地域で命を支えるために ナイジェリア(PDF/1.28MB)

動く、アフリカ
人々の健康促進に役立つ拠点にな
しかし本来、センターは全ての
まざまな理由が重なっている。
われて男性が来ないことなど、さ
と、母子だけのための施設だと思
朽化し住民が行きたがらないこ
しかし、その発展の恩恵が全て
の人々が住む大都会だ。
あるラゴス州は、約2000万も
るナイジェリア。経済の中心地で
カ最大ともいわれる経済規模を誇
豊富な石油資源を持ち、アフリ
ッフがスラムに出張して保健医療
待っているのではなく、保健スタ
った。センターで患者が来るのを
チ・オサ地域で活動することにな
らは州の中でもスラムのあるエ
してもらいたいと、2014年か
さらに多くの人にセンターを利用
宅での出産時に命を落とす妊産婦
症が広がることもある。また、自
まって下痢やマラリアなどの感染
り、排水施設がないため汚水がた
らすスラムも多い。ごみが散らば
事を求めて集まってきた人々が暮
ス州にはガーナなどの隣国から仕
きらびやかな発展の傍らで、ラゴ
の人々に届いているわけではない。
保健医療サービス
広まっていた。
た間違った情報まで
飲むといい﹂といっ
防には塩水を大量に
きていないこと。
﹁予
情報提供が十分にで
予防接種や産前・産後健診などの
ケア・センターが各地にあります。
設として、プライマリー・ヘルス・
医療サービスを受けられる公的施
ICA専 門 家 だ。
﹁基 礎 的 な 保 健
いで奮闘しているのが古閑純子J
この国で活動して8年、そんな思
全 て の 人 々 の 命 を 守 り た い ︱。
も多い。
根強いこと、センターの設備が老
はハーブなどを使った伝統医療が
その背景には、ナイジェリアで
です﹂と話す。
なか使ってもらえないことが課題
も身近な施設のはずなのに、なか
けられます。誰でも利用できる最
どもやお年寄りは無料で診察を受
母子保健を中心に、5歳未満の子
るべき。ラゴス州保健省は200
住民に身近な
保健医療の拠点を目指す
ナ イジェリア
from
が届きにくいスラム
ラゴス州
S ※を取り入れた施設内の衛生状
センターで助産師の技術向上や5
古閑専門家も共に活動する松岡貞
リ カ で の エ ボ ラ 出 血 熱 の 拡 大 だ。
その矢先に起こったのが西アフ
があれば、感染の拡
る。住民自身に知識
発活動が重要にな
態の改善に力を入れてきた。
産前健診でセンターを利用する
たのが、感染者の早期発見や治療
し合いを重ねた。そうして分かっ
むべきか、州保健省の担当者と話
利専門家も、何を優先的に取り組
と共に、エボラ出血
こで州保健省の職員
えられるからだ。そ
大や症状の悪化を抑
スタートは現地の
ニーズを知ることから
妊産婦の数が増えるなど、少しず
熱の正しい予防策や
感染時の対応を伝え
が行われている一方で、住民への
るパンフレットとポ
語で作り、センター
スターを英語と現地
カ月という短期間でエボラ出血
そ の 努 力 の 甲 斐 あ っ て、約 3
ですね﹂
。
言ってもらえた時はうれしかった
に〝信頼の置けるパートナー〟と
救急搬送の仕組みづくりや情報共
今後は、自動三輪車を活用した
有ができる母親グループの立ち上
ェ リ ア。
﹁州 保 健 省 の 対 応 の 速 さ
には今後の可能性を感じさせた﹂
げ、男性や伝統医も含めた住民集
会の開催など、保健医療サービス
ジェリアの人々は感情の起伏が
激しく、活動する上で大変なこと
を貧困層の隅々まで届ける工夫を
健康に暮らせることを目指し、奮
検討している。全ての人々がより
し て く れ ま す。州 保 健 省 の ヤ ワ
闘が続いている。
関 係 を 築 く と、共 に 全 力 を 尽 く
ン デ・ア デ シ ナ 知 事 保 健 補 佐 官
も多い。それでも、いったん信頼
と 古 閑 専 門 家 は 期 待 す る。
﹁ナ イ
熱の終息宣言が出されたナイジ
や学校に配布した。
Nigeria
地域の保健スタッフを対象に
研修を行い、
日本での5Sの歴
史などを伝える古閑専門家
アブジャ
サービスを提供する仕組みを浸透
取り組んでいるのがナイジェリアだ。
9年からセンターの活用促進に力
日本と共に地域での仕組みづくりに
しい知識を伝える啓
貧困層の人々がより健康に過ごせるよう、
でこそ、感染症の正
保健医療サービスもその一つだ。
させようと古閑専門家は考えてい
経済発展の陰で生まれるさまざまな格差。
た。
地域で命を支えるために
を入れ始め、古閑専門家らも の
CASE 3
つ 変 化 が 生 ま れ て い る ラ ゴ ス 州。
エボラ出血熱の正しい知識を住
民たちに伝えるために作成した
ポスターとパンフレット
エチ・オサ地域にはビニールシ
ートを被せた粗末な小屋が立ち
並ぶ。雨期にはあちこち水浸し
になり、衛生環境は劣悪だ
プライマリー・ヘルス・ケア・セン
ターに来た子ども連れの母親
に、川勝義人専門家がどんな
ニーズがあるかインタビュー
※整理・整頓・清掃・清潔・しつけの略。
15
14
February 2015
February 2015
15 スラムでの出張保健サービスとして、保健スタッフが
お店の軒先を借りてビタミンAの投与を実施
特集