ラウンドアバウトにおける堆雪の影響とエプロン除雪に関

ラウンドアバウトにおける堆雪の影響とエプロン除雪に関する研究
佐藤信吾 ※1 、牧野正敏 ※1 、中村隆一 ※1
1.はじめに
ラウンドアバウトとは、「環道交通流に優先権があり、
歩行者の視界を遮るなど、交通の安全性や円滑性への影
響が懸念される。このことから、ラウンドアバウトの冬
かつ環道交通流は信号機や一時停止などにより中断され
期における安全な道路交通機能の確保に資することを目
ない、円形の平面交差部の一方通行制御方式」である。
的に、堆雪がドライバーに与える影響について試験を行
一般の交差点に比べ、交差点内の錯綜点が少ないなど安
った。
全性に優れ、また、信号機を使用しないことから経済性
にも優れており、欧米各国で積極的に導入されている。
日本においても、平成25年2月に長野県飯田市において、
2.1 試験概要
堆雪の影響を定量的に把握するため、寒地土木研究所
初めての既設信号からラウンドアバウトに切り替える工
の苫小牧寒地試験道路に設置したラウンドアバウトで、
事が行われるなど、導入の機運が高まっている(図-1)。
各種条件(堆雪の位置、高さ及び路面状況)を設定し、
さらに、平成25年6月に道路交通法が改正され、環状交差
被験者参加による走行試験を行った。具体的には、堆雪
点であるラウンドアバウトが法的に位置づけられ、平成
もしくは模擬堆雪を設置したラウンドアバウトを被験者
26年9月に施行されたことから、今後、一層の導入が期待
が試験車両を運転走行し、各堆雪がドライバーに与える
される。
影響度(支障度合い)について、
「主観評価」と「運転挙
積雪寒冷地域において、道路管理者がラウンドアバウ
動(走行速度)計測」を行った。
トの導入を検討するうえで、除雪に関する検討は必須で
夏期には予備試験として、試験条件の変更が容易にで
あるが、諸外国でも多雪地における導入例は少なく、ラ
きる模擬堆雪を用いて、予め傾向を確認した。冬期試験
ウンドアバウトの冬期の維持管理手法に着目した研究事
では、実走行環境として、自然降雪を用いて圧雪路面及
例も少ない。
び堆雪を再現した。
そこで、寒地土木研究所では、道路管理者がラウンド
アバウトの導入を検討するうえでの基礎資料とするため、
2.2 堆雪
除雪作業により生じる堆雪が、ドライバーに与える影響
走行試験で用いる堆雪は、中央島、交通島、流入路及
度を評価する走行試験を行った。また、かさ上げしたエ
び流出路に合計 7 箇所(図-2)設置し、その堆雪高さは、
プロン部の除雪作業時に発生する雪の取り残しの影響を
0m~1.5m の 4 ケースとした。
確認するため、除雪試験を行った。
① 堆雪位置
:中央島、交通島 A・B、流入路 A・B、
流出路 A・B(7 箇所)
② 堆雪高さ :0m、1.0m、1.2m、1.5m(4 ケース)
夏期試験では、乾燥及び湿潤路面のラウンドアバウトに、
支柱と白色のシートを組み合わせて再現した模擬堆雪を
環道区間
エプロン
図-1 ラウンドアバウト(長野県飯田市)1)
流出路
区間
2.堆雪の影響に関する試験
流入路
区間
除雪車により道路上から排除された雪は、道路脇に堆
雪され、降雪や除雪によって大きくなり、ドライバーや
※1 (独)土木研究所 寒地土木研究所 寒地機械技術チーム
図-2 堆雪位置及び走行コース
設置した。冬期試験では、圧雪路面のラウンドアバウト
トにより得られた 7 段階評価(主観評価点数)は、被験
に自然降雪を用いた堆雪を設置した。
者間の評価点数のバラツキを抑え堆雪毎の比較を容易に
するため被験者毎に標準化(
(個々の点数-平均)/標準
2.3 走行条件
偏差)し、さらに堆雪毎の全被験者の値を平均すること
被験者は試験車両(トヨタ カローラフィールダー)
で基準値を求めた。なお、基準値が高いほど(プラス方
を、
「流入部」
「環道(1 周)
」
「流出部」の順で、自由走
向)走行する上での支障になり、逆に基準値が低いほど
行により運転した(図-2)。また、被験者は同じ試験条
