サービス提供者と関係機関の連携 <共通講義>

サービス提供者と関係機関の連携
及び支援提供職員と関係機関の連携
<共通講義>
平成27年1月20日
平成26年度 奈良県サービス管理責任者等研修
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なぜ、連携は必要なのか?
①法的な位置づけがされている = 責務
②事業所が抱え込まない = 1事業所の限界を
知る
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①サービス事業者の責務(法的位置づけ)
障害者総合支援法 第42条
指定障害福祉サービス事業者、指定障害者支援施設等の設置者及び指定相談支援事業者の責務
1.指定障害福祉サービス事業者、指定障害者支援施設等の設置者及び指定相談支援事業者は、
障害者等がその有する能力及び適性に応じ、自立した日常生活又は社会生活を営むことができる
よう、市町村、公共職業安定所、その他の職業リハビリテーションの措置を実施する機関、教育機
関、その他の関係機関との緊密な連携を図りつつ、障害福祉サービス又は相談支援を当該障害者
等の意向、適性、障害の特性、その他の事情に応じ、効果的に行うように努めなければならない。
2.指定事業者等は、その提供する障害福祉サービス又は相談支援の質の評価を行うことその他
の措置を講ずることにより、障害福祉サービス又は相談支援の質の向上に努めなければならない。
児童福祉法 第21条の5の7
指定障害児通所支援事業者及び指定医療機関の設置者(以下「指定障害児事業者等」という)は、
障害児が自立した日常生活又は社会生活を営むことができるよう、障害児及びその保護者の意思
をできる限り尊重するとともに、行政機関、教育機関その他の関係機関との緊密な連携を図りつつ、
障害児通所支援を当該障害児の意向、適性、障害の特性その他の事情に応じ、常に障害児及び
その保護者の立場に立って効果的に行うように努めなければならない。
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②なぜ連携が必要なのか?
利用者ニーズに基づいた、サービス提供をするため以下
のような場合に、連携が必要不可欠になる。
・利用者ニーズは、常に変化するもの。新たなニーズへの対
応が出来ない場合。
・個別支援計画書に「実現できなかったニーズ」、「反映でき
なかったニーズ」がある場合。
・事業所としての関わりが部分的で、生活の全体像が見え
ない場合。
・複数のサービスを使い分けて、生活している利用者の場
合。
現場サイドでの必要性!
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②サービス管理責任者等は、なぜ連携が必要なのか?
・拙速が大切なニーズと、時間をかけて間違いのない結果を出
すニーズを混同している場合。
・複合的なニーズを有し、サービスが有効かつ効果的に使わ
れていない場合。
・意思疎通やニーズ表出が難しく、ベストインタレスト(最善の
利益を生み出す決定)を追求しにくい場合。
・専門的なアセスメントが必要な場合。(医療・保健・教育など)
1事業所、1担当者
の限界を知ろう!!
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連携の視点とは?
(地域の社会資源を知り、使い、改善し、広げる)
①完結型支援からオープン支援へ
②個別支援計画書は連携ツール
③連携の意味を考える(専門性とチーム力を高める)
④サービス担当者会議の活用
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①完結型支援からオープン支援へ
○ケアマネジメント体制の強化と構築
★最初(サービス提供開始時)に着ていた洋服(サービス)も、本人や
周りの環境に変化が生じ、サイズの合わない洋服(サービス)にな
っている場合があります。
~地域に点在し、変化する社会資源を点検する~
★変化がない場合に、原因を本人だけに求めない
~事例共有や事例検討を定期的に実施する~
★満足度が上がらない場合、ケアマネジメントプロセスに沿って、原因を探ってい
くことが重要。
★モニタリングを通じて、サービス提供や計画の内容、変更する勇気を持つこと
~提供しているサービスの否定にはあたらない~
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②個別支援計画書は連携ツール
サービス等利用計画書と個別支援
計画書の関係性について、考えて
みましょう!
