親の介護に対する40・50代の不安と準備

Report
親の介護に対する40・50代の不安と準備
― 親の世帯形態・親の住まいとの距離による違い ―
上席主任研究員
水野 映子
目次
1.はじめに························································································································································ 12
2.親の介護に対する不安 ·························································································································· 13
3.親の介護に対する準備 ·························································································································· 17
4.おわりに ························································································································································ 20
要旨
①40・50代を対象に実施した調査の結果を用い、自分の親の介護に対する不安と準備の状
況について、親の世帯形態、および親の住まいとの距離(親の家への移動時間)による
違いを分析した。
②親に介護が必要になったと想定した場合に不安を感じる割合は、「介護を必要とする期
間がどれくらいになるかわからないこと」をはじめとする11項目すべてにおいて半数を
超えている。親の世帯形態別にみると、親が夫婦2人暮らし、または1人暮らしの場合
の不安が特に高い傾向にある。
③「親を介護するために親の家に通うのが大変なこと」「親に何かあった時にすぐにかけ
つけられないこと」に不安を感じる割合は、親の家への移動時間が長い人、すなわち親
の家が遠い人ほど高く、移動に1時間以上かかる人でそれぞれ8割前後を占める。
④自分の親の介護に対して親と話し合うなどの準備を行っている割合は全体的に低い。親
の世帯形態別にみると、親が夫婦2人暮らしの場合、および他の家族と同居している場
合において、準備を行っていない割合が特に高い。
⑤「親に、介護が必要になったときのための経済面での準備をするよう促している」「介
護の方法や介護される場所についての親の希望を知っている」などの割合は、親の家へ
の移動時間が長い人でやや低い傾向にある。親の家との距離が、介護に関する親とのコ
ミュニケーションに影響していると考えられる。
⑥社会的には「遠距離介護」を行う人に対する支援を拡充すること、個人的には親の介護
に備えて日頃から親とコミュニケーションを図ることなどが課題といえる。
キーワード: 世帯形態、遠距離介護、別居介護
第一生命経済研究所 ライフデザイン研究本部
Life Design Report
Winter 2015.1
11
Report
1.はじめに
(1)背景と目的
介護を必要とする人がいる世帯の単独化や核家族化が進んでいる。厚生労働省の「国
民生活基礎調査」
(図表1)によると、2001年から2013年の間に、要介護者等(ここで
は介護保険法の要支援または要介護と認定された者のうち在宅の者)のいる世帯のう
ち、
「三世代世帯」の割合は約14ポイントも減り、代わりに「単独世帯」の割合が約12
ポイント、
「核家族世帯」が約6ポイント増えている。このことは、要介護者等を家族
で介護しようとした場合、別居家族、あるいは少ない同居家族が介護を担わざるを得
ないことを示している。また、要介護者等のいる世帯の約半数を「高齢者世帯」が占
めているというデータは、たとえ要介護者等に同居者がいても、その同居者が高齢で
あることにより介護に十分携われない可能性が高いことも示唆している。
このような現状を背景に、別居家族による介護、中でも遠方に住む家族による介護、
いわゆる「遠距離介護」の負担は、介護をめぐる大きな問題のひとつになっている。
そこで本稿では、40・50代の男女を対象に実施した調査(後述)の結果を用い、親の
介護が身近になるこの年代の人、特に親と離れて暮らす人や1人暮らし・夫婦2人暮
