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国家の債務の承継と衡平の原則 : 国家の財産 公文書お
よび債務に関する国家承継に関するウィーン条約の一考
察
森川, 俊孝
一橋論叢, 92(5): 588-604
1984-11-01
Departmental Bulletin Paper
Text Version publisher
URL
http://hdl.handle.net/10086/11288
Right
Hitotsubashi University Repository
一橘論叢 第92巻 第5号 (36)
国家の債務の承継と衡平の原則 .
1国家の財産、公文書および債務に関する国家承継に関するウィーン条約の一考察1
森 川 俊 孝
債務L︵⋮一条−四一条︶、第五部﹁紛争の解決﹂︵四二
Uo享ω︶︵以下、ウィーン条約︶は、国際法委員会によっ
o−ω冨箒mぎ射窃駕g艮望曽8ミo潟津さ>8巨く窃輿目o
関するウィーン条約﹂︵く一昌量Oo毫o巨一昌旨ω9oo邑9
﹁国家の財産、公文書および債務に関する国家承継に
ける国家の財産、公文書およぴ債務に及ぽす法的効果を
裂︵2竃〇一茎昌︶の五つの場合に分け、各々の場合にお
㈹国家の結合、ω国家の領域の一部の分離、㈲国家の分
家承継の形態をω国家の領域の一部の移転、②新独立国、
いて総則規定︵59o旨昌昌︶がおかれ、第二節では国
条︶からなり、さらに第二都乃至第四部では第一節にお
条−四六条︶およぴ第六部﹁最終規定﹂︵四七条−五一
て一九八一年に採択された最終草案に基づいて、一九八
一 はじめに
三年三月一日よりウィーンで開催された全権会議におい
−六条︶、第二部﹁国家の財産﹂︵七条−一八条︶、第三
二︵日本を含む︶︶同条約は第一部﹁一般規定﹂︵一条
て四月八日に採択された。︵賛成五四、反対一一、棄権
則︵雫ぎo亘oo;︷ξ︶が国家の財産、公文書およぴ
国際法委員会の報告書がのべているように、﹁衡平の原
同条約の特徴の一つとして挙げることができるのは、
規定している。
^1︺
部﹁国家の公文書﹂︵一九条−三一条︶、第四都﹁国家の
588
(3ア) 国家の債務の承継と衡平の原則
^2︺
償務の先行国から後継国への移転に関する藷規則におい
て基礎をなす原則の一つである﹂ということである。ウ
ィーン条約の理解のためには、・かかる衡平の原則のはた
︵4︶国際法における衡平の機龍に関して一般に、法の厳
膏柴§︶、法の欠献を補完する機能︵ミ§“ミ膏恕ミ︶およぴ
格な適用の結果生じる極端な結果を緩和する機能︵“ミs
︵Hミo︶一勺勺、♂甲舎ω。衡平の問題一般を取り扱っている最
される。O巨一宛o冨器芭’b§ま“ミ雨、SミざSミ、ミミぎくO−一一
法の適用を排除する機能︵8ミ§、祭雨§︶の三つがあると
とも必要となるであろう。しかし、ここでは、国家承継
近のものとして、ρ婁・−雪穿一﹃ざ、§急§旨県−s膏§守
している役割およぴその内容を明らかにすることが是非
の問題の中でこれまで衡平の原則が最も重要な役割をは
ミ膏軋、oミ軋畠詩、ミミざSS−︵HoN0︶−OFqoく庁眈o︸〇一b雨“.“内S辻“
ミoSミ﹂喜ざ軋㌻ミざミ︵HΦひ企︶一〇旨葭ラN一いく一UlUo煕昌一ト、“内ミ“蕊
軋s§膏、骨良Φ§§“ミミ“、ミoミ㌧ミ§oざミ雨き︸ミ耐婁§ミo辻
たしてきたと思われる債務の承継の間題に隈定して、ウ
イーン条約および従来の法理論において用いられてきた
^3︺
ぎ詩§ミ“§ミ㌔§ミ“︵一〇s︶一峯.>片g⋮呉、向ρ巨︷四目q
卜s§cミsミ§亨くo−.豊︵Ho暮︶一弓弓−oooアoo豊.
