2015年度理事長所信

一般社団法人福山青年会議所
2015年度 理事長所信
Evolution
理事長
小林政嗣
はじめに
約46億年も地球にエネルギーを送り続け、休みなく燃え続ける太陽。誰にでも平等に
光や熱を送り、私たちを活かす絶対的な存在であります。少なくとも地球上で生命が誕生
し、果てしない年月を経た今でも、変わることのない事実でありますし、私はこれからも
その大いなる力であらゆる生命を活かし続けることを信じて止みません。私たち福山青年
会議所は「明るい豊かな社会の実現」を目的とし、我がまちの成長を心から願い、創立時
から変わることなく様々な方法で「成長の機会」をまちに、人々に提供し続けてきました。
時代は移り変われど、地域社会の声に耳を傾け、我がまちを光り輝かせるために活動し続
けることは、これからも私たち福山青年会議所の変わることのない使命だと考えます。
一方で、私たちを取り巻く環境は絶えず変化し、常にその形を変えています。その変化
を察知し、率先して行動することが「明るい豊かな社会の実現」には必須条件であり、私
たちが捉えなければならない最も重要なことなのです。そのために私たちは成長し続けな
ければなりません。変化を恐れず、まずは自分に向き合うことから始めましょう。成長を
勝ち取るために、あらゆる事象から目を背けず自分自身に真摯に向き合うことで、自らが
「明るい豊かな自分」になろうではありませんか。40歳までしかないこの限られた時間
だからこそ、私たち Jaycee は心から成長を願い、その魂を燃やして懸命に生きるのです。
次代への中継役として、自らが輝き周囲を照らす太陽のような存在となり、ともに福山の
未来のために明るく元気に行動してまいりましょう。
福山青年会議所創立55周年
2015年、福山青年会議所は創立55周年を迎えます。創立当初からこれまでの歴史
を振り返るにあたり、多くの先輩方に心からの感謝と敬意を表さずにはおられません。創
立55周年と一口に言っても決して簡単なものではなく、ましてや平坦な道のりはではな
かったのだろうと考えます。我がまちを思うがあまりの激しい議論を交わし、1年1年ご
との真摯な行動の積み重ねがあったからこそ今の福山青年会議所があるのではないでしょ
うか。私たちがこうして青年会議所運動を我がまちに展開できることも、市民、行政と密
接に連携しともに明日の福山のために活動できることも、全ては先輩方が私たち後進のた
めにその伝統を繋げていただいたおかげなのです。私たちはこれまでの歴史や伝統をしっ
かりと捉え、創立55周年という節目にあたり、我がまちに、市民に一丸となって感謝の
気持ちを伝え、次代へバトンを渡せるように責任を持って行動するべきなのです。
また、福山青年会議所は岐路に立っています。公益法人制度改革、第26回国際アカデ
ミーin 福山の開催を経験した今、今後向かうべき方向性についても議論していかなければ
なりません。会員数の減少につきましても大きな問題として、様々な視点から議論を重ね
て改善していかなければなりません。これまで以上に、先輩方が積み上げられてきた想い
をしっかり受け継ぎ、メンバー同士がお互いを敬い認め、市民に賛同されるような Jaycee
を目指し切磋琢磨していくべきなのです。その先にこそ我々が追い求める「明るい豊かな
社会」があると信じ、一丸となって邁進してまいりましょう。
福山市市制施行 100 周年に向けて
これまでの福山市の発展過程を振り返ると、道路交通インフラの整備から山陽、山陰、
そして四国地方を結ぶ文化、産業、交通の要衝地となり、高度経済成長期に重工業に傾倒
し、瀬戸内の臨海工業都市として発展してきたことは周知のとおりであります。その後、
近隣市町との合併が行われ、中国地方第4位の中核都市へと発展を遂げたのであります。
これまで多くの方々の努力で、このまちは飛躍的に発展してきたのです。
2016年7月1日、福山市は市制施行100周年を迎えます。100周年記念事業と
都市ブランド戦略を、我がまちの知名度向上、地域活性化の両輪と捉え、福山市は既に準
備に入っています。そして、我がまちの大きな節目に際し、私たち福山青年会議所も福山
市市制施行100周年記念事業推進委員会のメンバーとして、大きな期待と責任ある立場
を頂いております。福山市が主催する市制施行100周年記念事業の成功に向けて献身的
に参画し、我がまちに存在する団体をして、唯一無二のまちづくりにおけるカウンターパ
ートナーとして貢献してまいりましょう。
真に価値あるまちづくり
2013年、青年会議所の世界組織である国際青年会議所(JCI)は、戦略的中期計画(JCI
ストラテジックプラン)を掲げ、より良い世界を創造するために「JCI アクティブシチズン
