2014/12/24 - 三菱東京UFJ銀行

DECEMBER 24TH 2014
三菱東京UFJ銀行 国際業務部
◊◈◊◈◊◈◊◈◊◈◊◈◊◈◊◈◊◈◊◈◊◈◊◈◊◈◊◈◊◈◊◈◊◈◊◈◊◈◊◈◊◈◊◈◊◈◊◈◊◈◊◈◊◈◊◈◊◈◊◈◊◈◊◈◊◈◊◈◊◈◊◈◊◈◊◈◊◈◊◈◊◈◊◈◊◈◊◈◊◈◊◈◊
■
■ トトピ
ピッ
ック
クス
ス
・中央経済工作会議:2015 年の経済運営方針を決定
~経済の「新常態」に適応~
■
■W
WEEEEKKLLYY DDIIG
GEESSTT
【経
済】
・人民銀行 中国経済成長を 2014 年+7.4%、2015 年+7.1%と予測
【産
業】
・11 月の 70 大中都市住宅価格 67 都市で前月比下落
【貿易・投資】
・11 月の対内直接投資額 前年同月比+22.2% 伸び幅は大きく拡大
・2015 年の中国の休日発表
【金融・為替】
・11 月の外国為替資金残高 前月比増加額が大幅減少
■
■人
人民
民元
元レ
レビ
ビュ
ュー
ー
・現水準を中心とした推移を予想
◊◈◊◈◊◈◊◈◊◈◊◈◊◈◊◈◊◈◊◈◊◈◊◈◊◈◊◈◊◈◊◈◊◈◊◈◊◈◊◈◊◈◊◈◊◈◊◈◊◈◊◈◊◈◊◈◊◈◊◈◊◈◊◈◊◈◊◈◊◈◊◈◊◈◊◈◊◈◊◈◊◈◊◈◊◈◊◈◊◈◊◈◊
本邦におけるご照会先:
三菱東京 UFJ 銀行国際業務部 東京:03-6259-6695(代表)大阪:06-6206-8434(代表) 名古屋:052-211-0544(代表)
・本資料は情報提供を唯一の目的としたものであり、金融商品の売買や投資などの勧誘を目的としたものではありません。本資料の中
に銀行取引や同取引に関連する記載がある場合、弊行がそれらの取引を応諾したこと、またそれらの取引の実行を推奨することを意
味するものではなく、それらの取引の妥当性や、適法性等について保証するものでもありません。
・本資料の記述は弊行内で作成したものを含め弊行の統一された考えを表明したものではありません。
・本資料は信頼できると思われる情報に基づいて作成されていますが、その正確性、信頼性、完全性を保証するものではありません。
最終判断はご自身で行っていただきますようお願いいたします。本資料に基づく投資決定、経営上の判断、その他全ての行為によっ
て如何なる損害を受けた場合にも、弊行ならびに原資料提供者は一切の責任を負いません。実際の適用につきましては、別途、公認
会計士、税理士、弁護士にご確認いただきますようお願いいたします。
・本資料の知的財産権は全て原資料提供者または株式会社三菱東京 UFJ 銀行に帰属します。本資料の本文の一部または全部について、
第三者への開示および、複製、販売、その他如何なる方法においても、第三者への提供を禁じます。
・本資料の内容は予告なく変更される場合があります。
1
DECEMBER 24TH 2014
トピックス
中央経済工作会議:2015 年の経済運営方針を決定
~経済の「新常態」に適応~
2015 年の経済運営方針を決定する中央経済工作会議が 12 月 9 日から 11 日にかけて北京で開催された。
2015 年は、「第 12 次五ヶ年計画」の目標達成に向けての最後の年であると同時に、「三中全会」で示された広
範な改革の深化、「四中全会」で打ち出された「法治国家」を実行に移す初年度でもある。経済成長のステー
ジが転換し「新常態(ニューノーマル)」に入りつつある中国経済に如何にして対応していくかが、中長期的な
中国経済の発展の持続および社会の安定につながるポイントであることから、今回の中央工作会議は内外か
ら注目されていた。本稿では来年の経済運営の基本方針を中心に会議の内容要旨をまとめて説明する。
Ⅰ、中国経済の現状に対する見方―「新常態」に適応
1、経済発展の「新常態」
 内外の経済環境の変化に伴い、中国経済は成長の鈍化など趨勢的な変化がみられ、過去と異なる「新常
態」に入りつつあるとみられている。新華社が 12 日に発表した中央経済工作会議に関するプレス・リリース
