平成27年産麦の生産振興方針(PDF:201KB)

麦類生産振興方針
栃木県
1
基本的な方針
本県産麦については、土地利用型農業の基幹作物の一つとして全国第4位の生産実績
がある。しかし、一部の品種において、実需者の求める数量と乖離した生産が行われて
おり、早急な是正が必要である。また、平成26年6月の降雨の影響により、二条大麦
を中心に穂発芽が発生し、約25億円の損害が発生した。
そのため、関係機関・団体が連携し、実需者ニーズに対応した「選ばれる麦づくり」
を推進するとともに、基本技術の励行を中心とする穂発芽対策を再度徹底する。
2
推進期間
平成25年産~平成27年産
3
推進目標
(1) 栽培技術項目
重点推進項目
排水溝設置や心土破砕などの排水対策の
実施
播き遅れのない適期播種の実施
麦作に適した土壌づくり(土壌改良資材
等の施用)
現状
H24 年産
H25 年産
(H23 年産)
実績
実績
H26 年産
目標
実績
81.9%
79%
76%
※97%
100%
57.5%
50%
55%
43%
100%
73.3%
78%
73%
※98%
100%
※麦類 GAP 集計中のため見込み
(2) 品質向上項目
対象作物
ビール大麦
ゆめかおり
4
品質項目
蛋白質含有率の品質基準値(9.0
%~12.0%)適合割合の向上
蛋白質含有率13.0%以上の割合の
向上
現状
H25年産
(H24年産)
実績
H26年産
実績
目標
84.0%
100%
100%
100%
58.0%
40%
48%
100%
推進方策
(1)穂発芽対策
① 適期播種の推進
適期より播種が遅れた場合、収穫期が遅れ、穂発芽のリスクが高まる。また、凍
上害・倒伏の発生や、蛋白質含有率の増加等の影響がある。
このため、適期播種の励行を徹底する。特に水稲跡の麦の作付けでは、水稲の収
穫時期の遅れによる麦栽培への悪影響が懸念されるため、水稲栽培における早生品
種の作付、適期内での早期落水の実施、排水対策の徹底等により、麦が適期に播種
できる輪作体系とする。
また、大豆跡の麦の作付けは、播種が遅れるので、原則行わない。
○ 播種適期
県北部地帯:11 月1 日~10 日、県中部地帯:11 月6 日~15 日、県南部地帯:11 月9 日~18 日
②
適期収穫の推進
収穫タイミングの正否は、外観品質・等級、加工品の品質にも影響を与え、収穫
時期が不用に遅くなると、穂発芽のリスクも増加する。
このため、穂首の外観や水分含量等を参考に、適期収穫を徹底する。また、旗立
指導等により収穫適期に関する情報を積極的に生産者に周知する。
③ 適正な経営規模の推進
大規模経営体においては、適期内に播種や収穫が終了していない例も見られ、穂
発芽も含めて品質の低下が懸念される。
このため、経営規模に応じた人員・機械整備の確保を指導する。
④ 農業共済の加入促進
栃木県において10a 以上の作付けを行う麦の生産者は、農業災害補償法に基づき、
農作物共済への加入が義務付けられているが、一部の掛金未納者においては、気象
災害等の影響を受けやすくなっている。
このため、掛金未納者ゼロの実現に向けた取り組みを行い、生産者の経営安定を
図る。
(2) 収量・品質向上に向けた取組
①
排水対策
これまで冬期間の降水量は比較的少なかったが、最近は地球温暖化の影響で、一
度に降る雨の量が多くなっている。毎年湿害による収量減や品質低下を招いており、
特にビール大麦については、粒が細いことにより等外上が発生し、問題となってい
る。
このため、次のⅰとⅱの両方の排水対策を必ず実施する。
ⅰ
播種前にほ場周囲に排水溝を設置し、排水口は低く掘り下げて排水路につなぐ。
ⅱ
二毛作地帯や水田転換畑 1 年目では、作土直下に硬い硬盤が形成されて地下浸
透性が著しく劣るため、プラソイラ、スタブルカルチ等による心土破砕を行う。
なお、排水溝は設置できても心土破砕機が利用できない場合や、排水溝設置と心
土破砕を併せて実施しても排水対策が十分でない場合は、畝立て同時は種栽培を組
み合わせる。
②
土壌診断の推進
麦類は酸性に弱く、適正 pH は 6.5 であり、pH 5.0 以下では急激に減収する。燐酸
は特に生育初期に重要で、根の発達や分げつの発生に必要であり、苦土が不足する
と粒の充実が悪くなり、苦土欠の状態では燐酸が十分に存在しても吸収できない。
以上のことから、土壌診断に基づき土づくり資材を施用する。
③ 石灰・燐酸・苦土配合資材の利用推進
土壌診断に基づく土づくりが困難な場合は、石灰質肥料、燐酸質肥料、苦土肥料