(マイナス方向)支障にはならない主観評価結果となる。
件で 4~5 回連続して走行し、そのうち 1~2 回はラウン
ドアバウト内に他の走行車両もしくは歩行者がランダム
に進入する条件で行った(図-3、4)
。
Q:走行する上での影響度を雪堤毎のチェック(○)してください。
試験番号
2-
被験者No. ①・②・③・④・⑤・⑥・⑦・⑧・⑨・⑩
中央島
1.0m
1
2
3
4
5
6
7
流入A
1.0m
1
2
3
4
5
6
7
流入B
1.0m
1
2
3
4
5
6
7
流出A
1.0m
1
2
3
4
5
6
7
流出B
1.0m
1
2
3
4
5
6
7
交通島A
1.0m
1
2
3
4
5
6
7
交通島B
1.0m
1
2
3
4
5
6
7
支障に
なる
支障に
ならない
図-5 主観評価アンケート
図-3 堆雪の影響に関する試験状況(夏期試験)
2.6 主観評価の結果
主観評価の結果(図-6、7)
、以下のことが考察される。
1) 堆雪位置(中央島、交通島 A、交通島 B、流入 A、流
入 B、流出 A、流出 B)で基準値が大きく異なること
から、堆雪位置はドライバーの走行への支障度合いに
影響する。
基準値
模擬堆雪高さ
1.0m
1.2m
1.5m
2.00
1.50
1.00
図-4 堆雪の影響に関する試験状況(冬期試験)
0.50
0.00
-0.50
2.4 被験者
試験には、ラウンドアバウトの走行経験がない男女 10
-1.00
-1.50
中央島
名の被験者が参加した。被験者は、全員が視覚に対する
健常者であり、夏期及び冬期の各試験に重複者はいなか
交通島
A
交通島
B
流入A
流入B
流出A
流出B
図-6 主観評価の結果(夏期試験)
った。夏期試験の参加者は 20~50 歳代であり、運転時
の目の高さは 116.0~121.5cm の範囲であった。また、
冬期試験の参加者は 20~60 歳代であり、運転時の目の
高さは 113.0~121.0cm の範囲であった。
なお、被験者に対しては、環道優先のルールなど、運
転方法の事前説明を行った。
堆雪高さ
基準値
1.0m
1.2m
1.5m
2.00
1.50
1.00
0.50
0.00
-0.50
2.5 主観評価
各試験条件において、ラウンドアバウト走行時の堆雪
毎の支障度合いについて主観評価を行った。評価には 7
段階スケールのアンケートを用いた(図-5)。アンケー
-1.00
-1.50
中央島
交通島
A
交通島
B
流入A
流入B
流出A
図-7 主観評価の結果(冬期試験)
流出B
堆雪の高さに伴って、基準値も高くなることから、堆
観評価と同様に、被験者の運転時の目の高さが影響し、
雪高さはドライバーへの支障となる。また、堆雪高さ
堆雪高さが 1.0m から 1.2m に変化すると、ドライバ
1.0m のときは、堆雪高さ 1.2m 及び 1.5m に比べ基
ーの不可視範囲が大幅に増えるためであると考えら
準値が特に低い。これは、堆雪高さ 1.0m の場合、被
れる。
験者の運転時の目線高さが堆雪より高い位置にあり、
4) 夏期及び冬期試験を比較した結果、全ての区間及び堆
他の堆雪高さに比べて、ドライバーの不可視範囲が狭
雪高さの比較において、夏期試験に比べて冬期試験の
いためと考えられる。
走行速度は低い。但し、堆雪高さに伴う走行速度の低
2) 交通島 A・B、流入 B、流出 A の 4 箇所は、他の堆雪
位置に比べて基準値が高い傾向にある。この 4 箇所は、
下や、環道に比べて流入出路の速度低下が著しいなど、
同様の傾向を示した。
堆雪の存在が歩行者に対する視認性に影響する位置
である。これ以外の堆雪位置については、堆雪の陰に
る。よって、ドライバーは特に歩行者に注意している
25
3) 夏期及び冬期試験を比較した結果、堆雪高さに伴う基
準値の上昇や、基準値の高い堆雪位置がほぼ同じであ
るなど、同様の傾向を示していることから冬期の予備
速度(km/h)
30
と考えられる。
0m
堆雪高
隠れていると想像する対象は他走行車両に限定され
1.0m