(以下、リリース)によれば、今回の会議では、中国の経済発展がこれまでの高度成長から安定成長への
成長ステージの移行、規模やスピード重視の粗放型から質と効率重視の集約型への転換、量的拡大から
質的向上への構造調整、伝統的な成長エンジンから新たな成長エンジンへの切り替えなど、「新常態」に
入りつつあることを明確に示したほか、経済発展の「新常態」について、以下の通り 9 つの特徴を初めて示
した。
経済発展の「新常態」の 9 つの特徴と求められる対応
内容
特徴
求められる対応
1 消費
追随型・集中型の消費段階は 基本 的に 終了 し、 個性 化・ 多様 化し た消 品質安全重視、革新による需要喚起、適切な消 費政 策で 消費 を後
費が徐々に主流となる
押し
2 投資
伝統的分野は飽和状態にある 一方 、イ ンフ ラの 相互 接続 や新 技術 、新 投資融資体制を刷新し、投資方向を正確に把握することで、投 資が
製品、新業態、新ビジネスモデルへの投資機会が拡大する
経済を牽引する役割を引き続き発揮できる体制に
3 輸出
海外需要の低迷が続き、中国の低コストの比較優位性に変化が生じ 、海
外からのハイレベルな技術などの導入 と大 規模 な海 外進 出が 同時 に発 新たな輸出優位性を掘り起こし、輸出を促進
生する
4 生産
伝統的な製造業におけ る生 産過 剰が 目立 ち、 業界 再編 や集 中度 の向 産業構造の新たな特徴として生産の小型化、スマート化、専門化が
上が不可欠。新興産業、サービス業、小規模・零細企業の役割が増加 必要
5 生産要素
高齢化が進み、農業の余剰人口が減少、労働力の大量投 入に よる 成長 経済成長に労働力の質の向上と技術の進歩が必要、イノベーション
押し上げ力が弱まる
に注力すべき
6 市場競争
数量や価格の競争から徐々に 品質 の重 視・ 差異 化を中心 とし た競 争に
改革の深化により透明で統一的、ルール化された市場を確立
転換、統一した全国市場の構築、資源配置効率の向上が要求される
7 環境資源
環境の許容能力が限界に達し、あるいは限界に近づいている
8 リスク
経済の減速に伴い、各種リスクが顕在化しつつある。全体的にコント ロー
短 期 的 な 対 策 と 長 期 的 な 方 策 を両 に らみ した 措置 やケース バイ
ル可能だが、ハイレバレッジとバブルを主な特徴とする 各種 のリ スク 解消
ケースのリスク対応体制とメカニズムを構築
までには、時間がかかる
9
マクロ経済
政策
グリーン・低炭素の循環型発展モデルを推進
過剰生産能力を全面的に解消すると共に市場の機能の発 揮、 今後
の産業発展の方向性の模索、新たな需給状況の 把握 を通 じ、 科学
的にマクロ経済コントロールを実施
全面的な経済刺激策の限界効果が弱まっている
出所:新華社のリリースを基に三菱東京 UFJ 銀行(中国)有限公司中国調査室作成

また、リリースでは、「新常態」を的確に把握し、自発的に適応するよう求め、今後の経済運営において、消
費者の需要、市場と消費心理の分析、社会期待(見通し)の誘導、財産権・知的財産権の保護強化、企業
の潜在能力の発揮、教育と労働力の質の向上、エコ、科学技術の進歩と全面的な革新などをより重視す
ることを強調した。
2
DECEMBER 24TH 2014
2、中国経済をめぐる内外のリスク
 一方、リリースでは中国経済が直面しているリスクとして、国内では経済の下振れリスク、構造調整に伴う
痛みの増大、困難な企業経営、経済リスクの顕在化などをあげ、海外については、脆弱な世界経済の回
復、国際金融市場の動揺、一次商品の価格変動、地政学リスクなどを指摘し、積極的にリスクに対応する
方針を示した。
コメント
 「新常態」に入りつつある中国経済を背景に、企業にとっては、イノベーションの強化、製品の付加価値の向
上や差異化、経営方式の転換、新しい収益力の掘り起こしなど「新常態」への対応が求められる。
Ⅱ、2015 年の経済運営の政策基調のポイント