フレームワーク」に沿った事業を実施するようキャンペーンを開始しました。このことは
私たちの運動をより明確化するものであり、世界水準でのまちづくり活動を推進している
といえます。地域社会のニーズを分析し、持続可能な課題解決策を企画策定する。また、
市民、諸団体、行政、企業などとパートナーシップを組み、効果的な手法を以って明るい
豊かな社会へと導いていく。正しく私たちの使命であり、深く理解して我がまちに有用な
事業を展開していかなければなりません。
近年、私たちのまちづくり活動は多くの市民、諸団体、行政と協働のまちづくりという
キーワードのもと、主体的仲介者としての役割を果たしながら数々の事業を実施してまい
りました。まちづくりリーダーの育成、福山食ブランドの確立、福山観光資源の掘り起し
と魅力発信をこれまで果敢に行動してきた中で、本年も、より一層思慮深く地域社会のニ
ーズを分析して事業を構築していかなければなりません。以前からクローズアップされて
おりますが、少子高齢化、人口減少問題などを起因とする地域社会における根幹の課題は、
私たちの生活、あるいは経済活動に密接に関わることであります。まちにおいていわゆる
定住人口が減りつつある時代に、昨今は交流人口をいかに増加させるかが地域活性化の鍵
と言われています。我がまちにおいてこの課題に取り組んでいくには、多くの市民のモチ
ベーションを上げ、諸団体、行政、学校、企業とのコラボレーションを現実にする行動と
機会の提供が必要です。今こそ我々Jaycee が福山の未来をかけ、まちが同じ方向を向ける
ような一丸となったまちづくり目標を創造し、持続的に我がまちが輝いていく真に価値あ
るまちづくりを推進してまいりましょう。
本年、4回目となる福の山フォーラムについても、より一層の市民への定着化と我がま
ちの活性化ついて真剣に議論できるように更なる進化を目指します。私たち青年の運動の 1
年の集大成と位置付け、我がまちの未来を見据え、多くの市民に賛同されるような事業と
して確立してまいります。また、我がまち最大の事業でもある「まつり」についても、長
年にわたり多くのメンバーが参画してまいりました。ばら咲き誇る季節、夏、秋と「地域
活性化」というわかりやすい目的のもと、市民、諸団体、企業、行政が一丸となってその
成功を目標とし手を取り合ってきました。我がまち福山ならではのこの「まつり」を地域
社会の変化にも柔軟に対応できるように改めて見直し、市内外から訪れる方々が笑顔溢れ
る満足度の高い事業に進化させてまいります。
国際化がもたらす地域社会の変化を捉える
21世紀を迎えグローバル化が急速に進み、人・モノ・情報などが国境を越えて活発に
行き来しています。我がまちには世界約50か国約7000人の方々が住んでおり、同じ
地域で生活する上で言葉や習慣の違いから生じる課題も少なくないと考えます。2007
年3月策定された「第四次福山市総合計画」の中で、福山市は将来都市像を実現するため
の目標の一つに「市民が世界の人々とともに生きるまち」を掲げています。その目標を達
成するために「国際交流の推進」、
「多文化共生の推進」が求められているのです。
私たち福山青年会議所におきましても、2011年 JCI 会頭の輩出、2013年第26
回国際アカデミーin 福山の開催と、国際の舞台で成長の機会をいただき、経験を積んだお
かげでその重要性を改めて認識してまいりました。世界との交流人口の増加を見据え、我
がまちに国際化がもたらす地域社会の変化を、青年として熱心に調査検討し大胆に行動す
るべきなのです。
また、昨年第1回目を開催いたしましたアジア少年少女国際交流事業 in 福山につきまし
ても多くの市民、学校、企業、行政の皆様にご協力をいただきまして無事に終えることが
できました。子どもの未来を考えた時に、少年少女期に国際の環境に触れることは大変重
要なことと考えております。本年につきましても、国内外のより多くの方々とコラボレー
ションし、昨年得た経験を活かし、更に素晴らしい機会を提供できるような事業として第
2回アジア少年少女国際国流事業 in 福山を実施いたします。
真の国際人を育成しよう
海外に行かれたことがある方は経験したことがあるかもしれませんが、私は海外の方に
君の故郷は何が自慢だと聞かれ、答えに窮したことがあります。語学能力以前の問題で、
我が郷土の誇りを語れるまでに至っていない自分に悔しい思いをしたことがあります。真
の国際人とは、思いやりなど日本人の精神性、故郷を誇りに思う気持ち、そして世界の実
状を知り見識を高めた人にこそふさわしい名称ではないでしょうか。私たち青年会議所の
青少年育成活動の一環である故郷授業は、市民、学校機関、行政に認められるまでに成長
