那山 56 林班外
4
18
-
なし
柵工
砂質土
スラリー
E
73.8
13 恵那山 58 林班外
4
11
-
なし
柵工
砂質土
スラリー
13 恵那山 63 林班外
4
10
外在草
なし
柵工
砂質土
スラリー
花崗岩
958
38.1
7
花崗岩
適湿性褐色森林土(偏乾亜型)
花崗岩
14 黒滝
1
6
-
なし
なし
軟岩
アス乳系
870
36.4
W
80
6.89
花崗岩
15 末美谷
5
2
外在草・在木
なし
筋工
砂質土
スラリー
371
32.2
SW
111.9
4.82
古細粒砂
乾性褐色森林土(細粒状構造型)
16 由布健全
4
4
-
なし
なし
レキ質土
スラリー
1528
41.3
NE
63.5
6.88
火山灰
適湿性褐色森林土(偏乾亜型)
16 由布岳崩壊地
2
4
-
なし
なし
レキ質土
スラリー
6.88
火山灰
17 普賢岳
5
14
外在草・外在木
あり
なし
砂質土
スラリー
819
27.8
N
104.135
6.77
安山岩
適湿性褐色森林土(偏乾亜型)
18 白水
3
24
-
なし
なし
砂質土
スラリー
321
39.5
NW
140.2
6.67
中頁岩
弱乾性褐色森林土
SE
115.7
7.13
花崗岩
適湿性褐色森林土
NE
114.1
古 3 砂岩
適湿性褐色森林土
19 泊野上流
5
10
2
4
21 谷之城
5
32
桂
2
13
岩幕山
5
11
小吹山
5
11
蔵王
3
14
御岳
5
1
丹沢
4
8
20 鰐頭
-
あり
なし
砂質土
スラリー
-
なし
なし
砂質土
スラリー
外在草・在木
あり
なし
砂質土
スラリー
成績判定が 2 以下(次ページ判定基準参照)の現場の環境には次のいずれかがあてはまる。
· 標高 2,000m以下 温量指数が 45 以下,特に 30 以下
· 平均勾配が 35 度以上
· 軟岩以上,代表レキ径 300mm 以上
· 基岩 pH が 4.5 未満
成績判定と相関が高いものは以下である。
611
32.2
808
33.6



植被率,植生群落型,植生分布型
土性,レキ径,基岩層の土壌硬度
再生土層の土色・および CEC
8-9
調査結果一覧-2(植生調査結果および土壌調査結果)
諸元
成績判定
植被率
01 有珠山
5
02 岩木山
群落型
分布型
代表レキ径
最大レキ径
100
先駆
全面緑化
2~20mm
75~300mm
3
70
先駆
ランダム
03 湯ノ沢
5
100
先駆
全面緑化
04 葛根田
4
90
導入
全面緑化
05 横川
1
20
衰退
全面裸地
05 床摺
4
90
移行
ランダム
06 大樽川
5
100
先駆
全面緑化
07 松木
3
70
先駆
ランダム
07 安蘇沢
3
70
先駆
ランダム
08 万座
1
20
衰退
全面裸地
09 横手山
1
5
衰退
10 米子山
2
40
11 ムクリ沢
4
12 陣ヶ沢
項目
土性・再生
層
植壌土
土性・基岩
層
現地調査
土色・再生 土色・基岩
層
層
土壌硬度・
基岩層
pH・再生
層
5.6~6.8
pH・基岩
層の土壌
6.9~8.0
EC・再生
層
0.1~0.2
EC・基岩
層の土壌
~0.1
CEC・再生
層
6~20
-
CEC・基岩
層
~6
-
2~20mm
20~75mm
壌土
砂土
黒褐色
明褐色
18~23
4.5~5.5
~4.4
0.2~0.5
0.1~0.2
20~
20~
300mm~
300mm~
-
砂土
-
明褐色
レキ・岩
-
5.6~6.8
-
~0.1
-
~6
75~300mm
300mm~
壌土
-
黒
-
レキ・岩
5.6~6.8
-
0.2~0.5
-
6~20
-
2~20mm
20~75mm
砂土
砂土
褐色
明褐色
レキ・岩
4.5~5.5
5.6~6.8
~0.1
~0.1
~6
~6
全面裸地
20~75mm
75~300mm
-
砂土
-
-
18~23
-
4.5~5.5
-
~0.1
-
6~20
先駆
ランダム
20~75mm
75~300mm
-
砂土
-
明褐色
~18
-
~4.5
-
~0.1
-
6~20
100
導入
全面緑化
砂土
砂土
明褐色
明褐色
5
100
移行
全面緑化
砂土
砂壌土
暗褐色
明褐色
~18
5.6~6.8
4.5~5.5
~0.1
~0.1
6~20
6~20
13 恵那山 56 林班外
4
100
先駆
全面緑化
13 恵那山 58 林班外
4
100
先駆
全面緑化
13 恵那山 63 林班外
4
100
先駆
全面緑化
砂土
砂土
明褐色
明褐色
14 黒滝
1
10
衰退
全面裸地
75~300mm
300mm~
明褐色
レキ・岩
-
6.9~8.0
-
~0.1
-
~6
15 末美谷
5
100
先駆
全面緑化
2~20mm
20~75mm