らしの親を持つ人が、介護に対してどのような不安を感じ、そして準備を行っている
かに着目する。
図表1 要介護者等のいる世帯の構成割合の推移(世帯構造別)
(単位:%)
単独世帯
核家族世帯
15.7
20.2
24.0
26.1
27.4
29.3
30.4
32.7
31.4
35.4
2001年
2004年
2007年
2010年
2013年
(再掲)夫婦
のみの世帯
18.3
19.5
20.2
19.3
21.5
三世代世帯
その他の
世帯
(再掲)
高齢者世帯
32.5
29.4
23.2
22.5
18.4
22.4
20.0
20.1
20.1
18.7
35.3
40.4
45.7
47.0
50.9
注 :「高齢者世帯」とは「65歳以上の者のみで構成するか、またはこれに18歳未満の未婚の者が加わった世帯」
資料 :厚生労働省「平成25年 国民生活基礎調査」
(2)分析の方法
本稿で分析に用いるデータは、第一生命経済研究所が実施した「40・50代の不安と
備えに関する調査」
(以下参照)である。なお、この調査の介護以外の分野の結果につ
いては、『Life Design Report』2014年10月号においても紹介している。
・調査対象:全国の40・50代男女3,376名
・調査方法:株式会社クロス・マーケティングのモニターを用いたインターネット調査
・調査時期:2013年11月
12
Life Design Report
Winter 2015.1
第一生命経済研究所 ライフデザイン研究本部
Report
本稿で分析軸としたのは、親(以下で「親」という場合、自分の親、すなわち実親
を指す)の世帯形態と、親の家への移動時間の2つである。図表2には、それぞれの
回答者数と構成割合を示す。
「親の世帯形態」は、親が回答者と同居している場合を「自分と同居」、別居してい
る場合を「自分と別居」とした。さらに、回答者と別居している場合には、両親また
は片方の親が自分以外の家族と住んでいる場合を「他の家族と同居」、両親が2人で暮
らしている場合を「夫婦2人暮らし」、片方の親が死去しておりもう一方の親が1人で
暮らしている場合を「1人暮らし」と分類した。
また、自分の家から別居する親の家まで移動する際に、最も速い移動手段を使った
場合にかかる時間を「親の家への移動時間」とした。
図表2 親の世帯形態、親の家への移動時間
(上段の単位:人、下段の単位:%)
親
の
世
帯
形
態
親
移
の
動
家
時
へ
間
の
自分と同居
562
16.7
両親または片親が健在
自分と別居
他の家族と
夫婦
1人暮らし
同居
2人暮らし
678
852
509
15.1
20.1
25.2
15分
未満
428
12.7
15分
以上
30分
未満
256
7.6
30分
以上
1時間
未満
327
9.7
1時間
以上
3時間
未満
488
14.5
その他
(注)
309
9.2
両親とも
死去
466
13.8
3時間
以上
540
16.0
2,039人(60.4%)
2,910人(86.2%)
3,376人(100.0%)
注:親が施設に入所している場合や両親同士が別居している場合は「その他」とした。本稿における親の世帯形態別
の分析、および親の家への移動時間別の分析では「その他」を省略した。
2.親の介護に対する不安
両親とも死去した人以外、すなわち両親または片親が健在な人に対し、親に介護が
必要になったと想定した場合に、不安をどの程度感じるかたずねた。図表3で不安(「非
常に不安」+「やや不安」)と感じる割合をみると、「介護を必要とする期間がどれく
らいになるかわからないこと」が75.8%で最も高く、次に「介護施設を希望しても入
れないこと」
「親が望む方法で介護できないこと」が7割前後を占めている。それ以外
の項目においても、不安を感じる割合は半数を上回っており、親の介護に対する不安
の高さがうかがえる。
第一生命経済研究所 ライフデザイン研究本部
Life Design Report
Winter 2015.1
13
Report
図表3 親の介護に対する不安
0
20
介護を必要とする期間がどのくらいになるか
わからないこと
40
60
28.7
47.1
25.6
介護施設を希望しても入れないこと
親が望む方法で介護できないこと
17.3
必要な介護サービスを十分に受けられないこと
16.7
介護の方法や制度に関する情報が
十分に得られないこと
16.3
69.7
48.6
65.3
45.4
65.2
46.7
20.0
自分の時間が減ること
71.1
52.4
17.9