リリースによれば、今回の会議では、来年の経済運営の政策基調として、以下の方針が示された。
1、2015 年の経済運営の基調~「穏中求進」を継続するも、改革深化や革新、リスク防止に注力

全体要求として、2014 年の穏中求進(経済運営や社会の安定を維持した上で前進する)の政策基調を継
続し、経済発展の質と効率の向上を中心に、自発的に「新常態」に適応し、経済成長率を適切な範囲内
に安定させる上で、発展方式の転換と構造調整に一層注力し、改革の課題解決に着手し、革新への取り
組み、リスク対応、民生保障の改善を強化し、経済の持続的且つ健全な発展、社会の調和と安定を促進
する。
コメント
 2015 年は「穏中求進」の政策基調を継続するも、「新常態」に適応し、改革の深化や革新などにより、新たな
成長力を掘り起こし、経済の持続的発展を保つことが喫緊の課題となっており、「安定」と「前進」のなかで
は、「前進」の方に重点が置かれると考えられる。
2、マクロ経済政策方針~「積極的な財政政策と穏健な金融政策」を継続するも、緩和基調へ
 マクロ経済政策の連続性と安定性を維持し、「積極的な財政政策と穏健な金融政策」を継続する。
 積極的な財政政策については、財政出動を強化する。穏健な金融政策に関しては、緩和と引き締めの度
合いを適切にコントロールする。
コメント
 経済の下振れリスクに対応するため、中央財政支出の拡大など財政出動の強化が求められ、2015 年の赤
字規模および財政赤字の対 GDP 比率はさらに拡大するとみられる。
 また、小型零細企業に対する構造的減税措置の継続、営改増(営業税から増値税への税制一本化改革)
の対象分野の拡大、資源税改革の推進も予想される。このほか、新エネ車補助などの消費刺激策、社会保
障制度の充実、公共投資の拡大、輸出入促進措置が引き続き実施される。
 金融政策については、穏健な基調を堅持するも、内外経済の先行きが依然として不安定な中において、安
定成長の維持に重点を置き、緩和基調に動くと見られ、利下げの追加や預金準備率の引き下げも視野に
入ってくる。なお、経済成長の伸びの鈍化に伴い、M2 の目標も相応に引き下げられると考えられる。
3、経済成長目標~経済や社会発展の予期目標を合理的に設定
 経済成長の安定維持に努めると同時に経済成長と構造調整をバランスよく進めていく。
 中国経済について、規模や国内市場が大きく、リスク対応力や経済発展の余地が大きいことから、経済の
安定成長の維持は可能ではあるが、経済成長の質と効率の向上や高度化を弛めることなく進めなければ
ならない。
 経済や社会発展の目標を合理的に設定し、経済成長率を適切な範囲内に安定させ、「区間コントロール」
(経済成長の下限と物価上昇の上限)の方針を堅持し、「対象を限定した」金融緩和などを引き続き実施
する。
3
DECEMBER 24TH 2014
コメント
 現政権はマクロ経済政策の決定に当たり、経済成長率よりも雇用の安定や経済成長の効率化を重視する
方針を示している。当面、7%前後の成長率を確保できれば、大幅な雇用悪化を回避できると試算されてお
り、来年の経済成長率目標を今年の 7.5%前後から 7.0%前後に引き下げる可能性が大きいと見られてい
る。
 経済成長目標を適切に引き下げ、構造調整や経済発展方式の転換に余裕を持たせ、経済成長と構造調
整をバランスよく進めていくことを図る。
 今後、過剰生産業界に対する調整を堅持する一方、新興産業やサービス業など経済成長を支えるセクター
への投資や政策支援を強めると予想される。
4、経済成長の牽引役~市場により新たな成長牽引役の育成を目指す
 新たな経済成長の押上げ要因が数多くあり、ポテンシャルも大きい。新たな牽引役を積極的に掘り起こし、
育成する。
 資源配分を市場で決定するなど市場の役割を発揮させ、市場機能を生かし、市場による新たな経済成長
の牽引役の育成を目指す。
 革新を着実に進め、技術革新の成果による産業化を通じ、経済成長を促進する。
