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2.調査内容・方法
2.1 CO2 排出削減・固定に資する基質材の開発
2.1.1 品質確保に関する実証調査
(1)鉄鋼スラグ炭酸固化体試験用供試体の回収と断面構造観察
鉄鋼スラグ炭酸固化体について、鉄鋼スラグ炭酸固化体中に炭酸カルシウム(CaCO3)と
して固定化された二酸化炭素が、海中での暴露試験後も変化なく固定されていることを確
認するために、EPMA(電子線マイクロアナライザ)等による断面観察を行う。
当該観察は、断面上の元素の分布状態を知り、暴露期間の異なる試料の画像を観察、比
較することにより、CO2 固定が暴露後に変化しているか否かを確認するものである。
そこで、海水中に暴露していない供試体、海水暴露した供試体(原則として一昨年度およ
び昨年度に設置済みのものを回収し分析に供する)を用いる。
図 2.1 には、炭酸固化体の試料の切断面を微視的に観察した結果の例を示す。
貫通気孔(空隙)
炭酸化反応層(炭酸カルシウム)
図 2.1 炭酸固化体の微細構造
(2)実験礁及びコスト縮減技術実験礁の構造変化確認
コスト縮減技術の実証のため沈設した藻礁の構造上の変化(埋没、転倒、崩壊状況の有
無)を海底で観察する。また、実験礁を回収し外観等を詳細に観察する。
2.1.2 材料強度に関する検討
貝殻混じりセメント固化体が藻礁として有すべき材料強度については、18N/mm2 を確保で
きることが判明している。また、そのための粗骨材貝殻混入率としては、ある配合条件の
下では、ホタテで 60%、カキで 40%であれば、所定の強度を確保可能である。
そこで、所定の材料強度を確保するための、配合の決め方について、既往知見等を参考
に検討する。また、貝殻の素材の一つであるホタテ貝殻については、ボイルしてあるので
有機物の付着はないが、カキ殻に関しては有機物付着の可能性があり、状態等によっては
材料強度に影響する場合も考えられる。この検討では、付着有機物が強度に与える影響に
関する知見等を踏まえ、骨材として用いる貝殻の選定方法についても検討する。
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2.1.3 コスト縮減技術の開発
(1)鉄鋼スラグ炭酸固化体パネルの劣化状況把握
夏季調査時、鉄鋼スラグ炭酸固化体プレ-トの構造上の劣化状況(接着面など)をダイ
バ-により観察し評価する。
(2)コスト縮減技術の評価
コスト縮減技術として設定した 4 つの技術のうち、平成 21 年度の結果を踏まえ、実用化
が期待できるものを明らかにする。
このうち、「コンクリートからスラグ(水和固化体)への代替技術」については、当該基
質材を用いることでの CO2 排出削減量に基づく便益額を算定し、工事費に対して、どの程度
のコスト縮減となるかを、平成 21 年度に青森県をモデルサイトに試算した工事費算定結果
を用いて、評価する。ただし、算定にあたっては、確定した CO2 の原単位はないことから、
排出権取引価格等に示される幾つかの価格を参考として算定する。
また、参考として、鉄鋼スラグ炭酸固化体や貝殻混じりセメント固化体についても、同
様の視点での評価を行う。
2.2 CO2 排出削減・固定に資する基質材の効果等の検証
2.2.1 実験礁の増殖効果の評価
夏季にモニタリング調査を実施し、実験礁の増殖効果を評価する。移植海藻(サガラメ・
カジメ)については被度及び株数の変化率を指標とした増殖効果の確認を行う。また、自
然発生した海藻や動物の概略を昨年度と同様の調査(海藻や付着動物は被度、藻食性巻貝
などは CR 法)で把握する。調査概要を表 2.1 に示す。なお、移植したサガラメ・カジメの
基質材上への配置は、図 2.2 のとおり対角上に配置していることから、面毎に調査(全長
や茎長、茎径については基質材毎に計測)を行う。
また、コスト縮減技術の開発で設置した各構造物には、ホンダワラ類を中心とした海藻
群落が形成されたことから、夏季においてもその状況を観察・写真撮影し、ガイドライン
上での増殖効果事例(鉄鋼スラグ水和固化体、鉄鋼スラグ炭酸固化体)として活用する。
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表 2.1 増殖効果評価用の実験礁に対する調査概要
(1)海藻(移植海藻)の被度分布
1)調査面
4 面/素材 × 4 素材
2)調査時期
9月
計 16 面
(2)移植海藻の株数/面、全長の測定、食痕の程度
1)調査面
4 面/素材 × 4 素材
計 16 面
2)調査時期
9月
3)調査方法の
補足
・全長の測定
各基質材毎で任意に選定した 10 本程度の移植海藻の全長を測定
・食痕の程度
各面ごとに、食痕の程度(3 段階評価:僅かな食痕、食痕あり、著しい食痕)を把握
(3)出現動物(付着動物・底生生物)の概略
1)調査面
4 面/素材 × 4 素材
2)調査時期
9月
3)調査方法の
補足
・藻食性巻貝など底生生物に対しては、個体数を CR 法で把握
(4)写真撮影
上記の状況を適宜、写真撮影する
普通コンクリート
約1.5m
計 16 面
貝殻混じり
セメント固化体
基質面1
サガラメ
基質面3
カジメ
基質面1
サガラメ
基質面3
カジメ
基質面2
カジメ
基質面4
サガラメ
基質面2
カジメ
基質面4
サガラメ
鉄鋼スラグ
水和固化体
鉄鋼スラグ
炭酸固化体
基質面1
サガラメ
基質面3
カジメ
基質面1
サガラメ
基質面3
カジメ
基質面2
カジメ
基質面4
サガラメ
基質面2
カジメ
基質面4
サガラメ
出典:電子国土ポータル
http://portal.cyberjapan.jp/index.html
鈴島
種苗の様子
(設置直後)
設置水深:約6m
実験礁の様子
(設置直後)
図 2.2 各基質材上へのサガラメ・カジメの配置
2.2.2 設置構造物の撤去・処分
モニタリング終了後には、沈設した実験礁等の回収を行ない、回収物は適切に処分する。
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2.2.3 モデルサイトでの現地調査工程等
モデルサイトでの現地調査や設置構造物の撤去等に関する実施工程を表 2.3 に示す。
表 2.3 モデルサイトでの現地調査工程等
対象構造物
生物調査及び構造物安定状
況観察
9 月 15 日
9 月 16 日
○
CO2 排出削減・固定に資する基質材
試験用の鉄鋼スラグ炭酸固
コスト縮減技術の開発にかかる実験
礁
化体の供試体の回収
暴露1年後の検鏡用試料
基質材及び実験礁の撤去
9 月 14 日
○
○
CO2 排出削減・固定に資する基質材
○
コスト縮減技術の開発にかかる実験
礁
○
2.3 ガイドラインの作成
これまでの成果等を踏まえ、ガイドラインを作成する。
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