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総合的なニーズ
「パン屋さんで働いて
ホームで暮らしたい」
(設計図)
サービス等利用計画書
個別支援計画書
個別ニーズ
「働きたい」
(施工図)
個別支援計画書
個別ニーズ
「ここで暮らしたい」
(施工図)
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〇個別支援計画書の視点や質的変化を意識する(モニタリングの重要性)
★最初から全てを網羅し、完璧な計画書は作ろうとしない。スモールステップで、少しずつ
積み上げていくイメージを持ち、成功体験や役割を意識することが重要となる。
★つなげるだけでなく、一緒に考える姿勢が必要(つなげてもうまくいかない場合)相談
支援専門員とサービス管理責任者が、一緒に考えることで、新たな解決方法やつなぎ
先(連携先)を得たり、気づきが生まれる。
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③連携の意味を考える
○専門性とチーム力を高める
★連携することによりグループを作るのではなく、チームを作る。(支援目標
の明確化と共有)
★チームに必要な三つの条件
目的や目標がある
ルールや決まりごとがある
目的、目標が成し遂げられる人材が揃っている
プラス、「モチベーション」
★連携することは、See→Think→Plan→Doのプロセスを回しながら、業
務に当たること。(画一的なサービスではなく、包括的なアセスメントをきち
んと行って、利用者の状況に応じた個別性の高いサービスを提供する。)
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③連携の意味を考える
○メイド・サーバント的支援(Maid-Servant Syndrome)
★誰かが考えたことを、指示された通りにやらされているのは、「メイ
ド・サーバント的支援」といえるかもしれません。これは、介護職員
が利用者のメイドさんや召使いになりきっている状態を比喩した用
語です。
★介護者がメイド・サーバント的支援に陥ると、仕事の結果に責任を
持ちません。「結果が悪かったのは指示をした方が悪い、自分はい
われた通りにきちんとやったのだから」と考えてしまいがちです。
★介護者がメイド・サーバント的支援に陥らないためにも、定期的に
自分の仕事を検証する機会が必要となります。
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相談支援専門員とサービス管理責任者等の連携イメージ
-Aさんの事例から-
自宅からケアホームに入居して2ヶ月経ったAさん。特定のこだわり行動による混乱も
徐々に解決され、生活にも慣れてきた。日中は就労継続B型事業を利用している。休日に
は行動援護を使って地域の活動への参加が始まって楽しみが増えてきた。
行動援護事業所の
サービス提供責
任者
行動援護計画
行動援護事業所
行政職員
相談支援専門員
相談支援専門員をキーパーソンとして
サービス利用計画(トータルプラン)を作成し良
質なサービスが提供されるよう支援する
サービス等利用計画
ケアホームの
サービス管理責任者
Aさん
個別支援計画
家族
ケアホーム
就労継続B型事業の
サービス管理責任者
共有→平成24年
度から3年かけ
てすべての人に
作成することに
個別支援計画
就労継続B型事業所
地域の
活動仲間16
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④さまざまな会議を活用した人材育成
★ サービス管理責任者等の関係者が、熱心に支援に取り組むほど、無
意識に内に偏った・こもった・閉ざされた・囲い込みの支援となる傾向
があります。そこで、「岡目八目」という囲碁からでた言葉で考え直し
てみます。「岡目八目」は、他人の囲碁を横から見ていると、対局者
よりも冷静でいられるために、八目置かせるくらい有利というところか
ら転じて、傍観者(第三者)のほうが当事者よりも物事の是非を、的確
に判断できるという意味です。
★ ですので、サービス担当者会議の司会進行役は関係当事者ではな
い方が効果的で、今後この役割を相談支援専門員が中心に担うこ
とが想定されます。当事者から見れば、相談支援専門員は自分の
ための支援者のひとりであり、サービス管理責任者にとっては大事
なパートナーとなります。
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④さまざまな会議を活用した人材育成
★具体的には、(自立支援)協議会・サービス担当者会議・事例検討会
等さまざまな場面で、横のつながりを持ち、自己の実践を振り返る
ことや支援内容の客観的な評価・可視化につながるものと考えられま
す。事業所レベルから捉えれば、ベテランのサービス管理責任者だ
け参加するのではなく、その連携を学ぶ機会として、中堅職員等の
育成対象職員を参加や同席させることで人材育成が促進されます
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④自立支援協議会の活用
★自立支援協議会に参加し、地域の課題(社会資源の過不足・質等)を関係
者と共有する。
★対応に苦慮していることがある場合、事例検討会等に参加したり、自ら企
画する。
★「協議会」は評決、多数決の場ではなく、実効策、解決策などのアイディア
を出し合い、地域課題に対応するためのポイントを地域(チーム)で発想す
る場。
★「協議会」は、課題達成のためのポイントは何かを、地域(チーム)で考え出
そうとするもの。
★「協議会」では、実効策をアイディアとして、全員で受け入れ、それらを原材
料として、今までの活動を変更したり、柔軟な対応に変更すること。
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全国厚生労働関係部局長会議(厚生分科会)資料H23.1.21
(1)障害福祉計画について
基本指針について
○基本指針は、障害者自立支援法第87条第1項の規定に基づき、障害福祉サービス等の提供体制及び障
害 自立支援給付等の円滑な実施を確保することを目的として、作成されるもの。(平成18年6月26日告示、
平成19年3月30日・平成21年1月8日・平成21年3月30日改正)
○障害福祉計画は、この基本指針に即して、市町村・都道府県が作成
障害者自立支援法
(市町村障害福祉計画)・・・第88条
○各年度における障害福祉サービス・相談支援の必要な見込量、その確保のための方策
○地域生活支援事業の種類ごとの実施に関する事項等
(都道府県障害福祉計画)・・・第89条
○区域ごとの各年度の障害福祉サービス・相談支援の必要な見込量、その確保のための方策
○区域ごとの障害福祉サービス・相談支援に従事する者の確保又は資質向上のために講ずる措置
に関する事項
○各年度の障害者支援施設の必要入所定員総数
○障害者支援施設の障害福祉サービスの質の向上のために講ずる措置に関する事項
○地域生活支援事業の種類ごとの実施に関する事項等
計画期間について
18年度
19年度
20年度
第1期計画期間
21年度
22年度
第2期計画期間
23年度
24年度
25年度
26年度
第3期計画期間
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