し、多くの小学生をはじめとする少年少女を対象に事業を実施することができました。ロ
ーズマインド、相互理解、そして国連ミレニアム開発目標から世界の実情、これらを学校
の先生ではなく第三者の私たちが教えるということは、子どもたちにとっても興味深いも
のであり、学校関係者の方々にとっても新たな成長の機会になっていると考えます。また、
加速し続けるグローバル化に対応し、恒久的世界平和の実現に資する事業として、本年も
これまで以上に新たな取組みや事業を実施するにあたっての協力関係を検討しながら真の
国際人を育成してまいります。
福山グリーンリーダーズスクールは本年41回目を迎えます。誕生してからこれまで長
きにわたり福山青年会議所を代表する継続事業として位置付けられてきました。青少年育
成事業であるからこそ、その時その時の地域社会の変化に敏感に対応していくべきである
と考えます。激変する情報化社会の中で、本来教えられるべきことを教えられず成長して
しまっている子どもも増えているのではないかと危惧しております。
「5つの心」を基本と
し、規律のしっかりした団体活動の中で次世代リーダーとして成長していただきます。ま
た、近年私たちが得た国際交流のエッセンスも加え、グリーンリーダーズからグローバル
リーダーズへと発展進化させてまいります。世界機関である私たち青年会議所でしかでき
ない青少年育成事業を実施し、多くの子どもたちに成長の機会を提供してまいります。
真に必要とされる Jaycee になろう
青年会議所は他の団体に比べ、組織の体質が一線を画した団体であると言えます。40
歳までの限られた時間の中で、一年ごとに与えられる役割が変わり、凄まじいスピードで
様々な経験を与えてくれる。自己を成長させてくれるに値する素晴らしい団体であると自
負しています。しかしながら、成長というのは自分自身に向き合い、真正面からぶつかっ
ていった結果からしか勝ち取ることはできません。入会しただけで、素晴らしい人脈が醸
成され、能力もあがり、全てにおいてより良くなることは残念ながら無いのです。つまり
自分自身がした行動の結果からしか納得のいく成長は望めないのです。福山青年会議所創
立趣意書の中に「自らの足らざるを悟り、互に相寄り相授け」という素晴らしい一文があ
ります。この一文の通りフォロワーシップを持って、メンバー同士が心から成長を願うよ
うに敬い認め合うことが、今後の福山青年会議所にとっても大変重要なことではないでし
ょうか。
福山青年会議所にとって新たな仲間を迎え入れることは、我がまちで青年会議所運動を
展開する上で最も基本的なことです。昨今の会員の減少から会員拡大活動は急務であり、
且つ一丸となって実施しなければなりません。そして、私たちは会員拡大活動を行う際に
入会候補者の方に「予感」をさせなければなりません。その「予感」とは成長の機会を感
じさせることであります。その「予感」なくして私たちは青年会議所を語ることはできま
せん。品格ある青年経済人として、同世代の方々を大いに迎い入れ、組織の活性化に努め
てまいりましょう。
私たちは青年会議所のメンバーとして内外を問わず様々な方に接する機会があります。
そんな時に、感謝の気持ちや一期一会という心をもって、人に接することが如何に大切で
あるか感じることがあります。人はモノではありません。心や感情があり、ましてや礼儀
を重んじる文化が日本人にはあります。私たちが Jaycee であるために無くしてはならない
原点であります。己を律するところから始め、自分としっかり向き合ってみようではあり
ませんか。自分づくりから始まるまちづくりを考えてまいりましょう。
世界との友情を重んじ、世界から学ぶ
青年会議所の学びは、福山だけに留まりません。国内外を問わず行われている各種大会
や会議がそれです。それぞれに目的や意義があり、開催地の志を同じうする同志は私たち
を気持ち良く迎い入れるために、何か月も、あるいは何年も前から喧々諤々と議論を交わ
しながら準備をして待っているのです。その大会や会議は開催される地域においても大変
意義深いものであり、地域の誇りや魂がこめられています。ならば私たちも積極的に参加
し、福山にはないその土地のローカリズムを学び、持ち帰っては我がまちに活かせば良い
のではないでしょうか。何のために行ったのかわからないではなく、そこにある成長の機
会を掴むことが Jaycee であり、世界中のメンバーと友情を育む大切な機会なのです。
本年も JCI、日本 JC を初め、多くのメンバーに出向していただきます。出向は、LOM
では経験できない新たな手法や人とのつながりを、大きな学びとともに私たちに与えてく
れます。現在の福山青年会議所の会議の手法やシステムも、出向者の学びから得た知識を