壌土
砂土
黒褐色
明褐色
18~23
4.5~5.5
4.5~5.5
0.1~0.2
~0.1
20~
~6
16 由布健全
4
90
導入
全面緑化
~2mm
20~75mm
壌土
砂土
黒褐色
明褐色
~18
4.5~5.5
-
~0.1
-
-
6~20
-
~0.1
-
~6
6~20
~6
~6
6~20
2
16 由布岳崩壊地
50
導入
ランダム
17 普賢岳
5
100
導入
全面緑化
18 白水
3
80
先駆
ランダム
19 泊野上流
5
90
導入
全面緑化
20 鰐頭
2
50
導入
ランダム
21 谷之城
5
100
移行
全面緑化
桂
2
20
岩幕山
5
100
小吹山
5
100
蔵王
3
50
御岳
5
90
丹沢
4
70
成績判定区分
5:非常に良好
4:良好
3:普通
2:やや困難
1:困難
·
·
·
·
·
·
·
·
説明
植物が健全に生育している
正常遷移で次の群落に移行している
一部不良な箇所が見受けられる
植物が生育している
植物が全体的に生育不良である
部分的に枯死している区画がある
植物が全体的に枯死している
基盤がながれ回復する見込みがない
2~20mm
2~20mm
20~75mm
20~75mm
~2mm
75~300mm
2~20mm
75~300mm
群落区分
1:衰退
2:導入
3:先駆
4:移行
5:安定
砂土
壌土
砂土
-
灰色
レキ・岩
-
4.6~6.8
砂土
暗褐色
明褐色
~18
5.6~6.8
5.6~6.8
0.2~0.5
~0.1
砂土
暗褐色
明褐色
18~23
6.9~8.0
5.6~6.8
~0.1
~0.1
説明
植生が衰退傾向もしくは衰退している群落
導入植生が主体の群落
導入植生から侵入種特に先駆的なものが主体の
群落
先駆的な植生から,2 次林を形成する森林(高地で
は草地の場合もある)が主体の群落
温量区分で極相群落といわれる群落
分布型区分
4:全面緑化
3:ランダム
2:分散
1:全面裸地
説明
全面的に植生があり,植被率が 80%以上の場合
植被率が 20~80%あり植生や裸地の発生位置
が,数カ所に集中的に存在する場合
植被率が 20~80%あり植生や裸地の発生位置
が,全面的に存在する場合
全面的に裸地であり植被率が 20%以下の場合
8-10
参考文献
(社)日本治山治水協会(2009)治山技術基準解説 総則・山地治山編,p.317.
岩川幹夫(1979)航空実播による山地緑化工農林水産技術研究ジャーナル,2 巻 8 号,p. 48-52.
3 堀江 保夫(他)(1987)航空緑化工における簡易緑化基礎工としての土壌固結剤の効果について,日本
緑化工学会 12(3),p.22-26.
4堀江 保夫(他)(1988)航空緑化工におけるアクリルポリマーの土壌固結効果と植被形成,日本緑化工
学会誌 13(3),p.33-36.
5 (社)農林水産航空協会(1977)航空緑化工技術の問題点 航空緑化工シンポジューム資料,99pp.
6 長崎県山地災害対策室・島原振興局農林部山地災害復興課(2000)雲仙・普賢岳みどりへの一歩航空緑化工追跡調査の記録-,292pp.
i
2
http://www.maff.go.jp/j/syouan/syokubo/gaicyu/g_kouku_zigyo/index.html
九州森林管理局・長崎県(2000)雲仙・普賢岳緑への復元 10 年の軌跡,p.200.
9 (社)日本道路協会(2009)道路土工 切土工・斜面安定工指針,p.214-215.
10 京都大学造園学研究室(1958)切取盛土面の急速緑化安定工法の研究,住宅公団
11 阿部 和時, 小川 泰浩, 黒川 潮, 吉永 秀一郎, 岡本 透, 松山 康治, 趙 炳薫 (2003)三宅島火山降
灰堆積地における緑化試験,日本緑化工学会誌 29(1),208-211
12 小橋 澄治,吉田 博宣(1980)林道切取のり面の安定性と自然植生の回復について-2-のり面勾配と
植生状況,京都大学農学部演習林報告,p103-116.
13 (社)日本治山治水協会・日本林道協会(2010)治山林道必携 設計積算編,619.
14 (社)日本治山治水協会(2009)治山技術基準解説 総則・山地治山編,322.
15 (社)日本道路協会(2009)道路土工 切土工・斜面安定工指針,205-206.
16山田 守(2008)法面の植生回復事例における初期緑化目標が完成するまでの期間とその群落特性
植生回復緑化における検査の考え方(<特集>のり面自然回復緑化の現場をとりまく課題と今後の展望四省庁による「緑化植物取扱方針」の推進にあたって-)日本緑化工学会誌 33(3),463-465.
17 阿部 和時(他)(2003)三宅島火山降灰堆積地における緑化試験,29(1),208-211.
7
8