 規制緩和や政府機能の転換を速め、市場競争の効く環境を創出する。政府は財産権保護、公平維持、
金融支援の改善、インセンティブメカニズム、人材引き受けなどで後押しする。
コメント
 市場による資源配分を徹底し、経済の自律的成長力を養う。政府は自らの機能を市場環境の整備や競争
ルールの制定などへ転換し、市場介入を減らし、過去の太陽光発電などのような政府主導による産業促進
政策の歪みを是正するとみられる。
 経済成長の新たな牽引役として、技術革新、新技術の産業化を重視する。
5、改革の深化への取り組み~改革が本格的な展開段階に入る
 改革開放を加速する。経済発展のボトルネックとなっている難題に取り組み、短期的に実施可能で、かつ
長期的な制度構築にも有効な改革措置を講じ、改革案の制定を引き続き推進する。
 行政許認可、投資、価格、独占分野、特許経営、政府調達、資本市場、民営銀行の市場進出、対外投資
等における改革を加速し、改革措置を経済促進の原動力にする。
 地方、行政の下部組織、大衆の革新力を発揮させ、現場から対策を見出す。改革措置を徹底させ、責任
を強化し、協働や監督および評価体制を改善し、大衆による改革の成果を評価する。
 企業の活性化、効率向上及びコア技術の競争力の強化を中心に国有企業の改革を進める。
コメント
 2015 年は全面的な改革深化を進めていく上で重要な一年であると強調され、「改革ボーナス(改革による経
済発展への促進効果)」による経済の潜在成長率の底上げを図る中、預金保険制度の実施、銀行の破産メ
カニズムの導入、金利の自由化推進、戸籍制度改革の推進、国有企業改革、土地改革など、重要分野に
おける改革の本格的な展開が期待される。
 ミクロ経済を活性化するには、国有企業の改革が鍵となっている。中央による全体的な改革方針の制定が
進み、地方政府も様々な取り組みを示しており、来年はより多くの地方および業種で国有企業の改革が進
展すると予想される。
 改革は大衆の需要や要望を満たさなければならない。改革措置の制定や推進に当たり、トップダウンによる
指導が不可欠ではあるものの、現場で活躍する地方政府や大衆の意見を汲み上げることは、改革の成果を
大衆に浸透させるために必要と思われる。
6、地域発展戦略~「一路一帯」、「京津冀協働発展」、「長江経済ベルト」の推進に注力
 経済発展の地域的配置を合理化し、地域間の調和の取れた発展を促進する。
 西部開発、東北振興、中部躍進などの地域発展戦略を引き続き推進する。
4
DECEMBER 24TH 2014

「一路一帯(一路:中国からインド洋へ抜ける海のシルクロード。一帯:中国と中央アジアを結ぶシルクロード
経済ベルト)」、「京津冀協働発展」、「長江経済ベルト」の「三大戦略」を重点的に推進し、来年には良好
なスタートを切る。
コメント
 地域発展戦略については、これまでの西部開発、東北振興、中部躍進などの地域ごとの協調的な発展戦略
を継続するが、2015 年はさらに現政権が取り組んでいる「一路一帯」、「京津冀協働発展」、「長江経済ベル
ト」を重点的に推進する。その背景は以下の通り。

「一路一帯」の推進により、中国の過剰生産能力の解消をはかるとともにアジア地域のインフラ建設や
経済貿易を促進することにより、中国の影響力拡大にも繋がることが期待されていること。

北京など華北地域で大気汚染が深刻化する中、「京津冀協働発展」がなければ、大気汚染などの環境
整備が進められないこと。

長江経済ベルトの推進は、東部と中西部における主要経済都市の協働や連携を緊密にし、内陸部へ
の産業シフト、新たな成長を牽引する地域として期待されること。
7、対外開放~「三つの均衡」をめざし、「自由貿易区」を拡大へ
 新しい対外開放の段階に当たり、内需と外需の均衡、輸出と輸入の均衡、および外資導入と対外投資の
均衡の「三つの均衡」を促進し、国際収支の均衡を実現する。
 輸出拡大と輸入増加に関する支援政策を改善し、貿易の利便化を図り、輸出の市場シェアを確保する。
