名古屋禅会の歩みとこれから ・・・広瀬 自観

もなく、天気にも恵まれ、作務も大いに進んだ参加者にはそれぞれ有意義
な摂心会であったと思われる。
合掌
■著者プロフィール
坂本法燈(本名/倫城)
昭和24年生まれ。東京大学法学部卒。元大阪高等裁判所判
事。昭和52年人間禅小野円照老師に入門。現在,人間禅布
教師。(関西支部)
<支部・禅会だより>
名古屋禅会の歩みとこれから
広瀨
自観
1.禅会設立に至るまで
名古屋禅会は、平成20年4月から活動を開始した「世界の山ちゃん禅ク
ラブ」の参禅会がその母体となっています。
我々「人間禅」と「世界の山ちゃん」との関わりは、東海道場のある元
洞戸村村長の武藤末彦氏より同村出身で名古屋に本店営業されているオー
ナーの山本重雄会長を紹介頂いたことに始まります。
会長は柔道部の経験より日本の精神性を大切にされていて、「人間禅」
活動にもご賛同頂く事が出来、丸の内店夢道場にて隔週の静座会を行なう
様になりました。
発足当初は責任者の蓑輪清稟居士と山崎法善両居士のもと、近隣在住の
支部員と「山ちゃん広報誌」などからの参加者で若い年齢層も含め常時10
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~15名前後と静座会発足当初としては活気のあるものでした。
一年を経て軌道に乗り、平成21年5月から当時支部担当の葆光庵春譚老
師に御巡錫頂きまして参禅会を催す事へと歩を進めましたが、新到の静座
会員は「山ちゃん」関係者が多く、会場のある所は同店舗の2階という事
もあり週末金・土・日の新参加者は予想した様にはいきませんでした。
ほぼ同時期に前東海第一支部では、岐阜市のサンポー社で、年2回の
社内参禅会と有志による静座会が定期的に開催され、社長や本部長も率先
して「人間禅」の修行研鑽に励まれ、人材育成システムの一環として定着
しつつありました。
それらの進展状況から、老師は今まで手薄であった大都市名古屋での布
教を本格的にすべく、東海地区を洞戸道場拠点の岐阜支部と、名古屋市基
盤の名古屋禅会、三河地方の現東海支部の3支部体制をにらんだ支部名変
更と禅会設立を提示されました。
そこで、道場建立前の経験から、安定した会場確保が自分達の修行と他
への布教、新到者参加面での重要性を肌身に染みて感じていたので、即会
場探しに奔走して、幸いにも都心と駅近くの現会場に出会う事が出来ました。
それは名古屋駅から私鉄4駅目の中小田井駅下車徒歩10分弱の所にある
「善光寺名古屋別院・願王寺」で、略して「願王寺」として案内させて頂
いています。会場も確保出来、以上の経緯を経て、平成23年5月に禅会設
立認可され、禅会長には「山ちゃん参禅会」からの引き続きで若手の山崎
法善居士が任命され、ほかに前東海第一支部のうち愛知県在住の移籍会員
を主体に構成され、名簿上11名で発足しました。
早速、その年の5月20日~23日の日程で、葆光庵春譚老師のご巡錫指導
のもと、連番での第6回名古屋参禅会が開催され、以降、平成26年11月に
は第21回参禅会を剣禅一味参禅会と合同で開催するに至りました。
2.現状について
新しい会場での参禅会は東海支部、岐阜支部のご協力参加もあって、盛
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況な会の運営になっていたと思います。洞戸の東海道場と豊橋での東海摂
心会参加者の繋がりから参禅会には講演会も含むと、毎回20~35名前後の
参加者があり、発足翌年には高齢の方が多かったとはいえ、4名の入会・
道号授与者を得ることができました。
しかし、「願王寺」会場移転直後は、「山ちゃん」での週例静座会を半
年余り引き続き行い、参禅会参加を呼びかけたものの、通勤途上で静座後
の飲み会懇談もできる気軽な「山ちゃんの会」と、静かな環境とはいえ電
車迂回も要するまじめで堅い会とのギャップからか、「山ちゃん」からの
新到者の静座会参加者は2~3名、参禅会は1~2回程度で途絶えて、継
続参加が保てませんでした。静座会・参禅会の会場の移転に伴う連続性に
ついて慎重な配慮と参加勧誘の熱意が欠けていた結果と反省しておりま
す。
その後、高齢の新入会者の中には帰寂されたり、体調不良や家庭事情な
どによる休会者が出たりしましたが、平成25年には活発な復帰会員の移籍
と新しい女性の入会もあって、本年度には新禅会長蓑輪清稟居士をはじめ
として会計人員数が11名となりました。
座禅風景