自分以外に家族や親戚で介護できる人が
いないこと
75.8
45.5
19.8
親が望む介護の方法がわからないこと
80 (%)
64.5
40.8
60.8
44.2
60.4
親を介護するために親の家に通うのが大変なこと
22.3
33.5
55.8
親に何かあった時にすぐにかけつけられないこと
22.8
32.8
55.6
親が介護サービスを受けることや
介護施設に入ることを嫌がること
13.5
40.4
非常に不安
53.9
(n=2,910)
やや不安
注:この他の選択肢には「あまり不安ではない」「まったく不安ではない」がある
次に図表4には、不安を感じると答えた割合を、親の世帯形態別に示す。
「親を介護
するために親の家に通うのが大変なこと」
「親に何かあった時にかけつけられないこと」
に不安を感じる割合は、当然ながら親が自分と同居している場合より別居している場
合でかなり高い。
「自分以外に家族や親戚で介護できる人がいないこと」に不安を感じる割合は、親
が他の家族と同居している場合に比べて、親が自分と同居、親が夫婦2人暮らし、1
人暮らしの場合で高い。親が自分以外の家族と暮らしていればその人を頼りにできる
が、それ以外の場合には自分だけが介護を担わなければならないかもしれないという
懸念がかなり大きいと考えられる。
これら以外の項目における親の世帯形態による差はさほど大きくないが、親が自分
か他の家族と同居している場合に比べると、親が2人暮らしか1人暮らしの場合に不
安を感じる割合がやや高い傾向にある。親が他の誰かと一緒に生活している場合より、
親だけで生活している場合のほうが、より不安が大きいことがわかる。
14
Life Design Report
Winter 2015.1
第一生命経済研究所 ライフデザイン研究本部
Report
図表4 親の介護に対する不安(親の世帯形態別)
0
20
40
60
80 (%)
71.9
介護を必要とする期間がどのくらいになるか
わからないこと
74.5
79.7
79.6
70.3
介護施設を希望しても入れないこと
69.8
73.1
75.0
68.0
親が望む方法で介護できないこと
68.4
72.2
73.1
64.6
必要な介護サービスを十分に受けられないこと
64.3
68.1
66.6
63.3
介護の方法や制度に関する情報が
十分に得られないこと
63.4
69.1
65.8
61.9
親が望む介護の方法がわからないこと
64.6
67.6
66.6
66.0
自分以外に家族や親戚で介護できる人が
いないこと
48.1
66.9
64.6
62.6
自分の時間が減ること
57.4
59.5
64.2
21.5
親を介護するために親の家に通うのが大変なこと
(注2)
58.7
67.6
69.9
26.9
親に何かあった時にすぐにかけつけられないこと
58.0
64.4
69.0
53.0
親が介護サービスを受けることや
介護施設に入ることを嫌がること
54.0
56.7
54.2
自分と同居(n=562)
他の家族と同居(n=678)
夫婦2人暮らし(n=852)
1人暮らし(n=509)
自分と別居(n=2,039)
注1: 「非常に不安」「やや不安」と答えた割合の合計
注2: 親が自分と同居している場合にも「親を介護するために親の家に通うのが大変なこと」に不安を感じると答え
た人がいる理由としては、将来親が自分と別居した場合を想定したことなどが考えられる
第一生命経済研究所 ライフデザイン研究本部
Life Design Report
Winter 2015.1
15
Report
次に図表5には、別居している親の家への移動時間別に、親の介護の不安に関する
一部の項目を分析した結果を示す。
「親を介護するために親の家に通うのが大変なこと」と「親に何かあった時にすぐ
にかけつけられないこと」に不安を感じる割合は、どちらも移動時間が長い場合のほ
うが高い。特に、親の家に行くまで1時間以上かかる場合は、8割前後の人がそれぞ
れの不安を感じている。
「親が望む介護の方法がわからないこと」と「親が望む方法で介護できないこと」
に不安を感じる割合は、前述の2項目ほど親の家への移動時間による差はないが、移
動時間が30分以上の場合でやや高い。親の近くに住んでいない人は、親の介護に対す
る希望を知る機会が少なく、またその希望を知らないために希望を果たせないという
不安も持っていると考えられる。
図表5 親の介護に対する不安(親の家への移動時間別)
(%)
90
(%)
90
84.8
78.1
80
80
75.2
78.0
72.3
73.0
67.4