 投資環境を健全化し、製造業の対外開放をさらに拡大し、サービス業の市場進出分野を拡大する。また、
対内投資の規模と伸びを安定させ、上海自由貿易試験区(上海 FTZ)の経験を拡大する。
 対外投資の質と効率を高め、インフラの相互接続を促進し、優位性のある産業の海外進出を支援し、
人民元の国際化を適切に進める。
コメント
 中国の国際貿易や外貨準備高が世界最大規模となる中、今までの貿易・投資政策について、改善が必要と
なっており、「三つの均衡」はそうした現状に対応する施策。
 上海 FTZ の経験の展開について、12 日、国務院は天津、広東および福建の特定区域に自由貿易園区を設
定することとし、上海 FTZ の試行内容に地方の特色を加えたプランを策定することを決定した。
 上海 FTZ ではネガティブリストの圧縮、サービス業や先進製造業の更なる開放、一部の開放措置を浦東新
区へ拡大し、その他の各改革項目は全国展開を進めることも謳われており、今後、貿易の自由化に向けて
更なる規制緩和が進むことも予想される。
 人民元の国際化について、これまでに当局は「人民元建て貿易決済」との言葉を使っていたが、リリースでは
初めて正式に「人民元の国際化」に言及、「人民元建て貿易決済」を実施して5年が経ち、貿易や投資など
における人民元利用は着実に進んでおり、今後、人民元の国際化を本格的に進めていくとみられる。
8、リスク対応~財政や金融リスクの防止を強化
 リスクの発生、拡大の趨勢への注意を高め、債務増加を厳格に抑制、状況に応じて異なる施策で対応、
逐次解消の原則に従い、リスクの解消に一歩一歩取り組む。
コメント
 経済の減速に伴い、過去から積み重ねてきた設備過剰リスク、不動産リスク、地方政府の債務リスク、金融リ
スクなど様々なリスクが顕在化しつつある。これらのリスクが織り交ざっている為、細心の注意を払い、適切に
対応しなければ、システミックリスクを引き起こしかねないことから、リスクの拡大防止への注力による、慎重な
対処が求められている。
9、民生事業の改善~低所得層に対する社会保障を強化
 就業、教育、貧困救済などの国民生活保障を強化し、改善する。基本的な民生保障事業に注力し、低所
得層の生活改善に力を入れる。貧困からの脱却を支援し、平均的な水準に満たない貧困層の生活状況
改善に注力する。
 貧困家庭の全ての子供が公平で質の高い教育を受けられるようにし、スタートラインで出遅れることが無い
ようにする。
 それぞれの地域に合った特色ある経済を発展させ、基本的な公共サービスの提供と貧困扶助を強める。
5
DECEMBER 24TH 2014
コメント
 経済減速の中、貧困層が直面する困難や圧力が非常に高まるため、貧困層への社会保障の充実や救済の
強化により、社会の安定維持にも繋げる狙いも考えられる。
10、都市化の推進~「急進」を避ける
 都市化の健全な推進は経済発展における地域的配置合理化の重要な手段であるが、急進せず、根気よ
く長い期間をかけて実施することを覚悟して推進し、エコ環境の保護にも力を入れる。
コメント
 新型都市化を経済発展の新たな牽引役とするものの、急進せず、就職、教育、社会保障など農民の市民化
を中心に進める。
 一方、むやみな新区新設や投資過熱を抑制し、「ゴーストタウン」や農民権益の損害を避けるものと読み取
れる。
11、三農~農業の発展モデルの転換を加速
 農業の発展モデルの転換を加速し、効率化と競争力の向上、農業新技術革新、持続発展可能な集約型
農業発展方式を目指す。
 農村改革を進め、農産品の価格形成メカニズムを健全化する。
 農村土地経営権取引を改善し、土地請負経営権の確認作業を進める。農民に対する職業トレーニングを
強化し、現代農業に相応しい質の高い農民を育成する。
コメント
 来年の「中央一号文件(中央政府の活動方針を示す重要通達」は引き続き「三農(農業、農村、農民」問題
を取り上げるとみられ、現代的農業生産体制の構築、農産品価格改革、および土地改革が主な課題とされ
る。
6
