資料3 観光経済波及効果に関する調査について 平成27年1月7日 地域経済産業グループ 経済効果を最大化する観光戦略 ・観光消費が地域経済に与える効果(「観光経済波及効果」※)は、旅行客数、客単価、域内調達率の3要素から決定される。 ・これまでの観光地域づくりに向けた施策においては、旅行客数の増加を施策目標とするものが多かった。これは、客単価や域 内調達率の違いへの関心が低く、観光客数の増加が観光消費額の増大につながるものと考えられていたことによる。 ・しかしながら、多様な地域が旅行先となったことで、旅行客の消費行動や観光消費に対応した地域の産業構造の多様化が進 んでいる。つまり、地域によって、旅行者の単価や域内調達率は大きく異なり、旅行客数と経済効果の関係性は低下している。 ・地域振興策として、観光需要に対応した産業を長期的に発展させていくためには、質を落とさずにサービスの供給が出来る安 定的な旅行客数や、具体的なターゲットを設定し、客単価を高めるためのマーケティング戦略を策定する必要がある。併せて、 地域の農商工業者等との連携の下、地域産品などを積極的に活用して、域内調達率を向上させる取組を促進する。 ※観光経済波及効果とは「地域に訪れた観光客が、地域内で観光消費を行い、その観光消費された金額のうち、どの程度が地域経済に影響を及 ぼしたのかを金額で表したもの」 (出典: 公益財団法人日本交通公社 編著 『観光地経営の視点と実践』) 観光経済波及効果の算出方法 客単価 (平均消費額) ・客単価を高める ハイクオリティなサービス ・ターゲットに訴求させるための マーケティング戦略 観光経済波及効果 = 観光客数 × 観光消費額単価 × 域内調達率 最大化の ためには… 狙うべきサイクル ・平均消費額の増加 ・顧客満足、ロイヤリティ向上 域内調達率 Z 0 域内調達率の向上 旅行客数の トレンドは減少 旅行客数 →地域産品の活用 農商工業者等との連携 1 (例)観光ブームを持続可能な地域づくりに ・NHK大河ドラマのロケ地に採用されたり、地域の文化財が新たに世界遺産や重要文化財等に認定された 場合には、当該地域への注目が高まり、それまでの観光客数のトレンドと関係なく、多くの観光客が押し寄 せることになる。しかし、このような急な観光客流入は一過性のブームで終わる可能性がある。 ・また、当該地域がもともとは観光地ではなかった場合も多く、来訪する観光客を地域内消費へとうまく誘導 する体制が出来ていないため、ブームが去った後にその反動として観光消費が急激に萎むリスクがある。 ・観光産業をベースとした持続可能な地域づくりのためには、短期的なインパクトにとらわれるのではなく、 空間サイズや施設集積(目標)に応じた適切な旅行客数と、その顧客イメージを設定し、彼らの消費購買活 動を促すような魅力的なデスティネーションを目指したビジョンを策定し、それに基づく長期的な取組が必要。 観光客の突然の流入 地域が目指す将来像 客単価 (平均消費額) 客単価を向上させる ・高いサービス品質 ・マーケティング戦略 客単価 観光客の消費をうまく 誘導する仕組みが 出来ていない (平均消費額) ビジョン 策定 域内調達率 域内調達率 Z 0 ブームが去れば 旅行客数は激減 旅行客数 0 旅行客数 サービスの品質を維持できる 受入可能な観光客数 2 観光経済波及効果の調査について ・観光経済波及効果を最大化するため、地域が長期的なマーケティング戦略を設定する際には、その効 果を定量的に推計できるツールが必要。 ・地域が活用しやすい簡便な効果推計モデルを設計するため、観光客の支出や観光事業者の仕入等に 関する調査を行う。 ・具体的には①豊岡市・富岡市へ来訪した観光客へのアンケート調査(ネット調査)及び②両地域におけ る事業者へのヒアリング調査を実施する。 