が予め配合された資材を、毎年 80~100kg/10a 施用する。
④
麦専用基肥肥料の利用促進
本県では、配合割合の異なる麦専用基肥肥料が販売されているので、前作や土性、
前年産の蛋白分析結果等を勘案し、最適な肥料を選定する。
5
作付目標
実需者の要望に応じた作付けを図る。
(1)二条大麦
新品種「アスカゴールデン」は、H27 年産から一般栽培がスタートするので、産地に
おける評価を分析しながら、今後の普及を検討する。
「栃木二条45号」は、H27 年産から現場製麦・醸造試験を開始する。
(2)小麦
「さとのそら」及び「イワイノダイチ」について、需要量に応じて作付する。
「ゆめかおり」については、需要の喚起を図りながら作付拡大する。
(3)六条大麦
実需者ニーズの高い「シュンライ」の作付拡大を図る。
なお、品種別作付目標の詳細は別紙のとおりである。
6
重点プロジェクト
(1)ビール大麦蛋白質含有率適正化プロジェクト
ビール大麦は、醸造に影響を与えないよう、適正な蛋白含有率(9.0~12.0%)であ
ることが強く求められているが、近年、蛋白質含有率の超過・不足により、ビール大
麦として出荷できないロットの発生が散見されている。
そのため、蛋白含有率の適正化に向け、プロジェクトとして取り組み、ビール大麦
の高品質安定生産を図る。
(2)「ゆめかおり」品質向上プロジェクト
パン用小麦である「ゆめかおり」は、蛋白質含有率が高いほど、製パン時の膨らみ
等が向上することから、実需者からは13%以上の生産物を求められている。
そのため、蛋白質含有率の向上について、プロジェクトとして取り組み、「ゆめか
おり」の高品質安定生産を図る。
(別紙)
実績及び目標
品種及び用途
サチホゴールデン
<ビール用・食用>
スカイゴールデン
<ビール用・食用>
二
条
大
麦
アスカゴールデン
<ビール用・食用>
栃木二条45号
<ビール用・食用>
とちのいぶき
<食用>
計
平成26年
産実績
平成27年
産目標
5,800
7,340
8,200
7,800
6,200
21,100
16,460
29,900
28,500
22,600
3,400
1,650
0
0
0
12,400
3,700
0
0
0
面積
100
110
1,000
1,400
3,000
生産量
400
250
3,650
5,110
10,950
面積
20
100
100
生産量
60
300
300
面積
生産量
面積
さとのそら
<日本めん用>
小
麦
タマイズミ
<醸造用>
ゆめかおり
<パン用>
計
六
条
大
麦
シュンライ
<食用・麦茶>
H29年
産目標
作付中止
生産量
面積
200
220
200
200
200
生産量
700
490
730
730
730
9,500
9,320
9,420
9,500
9,500
34,600
20,900
34,300
34,600
34,600
660
620
800
850
900
2,360
2,120
2,900
3,100
3,200
810
880
670
600
550
2,900
3,010
2,400
2,200
2,000
640
580
600
600
600
2,300
1,980
2,200
2,200
2,200
370
370
340
350
350
生産量
1,320
1,270
1,200
1,300
1,300
面積
2,480
2,450
2,410
2,400
2,400
生産量
8,880
8,380
8,700
8,800
8,800
面積
1,520
1,460
1,800
1,800
1,800
生産量
5,080
2,160
6,300
6,300
6,300
面積
1,520
1,460
1,800
1,800
1,800
生産量
5,080
2,160
6,300
6,300
6,300
面積
13,500
13,200
13,630
13,700
13,700
生産量
48,560
20,900
49,300
49,700
49,700
需要に応じた作付
面積
生産量
イワイノダイチ
<日本めん用>
H28年
産目標
今後の方向性
平成25年
産実績
面積
生産量
面積
生産量
面積
生産量
面積
「イワイノダイチ」へ
一部切替
需要の喚起を図りな
がら作付拡大
需要に応じた作付
拡大
計
合計
*平成26年産品種別作付面積・生産量は種子供給量から推計及び関係団体からの聞き取り
※ラウンドの関係で合計が一致しない場合がある