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平成 27 年度予算編成方針
我が国経済は、企業収益や雇用・所得環境の改善傾向が続く中で、景気は緩
やかな回復基調が続いている。しかしながら、平成 26 年4月以降のGDPは2
四半期連続のマイナス成長となるなど、足元の個人消費に足踏み感が見られる
上、海外経済の下振れリスクなども踏まえると、今後の景気動向には引き続き
注視が必要である。
現下の社会経済情勢の下、2020 年のオリンピック・パラリンピック開催を控
え、世界から注目されている東京は、成熟社会の範となる新たな大都市モデル
を構築するとともに、日本全体の発展を強力に牽引していくことが求められて
いる。
そのため、史上最高のオリンピック・パラリンピック開催に向けた準備をは
じめ、急速に進行する少子高齢化や社会資本ストックの維持・更新への対応、
東京の活力を支える経済の活性化、都市防災力の強化など、多岐にわたる重要
課題に対し、高い戦略性を持ってスピーディーに政策を推し進めていかなけれ
ばならない。
一方、歳入の根幹を成す都税収入は、現在は堅調に推移しつつあるものの、
元来、景気変動の影響を受けやすい不安定な構造にある上、地方法人課税にお
ける更なる不合理な見直しの動向など、都の財源を更に減少させる懸念もあり、
都財政の先行きは全く予断を許す状況にはない。
こうした歳入歳出両面における課題を抱える中、今、都がなすべきことは、
今後の都政の羅針盤となる「東京都長期ビジョン」を基軸として、
「世界一の都
市・東京」の実現に向け、問題の本質を捉えた政策を積極的に展開することで
あり、同時に、それらの政策の着実な実施を可能とする、強靭で弾力性の高い
財政基盤を確保していくことである。
そのため、中長期的な視点に立って、都債の計画的な活用を図るとともに、
今後の膨大な財政需要に対して今から手立てを講ずるべく、戦略的に基金を活
用していく。併せて、事業全般について、見直しや再構築を含めて厳しく検証
することで、効率性や実効性を向上させ、施策の新陳代謝を促進していく。事
業評価については、これまで加えてきた創意工夫に、新たに官民連携手法によ
る事業実施の可能性を検討するなど、事業検証機能の一層の進化を図る。
こうした取組を不断に行うことで、都の自己改革力を一段と向上させ、将来
にわたって安定的な財政対応力を堅持するとともに、東京の持続的発展と都民
福祉の一層の向上に向け、山積する諸課題に積極果敢に取り組んでいく。
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平成 27 年度予算は、
「東京を『世界一の都市』へと飛躍させる予算」と位置
づけ、
2020 年とその先の明るい未来に向けて積極的な施策構築を図り、大会終了
1
後も将来に引き継がれるレガシーを創造するべく果敢な事業展開を行うこと
2
都民福祉の充実による生活の質の向上や、日本を牽引する経済の活性化な
ど、都民一人ひとりが安心して豊かに暮らせる社会の早期実現を図ること
3
施策の見直しによる都政改革の推進と、中長期を見据えた財源措置により、
戦略的かつ安定的な政策展開を支える財政基盤を構築すること
を基本として、下記により編成することとする。
記
1
史上最高のオリンピック・パラリンピック開催に向けた準備をはじめ、急
速に進行する少子高齢化や社会資本ストックの維持・更新への対応、東京の
活力を支える経済の活性化、都市防災力の強化など、目指すべき東京の将来
像を実現するための施策に財源を重点的に配分する。
「東京都長期ビジョン」の平成 27 年度事業費については、確実に計上する。
2
都の行う全ての施策について、制度や事業の根本に立ち返り、必要性や有
益性、執行体制や将来への影響等を厳しく検証し、スクラップ・アンド・ビ
ルドの視点を徹底させ、必要な見直し・再構築を行った上で、所要額を計上
する。
経費の計上に当たっては、最少のコストで最大のサービスを目指し、これ
まで以上に創意工夫を凝らすとともに、過去の決算や執行状況を徹底的に分
析・検証し、事業の評価や実績を踏まえたものとする。
なお、事業評価については、関係部局と連携した取組や、新たな公会計手
法を用いたコスト分析の活用など、これまで進めてきた取組を徹底する。併
せて、施設の新築・改築・運営などにおいて民間の活用を含めた最適な事業
運営手法を検討するなど、更なる進化を図る。
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(1) 経常経費のうち、自律的経費の計上については、各局の責任において見直
し・再構築を行い、十分に精査する。それ以外の経費についても、前項の趣
旨に則った精査を行う。
(2) 投資的経費については、重点的かつ計画的な事業量確保と事業執行の平準
化を図っていく。
施設建設等については、「主要施設 10 ヵ年維持更新計画策定指針」の趣旨を
踏まえ、事業のあり方、必要性などを検証するとともに、手法やコストなど
を改めて十分精査した上で、所要額を計上する。
なお、民間活力の活用を積極的に図ることなどにより、建築・土木コスト
の適正化に努める。
3
職員定数については、引き続き効率的な執行体制の整備のため必要な見直
しを行うとともに、
「東京都長期ビジョン」に掲げる事業等に的確に対応する
ため必要な体制・人員を措置する。
4
監理団体については、指定管理者制度の導入や公益法人制度改革など、団
体を取り巻く環境が変化する中で、その存在意義を検証し、あり方や事業に
ついて不断の見直しを行うとともに、経営の効率化、自立化の促進及び都と
監理団体との役割分担の観点から、補助及び委託の内容、方法など必要な見
直しを行った上で所要額を計上する。
また、監理団体以外の団体に対する財政支出についても、事業評価の取組
などを通じ、内容や方法など必要な見直しを行った上で所要額を計上する。
5
区市町村に対しては、地方分権を推進する観点から、役割分担を一層明確
化し、区市町村の自主性・自立性の更なる向上を図る視点に立って、補助金
の整理合理化、補助率の適正化、統合・重点化等の見直しを積極的に図る。
6
都税については、今後の経済動向等を的確に見通した上で、税制改正によ
る影響等を含め、年間収入見込額を計上する。
7
都債については、世代間の負担の公平を図る観点から、投資的経費等の財
源として適切に活用する。
8
基金については、税収動向などを勘案しながら中長期的な視点に立って適
切な活用を図る。
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9
国庫支出金については、積極的な確保に努めることとし、国の予算編成の
動向を踏まえ、年間内示見込額を計上する。
10
使用料及手数料については、受益者負担の適正化を図る観点から見直しを
行い、都民生活への影響等にも配慮しつつ、所要の改定を行う。
11
特別会計(準公営企業会計を含む。)については、一般会計と同一の基調に
立って、過去の決算や執行状況、事業効果などを踏まえた評価を行うととも
に、会計設立の趣旨などを改めて検証した上で、所要額を計上する。
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