第17回 トラブルからみる くるまの安全と相談(2)[PDF

くるま
なんでも教室
第
17 回
自動車やバイク、自転車をはじ
めとするさまざまな乗り物の
しくみや法律、周辺知識など
を分かりやすく解説します。
相川 潔
Aikawa Kiyoshi
くるま総合研究会(KSK)代表
2006 年 KSK を設立。元株式会社 JAF Mate 社技術映像部
部長。乗り物に関する幅広い知識を持ち、全国各地で講演
や実習、車両の事故や火災の原因究明などを行っている。
トラブルからみる
くるまの安全と相談
(2)
自動車
(以下、車)
の取り扱いで、思わぬけが
ドドアは、運転席に付いているスイッチにより
をしてしまったという事例もあります。今回と
電動機能を停止させることができます
(写真1)
。
次回は、けがの原因やどうすれば防げるのかな
手動式や電動スライドドアでも電動機能が
ど、事例ごとに取り上げてみましょう。
OFFになっているときには、傾斜のある場所で
開閉すると、予想に反した早い速度で開閉した
スライドドアによる指挟み
り、開閉の途中で操作が重くなって途中で戻さ
れてしまうこともあります。
スライドドアの車が増えていますが、開閉時
また電動スライドドアでは、身体の一部が挟
に指など身体の一部を挟まれてけがをすること
まれると自動的に反転して開く安全装置が付い
があります。
スライドドアには手動式と電動式があります。
ている車も多くなっていますが、すべての場合
手動式のスライドドアは外側のドアハンドル
で開くわけではありません。安全装置のセン
あるいは車内のドアノブの操作でロックが外
サーが感知しない部分がある車もありますし、
れ、そのまま手動でドアを車の後方にスライド
指先など細いものが挟まれても感知せず、オー
させて開けることができます。このとき最後ま
トクロージャーが作動して閉め切ってしまうこ
でいっぱいに開くとロックがかかり、ドアが自
ともあります。
スライドドアに限らず車のドアの開閉には十
然に閉まるのを防ぎます。
分な注意が必要であり、特に小さな子どもに操
閉めるときは開くときと同じように、ドアハ
作させることは危険です。
ンドルあるいはドアノブを操作するとロックが
外れ、ドアを車の前方にスライドさせることで
後部座席に子どもが乗っているときは、ドア
ドアは閉まります。なお、一部の車には半ドア状
の開口部側面に付いているチャイルドロックの
態まで閉めると、電動でドアを車体側に引き込
レバーを切り換えておき、後部座席からドアノ
んで自動で完全に閉める
「オートクロージャー
ブを操作しても開か
機能」が付いています。
ないようにすると安
一方、最近増えている電動式のスライドドア
全です。電動スライ
(以下、電動スライドドア)
は、ドアハンドルあ
ドドアの場合は電動
るいはドアノブをいったん操作してロックが外
機 能 の ス イッ チ も
れると、後はモーターの動力によって最後まで
OFFにしておくとよ
ドアを開いてロックがかかります。閉めるとき
いでしょう。
もドアハンドルかドアノブを操作してロックが
写真1 電動スライドドアの
メインスイッチ
スイッチを OFFにすると
手動式になる。
参考:
「自動車のドアに挟む事故-ドアに関する事故の分析と
スライドドアのテスト」
(国民生活センター)
外れると同様にドアが 閉まり、オートクロー
http://www.kokusen.go.jp/test/data/s_test/n-20060110_1.html
ジャーによって完全に閉まります。電動スライ
2015.1
国民生活
23
くるま
なんでも 教室
パワーウインドーによる指挟み
リアゲートが突然降りる
パワーウインドーは簡単な操作でウインドー
リアゲートとは、車の後方に設置された開閉
の開閉ができる便利な機能ですが、閉まるとき
部のことです。
リアゲートが突然降りてくると、
の力は予想外に強いものです
(写真2)
。このた
頭部や額などにけがを負う可能性もあり、危険
め手や首を挟んでけがをしたり、過去には首を
です。ワゴン車などほとんどの車のリアゲート
挟んで死亡したという事故も報告されています。
には軽い力で開閉ができるよう、ガスダンパー
こうしたことから、パワーウインドーに何か
という筒状の部品が装備されています
(写真4)
。
挟まると、反転して瞬時に開く
「挟み込み防止
ガスダンパーの内部には高圧窒素ガスとオイ
機能」が装備された車が多くなっています(パ
ルが入っていて、ガスの圧力により、伸びる方
ワーウインドーにはスイッチをいったん操作す
向に力がかかっています。この力でリアゲート
ると、後は指をスイッチから離しても自動的に
を上げ、開ききった状態を保持するように設計
全開あるいは全閉をするオート機能が付いてい
されています。縮むときの力は伸びるときの力
るものがありますが、運転席のみに装備されて
よりも弱い構造になっているので、下げるとき
いることが多いため、挟み込み防止機能も運転
は程よい早さで降ります。
席のみに採用されていることが多いようです)
。
しかし、ガスダンパーに手をかけたりして微
挟み込み防止機能が付いていても、すべての
妙な曲がりが生じると中に入っているガスが漏
挟み込みで作動するとは限りません。子どもの
れて内部の圧力が下がり、伸びる方向の力が小
指先のように細いものが挟まれても感知せず、
さくなります。こうなるとリアゲートを保持す
ウインドーを閉め切ってしまうものもあります。
る力も低下し、開いていたリアゲートが自然に
また、ウインドーの開閉は大人が操作すべき
下がるという状況が起きますから、ガスダン
です。後部座席に子どもが乗っているときは、
パーに力をかけることは厳禁です。さらに、ガ
運転席のスイッチ操作でロックをかけ、後部ド
ス圧は温度が下がると低くなる性質があるため、
アのウインドーが開閉しないようにすることも
夏場は保持できても寒い時期になると下がって
必要です(写真3)
。しかし、大人が操作してい
しまうこともあります。
たにもかかわらず子どものようすを確認せず閉
ガスダンパーにはガスとオイルの漏れを防ぐ
めてしまい、指などを挟んでしまったという事
シールがあり、シールが経年劣化するとガス等
例もありますので、ウインドーを開閉するとき
が漏れるなどします。ガスダンパーはさほど高
は、子どもから目を離さず確認するようにしま
価な部品ではないので、寒い時期に下がるよう
しょう。
になったら消耗品と考え、思わぬけがをする前
に交換するのが安全上からも得策です。なお、
参考:
「パワーウインドウの安全性」
(国民生活センター)
http://www.kokusen.go.jp/test/data/s_test/n-20100721_1.html
リアゲートやトランクにオートクロージャーが
装備されている車もあ
ります。閉まりかけた
リアゲートなどを開け
ようと隙間に指を挿し
写真2 パ ワーウインドーに
挟まれ、潰れた空き缶
写真3 運転席のウインドー
ロックスイッチ
閉まり切るときの力は非
常に強いので要注意
(挟
み込み防止機能が付いて
いても注意が必要)。
ロックをかけると、ドア
にあるスイッチでパワー
ウインドーの操作ができ
なくなる。
写真4 リアゲートに装備さ
れたガスダンパー
(ガススプリング)
手をかけたり、物をつる
したりするとトラブルの
元になる。
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国民生活
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込んだりしたら、オー
トクロージャーにより
閉まり、指が挟まるこ
ともあります。