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その中の一人が、女性の新到者に熱意で禅の良さをアピールし、若手の
仲間作り的な雰囲気も作って、入会まで導くような新たな活躍をしてくれ
ています。
地区静座会として名古屋では「願王寺」で5~6名、東区矢田町公民館
の一室で6~10名程の参加で週例の静座会をしていますが、矢田町は会長
蓑輪清稟居士と東海の高田玄徳居士のコンビで20年ほど黙々と続けて来た
長期実績のあるものです。
昨年の夏、その静座会からと併せて2名が入会されました。少しずつの
進展です。参禅会としては年4回と中部地区互礼会が営弁され、初年度の
金・土・日の3日間の日程から平成25年度には木曜からの4日間となり、
入れ替わりつつではありますが、毎回20~30名前後の参加を得ています。
その内容としては、KUJ講演会の開催とあわせ、埼京支部ご指導のもと
でのホームページの充実で、一般社会人への広報が従来手法では得られな
かった新しい方達の参加増に結びついています。
講演会講師依頼や昨年度の俳句部、今年度は剣道部と、本部皆様方には
まだいろいろとご迷惑をお掛けしながらも、大変お世話になっている現状
です。
3.今後の課題について
禅会内部の事を先に述べますと、禅会に発足して間もなく、今年度初め
には中核会員の転出もあって、未だ組織的運営形態が出来ている状況には
至っていません。その大きな要因は普段活動のできる高齢会員と、厳しい
勤務形態とか、育児も含めた家庭環境などで、若い会員との共通時間の設
定がままならず、普段の活動は4~5名でなんとか凌いでいるのが実情と
いえます。
当禅会の会場は、本堂とは別棟で立地環境も良く、年数回のお寺行事
と相撲部屋が使用する期間を避ければ、櫻井ご住職の禅活動への深いご理
解のもと、3月には翌年度一年間の会場使用の優先予約が出来る大変有り
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難い所です。月例会、週例静座会もほぼ同様に確保出来ています。
隣接2支部の摂心参加もあって日程調整が難しい状況下ではあります
が、是非この会場を有効活用し、年1回は念願の独自の楽しめる企画をし
たりして新会員・新到者の親密を計り、その後の活動の団結心に結びつい
ていければと思っています。
ネット布教面では幸いにも担当皆様方のご指導と、名古屋禅会では比
較的若い40~50代の会員の頑張りで、ホームページを隣接2支部と併せ全
東海として充実させ、二老師のブログ書き込みのお世話も受けて、一応成
功裏にあると思われます。ネットによる新到の方の静座会や講演会の参加
は平成24・25年度で50名ほどになりますが、リピーター率となるとその1
割ぐらいに下がってしまいます。
願王寺静座会ではなんとかそれを上げようと、静座指導だけでなく、
お互いの理解を深め合うべく、1炷香後の休憩時に30分位の茶話会をして
定着を試みていますが、ネット経由の方は1~2回で終わっているのが現
状です。
とにかく、矢田静座会の20年を見習って、まずは静座会員が定着出来る
ような魅力ある会にすることが第一段階で、そこから講演会・参禅会に繋
がれば当然入会率も増え、禅会内活動も自然に活性化すると言う事になる
でしょう。
しかし容易成らざる事皆様ご承知の通りで、それは名古屋という大都会
のわりには、努力不足で若手中堅層の入会増に結びついて居ないことが如
実に物語っています。
とりあえず、例会などで打ち合わせを密にし、お互いの考えを尊重しつ
つ、全員で協力し合って前進する他ありません。
合掌
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■著者プロフィール
広瀨自観(本名/實郎)
昭和20年生まれ。昭和43年千葉大学園芸学部卒。東京にて庭
園実務習得後、元名古屋方面造園会社勤務。主に造園施工管
理業務従事。昭和41年、人間禅白田劫石老師に入門。現在、
人間禅布教師。(名古屋禅会)
『禅』46号正誤表
46号に下記のような誤記がありました。読者の皆様並びに関係各位に謹
んでお詫び申し上げます。
ページ
(編集部)
行
(誤)
表紙
1行目
93頁
奥付、発行年月日
93頁
奥付、発行人
(正)
平成25年 → 平成26年
平成25年 → 平成26年
佐瀨長和 → 久保田勘也
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