流入路
1.2m
1.5m
流出路
環道
20
15
10
5
横断歩道
横断歩道
0
距離(m)
環道接続点
試験としての夏期試験の有効性を確認できた。
環道接続点
図-8 計測区間内の運転挙動の例
2.7 運転挙動計測
被験者が運転する試験車両に GNSS 内蔵のデータロ
表-1 運転挙動計測の結果
ガー(Racelogic 社製 V-boxmini)を搭載し、各試験条
走行条件
件での 1m 毎の走行速度を計測した。計測対象区間は、
交通
制御
方式
環道及び流入出路の環道接続点から 20m の区間とし、
堆雪
形状
計測データは平均走行速度を区間(流入路、環道、流出
路)毎に整理して、試験条件(路面状況、堆雪高さ)の
違いによる、走行速度への影響について検証した。
に、被験者の前方視界に他の走行車両もしくは歩行者が
存在しない試験データのみを抽出し整理した。
堆雪
高さ
0m
夏期
試験
YIELD
(環道
優先)
1.0m
標準
1.2m
1.5m
なお、走行速度データの整理にあたっては、試験条件
以外の影響を排除するため、被験者が試験車両を運転時
区間平均速度(km/h)
1.0m
冬期
試験
YIELD
(環道
優先)
標準
1.2m
1.5m
流入路
区間
環道
区間
21.14
(103.8%)
20.37
(-)
16.37
(80.4%)
13.63
(66.9%)
10.42
(-)
9.05
(86.8%)
8.45
(81.1%)
17.63
(104.3%)
16.89
(-)
15.46
(91.5%)
14.72
(87.2%)
11.90
(-)
11.35
(95.4%)
11.06
(92.9%)
全区間
流出路 平均速度
区間 (km/h)
21.64
(108.6%)
19.92
(-)
16.81
(84.4%)
13.78
(69.2%)
11.81
(-)
11.36
(96.2%)
10.96
(92.8%)
19.13
(105.1%)
18.20
(-)
15.91
(87.4%)
14.32
(78.7%)
11.59
(-)
10.89
(94.0%)
10.52
(90.8%)
* : N = 各30ケース
* : ( )は各試験条件の堆雪高さ1.0mとの比較
2.8 運転挙動計測の結果
運転挙動計測の結果(図-8、表-1)、以下のことが考
察される。
1) 安全確認が必要な、横断歩道を含む環道と流入路が接
2.9 試験結果による堆雪位置及び高さの提案
主観評価と運転挙動計測の結果について、以下にまと
める。
続する環道接続点前後の走行速度の低下が顕著であ
1) 堆雪の位置及び高さは、ドライバーの主観と運転挙動
った。よって、ドライバーは、横断歩道から環道接続
に影響し、運転の支障となることから、堆雪の管理が
点までの範囲を特に注意して運転していると考えら
必要である。
れる。
2) 堆雪高さの増加に伴い、走行速度が低下したことから、
2) 堆雪位置は、ドライバーの歩行者に対する視認性を確
保するため、交通島 A・B、流入 B、流出 A への堆雪
堆雪高さはドライバーの運転挙動に影響する。特に、
を避けることが望ましい。ただし、それ以外の堆雪位
堆雪高さ 1.2m 及び 1.5m では、環道の走行速度に比
置については、交通の円滑性など他の要因についても
べて流入出路の速度低下が顕著である。
考慮し判断する必要がある。
3) 堆雪高さの増加に伴う速度低下では、堆雪高さ 1.0m
3) 堆雪高さは、主観評価及び運転挙動計測ともに、1.2m
から 1.2m への変化が最も大きくなった。これは、主
以上ではドライバーに対する支障度合いや走行速度
の低下が著しかったことから、堆雪高さは 1.0m 以下
型の模擬エプロンを再現した(図-9)。なお、エプロン
とすることが望ましい。堆雪高さが 1.2m になると支
のかさ上げ高さについては、ドイツのガイドライン(か
障度合いが急激に高くなる理由としては、今回試験に
さ上げ高さ 2.54cm~4cm)2)を参考とし、3cm と 4cm