○昌o量一勺き岩号一go︷■顯き、Hミ雨§ミ軋§邑sミ、ooミs、ミ“§
衡平の原則を検討することによって、債務に関する国家
承継法において衡平の原則のはたしている機能およぴそ
会が強調したいことは、衡平は草案を通じて補充的要素
委員会の報告書はそれを次のようにのべている。﹁委員
ざ§︶工は異なるものであるということである。国際法
規程第三八条二項における﹁衡平およぴ善﹂︵§§閑§ミ
として指摘しておくべきことは、それは国際司法裁判所
原則の内容およぴ性質を明らかにする上で、一般的問魑
ωウィーン条約の諸規定の基礎をなすとされる衡平の
ニ ヅィーン条約における衡平の原則
?︶
の内容・性質を明らか に し て み た い 。
︵1︶ 国際法委員会およぴ金権会議における審議の経過に関
して、小川芳彦﹁国家の財産等に関する国家承継条約﹂﹃法
︵2︶5ミざ茎県§ぎ雲ミきo§;§O§§ぎざミニ凄H一
と政治﹄第三四巻第三・四号参照。
き一.■︵勺胃一↓書︶一勺Lo.bo昌目呂け之さ︶〇一喀鼻Nα1
︵3︶ ウィーン条約は若千の字句の修正およぴ削除を除いて、
実質的に国際法委員会の条文草案通りに採択されている。
本稿執筆の段階で、全権会議の審議経過の詳細に関する資
料を入手することができなかったので、ここではすぺて委
員会の報告書に基づいて検討されている。
589
第92巻 第5号 (38)
一橋諭叢
ることができるにすぎない﹃衡平およぴ善﹄の手続にお
裁判所が関係当事者の明示の合意に基づいてのみ援用す
の一部分としても用いられているということであって、
する国家の債務のカテゴリーの中に、国家が﹁私人﹂に
容およぴ性質を検討する前に、当該諸規定の一般的特徴
倒債務の承継に関する諸規定における衡平の原則の内
則の適周を要講しているのである。
債務の承継の間題を規偉する条約上の諸規則が衡平の原
いて用いられている衡平の概念に等しいものとして用い
^1︶
られているのではないということである。L
対して負っている債務は含まれていないということであ
であるということに加えて、特定の諸規定の実質的内容
かかる衡平の概念の区別は、一九三七年の国際法学会
る。︵第三三条︶第二に、条約の規定の仕方は従来の一
︵5︶
を指摘しておくことが必要である。第一に、条約の規偉
の決議および一九六九年の北海大陸棚事件における国際
般的方法であった、国家の債務を国家の﹁一般的償務﹂
^2︺
司法裁判所の判決によって確認され適用されてきたもの
︵的竃胃巴急gω︶、譲渡地の排他的利益のために負った
^3︺
である。それは法に属し、法の誠実な適用から逸脱する
﹁属地的債務﹂︵一〇〇昌Sαま9ω︶、地方政府または財政的
自治政府が負った﹁地方的債務﹂︵−OS一ま9ω︶、および
ことなく法の正しい適用の固有の要講としての衡平と、
国際裁判所が当事者の明示の合意によウて現行法に拘束
国家の財産または一定の収入によって担保されている
﹁担保付債務﹂︵ω8胃&ま9ω︶等に区分して取り扱って
されることなく判決を下す権眼を与えられた場合におい
てのみ援用されうるにすぎない衡平︵衡平および善︶と
いないことである。第三に、先行国の債務の後継︵諸︶
^6︺
国への移転およぴ分割の間題は、国家の結合およぴ新独
の区別である。ウィーン条約の基礎をなしている衡平の
原則は前者の意味における衡平である。
立国の場合を除いて、関係国の間の別段の合意がない場
る。第四に、新独立国の場合には、他の国家承継の形態
合に適用される補充規則として規定されていることであ
②ウィーン条約の個別的諸規定において、国家承継の
債務の後継国への移転の実質的規準として衡平の原則が
の場合とは異なり、原則として先行国の債務は移転しな
一定の形態の場合における先行国の財産、公文書およぴ
用いられている。すなわち、国家の財産、公文書および
^4︶
590
(39) 国家の債務の承継と衡平の原則
よぴ国家の領域の一部の分離の場合には先行国と後継国
ω債務の閲題においては、国家の領域の一部の移転お
いとしていることである。︵第三八条︶
当該国家の債務に関連して後継国に移転する﹃財産、権
のある要素が考慮されるべきである。かかる要素は就中、
るためには、個々の特定のケースにおけるすべての関連
定めている。何が﹃衡平な割合﹄を構成丁るかを決定す
利およぴ利益﹄を含まなけれぱならない。Lとのべてい
^7︶
との間で、国家の分裂の揚合には後継諸国の間で別段の
合意がない隈り、﹁先行国の国家の債務は、特にその債
問題︵一般的償務の分割の問題︶に関しては、学説およ
国の一般的償務の一部を負担する義務があるかどうかの
それによれぱ、領域の一部の移転の場合に後継国は先行
委員会の報告書を手がかりとして検討することにする。
かかる規定によって何が意味されているのかを、国際法
一条︶と、同一の表現で規定されている。そこでまず、
要であるとするものである。
利益﹂をその主要な要素の一つとして考慮することが必
の償務に関連して後継国に移転する﹁財産、権利および
におけるすぺての関連要素を考慮すること、特に先行国
として作用する衡平の原則により、個々の具体的ケース
先行国と後継国との間における債務の移転の実質的規準
な割合が後継国に移転することを意味する。その場合に、
る。このことは、従来挙説および憤行において一致がみ
ぴ慣行において一致していないとする。しかしながら、
他方、国家の領域の一部の分離および国家の分裂の場
務に関連して後継国に移転する財産、権利およぴ利益を
委員会は﹁関係当事者の合意がない場合には、国家の債
合における委員会の条文草案では、先行国の債務は﹁関
られなかった一般的債務の分割の間魑に対しても、関係
務の移転に関する間題の解決に対する基軸概念︵ぎく︶
連のあるすべての事情を考慮して﹂衡平な割合で後継
考慮して、衡平な割合で︵ぎ彗①︷壷巨o唱o召ユ一昌︶
として衡平の概念の導入を提案する。−・:それは︵草案
︵諸︶国に移転すると規定されていた。委員会のコメン
当事者の間の合意がない場合には、先行国の償務の衡平
三五条二項、ウィーン条約三七条二項−筆者︶先行国の
タリiにおいては、﹁﹃関連のあるすべての事情を考慮し
後継国に移転する﹂︵三七条二項、四〇条一項および四
国家の債務の﹃衡平な割合﹄が後継国に移転することを
59j
第92巻 第5号 (40)