採用した物であり、国際的、あるいは広域的な事業の際にも出向者が得たつながりが LOM
にとってかけがえのないことは言うまでもありません。また、出向者の活躍は国内外での
我がまち福山の評価につながり、絶好の福山発信機会となるのです。福山を代表して出向
するメンバーの隆盛が、福山青年会議所の活性化、ひいては我がまちの活性化につながる
と信じ、力強くサポートしてまいりましょう。
力強い運動発信を
私たち青年会議所が行う事業や情報を効果的に発信することは、多くの方々に青年会議
所運動を知っていただく機会を提供し、我が団体のイメージ向上や事業への動員増加に繋
がり易くなります。近年、マスメディアの方々に向けて事業説明会を実施し、青年会議所
運動に一定以上の理解を示していただいたことで、様々なマスメディアを媒介して事業を
情報発信できるようになりました。このことは、ただ単に私たちの事業を発信するだけに
非ず、地域に必要とされているか、精度の高い事業を展開できているかという指標にもな
っているのです。昨今のソーシャル・ネットワーキング・サービス然りで、個人でも情報
を発信すればリアルタイムに反応がわかる時代に突入しております。私たちは目まぐるし
い情報化社会の中で公共心を忘れず、「明るい豊かな社会の実現」に近づけるような情報を
多くの方々とのつながりを意識して発信し続けなければなりません。また、発信において
重要なことは、タイミングであり、場所であり、受け取る側がほしいとされる情報をいか
に発信するかです。これらを常に意識しながら青年の運動を力強く発信してまいります。
近年、福山青年会議所では各種褒賞制度にこれまでに行ってきた事業を申請いたしまし
た。褒賞を獲得することが目的ではないにせよ、事業を申請し褒賞の獲得を目指すことに
は意義があります。私たちが行ってきた事業が多くの方々に賛同されるかどうかの指標と
なるのです。福山青年会議所には数々の素晴らしい事業、あるいはメンバーが存在します。
我がまちのために実施した青年の運動発信が、世界基準においてどのレベルなのか見極め
ていくことで組織基盤の強化と事業精度を高めることに努めてまいりましょう。
青年会議所であり続けるために
青年会議所において例会出席はメンバーの義務です。その位置付けも重きを置き、止む
を得ず欠席した場合にはメーキャップという方法でメンバーをフォローアップしています。
それだけ月1回の例会がメンバーにとって重要であり、一堂に会す場所であり、お互いが
礼儀をもって学びとする場なのです。例会において規律ある運営と厳粛な進行は絶対条件
であり、メリハリのない例会はもはや例会ではないのです。メンバー全員にとって記憶に
残り、心に響くような例会を創り上げてまいりましょう。
青年会議所の中で、事業成功のために事業の精度を高めていくことはごく当たり前のこ
とです。故に青年会議所には様々な会議が存在します。理事会であり、委員会がそうです。
事業を計画する際にこの一つひとつの会議が目的意識を持って行われているか、その都度
省みて改善をしているのか確認して進めていくことが何より大事なのです。青年会議所の
会議システムは素晴らしい仕組みであり、他の団体にはない青年会議所の優れた部分であ
ると言っても過言ではありません。それだけに会議においては準備が必要であり、その準
備においてはメンバー同士の意見交換が必要です。また、意見を持つためには各々が調査
分析を行い、独自の見解を持つことが重要なのです。青年会議所はまさに青年が会議する
場所なのです。
おわりに
「ダメなやつができるようになるのが JC じゃないか!」これは、ある先輩からいただい
た私にとって忘れられない言葉であります。青年会議所は「明るい豊かな社会の実現」を
目的に、人に成長の機会を与え、変革を促す団体であることは言うまでもありません。あ
らゆる物事から目を背けず、真正面から自分自身と向き合い行動した結果からしか大きな
成長は勝ち取れないことを私は教わりました。また、「できる!」と思い上がっていた自分
を根底から覆し、人の価値観を変えられるのは正しく青年会議所しかできないことであっ
たと、私は自負しています。多くの方々に支えられ、感謝の言葉を素直に言えるようにな
る。そんな人として当たり前のことにも気付かせてくれたのは青年会議所であります。自
らが変わり、メンバーの心を動かす行動をとり、そしてメンバーの支えに心から感謝する
という成長のスパイラルが青年会議所には存在するのです。個の成長が我が団体の成長に、
我が団体の成長が我がまちの成長に繋がると信じ、明日の福山のために全力で情熱を注ぎ、
積極果敢に行動してまいりましょう。地域を変え、世界を変えるのはあなたです!