参加した被験者が運転する時の目線の高さが影響し
の 2 種類とした。また、エプロン端部は、低下縁石
ていることが考えられる。
(260mm×100mm×790mm)を模して、幅 26cm の傾
斜面を成形した。
3.エプロン部の除雪に関する試験
環道のみでは通行が困難な車両が踏んで通行してよい
3.3 試験車両
エプロンは、環道の内側の中央島寄りに設置される
試験にはホイールローダ(7t 級)(図-10)
、モーターグ
(図-2)。環道とエプロンの境界は利用者がそれを認知
レーダ(3.1m 級)(図-11)
、及び乗用車(スバル フォ
できるように区分されるが、段差がない場合は車両がシ
レスター)を使用した。ホイールローダはバケットの左
ョートカットしてエプロンを走行するなどの状況が生じ
右で、独立した高さ調整はできないが、モーターグレー
る。
ダのブレードは調整が可能である。
環道走行車両の走行位置を安定させ、走行速度抑制効
果を発揮するには、かさ上げしたエプロンの設置が有効
と考えられているが、エプロンをかさ上げすると、除雪
作業時に雪の取り残し部分が発生する。この取り残し部
分を定量的に確認するため、代表的な除雪車両 2 機種を
用いて試験を行った。
3.1 試験概要
苫小牧寒地試験道路に模擬的なエプロンを設置し、エ
プロン部に除雪車両の右側タイヤが乗り上げた時の作業
状況を再現した。
まず、
雪がない状態で除雪装置をエプロン面に接地し、
図-10 ホイールローダ
段差による除雪不可範囲を確認した。その後、積雪状態
を再現するためエプロンに雪を盛って敷き均し、除雪車
両で実際に施工した時の残雪状況を確認した。
さらに、除雪後のエプロンへの乗り上げ走行が、通行
車両に与える影響を確認するため、車両に加速度計を取
り付け、エプロン走行時の加速度を計測した。
3.2 エプロン
中央島直径 14m のラウンドアバウトに設置する幅 2m
のエプロンを想定し、舗装面にアスファルトを盛って扇
図-11 モーターグレーダ
3.4 残雪高さの計測結果
ホイールローダの右側タイヤをエプロンに乗り上げて
バケットをエプロン面に接地させ、バケット右端部のエ
プロン面とのすき間の高さ(残雪高さ)を計測した
(図-12)
。これを 5 回繰り返し、平均値を算出した。
また、8cm 程度の雪を盛って敷き均し、ホイールロー
ダで除雪後(図-14)の残雪高さを 5 測線で計測し、こ
図-9 模擬エプロン(かさ上げ高さ 3cm)
れを各エプロンで 3~5 回繰り返した。なお、除雪する
ことにより端部の雪がくずれるため、途中の 3 点におけ
表-2 残雪高さの計測結果
る残雪高さの平均値から、
右端部の残雪高さを算出した。
機種
ホイールローダ
エプロン
高さ
(cm)
バケット右端部の
残雪高さ (mm)
雪なし
除雪後
3
30
30
4
38
24
※ 除雪後は、バケットの途中の3点における残雪高さから算出した
次に、モーターグレーダの右側タイヤをエプロンに乗
り上げてブレードの推進角を 90°とし、ブレードがエプ
ロン面に水平に接地するよう左右のブレードの高さを調
図-12 計測イメージ(ホイールローダ)
整(図-15)して、ブレードとエプロン面とのすき間(残
雪高さ)を計測した。これを 5 回繰り返し、平均値を算
計測の結果、雪がない場合のバケットとエプロン面の
出した。
すき間(残雪高さ)は、エプロン高さが 4cm で 38mm
また、7cm 程度の雪を盛って敷き均し、モーターグレ
であり、除雪後の残雪高さも 24mm であった(表-2)
。
ーダで除雪後
(図-16)
の残雪高さを 5~6 測線で計測し、
なお、雪がない場合に比べて除雪後の残雪高さが小さく
これを各エプロンで 2~3 回繰り返した。そして、ブレ
なったのは、タイヤの下の雪の影響で車体の傾斜角度が
ードの途中の 3 点における残雪高さの平均値から、ブレ
減少したためと考えられる。
ード部の残雪高さを算出した。
エプロン面との間に
すき間が発生
エプロン面に接地する
よう左右の高さを調整