一橘諭叢
、 、
に基づくべきものであること、そして当該原則が一般的
する﹁財産、権利およぴ利益﹂、移転、分離した地域の
スにおける関連のあるすべての要素、就中後継国に移転
債務の分割・割当の問題に適用されるとき、具体的ケー
て後継国に移転する﹃財産、権利およぴ利益﹄を含む、
、 、
て﹄という表現はそれゆえ、現実のかつ潜在的な﹃負担
所与のシチュエイシ目ンに関連のあるすぺての要素を包
﹁負担能カ﹂およびその他の諸要素を考慮して関係国の
能カ﹄︵o意§きsミぎぎぎ舳︶および当該償務に関連し
含するものと理解されるべきである。他の諸要素もまた
た地域の﹁負担能カ﹂︵税支払い能カまたは債務履行能
継国に移転する﹁財産、権利および利益﹂の他に分離し
ける関連のあるすべての事情を構成する要素として、後
より考慮されるべきことを要講される具体的ケースにお
ンにしたがって異なるLとのべて、衡平の原則の適用に
であろうが、その相対的重要性は特定のシチュエイシ冨
とを意図していないことを指摘したい。国家憤行によっ
い解決に合意することができるということを意味するこ
節に関して、委員会はそれは決して、当事者が衡平でな
タリーにおいて﹁﹃−別段の合意がない隈り﹄という一
域の一都の分離および国家の分裂に関する条文のコメン
係国の合意によって解決されるときにも適用される。領
他方、かかる衡平の原則は、先行国の償務の移転が関
間で分割・割当されるべきことを規定している。
カ︶およぴその他の要素が含まれるとしている。後者の
て例証されているように、債務の衡平なまたは﹃正当な﹄
一定のケース.において特別の考慮に値するかもしれない
負担能カの要素は、分離および分裂の場合のみならず領
^8︺
域の一部の移転の場合においても考慮されうる要素であ
割当は常に交渉に対する指針となる原則︵蟹ooq自巨巨。貝
^9︶
窄ぎO号−Φ︶であるべきである。﹂とのぺられている。こ
国が先行国の債務の移転に関して合意に達することがで
家の分裂の場合におけるウィーン条約の諸規定は、関係
このように、国家の領域の一部の移転、分離およぴ国
に適用される場合におけるその意味およぴ性質をみてき
これまで、条約諸規定が二般的債務Lの分割の問題
きるということができるであろう。
のことは領域の一部の移転の場合にも適用することがで
るということができるであろう。
きなかった場合に適用される補充規則は﹁衡平﹂の原則
592
(41) 国家の債務の承継と衡平の原則
ならない。国際法委員会の報告書は領域の一都の移転に
れる場合にいかなる意味をもつかを明らかにしなけれぱ
たが、次にそれが﹁属地的債務﹂の移転の間題に適用さ
○岸’やN010胃芦OO餉.
︵1︶ く§きs沖呉§雨−ミ雨§ミ︸§ミト宮§oo§§砕包o§o勺l
衡平の原則の適用を要請しているということができる。
当および属地的債務の移転の問題の実質的な規準として
則なのである﹂。HO㌧肉喜ミぎ量S一勺や卓ひ−阜OO。皆川洗
において、衡平原則の適用を要請するのは、まさに法の規
客観的正当化を見い出すということであって、この範囲内
は、その決定は規則外ではなく、規則内の考慮の中にその
法を宣言する裁判所に言及されるとき、その意味すること
ならないものである。それにもかかわらず、正義を施し、
なけれぱならず、したがって、その意味で衡平でなけれぱ
推論がいかなるものであっても、その決定は定義上正当で
る間題なのである。﹂とのぺ、さらに﹁司法裁判所の法的
それ自体、衡平原則o毛岸苧−o窄−冒旦oの適囲川を要求す
法的制度の発展の基礎となってきた諸観念にしたがって、
を適用するのではなくて、常にこの分野における大陵棚の
則に関して、﹁それは、単に抽象的正義の問題として衡平
︵3︶ 裁判所は隣接する大陸棚の境界画定を支配する法の規
§ぎ§トきF岩︵H8N︶一勺.ミH1
る。﹂としている。﹂ミSSミミきト、ト§ミミ§ミO貴︸ミミ・
重と両立する範囲において衡平を考慮することを要請され
裁判官は国内裁判官と同様彼の任務それ自体から、法の尊
﹁衡平は通常、法の正しい適用に固有のものであり、国際
︵2︶ 国際裁判官の衡平の権隈に関する決議の第一項で、
関するコメンタリーにおいて、属地的債務が後継国に移
転することは挙説および慣行において一般に認められて
きたことを承認している。そして、﹁三五条︵ウィーン
条約三七条 筆者︶は、一般的償務または属地的償務を
間わずすべての形態の国家の債務を包含するような仕方
で起草されている。二項の下で、属地的国家債務は、特
、
に︵ぎミ§⇔かかる属地的国家債務に関連して﹁後継
国に移転する﹃財産、権利および利益﹄を考慮して衡平
な割合で後継国に移転するであろうということは容易に
わかるであろう﹂とのべて、条約規定によって属地的償
^10︶
務の移転が含意されていることを認めている。それによ
れぱ、衡平の原則は、一般的債務の分割の問趨に適用さ
、 、
、 、
れる場合と同じ考慮にしたがって、属地的債務の移転の
^11︶
問題にも適用されるとしているように思われる。
いずれにしろ、ウィーン条約においては、領域の一部
の移転、分離および国家の分裂の場合に別段の合意がな
い場合に適用される補充規則が、一般的債務の分割・割
593
、
橋論叢 第92巻 第5号 (42)
﹃国際法判例集﹄有信堂、一九七五年、三九四−三九五ぺー
ジ参照。
ることにおいて相違がある。それゆえ、地方的債務は国家
して、後者は国家の下位にある地方機関が負った債務であ
それ自身が負った債務ではないことから、条約上の国家の
償務の範囲には合まれていない。−巨poやミーぎ・妃賀富、
︵4︶ 衡平の原則が用いられている規定として、国家の財産
に関しては第一五条第一項㈹、第一七条第一項ωおよぴ第
−巨o’o−Hご1勺胃顯.ぎー
旨巳﹂o.Hご.勺胃串.ミ一
償務の承継に関する法理論においてこれまでいかなる機
ウィーン条約の基礎を構成するとされる衡平の原則は、
三 償務の承継理論における衡平
なっていない。Hσ山q=勺.oo−勺胃買ω十
及しているだけで、当該償務に関してそれ以上の分析を行
担保付債務の承継は通常認められてきたと極めて簡単に言
委員会の報告書によれぱ、 領域の一部の移転の場合に
旨5’勺.害.勺胃串s−
零1ωoo1
宝−Nool
旨昌−一〇勺−OO−淳−勺胃露.
