解 答 解 説

A
14年 2次ステップアップ全国模試
解
答
解
説
1.中小企業の診断及び助言に関する
実務の事例Ⅰ
(組織・人事)
LEC 中小企業診断士
2次ステップアップ全国模試
事例Ⅰ(組織・人事)
複写・頒布を禁じます
模範解答
第1問(配点 20 点)
フ
ラ
ン
チ
ャ
イ
ザ
ー
は
直
営
展
開
に
比
べ
、
経
営
資
源
の
量
で
劣
っ
て
い
て
も
、
加
盟
店
の
増
加
に
よ
り
迅
速
に
店
舗
網
を
拡
大
で
き
る
特
性
が
あ
る
。
強
み
は
、
①
事
業
推
進
力
の
高
い
社
長
の
強
い
リ
ー
ダ
ー
シ
ッ
プ
、
②
加
盟
店
の
味
や
サ
ー
ビ
ス
水
準
を
維
持
で
き
る
S
V
の
高
い
マ
ネ
ジ
メ
ン
ト
能
力
で
あ
る
。
第2問(配点 20 点)
A
社
の
組
織
体
制
が
国
内
の
管
理
業
務
に
重
き
を
置
き
、
E
国
で
は
F
社
依
存
の
運
営
体
制
で
あ
っ
た
為
で
あ
る
。
A
社
の
主
体
的
指
導
が
な
く
、
F
社
は
A
社
の
味
や
サ
ー
ビ
ス
水
準
を
維
持
出
来
な
か
っ
た
。
第3問(配点 20 点)
原
因
は
、
①
S
V
が
事
細
か
な
管
理
が
出
来
る
店
舗
数
以
上
の
加
盟
店
を
担
当
す
る
よ
う
に
な
り
、
加
盟
店
に
対
す
る
十
分
な
マ
ネ
ジ
メ
ン
ト
を
行
い
に
く
く
な
っ
た
、
②
加
盟
店
の
従
業
員
が
受
動
的
な
姿
勢
で
あ
る
た
め
、
競
合
の
激
化
に
対
し
て
自
発
的
に
状
況
を
打
開
す
る
意
識
や
能
力
に
乏
し
い
か
ら
で
あ
る
。
1
LEC 中小企業診断士
2次ステップアップ全国模試
事例Ⅰ(組織・人事)
複写・頒布を禁じます
第4問(配点 20 点)
A
社
主
導
の
管
理
体
制
か
ら
加
盟
店
に
権
限
委
譲
を
図
る
こ
と
で
、
能
動
的
な
運
営
を
可
能
に
す
る
。
具
体
的
に
は
、
①
加
盟
店
主
導
の
原
材
料
仕
入
に
基
づ
く
仕
入
精
度
の
向
上
に
よ
り
廃
棄
コ
ス
ト
の
削
減
、
②
サ
ー
ビ
ス
内
容
を
各
加
盟
店
に
工
夫
す
る
余
地
を
与
え
、
従
業
員
の
意
欲
向
上
と
売
上
増
加
を
図
る
。
第5問(配点 20 点)
多
店
舗
展
開
成
功
の
た
め
に
、
①
海
外
F
C
事
業
室
の
新
設
に
よ
り
現
地
対
応
力
の
強
化
を
図
る
、
②
国
内
管
理
の
さ
ら
な
る
効
率
化
を
図
り
、
海
外
専
任
S
V
の
登
用
に
よ
り
G
社
へ
の
主
体
的
指
導
を
行
う
こ
と
で
味
や
サ
ー
ビ
ス
を
維
持
す
る
こ
と
を
助
言
す
る。
2
LEC 中小企業診断士
2次ステップアップ全国模試
事例Ⅰ(組織・人事)
複写・頒布を禁じます
LEC 2次試験対策 事例整理シート
企業概要
事例別の特徴
①国内外展開ラーメンチェーン
②創業 :1990 年
③売上高:20 億円
④従業員:約 50 名(非正規社員含む)
⑤資本金:4,000 万円
⑥店舗:国内 40 店舗(直営店3店、FC37 店)、
海外1店舗(直営店)
①事業構造:直営店、FCビジネス
②組織構造:店舗運営部、FC事業室、総務部、経理部
