仕事と介護の両立のための就業規則の整備

編集・発行 三井住友銀行グループ・SMBCコンサルティング株式会社
2015.2.9 第 1450 号
SMBC経営懇話会
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【働き盛りの従業員を介護で辞めさせないために】
仕事と 介護の 両立の た め の 就業規則の 整備
濵田京子社労士事務所 代表
特定社会保険労務士 濵田京子
1. 育児・介護休業法では、要介護状態に至るごとに1回、通算93日まで取得できる「介護休業」と、対象
家族 1 人の場合は年 5 日、2 人以上の場合は年 10 日取得できる「介護休暇」が定められています。
2. 介護休業の取得者に対しては、雇用保険から介護休業給付金が支給されます。支給額は、原則とし
て休業開始時賃金日額の約 4 割です。
3. 「介護休業」「介護休暇」は、法律上の要件を満たす労働者が適正に申し出ることにより、法的効果が
生ずるものですが、企業においてあらかじめ制度を導入し、就業規則に記載する必要があります。
1.過去 5 年間の介護離職者は約 49 万人
総務省が平成 24 年に実施した「就業構造基本調査」では、介護をしている雇用者は 239.9 万人、そのうち
介護休業・介護休暇・短時間勤務制度利用をしている人は 37.8 万人(うち介護休業利用者は 7.6 万人)に過
ぎないという調査結果があります。また一方で、過去 5 年間(平成 19 年 10 月~24 年 9 月)に介護・看護のた
め前職を離職した人は 48.7 万人(うち女性は 38.9 万人)に上るという結果もあり、介護をしている雇用者が多
いものの、仕事と介護を両立する環境整備はまだ不完全であることがわかります。
要介護状態の対象家族 1 人につき、原則一度しか取得できない介護休業制度ではカバーできないことが
多い現実をふまえ、厚生労働省は分割取得ができるようにする拡充案をまとめ、平成 28 年改正、平成 29 年施
行を目指しています。
2.介護のための両立支援制度の概要
育児・介護休業法では、労働者が申し出ることにより要介護状態にある対象家族1人につき、常時介護を必
要とする状態ごとに1回の介護休業を取得することができると定めており、期間は通算 93 日です。
ここでいうところの「要介護状態」とは負傷、疾病または身体上もしくは精神上の障害により、2週間以上の
期間にわたり常時介護を必要とする状態をいいます。また「対象家族」とは配偶者、父母、子、配偶者の父母
並びに労働者が同居しかつ扶養している祖父母、兄弟姉妹および孫をいいます。
介護休業制度だけではなく、介護休暇制度もあります。これは要介護状態にある対象家族の介護その他の
世話をするために休暇を申し出た労働者が、介護休暇(対象家族 1 人の場合は年 5 日、2 人以上の場合は年
10 日)を取得することができる制度です。介護休暇は介護休業と同じで無給で問題ありませんが、業務の繁忙
等を理由に拒むことはできないので、突発的な事態に対応できるよう、社内の体制を整備しておきましょう。
このほかに、要介護状態にある対象家族を介護する労働者が希望すれば利用できる短時間勤務制度等の
措置を講じなければなりません。
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3.介護休業給付の概要
介護休業者に対して、雇用保険から介護休業給付金が支給されます。支給額は、原則として休業開始時
賃金日額×支給日数×40%で、同一対象家族に対してのべ 93 日を限度に受給することができます。ただし、
介護休業は育児休業と異なり社会保険料免除がない点に注意が必要です。
4.介護休業・介護休暇・短時間勤務制度の就業規則の整備
介護休業、介護休暇、短時間勤務制度は就業規則の一部として整備する必要があります。育児休業とセッ
トにして、「育児・介護休業規程」として整備することが一般的です。
<規程例>介護休業の対象者
1
要介護状態にある家族を介護する従業員は、この規則に定めるところにより介護休業をすることができる。ただし、
期間契約従業員にあっては、申し出時点において、次のいずれにも該当する者に限り介護休業をすることができる。
イ 入社 1 年以上であること。
ロ 介護休業を開始しようとする日(以下「介護休業開始予定日」という。)から 93 日を経過する日(以下「93 日経過
日」という。)を超えて雇用関係が継続することが見込まれること。
ハ 93 日経過日から 1 年を経過する日までに労働契約期間が満了し、更新されないことが明らかでないこと。
2
1 にかかわらず、労使協定により除外された次の従業員からの休業の申し出は拒むことができる。
イ 入社 1 年未満の従業員
ロ 申出の日から 93 日以内に雇用関係が終了することが明らかな従業員
ハ 1 週間の所定労働日数が 2 日以下の従業員
<規程例>介護休暇
1
要介護状態にある家族の介護その他の世話をする従業員は、年次有給休暇とは別に、当該家族が 1 人の場合は 1
年間につき 5 日、2 人以上の場合は 1 年間につき 10 日を限度として、介護休暇を取得することができる。この場合
の 1 年間とは、4 月 1 日から翌年 3 月 31 日までの期間とする。
2
取得しようとする者は、原則として、事前に申し出るものとする。
3
給与、賞与、定期昇給及び退職金の算定に当たっては、取得期間は通常の勤務をしたものとみなす。
<規程例>介護による短時間勤務制度
1
要介護状態にある家族を介護する従業員は、申し出ることにより、対象家族 1 人当たり通算 93 日間の範囲内を原
則として、所定労働時間について、以下のように変更することができる。
所定労働時間を午前 9 時から午後 4 時まで(うち休憩 1 時間)の 6 時間とする。ただし、同一家族について既に介
護休業をした場合又は異なる要介護状態について介護短時間勤務の適用を受けた場合は、その日数も通算して 93
日間までを原則とする。
2
申出をしようとする者は、1 回につき、93 日(介護休業をした場合又は異なる要介護状態について介護短時間勤務
の適用を受けた場合は、93 日からその日数を控除した日数)以内の期間について、短縮を開始しようとする日及び
短縮を終了しようとする日を明らかにして、原則として、短縮開始予定日の 2 週間前までに、介護短時間勤務申出書
により申し出なければならない。
3
本制度の適用を受ける間の給与については、基本給を時間換算した額を基礎とした実労働時間分の基本給と諸手
当の全額を支給する。
4
賞与については、その算定対象期間に本制度の適用を受ける期間がある場合においては、短縮した時間に対応す
る賞与は支給しない。
5
定期昇給及び退職金の算定に当たっては、本制度の適用を受ける期間は通常の勤務をしているものとみなす。
【本稿に関するご照会窓口】 SMBCコンサルティング・経営相談部 TEL:0120-7109-49
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