三項、第一八条第一項㈹、㈹およぴ第二項、国家の公文書に
関しては第二八条第二項およぴ第三一条第二項がある。国
家承継が関連する領域に関する先行国の活動と緒ぴついて
いる先行国の動産の移転の場合において、衡平の原則がは
たす均衡的︵g一彗o3oq︶または矯正的︵8箏8匡き︶な機能
に関しては、<§きs討心、き㎞Hミミ富s、ざミミトs§oo§§サ.
之§−o勺.幸二〇勺 − 貝 N 0 1 さ . 参 照 。
︵5︶ かかる償務が排除された経緯に関しては、中村道﹁国
際法委員会第三三会期の審議の概要﹂﹃国際法外交薙誌﹄第
八一巻第二号四01四二ぺージ参照。このように、国家が
私的債権者に対して負っている債務は国家の債務の定義の
範囲には含まれないことになったが、委員会の審議の過程
りて害されるものではないことについては一般に合意があ
び内容を、主要な学説を手がかりとして整理してみるこ
めに、ここでは債務の承継理論における衡平の機能およ
上でどのように位置づけられうるのかを明らかにするた
れている衡平の原則は、債務の承継に関する法の発展の
能をはたしてきたのであろうか。同条約において用いら
ているが、前者は国家それ自身が負った債務であるのに対
目的または使用のために負った債務であることでは共通し
︵6︶ 属地的債務と地方的債務はともに国家の特定の地域の
ト昌毫oo§§シ之§一〇勺.o岸一一勺や葛Iooo.勺胃鶉一ξ1ま.
定の中に反映されている。く§きo黒県き雨Hミミ§“札§ミ
った。このことはウィーン条約第六条およぴ第三六条の規
で、償権者の権利が法的に保護されており、国家承継によ
(((((
1110987
)))))
594
(43) 国家の慣務の承継と衡平の原則
や分離・独立の場合のように先行国が存続する場含に、
後継国に移転するかどうかの問題と、領域の一部の譲渡
併合、合併により消滅する場合において先行国の償務は
とにする。その場合に従来の方法にしたがい、先行国が
係にあるのであって、積極財産は消極財産とともに移転
極財産︵寝邑い勺曽邑く①︶が対応し、両者は不可分の関
財産︵碧毒一>窒き︶には義務、負担、償務からなる消
かかる推論は、権利、財産、償権からなる国家の積極
︵1︶
を認めなけれぱならない。L
、 、
、 、
後継国は先行国の一般的償務の一部を負担する義務を負
他国に移転するとき、後者は当該公物をそれに課されて
るものは義務を承継する。国家の公物またはその一都が
ル︵F5句冒︶は次のように説明する。﹁権利を承継す
担しなけれぱならないとされる。この法理をル・フィー
かかる財産を取得した国家は消滅国のすべての義務を負
一般に消滅国のすぺての財産が後継国に移転するとき、
およぴ人民︶の継続性に基づく包括的承継理論によれぱ、
ω①国家の消滅の場合に国家の人格または実体︵領土
かかる見解によれぱ衡平は、消滅国のすべての財産を
らの原則は﹁国際法原則であると同時に私法原則﹂、﹁法
^2︶
の規則であると同時に衡平の規則﹂であるとしている。
従ってきたものであるが、ル・フィールによれば、それ
導出している。かかる推論は、包括的承継論者が一般に
国の稜極財産とともに消極財産を承継するという原則を
きミ︶の原則を国家間の関係に適用して、後継国は消滅
ろ、負担あるべし﹂︵ss雨§oぎ§§§§しミ§ミ餉婁竃
︵ミ吻ミ§隻§§婁o.o§ミ︶あるいは﹁利益あるとこ
うているかどうかの問題︵一般的債務の分割の問題︶と
いるすぺての負担とともに取得するのであって、それか
取得する後継国は当該財産が負っているすべての償務を
て、ローマ法格諺である﹁物は負担とともに移転する﹂
ら免れることはできない。国際法には大多数の特別の立
負担することを要請し、そして法の内容は衡平の要講と
または承継されるという推論に基づくものである。そし
法によって認められている限定相続︵黒ミ盲耐∼、ぎ§ミー
完全に一致している。こうして衡平は償務の承継に関す
に分けて考察することにする。
ミミ︶に類似の制度は存在しないことが一致して認めら
る根拠を構成しているということができる。
、 、 、 、
れている⋮。後継国は必然的に被併合国のすべての義務
595
第92巻 第5号 (44)
一橋論叢
論者の見解において、衡平の位置付けおよび機能を検討
在しない限り、消滅国とともに消滅するとする承継否定
滅国が負っていた義務は、反対の﹁実定﹂国際法規が存
なる継続性も存在せず完全な断絶があり、したがって消
そして衡平に基づく義務が国家慣行によって立証されな
の国家慣行から生じうるにすぎないとするものである。
意思表示の客観的評価によって、すなわち一様かつ一定
を証明するに十分ではない。かかる義務の存在は国家の
の考慮は、それだけでは﹁実定﹂国際法上の義務の存在
ないが、従来後継国の承継義務に根拠を与えてきた衡平
する。
い場合には、それは﹁法的﹂義務ではなくて﹁遣徳的﹂
②次に・消滅国の主権と後継国の主権との間にはいか
この見解を支えている基本的考慮として、第一に、法
義務にすぎない。しかしながら、国家の消滅の揚合には
諸国の慣行は後継国による先行国の償務の承継の義務の
と道徳との峻別を挙げることができる。衡平は遣徳の領
域に位置づけられ、−買雪昌旨の問題に関わるにすぎ
^4︺
存在を承認しているとしている。
国家承継の観念および償務の﹁対人的﹂︵潟冨O畠一︶性質
ない。国際法挙の任務は国際社会において現に存在する
︵Ω・9ま一︶によれぱ、﹁衡平の考慮が他のすべての要素