図-13 バケットの接地状況(ホイールローダ)
図-15 ブレードの接地状況(モーターグレーダ)
図-14 残雪の発生状況(ホイールローダ)
図-16 残雪の発生状況(モーターグレーダ)
道路+約 40km の高速道路)で計測した 2 回の最大値の
表-3 残雪高さの計測結果
機種
エプロン
高さ
(cm)
モータグレーダ
平均は 2.14G であった。
ブレード部の
残雪高さ (mm)
雪なし
除雪後
3
0
8
4
0
12
表-4 加速度の計測結果
機種
* 雪なしで、ブレード右端部がエプロン幅よりはみ出したが、
エプロン面とのすき間はない
エプロン
雪なし
高さ
(cm) 平均値 最大値
除雪後
(参考)現道
平均値
最大値
3
0.98
1.14
0.98
1.25
4
0.99
1.27
0.99
1.38
平均値
最大値
0.98
2.14
乗用車
* 除雪後は、ブレードの途中の3点における残雪高さから算出した
* 車内に加速度計を設置して計測(常時、重力加速度-1Gがかかっている)
* 各計測におけるX・Y・Z軸の合力(√(X2+Y2+Z2))の平均値及び
最大値を平均して算出
計測の結果、雪がない場合のブレードとエプロン面の
* 現道に高速道路を含む
すき間は生じなかったが、エプロンのかさ上げ高さが
4cm の場合で除雪後の残雪高さは 12mm であった
これらから、車両の走行速度が 20~25km/h 程度であ
(表-3)
。
これらから、エプロンのかさ上げ高さが 4cm の場合で
れば、エプロンのかさ上げ高さが 4cm の場合でも通常の
も、一番大きい残雪高さは、ホイールローダによる施工
走行と変わらず、車両の走行性には特段の影響がないと
時のバケット右端部で 38mm であり、除雪作業時の雪の
考えられる。
取り残し量は、走行車両の支障になるほど多くはないこ
とを確認した。
4.まとめ
ラウンドアバウトの冬期における安全な道路交通機能
3.5 加速度の計測結果
の確保に資することを目的に、試験道路内に設置したラ
乗用車に加速度計(スリック社製 G-MEN DR01)を
ウンドアバウトにおいて、被験者による走行試験を行い、
搭載し、車両の右側タイヤが、エプロンへ乗り上げて走
堆雪がドライバーに与える影響について評価した。また、
行した時の加速度を計測した(図-17)。
かさ上げしたエプロン部の除雪作業時に発生する雪の取
環道走行を想定し、走行速度 20~25km/h を目安に、
6 名のドライバーが各エプロンを 3 回ずつ、計 18 回走行
り残しの影響を確認するため、代表的な除雪車両2機種を
用いて除雪試験を行った。
して計測した。また、7cm 程度の雪を盛って敷き均し、
ホイールローダで除雪後に、同様の計測を行った。
その結果、堆雪の位置及び高さは、ドライバーの主観
と運転挙動に影響し、運転の支障になることが確認でき、
計測の結果、雪がない場合で X・Y・Z 軸の合力の最大
堆雪の高さと位置の管理について提案した。また、4cm
値の平均が 1.27G、除雪後では最大値の平均が 1.38G で
の高さでかさ上げしたエプロン部の除雪作業で発生する
あった(表-4)
。
雪の取り残し量は、走行車両の支障になるほど多くはな
いことを確認した。
今後も、除雪に関する問題点の抽出及び対応策の検討
を継続し、ラウンドアバウトの冬期の維持管理手法につ
いて更なる知見を深めていく所存である。
参考文献
1)
飯田ケーブルテレビ: 飯田市内のライブカメラ映像
http://www.iidacable.tv/livecamera/98/
2)
独立行政法人土木研究所:重点研究報告書
積雪寒冷地
における新たな交差構造の導入に関する研究、2012
http://www.pwri.go.jp/jpn/seika/project/2012/pdf/zyu-49
加速度計を搭載
図-17 エプロン乗り上げ時の加速度の計測
参考として、試験後に同じ機種の車両を使用して、雪
がない現道(約 50km の一般道路、及び約 20km の一般
.pdf