観光客 アンケート • 観光客の支出構造・属性・満足度等を調査 • 各地域1,000個のサンプルを抽出 • ネット調査 事業者 ヒアリング • 観光客売上比率・各経費の市内/市外調達比率等を調査 • 宿泊・飲食・小売業などの関連8産業の事業者に対する ヒアリング調査 3 1.観光客アンケート調査(ネット調査) 調査概要 豊岡市及び富岡市を訪れた経験のある観光客を対象に、旅行内容、消費支出、豊岡市及び富岡市の印象(満足 度、再訪希望等)を尋ねることにより、それぞれの地域における観光客の動向を把握するとともに、観光が地域にも たらす経済効果の把握に資するデータの収集を行う。 ●調査実施期間:平成26年12月19日(金)~22日(月) ●調査対象者:スクリーニング調査結果をもとに、下記の対象者を決定 ・豊岡市アンケート調査-平成26年に豊岡市を訪れたことのある近畿地域居住者 ※対象範囲:三重県、滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、奈良県、和歌山 ・富岡市アンケート調査-平成26年に富岡市を訪れたことのある関東地域居住者 ※対象範囲:茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県 ●対象件数:豊岡市・富岡市とも1,000サンプル ●調査項目: ・スクリーニング項目-豊岡市・富岡市訪問経験の有無及び訪問月、回答者住所 ・回答者属性-性別、年齢、世帯年収、よく行う旅行のタイプ ・豊岡市・富岡市について-初めて知った情報源、イメージするもの、世界遺産構成資産の認知度(富岡のみ) ・来訪経験-これまでの来訪回数、来訪頻度 ・最新の旅行について-泊数・滞在時間、来訪目的、参加人数、参加形態、交通手段、立ち寄り箇所、 宿泊先、旅行手配方法、消費額及び消費対象 ・豊岡市・富岡市の印象-総合満足度、再訪希望、友人への推薦 4 2.事業者ヒアリング調査 (1)調査概要 豊岡市の観光産業及び関連産業の事業者を対象に、売上全体に占める観光客売上の比率や、経費比率(原材 料比率、人件費比率等)、各経費の市内/市外調達比率等を尋ねることにより、市内の観光産業及び関連産業の構 造を把握するとともに、観光が地域にもたらす経済効果の把握に資するデータの収集を行う。 (※富岡市については現状での観光客動向等を考慮し、飲食店、土産店など一部事業者のみ実施) この結果及び1.観光客アンケート調査で得られたデータを用い、乗数理論を利用した経済波及効果の推計方法 (国土交通省観光局,2003)も参考に、簡易的な推計モデルの検討を行う。 ●調査時期:平成26年12月~平成27年2月 ●調査対象:以下8産業(*1)を主対象として実施 (*1:UNWTO(国連世界観光機関)が定めた国際基準であるTSA(旅行・観光サテライト勘定)を参考に設定) ①宿泊サービス(旅館、ホテル等) ②飲食サービス(食堂、レストラン等) ③旅客輸送サービス(鉄道、バス、駐車場等) ④輸送設備レンタルサービス(レンタカー等) ⑤旅行業 ⑥文化サービス(博物館、歴史的建造物等) ⑦スポーツ・娯楽サービス(遊園地、水族館等) ⑧小売(土産店、百貨店・スーパー等) なお、関連産業は、8産業のヒアリング結果を踏まえ、関係の深い産業を抽出し実施 (2)調査状況 ・第1ステップとして、12月に城崎温泉および豊岡市街の宿泊、飲食、文化サービス、スポーツ・娯楽サービス、 小売の各事業者に対しヒアリング調査を実施(市内調達率は高いこと等が明らかに) ・第2ステップ以降では、第1ステップでは把握できていない他産業(旅客輸送、輸送設備レンタル、旅行業)及び 関係の深い産業(卸売業ほか)、また、出石など市内他エリアの事業者を対象に実施予定。 5
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