に依拠しながら、これらの原則のもたらす破壊的な効果
③最後に、②と同様に領域の変更を主権の交代とする
にまさるほどにそれに引きずりこまれてはならない﹂の
の変更によってもたらされた一定の事態の中に含まれて
から特に償権者の利益を保謹するという見地から、主権
法−婁一寧冨を認識することである。それゆえ、ジデール
って法の認識をくもらされてきたし、それを怠ってきた
であって、衡平を重視する従来の挙説は衡平の考慮によ
たとえぱ、カヴァリェリ︵>.O睾晶53によれぱ、後
際義務の存在は、もっぱら国家慣行の評価に依存する。
第二に、後継国による先行国の債務の承継に関する国
と批判する。
に新しい法的義務を創設するとするものである。かかる
によって保持されているという事実の存在は、当該国家
関係は消滅するが、償権者が貸与した金銭は領域取得国
ち主催の変更によって償務国と償権者との間の償権償務
いる衡平を法は保護しているという見解がある。すなわ
^3︺
継国の承継義務の存在をアプリオリに否定するものでは
596
(45)国家の債務の承継と衡平の原則
義務を正当化するために、﹁衡平の必要な規則﹂として
の﹁不当利得﹂の法理あるいは﹁既得権﹂の法理が援用
^ 5 ︶
される。
たとえぱ、オコンネル︵U、甲O.O昌冨5によれぱ次
のように間題が設定される。﹁先行国が金銭を借りてい
﹁不当利得﹂の法理によって後継国は債権者に補償を支
︷7︶
払う義務を負う。
このように、利得を得ながら他者に損害を与えたもの
に補償義務を課する不当利得の法理は、償権者の権利が
主権の変更の結果消滅または損害を被った場合に、彼の
、 、 、 、 、 、 、 、 、 、
利益すなわち衡平を保謹しようとするものである。この
金銭が返済されるまであるいは国家それ自体が消滅する
、 、 、 、 、 、 、
るとすれぱ、例えぱ二つのことが創設される。第一に、
まで存在する当塾者間の法的つながりがある。第二に貸
、 、 、
として設定される。そして、後継国の義務は領域の取得
権者の本国︶との間における償権者の利益の保護の問題
務の移転の間題としてではなくて、後継国と第三国︵償
法理によれぱ、間趨は先行国と後継国との間における償
与者が衡平な利益︵①︷ま巨①−算智g“︶を有する金銭を
国家が現実に保留していることにかる事実上のシチュエ
の結果償権者または彼の本国に対して新たに生じる義務
一性を維持している。︵国家の継続性、同一性の原則︶
②①領域の一部の譲渡の場合、先行国は存続しその同
・つo
緩和するという機能をはたしているということができよ
壌的な効果、すなわち債権者の権利の消滅という効果を
るが、その場合における衡平は主権の変更のもたらす破
それは衡平に基づきもれを満足させようとするものであ
である。かかる法理の目的.はまさに、法によウて衡平
^9︺
︵償権者の利益︶を保謹することにある。いずれにせよ、
^8︺
イシ目ンが存在する。償務国が交代する場合、この金銭
を返済する法的義務は必ずしも後継国によって当然に
︵意竃言ミ︶承継されるわけではない。常に﹃承継され
る﹄︵巨ま鼻&︶ものは、今や消滅した法律関係が生ぜし
めた事実状態である。﹂そして、この場合における後継
^6︶
国の義務は、債権者がこの事実上のシチュエイションに
おいて有する﹁衡平な利益﹂すなわち既得権︵財産権︶
を尊重することである。︵既得権尊重の義務︶後継国が
収用その他の手段によりかかる利益を侵害するならぱ、
後継国は債権者に損害を与えて利得を得ることになり、
597
一橋論叢 第92巻 第5号 (46)
後継国は先行国の償務の一部を負掴しなければならない
②それに対して、かかる解決は衡平に反するとして、
けなけれぱならず、後継国は先行国の債務の一部を負担
^m︶
する必要はないという見解が生じる。
それ以前と同様に債権者に対するすべての債務を負い続
ところ負担あるべし﹂︵き“㎞§oぎ§§§§しミ§§婁竃
もに移転する﹂︵・婁ミ§§§§・§§ミ軸︶﹁利益ある
るとする。これは明らかに私法原則たる﹁物は負担とと
るがゆえに、後継国は譲渡地の負担を負うのが衡平であ
第一に、債務から生じた譲渡地の利益が後継国に移転す
益のために負ったものである﹂ということに基づいて、
彼によれぱ、公的債務の性質は﹁国家の領域全体の利
ということが衡平の考慮に基づいて主張される。たとえ
きミ︶が国家の債務の承継の問題に適用されている。
このことから、先行国はその領域の縮小にもかかわらず、
ぱ、オディネ︵甲>邑ぎg︶はそれを次の二つの理由に
衡平の適用を要講する第二の理由は、領域の縮小によっ
かかる法的推論において衡平は、国家の継続性の原則
よって正当化する。
域は他の残りの地域と同様それから利益を得てきた。当
の適用の結果生じる不衡平な結果を緩和するために後継
て生じた先行国の負担能カまたは返済能カを考慮するこ
該地域は一定の範囲においてその負担を負い続けるのが
国に先行国の債務の一部を負担する法的義務を課する根
﹁この償務︵先行国の公的債務−筆者︶は国家の領域
正当である。さらに、国家のすべての資源が債務の支払
拠を構成している。衡平は、﹁継続性の原則﹂の厳格な
とである。
いに充てられているのであって、国家がその領域の一部
適用を緩和する機能をはたしていると同時に、法的義務
全体の利益のために負ったものである。今日分離した地
とともに資源の一部を喪失するとき、その債務の相当す