③FC契約の内容
・ロイヤリティ=(売上高-売上原価)×料率
・加盟店はA社の店名を使用する
・原材料はA社側から支給
S(強み)
O(機会)
①社長が作る魚介だしベースの塩ラーメンの美味しさ
②事業推進力の高い社長のリーダーシップ
③低めな料率設定によりFC加盟店数が順調に拡大
④SVの高いマネジメント能力(加盟店の味やサービス水準
を維持)※過去の記述
⑤社長が作るラーメンはE国の人々にも好反応
①E国の現地企業G社からのFCビジネス引き合いの声
W(弱み・問題点)
T(脅威)
①担当店舗数の増加により、SVが訪店できない店舗が増
加
②大 幅 な売 上 減 少 と廃 棄 コスト増 を招 いている加 盟 店 の
存在(味やサービス水準の低下)
③売上の勢いはほぼ頭打ち(加盟店からのロイヤリティ収
入の伸び悩み)
④F社とのFCビジネスは2年間で撤退※過去の記述
①ラーメンブームにより多数の競合店舗の存在
②商習慣や生活習慣の異なる海外(E国)
W(弱み・問題点)の真因遡及分析
①SVが事細かな管理が出来る店舗数以上の加盟店を担当するようになった。(国内)
→ 加盟店に対する十分なマネジメントを行いにくくなった。
②原材料はA社側から支給されるため、売上低下にも拘らず、以前と同様の原材料が支給されている。(国内)
→ 競合の激化に対して、自発的に売上低下などの状況を打開する意識や能力に乏しい。
→ 加盟店の従業員が受動的な姿勢である。
③A社の組織体制が国内の管理業務に重きを置く一方、E国ではF社依存の運営体制であった。(海外)
→ A社の主体的指導がなく、F社はA社の味やサービス水準を維持できなかった。
3
LEC 中小企業診断士
2次ステップアップ全国模試
事例Ⅰ(組織・人事)
複写・頒布を禁じます
2次ステップアップ模試 (事例Ⅰ)
経営理念
「美味しいラーメンをもっと多くの人に食べてもらいたい」
目指すべき企業・事業の方向性
解決しなければならない経営課題
①事業の方向性
海 外 FCビジネスの強 化 と国 内 FCビジネスの活
性化により、さらなる成長戦略を描く。
②組織・人事戦略の方向性
国内ではA社 と加盟 店の位置 付 けを見直 し、SV
の役割を再構築するとともに、海外では加盟店へ
の管理体制の強化を並立させていく。
①国 内 加 盟 店 からのロイヤリティ収 入 増 加 に向 け
た管理体制の見直し
②海外でのFCビジネスによる多店舗展開の実現
具体的解決策
①国内加盟店からのロイヤリティ収入増加に向けた管理体制の見直し
→A社主導の管理体制から加盟店に権限移譲を図ることで、加盟店の能動的な運営を可能にする。
・加盟店主導の原材料仕入に基づく仕入精度の向上により廃棄コストの削減を図る。
・サービス内容を各加盟店に工夫する余地を与え、従業員の意欲と売上増加を図る。
②海外でのFCビジネスによる多店舗展開の実現
→海外FC事業室の新設により現場対応力の強化を図る。
→国内管理体制のさらなる効率化を図るとともに海外専任のSVを登用する
→G社に対して主体的な管理を行い、味やサービスの維持を図る。
事例に必要な知識
総合コメント
①フランチャイズ(FC)
②経済性概念(ネットワークの経済)
③権限移譲
④地域別組織
⑤収益構造(売上総利益)
⑥経営資源の再配分
本事例は、飲食チェーンを題材に、拡大成 長を目 指す企 業に
おける組織体制の見直しと再構築をテーマとしている。設問構造
はかなり掴みやすいと思われるが、第2問・第3問の真因分析の
精 度 が、改 善 策 の解 答 の精 度 にも影 響 したと思 われる。「一 貫