68.0
76.0
70
70
68.0
65.2
67.3
67.9
60.2
60
60
64.5
62.1
54.7
50
50
41.6
43.4
40
40
親を介護するために親の家
に通うのが大変なこと
34.1
30
親が望む方法で介護できないこと
30
親に何かあった時にすぐに
かけつけられないこと
親が望む介護の方法がわからないこと
20
20
15分
未満
(n428)
15分
以上
30分
未満
(n=256)
30分
以上
1時間
未満
(n=327)
1時間
以上
3時間
未満
(n=488)
3時間
以上
(n=540)
15分
未満
(n428)
15分
以上
30分
未満
(n=256)
30分
以上
1時間
未満
(n=327)
1時間
以上
3時間
未満
(n=488)
3時間
以上
(n=540)
注:「非常に不安」「やや不安」と答えた割合の合計
16
Life Design Report
Winter 2015.1
第一生命経済研究所 ライフデザイン研究本部
Report
3.親の介護に対する準備
では、親の介護に対してどの程度の準備を行っているのだろうか。介護に関する家
族間コミュニケーションという視点での準備について尋ねた結果を図表6に示す。
あてはまる(「あてはまる」+「ややあてはまる」)と答えた割合は「親に、介護予
防のための体力・健康づくりを促している」が33.1%で5項目の中では比較的高い。
だが、
「親に、介護が必要になったときのための経済面での準備をするよう促している」
や、介護の担い手についての話し合いに関する項目である「親の介護を誰がするのか
について、親と話し合っている」
「親の介護を誰がするのかについて、他の家族と話し
合っている」にあてはまると答えた割合はそれぞれ2割強である。裏を返せば、8割
近くの人はこれらの準備を行っていない。
また、「介護の方法や介護される場所についての親の希望を知っている」割合も
24.5%と低い。前章でみたように「親が望む介護の方法がわからないこと」
「親が望む
方法で介護できないこと」に不安を感じる人はそれぞれ3分の2前後(64.5%、69.7%)
を占めたが、そもそも介護に関する親の希望を実際に十分知っている人は多くないこ
とがわかる。
図表6 親の介護に対する準備
0
親に、介護予防のための
体力・健康づくりを促している
親に、介護が必要になったときのための
経済面での準備をするよう促している
10
20
5.3
4.0
介護の方法や介護される場所などに
ついての親の希望を知っている
4.9
親の介護を誰がするのかについて、
親と話し合っている
4.7
親の介護を誰がするのかについて、
他の家族と話し合っている
4.9
30
40 (%)
33.1
27.9
20.7
16.8
19.6
24.5
17.9
22.7
16.4
(n=2,910)
21.3
あてはまる
ややあてはまる
注:この他の選択肢には「あまりあてはまらない」「あてはまらない」がある
次に図表7には、それぞれの項目にあてはまると答えた割合を、親の世帯形態別に
示す。「親に、介護予防のための体力・健康づくりを促している」「親に介護が必要に
なったときのための経済面での準備をするよう促している」
「介護の方法や介護される
場所についての親の希望を知っている」
「親の介護を誰がするのかについて、親と話し
合っている」割合は、いずれも親が自分と同居、1人暮らしの場合に比べ、夫婦2人
暮らしか他の家族と同居している場合で低い。親が自分と一緒に住んでいるか1人暮
第一生命経済研究所 ライフデザイン研究本部
Life Design Report
Winter 2015.1
17
Report
らしだと、介護に関して親と何かとコミュニケーションを行うが、親に他の同居者が
いるとその人に任せがちになると思われる。
また、親が夫婦2人暮らしの場合は「親の介護を誰がするのかについて、他の家族
と話し合っている」割合も低い。両親がまだ健在であるために、介護が身近になって
おらず、介護について話し合う機会も少ないと考えられる。だが前章でみたように、
親が夫婦2人暮らしの場合の介護に対する不安は高い。どちらかの親に介護が必要に
なる前に、親自身や他の家族とのコミュニケーションをもっと図っておく必要がある
といえる。
図表7 親の介護に対する準備(親の世帯形態別)
0
10
20
30
40(%)
37.7
親に、介護予防のための
体力・健康づくりを促している
29.6
30.9
37.9
22.6
親に、介護が必要になったときのための
経済面での準備をするよう促している