の内容は衡平の要請と一致している。
の﹁対人的﹂︵電篶o畠一︶性質が強調される。たとえぱホ
する見解によれぱ、国家の継続性の原則に加えて、債務
③先行国の債務の一部を負担する後継国の義務を否定
る部分を免除されなけれぱならない。もしそうでないと
すれば、その領域および人昆の大部分を喪失しながらそ
のすべての義務を負担し続ける国家は、当該義務を履行
^u︺
することができなくなるであろう。﹂
598
(47) 国家の債務の承継と衡平の原則
として新国家は本国の一般的な債務に対していかなる責
旧国家の契約上の義務を履行するのは依然として旧国家
^些
である⋮⋮。他方、新国家は全く新しい存在である。﹂
務とは全く関係がない。旧国家は消滅したわけではない。
および義務として旧国家が取得した権利およぴ負った義
在は、国家の消滅の場合における推論と同様に、衡平の
ているが、かかる条約のない場合における法的義務の存
であるとする。この問題は通常、条約によって規偉され
対してその償務の一部を負う義務の問題とは別個の問魑
先行国と後継国との間の関係において後継国が先行国に
縮小によって影響を受けるものではないが、そのことと
かに先行国と償権者との間の法偉関係は先行国の領域の
、 、 、 、 、 、 、 、 、 、
在を負うものではないとする。そしてさらに、﹁確かに、
ール︵婁・甲曽葭自︶によれぱ、﹁新国家は、対人的権利
自国か ら 他 の 国 家 が 分 離 し た 国 家 の 償 務 は 一 般 に 両 国 家
れぱならないとする。そして、この場合には、国家の消
考慮だけでは十分でなく国家慣行によって立証されなけ
滅の場合とは異なり、後継国が先行国の債務の一都を負
^M︶
担する確立した慣行は存在しないとしている。
、 、 、 、 、 、 、 、 、 、
の間で、償権者に対する正義の問趨として両国家各々の.
債務を負っている国家の縮小によって償権者の保証価値
資源に比例して分割されるぺきである。償権者に対して
が影響をうけないということは稀であるからである。し
る。﹂とのべている。かかる見解によれぱ、﹁国家の継続
国 家 の一般的債務が対 人 的 義 務 で あ る と い う 事 実 は 残
基礎づけていた衡平は、主意主義的法実証主義の台頭と
する法的義務は否定される。かかる法的義務を正当化し
における先行国と後継国との間における債務の分割に関
淵源とするかかる見解にしたがって、部分的承継の場合
法と道徳︵衡平︶の峻別および国家意思を法の唯一の
性﹂の原則およぴ﹁債務の対人的性質﹂に基づいて後継
ともに、その重要な地位を失うに至る。にもかかわらず、
かしその義務は道徳的義務であって法的義務ではない。
国の法的義務を否定する一方で、衡平およぴ正義に基づ
法的義務を否定するかかる見解にあっても償務の分割が
配分的正義に合致することについてはほとんど普遍的に
、 、
^暮
く義務は単に﹁道徳的﹂義務にすぎないとするものであ
るo
認められてきたということができる。いずれにせよ、償
^”︶
他方、カブァリエリは同様の基礎に依拠しながら、確
5.
99
第92巻 第5号 (48)
一橘諭叢
務の分割に関する法的義務の存在に関して見解が対立し
ている状況において、ウィーン条約はこの問魍に対して
^ 1 6 ︶
衡平の原則を適用することが適当であるとしたというこ
とができる。
︵1︶ ]ガ ■o 句〇一...Oケ﹃o目︸ρ自o ︷耐叩 ︷芭岸m −目8﹃目瞠斤−O自p自メ、1
勺.so1
勾篭§鷺ミ§“きミo軋こミミ§§§ξミ§“さ一・α︵崖8︶一
︵2︶曇P
︵3︶ρ9室一bS§一ここ.§§きニミ婁8§婁。婁
︵4︶>.O睾屯葦一、畠昌冒ユ身曇ま二旨嘗品弩9訴爵
︵も宝︶一り弓.少旨−宝1
眈昌蓋量一篶詠言昌岸o﹃−邑ρ、﹂ミs§︸§き“、−婁ミミきミo良
ぎ膏§ミ︷§富卜6嵩一く〇一−一二〇.H遣.
︵5︶ 不当利得の法理をコンセツシ目ンに適用したジデール
によれば、先行国に対する償権者の権利は、償権者と契約
を締結したのでもなく先行国を承継したのでもない後継国
に対して対抗しえない。しかし、償椀者が先行国に貸与し
た金額を完全に喪失するという解決は認められない。後継
国は債権者が貸与した金額に関して償権者を犠牲にして利
得を得ているのであって、それゆえ償権者に対して不当
な利得を返還する義務が後継国に生じるとしている。Ω・
9忌ポoや9叶二勺勺loo.1−o9−亀1ごρ
︵6︶ U一市一〇、Oo目目o昌一9ミ雨吻s§8包osぎミミs膏膏ミト篶毫
§ミ、ミ冊§ミざミミトs§くo−ーゲ︵ss︶一や8ooI
︵8︶ 国際法協会の新国家の承継に関する委貝会︵特別報告
︵7︶曇戸竃−塞①1N貝讐ひー
者はオコンネル︶は一九七〇年に国家承継と公償に関する
ω冨註目o鼻の中で、﹁不当利得の概念は、先行国の償務に
関して後継国の義務を創設することにおいて役割をはたし
る全部的承継︵8冨−豊8鶉色昌︶の場合、およぴ債務の償
てきた。この役割をはたしているのは、債務契約が消滅す
承継︵o胃“邑豊8寓乱o目︶の場合においてである。法的に
還に対する貢献に関して後継国の参加が要請される部分的
場合やシチ^エイシ目ンの衡平︵o︷巨窃︶が受益者と潜在
は不当利得の概念は、生じた事件によって契約が消滅する
要とする場合のように、二当事者の間の正式の法偉関係の
的利益喪失者との間に新しい法律関係を創設することを必
消滅があるときに用いられる。﹂とのぺている。︵H鼻亀畠.
