1.業務概要 1.1 業務目的 地球温暖化は加速的に進行しており、温暖化対策に向けた一層の取組強化が求められて いる。そこで、水産庁では、藻場造成等の「豊かな海の森づくり」の推進と共に、藻場の CO2 吸収効果に着目した調査等にも取り組んでいるところである。しかし、藻場が有する種々 の機能のうち、海藻の基礎生産(光合成による炭素の固定)を起点としたその生態系が有 する CO2 固定効果については、まだ十分な知見が得られておらず、この機能は適正な把握が 必要な状況にある。 本事業では、水産分野における CO2 排出削減と「豊かな海の森づくり」推進の観点から、 海域の基礎生産力の向上による藻場生態系の CO2 固定効果等の評価を行うことを目的とす る。 1.2 業務内容 1.2.1 海域の基礎生産力の向上による CO2 固定効果等の評価手法の開発 サガラメ(アラメの一種)成体を対象に、藻体 1 個体が年間に固定する炭素量をはじめ とした CO2 固定効果について、現地調査(モデルサイト)および室内実験を行い、その CO2 固 定効果を定量的に把握・評価するためのモデルを開発するともに、その簡易算定手法につ いて検討する。 1.2.2 ガイドラインの作成 サガラメ成体の CO2 固定効果評価のガイドラインを作成する。 1.3 業務の進め方 有識者による委員会を組織して検討を進める。委員構成を表-1.1 に示す。 表-1.1 委員構成(敬称略,五十音順) 区 分 氏 名 委員長 能登谷正浩 東京海洋大学 名誉教授 (岡部株式会社 能登谷応用藻類学研究所 所長) 大塚 耕司 大阪府立大学大学院工学研究科 教授 岸 北海道大学大学院水産科学研究院 教授 委 員 道郎 所属・役職 坂西 芳彦 日本区水産研究所 海区水産業研究部海区産業研究室 室長 樽谷 賢治 瀬戸内海区水産研究所 生産環境部環境動態研究室 室長 山本 民次 広島大学 大学院生物圏科学研究科 教授 吉田 吾郎 瀬戸内海区水産研究所 生産環境部 藻場・干潟環境研究室 主任研究員 1 1.4 業務フロー 本業務は 3 ヵ年に亘る業務の 3 年目に当たる。業務全体のフローを図-1.1 に示す。 (1)海域の基礎生産力の向上によるCO2 固定効果等の評価 平成20年度 対象海藻の選定 モデルサイトの選定 モデルサイトでの環境情報 の取得 サガラメ純群落内のサガラメの 生長・現存量等に関する既往 知見 (2)現地調査(3月) ・流況調査結果 (6)現地調査(1月) (2)サガラメ生長モデルの改良 ①季節変化・年齢による生長過程の モデル化と再現性の検証 ※再現性の検証にはサガラメ純群 落内のサガラメの生長・現存量 等に関する既往知見を活用 平成21年度 ②混成藻場の影響等のモデル化 (7)室内実験(難分解成分) (1)ガイドラインの構成 概要の検討 (1)サガラメ生長モデルの構築 (3)室内予備実験 (難分解成分) (5)室内実験(難分解成分) ガイドラインの作成 藻場生態系によるCO2固定効果評価 モデルの構築 (1)現地調査(11月) (4)現地調査(6月) (2)豊かな海の森づくりによる CO2 固定等推進ガイドライン 作成に向けた検討 (3)流動モデルの構築 (2)ガイドラインの目次 (案)の検討 ※執筆可能な部分につい ては、作成開始 モデルサイトでの再現性の検証及び CO2固定効果の評価 (1)流動モデルの再現性の 検証 (2)藻場生態系によるCO2固 定効果モデルの暫定的な 再現性の検証・評価 平成22年度 方針等の見直し (8)現地調査(9,10,12月) (3)サガラメ成体のCO2固定効果 評価モデルの再現性の検証・ 評価 (9)室内実験(光合成) サガラメ成体のCO2固定効果の簡易 算定手法の検討 モデルサイトでのサガラメ成体の CO2固定効果の評価を踏まえ、簡 易算定手法を検討 (3)ガイドラインの作成 図-1.1 海域の基礎生産力の向上による CO2 固定効果関係の業務フロー 2
© Copyright 2025 ExpyDoc