赤ちゃんと絵本(PDF形式:107KB)

赤ちゃんと絵本
お子さんとの毎日を楽しんでおられますか?
赤ちゃんは、生後2、3か月頃から、楽しいことがあ
ると笑い声をたてます。また一番身近な人の顔がわか
り始め、お母さんの顔をみるとうれしそうにします。
この時期に大人が十分に赤ちゃんに向き合うこと
により、赤ちゃんの心の中に安心感、幸福感が育まれ、
大人との信頼関係を築いていくといわれています。我
が子が可愛い反面、初めての育児に不安がいっぱいで、
子育てを楽しむゆとりを持てない方も多数いらっし
ゃるかと思います。でも赤ちゃんの成育過程で、とて
も大事なこの時期、ゆったりとあたたかな笑顔で絵本
を読んであげてください。幼児の頃から読書に親しむ
ことは、子どもの成長にとって大いなる栄養素になる
ともいわれています。お母さんやお父さんに抱っこさ
れて、絵本を読んでもらう赤ちゃんは、きっと両親の
自分に対する愛情を肌で感じ取ってくれるでしょう。
育児は母親でなければ無理、と考えているお父さん
も絵本を読んであげてください。絵本を読んであげる
ことに、むずかしい技術や能力はいりません。普通に
声を出してゆっくりと読むだけでいいのです。読み聞
かせは、一番簡単な子どもとのふれあいの手段かもし
れません。
はじめての絵本
本を通してお子さんと楽しい時間を共有してくだ
さい。赤ちゃんは、スキンシップや読み手のリズミカ
ルな声、平和で安全なひとときを楽しみます。赤ちゃ
んと親との心のふれあいを、絵本がなかだちしてくれ
ます。最初は短くても構わないので、ゆったりした時
間を赤ちゃんのために作ってあげてください。
●いつごろから?
赤ちゃんにもたいへん個性があり個人差がありま
す。お子さんの様子をみながらはじめていくのがよい
でしょう。はじめは興味がなさそうな時でも、余裕が
あればかたわらで読んであげてください。
●どんな本がいいの?
音やことばの繰り返しが出てくる絵本、リズム感の
ある絵本がよいでしょう。赤ちゃんは音やリズムを楽
しみます。明るくていねいに描かれている絵本、単純
ではっきりした色の絵本を選びましょう。
赤ちゃんが周りの世界を認識するようになると、わ
んわんやまんま、スプーンなど身近にあるものや、見
たことのある動物が出てくる絵本もいいでしょう。
もう少しおおきくなったら
赤ちゃんが絵本に慣れて興味を示すようになった
ら、親子で読み聞かせのゆったりした時間を持ちまし
ょう。
●ゆったりした時間って、いつ?
たとえば、おやすみ前のひと時。お父さんのおひざ
の上。テレビを消して、落ち着いた雰囲気にしてくだ
さい。本は子どもを、赤ちゃんを待っています。
●どんな風に読む?
できるだけゆっくり、すなおな声で読んでください。
子どもにとって、読み手の読むスピードが遅すぎるこ
とはめったにありません。読み手の声の調子が大切で
す。声に激しい感情を込めると、子どもはそちらに気
がいってしまうかもしれません。
一緒に本を持ち、お子さんにページをめくってもら
うのもいいでしょう。
●心をこめて楽しみながら読みましょう
気持ちの上で、読み手が子どもに向かい合っている
ことが感じられるように読んでください。楽しんで読
んでいることは、子どもや赤ちゃんにも伝わります。
●おにいちゃんもおねえちゃんも一緒に
赤ちゃんに読んであげていると、おにいちゃんたち
がすり寄ってきてのぞきこみます。聞きたいと言って
います。聞き手である子どもの年齢差が大きくても、
全員同時に読みきかせられるのが絵本の長所です。
みんな一緒に楽しんでください。
参考文献
『えほんのせかいこどものせかい』
(松岡享子著 日本エディタースクール出版部 1987)
『絵本と子どものこころ』
(佐々木宏子著 有斐閣 1983)