盲ミミ§“軸ミミ§雨、s︷ミ雨一HoN〇一勺、Hoo〇一︶オコンネルは一
匡o轟−■顯婁>窒8ぎ戊昌一射患oミ♀§軸、§㌔oミ§oos.
九六七年の著作の中で、﹁既得権の法理およぴその系であ
る不当利得の法理は後継国と先行国との間では機能しない
するものではない。﹂とのぺている。︵U.勺.O,Oo⋮竺一〇勺、
ので、それらは部分的承継の場合に生じる問題の決定に資
○ダPω8一︶にもかかわらず、一九七〇年の国際法協会の
m冨冨冒g“においては不当利得の法理が部分的承継の場合
における償務の分割の問魑にも機能してきたとしているが
600
(49) 国家の債務の承継と衡平の原則
それがいかなる理菌によりどのような推諭にしたがって、
その時まで属していた国家の公償の相当する部分を引き受
先例にもかかわらず、領域の譲受国が当然に、当該領域が
務の存在を否定した。︵da叶&2串巨o冨一司患ミ旨.♀−ミミー
ける義務があるということはできない。﹂とのぺて法的義
先行国と後継国との間の債務の分割の閲魍に適用されうる
のか明らかでない。
§ミ§ミ﹂きミミ﹄§ミ軋“くo−1−−や亀ω’︶
︵9︶ 不当利得の法理を支持しているものとして、Ω.Uき貝
﹁ミぎミ篭ミ くo−−一︵6㎞oo︶一勺やζN1曽H.︸勾雲8一
当の原則を適用する厳格な義務を負っているという意味に
他方、−葭・ミ・く胃昼−は、﹁なるほど、二関係国が割
︵10︶ 月ミー由嘗8打更雨§軸ミ県Hミミ§ぎ§︸卜s蔓§軋
b§忌︸ミミ§ミ§ミ、ミ︸§一卓艘&1︵一漂oo︶一や−㎞o。.
ることは難しい。両国はそれを望むならぱ、問題を別の仕
おける命令的規則︵昌昌註3︷昌一〇︶の一般的承認を認め
在するとする。︵ρUき目一〇甲睾。一勺.旨OO。︶
に対する適当な補償の衡平義務︵望⋮腎9け唱嘗O葦︶﹂が存
は、後継国に対して単に履行の義務ではなくて、﹁債櫨者
域の一部の喪失によって返済能カを喪失するような場合に
︵U.︸。O,O昌竃戸8,o戸o.8o.︶ダームは債務国が領
関する﹁笑定国際法の規則が凝固の過程にある﹂とする。
〇・ミ・︶オコンネルは最近の慣行によれぱ、債務の分割に
§ぎ§、卜sεざミ芝oこoミ、ミ屯§き“き一.<H︸︵5ミ︶一
とのぺて、補充規則としての承継義務を主張する。︵−ミミ・
般規則に基づいて適用される考えられなけれぱならない。﹂
一般的債務の分割の原則は私の考えでは、慣習国際法の一
定のない場合には、譲渡国と譲受国との間における国家の
方で自由に規律することができる・:⋮。しかし、反対の規
卜S§県ミ、ミ︵一〇09︶一勺18一︸吊﹃邑−R−勾O忌艮﹃§ミ
NN餉
§ミoミぎ膏§sミ§ミ“ミミぎくo−.−︵一〇〇〇。㎞︶一勺勺1∼ミー
︵11︶ 戸>邑ぎ丑、>⋮o辻昌一8邑昌一9oo昌o∋σ晶ヨo鼻
ま冨昌岸Oざ蜆..>1箒■岩﹃邑9Φ彗O﹄.−勺.峯σξ呉
勾喜ミδミ耐ききo註“ミミミミ︸§具さ−lH︵宅s︶一、.㎞o0N.
︵12︶ 冬.向−■昌一\ミ§募舳§−ミ軸§ミ︸§ミト宮§oo艘
︵13︶ 旨鼻一り.二ひ−
&.︵岩塞︶一勺−一云.
︵14︶ >一〇印く匝o目旨0H一〇〇1o岸’勺勺.NHω1N−N.
︵”︶ オコンネルによれぱ、配分的正義は普遍的に認められ
てきたが、いかなる塞準にしたがって償務を分割するかと
いう困難な問題が一貫した憤行の発展を妨げ、挙説の相違
を生ぜしめてきたとする。b。︸.O,O旨冨戸毛.葦。や
︵16︶ オットマン公償事件において伸裁人向、田o邑は一九
ω 8 .