性」を重視した設問構造となっている。
ポイントを押 さえた提 案 を行うためには、同 じFC展開 でも、国
内 と海 外 のこれまでの経 緯 の違 いを、明 確 に押 さえる必 要 があ
る。得点が伸び悩んだ受講生は、「違い」に着目して、復習をする
と良い。
4
LEC 中小企業診断士
2次ステップアップ全国模試
事例Ⅰ(組織・人事)
複写・頒布を禁じます
解説
1.本事例の特徴
本事例は、さらなる拡大成長を目指す企業における組織体制の見直しと再
構築を図る事例である。
事例Ⅰは他の事例に比べて、事例企業の問題点が与件内に明示されていな
いことが多い。本事例は与件の「明示性」はそれほど高くはないと思われる。
設問構造も環境分析の「現状把握」と、組織・人事戦略としての「課題解
決」からなり、非常にシンプルな作りになっている。
近年の本試験では「外部資源の活用」が頻出論点であり、外部資源とA社
との関係性によって「M&A(平成 21 年・平成 22 年)」「戦略的提携(平成
23 年・平成 24 年)」「外注企業(平成 25 年)」などの論点が登場している。本
事例は「フランチャイズ展開(FC展開)」によって外部資源を活用している。
過去問と合わせて、この視点で復習をしておいて欲しい。
A社は創業後 20 年を超え、これまでの順調な国内成長に陰りが見え始める
「転換期」を迎えている。この原因は「拡大路線」を図る社長のビジネスモ
デルに内部の組織体制が追いついていないからであり、その改善策を提言す
ることが解答のひとつの柱となる。
また、与件の読み取りでは「国内」と「海外」の状況の違いについて正確
な把握が出来なかった場合、「真因遡及」や「改善策」の内容が、「国内」と
「海外」で混在したかもしれない。当然なことではあるが、与件の正確な読
み取りが、優れた解答(診断報告書)作成には欠かせない。与件内容を整理
しきれなかった受講生は、まずは正確に「読む」ことを意識して、過去問を
何度も読み返すことで読解力の向上に努めてほしい。
本事例ではA社の向かう方向性も含めて、「与件」や「設問」に明示されて
いるため、大きく解答の方向性を外してしまったケースは少ないと思われる。
ただし、復習の際は、設問個別ごとに振りかえる前に、設問全体を通して
「一貫性(強みを活用する・問題点を改善する)」の意識が、解答中にどれだ
けあったのかを意識して欲しい。本事例では、とくに「一貫性」の重要性を
意識して頂くための設問構造となっている。得点に一喜一憂することなく、
各自しっかりと思考プロセスを中心に復習を行って欲しい。
5
LEC 中小企業診断士
2次ステップアップ全国模試
事例Ⅰ(組織・人事)
複写・頒布を禁じます
【テーマ】 さらなる拡大成長を目指す企業における組織体制の見直しと再構築
第1問(強みの抽出)
A社が過去に成功してきた事業展開の中の強みについて抽出す
環
る。
境
分
析
第2問(問題点の抽出)
第3問(問題点の抽出)
海外FC店舗での撤退理由に
国内FC店舗の伸び悩みの原
ついて分析する。
因について分析する。
→A社の強みを活かしていな
→戦略に組織体制が追いつい
い
ていない
方向性
海外FCビジネスの強化と、国内FCビジネスの活性化により、さら
なる成長戦略を描く。
第4問(組織運営)
機
ロイヤルテ ィ収入 増加に 向けた国内 加盟店 の管理 体制につい
能
て提案する。
別
→A主導の管理体制から加盟店への権限移譲を図る
戦
第5問(組織構造)
略
海外FCビジネスを成功させるためのアドバイスを行う。
→海外専任部門の設立および人材の登用を図る
6