17.1
18.0
23.0
27.6
介護の方法や介護される場所などに
ついての親の希望を知っている
20.9
20.4
27.5
22.8
親の介護を誰がするのかについて、
親と話し合っている
18.6
21.5
24.8
19.4
親の介護を誰がするのかについて、
他の家族と話し合っている
22.4
16.2
22.8
自分と同居(n=562)
他の家族と同居(n=678)
夫婦2人暮らし(n=852)
自分と別居(n=2,039)
1人暮らし(n=509)
注:「あてはまる」「ややあてはまる」と答えた割合の合計
18
Life Design Report
Winter 2015.1
第一生命経済研究所 ライフデザイン研究本部
Report
図表8には、それぞれの項目に対してあてはまると答えた割合を親の家への移動時
間別に示す。
「親に、介護が必要になったときのための経済面での準備をするよう促し
ている」
「介護の方法や介護される場所についての親の希望を知っている」割合は、移
動時間が長い、すなわち親の家まで遠い場合のほうが低い傾向にある。また、「親に、
介護予防のための体力・健康づくりを促している」割合は移動時間が15分未満の場合
に比べて15分以上の場合で低く、
「親の介護を誰がするのかについて、親と話し合って
いる」割合も移動時間が15分以上の場合のほうがわずかながら低い。親の近くに住ん
でいない人は、介護について親と話をしたり親から話を聞いたりする機会が少ないと
いえる。親との物理的距離が、介護に関する親とのコミュニケーションに影響してい
ると思われる。
図表8 親の介護に対する準備(親の家への移動時間別)
(%)
40
(%)
40
37.1
32.4
30.3
29.7
31.1
30
30
25.2
24.6
21.4
24.1
22.7
20
22.7
17.7
20
21.1
18.7
21.1
19.2
18.1
21.9
21.5
21.5
19.3
21.1
18.0
19.1
15.6
10
10
0
0
15分
未満
(n428)
15分
以上
30分
未満
(n=256)
30分
以上
1時間
未満
(n=327)
1時間
以上
3時間
未満
(n=488)
3時間
以上
(n=540)
親に、介護予防のための体力・健康づく
りを促している
介護の方法や介護される場所などにつ
いての親の希望を知っている
親に、介護が必要になったときのための
経済面での準備をするよう促している
15分
未満
(n428)
15分
以上
30分
未満
(n=256)
30分
以上
1時間
未満
(n=327)
1時間
以上
3時間
未満
(n=488)
3時間
以上
(n=540)
親の介護を誰がするのかについて、
親と話し合っている
親の介護を誰がするのかについて、
他の家族と話し合っている
注:「あてはまる」「ややあてはまる」と答えた割合の合計
第一生命経済研究所 ライフデザイン研究本部
Life Design Report
Winter 2015.1
19
Report
4.おわりに
40・50代の人の多くは、自分の親の介護に対してさまざまな不安を抱えている。特
に親と遠く離れて暮らす人は、親に介護が必要になった際に親元に行きにくいという
不安を感じている。
「遠距離介護」を行う人に対する支援の拡充が、今後のより大きな
社会的課題になると考えられる。
ただし、親と一定以上離れて住む人は、親に介護に関する希望を聞いたり、準備を
促したりしない傾向にある。親と直接会って話すことが難しくても、例えば電話やメ
ールといった通信手段を用いて日頃から親との密なコミュニケーションを図っておく
など、個人のレベルで親の介護に備えることも必要である。
また、親と別居している人の中では、1人暮らしまたは夫婦2人暮らしの親をもつ
人の介護に対する不安が高い。にもかかわらず、親が夫婦2人暮らし、すなわち両親
が一緒に住んでいる場合、子どもが親の介護に対する準備を行っている割合はとりわ
け低い。両親が健在なうちから、介護に関する希望を聞くなどの準備を始めることも
重要といえる。
一方、親と同居している人は、自分以外に親を介護できる人がいないという不安を
より感じているが、介護の担い手について他の家族と十分には話し合っていない。将
来親に介護が必要になった際にその同居家族だけが抱え込まないようにするためには、
同居家族と別居家族が話し合っておく必要もあるだろう。
(研究開発室
20
Life Design Report
Winter 2015.1
みずの えいこ)
第一生命経済研究所 ライフデザイン研究本部