二五年四月一八日の判決において、﹁・⋮:すでに存在する
60j
第5号 (50)
第92巻
一橘論叢
るように思われる。条約上の規定はかかる問題に適用さ
れる法の規則として衡平の原則に送致している。その場
合における衡平の原則は償務の分割の方法または手段と
四 おわりに
債務の承継の閲題において適用される衡平の原則の内
して適用されている。
ω債務の承継法において衡平のはたしている機能は、
容および機能を明らかにするために、これまで、ウィー
ン条約および従来の主要な学説を検討してきたが、最後
義務の存在の問題に関連して一定の役割をはたしてきた
は、衡平の考慮は先行国の債務を承継する後継国α法的
ω前述のように、債務の承継に関する法理論において
負担を全く引き受けないということの不衡平、﹁先行国
ぴ利益のすべてまたは一部を取得しながら、その償務や
る。すなわち、それは後継国が先行国の財産、権利およ
的な効果を緩和するというものであるということができ
一定の原則や観念の適用の結果生じる不衡平または被壊
ということができる。そこでは、衡平は法と一致あるい
﹁債務の対人的性質﹂といった原則や観念の適用の結果
の主権と後継国の主権との間の断絶﹂、﹁国家の継続性﹂、
に若千の論点を指摘するにとどめる。
は峻別され、または法によって保謹されるものとして、
生じる不衡平、たとえぱ主権の変更それ自体によって債
、 、 、 、 、
、 、
かかる問題の法的推論過程において密接な関わりをもっ
てきた。この意味において、衡平は債務の移転または分
権者の権利が消滅するという不衡平、あるいは領域の一
とするものであるということができる。
との間において利益と損失との均衡または調和を図ろう
平は先行国と後継国との間または後継国と償権者︵国︶
正しようとするものである。そうすることによって、衡
部を喪失した国に過重な負担を課する不衡平を緩和し是
割に関する法的義務の存在の問題の議論と不可分に結ぴ
ついてきたということができる。
よりもむしろ、法的義務の存在が認められた結果生じる
則はそのような法的義務の存在にかかわっているという
㈹債務の承継法における衡平の原則の適用の要請は、
他方、ウィーン条約において用いられている衡平の原
先行国と後継国との間または複数の後継国の間における
、 、 、 、 、
債務の分割の規準の問題により一層密接にかかわってい
602
(51)国家の償務の承継と衡平の原則
常設仲裁裁判所が一九五六年のギリシアとフランスとの
の多様性は、法の規則の厳椿かつ画一的な適用にはなじ
^1︺
まないという観念に基づいているということができる。
また、主権め変更およびそれによツてもたらされた事臨
る衡平の原則は、まさにかかる意味において用いられて
○亘oであるということができる。ウィーン条約におけ
求める衡平の原則は、その意味において窄曇奏?ぎ−
合もあればそうでない場合も起こりうるであろう。関係
態やその態様および債務の性質により異なるであろう。
ある事情として考慮されるべき要素は、主催の変更の形
ω衡平の原則にしたがい、特定の場合において関連の
いると思われる。
当事者に対してかかる考慮にしたがって行動することを
間のオヅトマン帝国灯台コンセヅシ目ン事件において、
﹁一定の場合の本質的要素には完全に適当な解決が、他
の場合の本質的要素に対しては全く不適当であるという
ことがありうる。領域的承継の想像しうるあらゆる場合
に対して、一般的かつ同一の解決を定式化することは不
海大陸棚事件において、﹁実際上、国々が衡平手続の適
また、債務の分割の閥題に関しては、後継国が領域の取
このような理由から、債務の移転および分割の問題に適
用を確実にするため考慮すべき事柄に法的限界はない。
可能であり、かかる同一の解決を定式化するいかなる試
用される衡平の原則はそれゆえ、具体的ケースにおける
そして多くの場合、この結果をうみだすのは、一つの事
得により得た利益、譲渡地の負担能カ、あるいは譲渡国
関連のあるすべての事情を考慮し、その調和を図ること
柄に他のすべてを排除して依拠するよりも、むしろその
みも、この種のケースの極端な多様性のゆえに、必ず失
?︶
敗するにちがいない。﹂とのべているのは、かかる見解
を必要とする。そうすることが問題のより衡平な解決に
ような、いっさいの考慮すべき事柄の均衡をとることで
これらの諸要素を勘案するうえで、国際司法裁判所が北
達することができると考えられるからである。したがっ
ある。さまざまな考慮すべき事柄に与えられるべき相対
や新国家の支払い能カ等のさまざまな要素が考えられる。
て、たとえぱ同じ領域の一部の移転の場合であっても、
的ウェiトの間題は、当然その場合の事情に応じて変
を反映しているものであるということができるであろう。
事情に従って後継国が先行国の債務の一部を負担する場
603
第92巻 第5号(52)
一橋論叢
?︺
る。Lとのべたことは、債務の承継の間題においてもそ
のまま妥当するものと思われる。
︵1︶ ヴェルジェーユによれぱ、﹁私としては、現象の厳椅に
法的な構成に対するかかる試みに大きな重要佳を認めるこ
、
平およぴ善﹄︵§喧§§ミざ§§︶、誠実︵o目oa岸−旨︶、の
、 、 、 、 、
とはできない。私の考えでは、当該現象はより簡単に﹃衡
することができる。﹂とのべている。﹄。戸峯.<胃皇ポoや
一般的なかつ一般に認められた老慮によって説明し正当化
㈲衡平の原則に基づいて考慮されるべきさまざまな要
素の均衡を図ることは、第一次的に、関係当事者の交渉
︵山形犬学助教授︶
ージo
︵3︶ −OH弟意ミδ宅S一や8■皆川洗﹃前掲書﹄三九七ぺ
﹄§ミき■<o−.曽一、㍗5N1岩oo.
︵2︶O睾&髪巨昌眈一昂患ミ膏県−§§き§・、ミミミ
o−F弓や阜N1#ω一
と合意に属する事項である。何が関連のある要素であり
重要な要素であるかを最もよく知りうる立場にあるのは、
関係当事者であるからである。それゆえ、衡平の原則に
基づく債務の承継の問題の解決は関係当事者の交渉と合
意によって達せられなけれぱならない。
604