Tokyo 049号 Metropolitan University Liaison News 産学公連携ニュース 発行日 2015年1月5日 産学公連携ニュースとは? 「知っておくと役に立つ!」そんな情報をお届けします! いつもお世話になっております。 URA室 研究支援係の長峰です。 研究費不正使用の 事例について 平成26年に文科省の公的研究費の管理・監査の ガイドラインが全面改正されましたが、今回は 研究費不正使用の事例についてご紹介してみたい と思います。 (執筆者) URA室 主任 研究支援係 長峰 亮太 平成26年2月に文部科学省の「研究機関における公的研究費の管理・監査のガイドライン(実施基準)」が全面改正さ れました(http://www.mext.go.jp/a_menu/kansa/houkoku/1343831.htm )。この改正では、全国的に研究費不正使用の事案 が後を絶たないため、今まで以上に厳しい内容が研究者及び研究機関に要求されています。今回は、文科省が各機関のコ ンプライアンス教育用の教材として提供している「研究機関における公的研究費の管理・監査のガイドラインについて (研究者向け)」の中から、研究費不正使用の典型的な事例を3パターンご紹介したいと思います。 ■ 事例1 架空発注と預け金による不正 新聞報道等でも散見されるものですが、研究者と業 者が共謀し、大学から支払われる研究費をプールする というものです。過去の事例を見ると、傾向として不 正額が大きいのが特徴で、平成22年度には科研費の不 正使用に伴い1000万円近くの返還を要求される事例が 複数ありました。 ■ 事例2 謝金による不正 事例2は研究者が学生や研究協力者に対して虚偽の出 席簿等を作成させ、これに伴い、大学から過払いされた 謝金を研究者がプールするというものです。当然のこと ですが、右の例のように、研究者が自分の学生の研究活 動に資するためと考え、善意で資金をプールしても、不 正使用とみなされます。軽微なようですが、平成21年に は100万円以上の返還となった事例もあります。 ■ 事例3 旅費交通費による不正 事例3は旅費交通費に伴う事例です。申請額と実際の購入額と の差額をプールするという単純な不正です。旅費関連では、カラ 出 張、水 増 し 請 求 な ど も 問 題 に な る こ と が 多 い 事 例 で す。 その他、ここでは紹介しきれませんが、研究者と業者が共謀し たカラ発注や、検収済みの物品を業者が持ち帰り、資金はプー ルするなど、不正の事例は様々ですが、多くの不正は個人で完結 するものではなく、何らかの共謀関係が前提になっており、不正を生み出さない風土づくりが重要視されています。 研究費の不正使用は、いずれも社会的に大きな事件として取り上げられるだけではなく、この度のガイドライン改正に 伴い、文科省では不正が発覚した研究機関に対しては「競争的資金の間接経費削減、一律配分停止」なども示唆してお り、JSTにおいてはこれに加え「一定期間契約の相手方としないことがある」と明言しています。 是非、今回のガイドライン改正を、本学において研究費の不正使用を生まない風土づくりのための良いきっかけにして いきましょう。
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