DECEMBER 24TH 2014
2000 年以降の中央経済工作会議が定めたマクロ経済政策基調
年度
財政・金融政策
政策目標
積極的な財政政策
「新常態」に適応、穏中求進、改革の深化、経済成長の質と効率の向上
穏健な金融政策
積極的な財政政策
2014年
穏中求進、改革と革新の推進、経済成長の質と効率の向上
穏健な金融政策
積極的な財政政策
2013年
穏中求進、経済成長の質と効率の向上、都市化の推進
穏健な金融政策
積極的な財政政策
経済の安定成長、経済構造の調整、インフレ予想の管理
2012年
穏健な金融政策
積極的な財政政策
2011年
経済構造調整の加速、物価の安定化
穏健な金融政策
積極的な財政政策
2010年
政策の連続性と安定性の維持
適度緩和の金融政策
積極的な財政政策
2009年
内需拡大、安定的でやや速い経済成長の維持
適度緩和の金融政策
積極的な財政政策
2008年
経済の過熱化の防止
引締めの金融政策
穏健な財政政策
2007年
消費、投資、輸出の協調的な発展
穏健な金融政策
穏健な財政政策
2006年
政策の連続性と安定性の維持
穏健な金融政策
穏健な財政政策
2005年
マクロコントロールの成果の強化、全面、協調且つ持続可能な発展
穏健な金融政策
積極的な財政政策
2004年
経済成長の質と効率の向上
穏健な金融政策
積極的な財政政策
2003年
経済成長の速度、構造、質、効率の統一
穏健な金融政策
積極的な財政政策
2002年
内需拡大、経済成長の質と効率の向上
穏健な金融政策
積極的な財政政策
2001年
堅調な経済成長態勢の維持
穏健な金融政策
積極的な財政政策
2000年
国有企業の改革の推進
穏健な金融政策
出所:公開資料を基に三菱東京UFJ銀行(中国)有限公司中国調査室整理
2015年
三菱東京 UFJ 銀行(中国)トランザクションバンキング部中国調査室
以上
当資料は情報提供のみを目的として作成されたものであり、何らかの行動を勧誘するものではありません。ご利用に関しては全てお客様御自身でご
判断くださいますよう、宜しくお願い申し上げます。当資料は信頼できると思われる情報に基づいて作成されていますが、当店はその正確性を保証す
るものではありません。内容は予告なしに変更することがありますので、予めご了承下さい。また当資料は著作物であり、著作権法により保護されてお
ります。全文または一部を転載する場合は出所を明記してください。
三菱東京 UFJ 銀行(中国)有限公司トランザクションバンキング部 中国調査室
北京市朝陽区東三環北路 5 号北京発展大厦 4 階 照会先:石洪 TEL 010-6590-8888ext. 214
7
DECEMBER 24TH 2014
WEEKLY DIGEST
【経済】
◆人民銀行 中国経済成長を 2014 年+7.4%、2015 年+7.1%と予測
中国人民銀行研究局は 12 日、「2015 年中国マクロ < 中 国 人 民 銀 行 /主 要 経 済 指 標 予 測 >
2013年
2014年
経済予測」を発表した。
項目
実質 GDP 成長率について、世界経済の回復により
輸出の加速が期待できる一方、不動産開発投資の
減速がこれを相殺する為、2014 年は+7.4%に着地、
2015 年は+7.1%まで減速するとの見通しを示した。
( 前 年 比 %)
2015年
(実績) (予測) (予測)
7.7
7.4
7.1
実 質 国 内 総 生 産 ( GDP)
固定資産投資
19.6
15.5
12.8
社会消費財小売総額
13.1
12.0
12.2
7.9
6.1
6.9
輸出
ただ、経済成長が減速しても、構造調整改革の成果 輸 入
7.3
1.9
5.1
が徐々に現れる中、雇用吸収力の高い第 3 次産業 消 費 者 物 価 指 数 ( CPI)
2.6
2.0
2.2
の GDP に占める比率が高まることが予想される為、 生 産 者 物 価 指 数 ( PPI)
▲ 1.9
▲ 1.8
▲ 0.4
(出所)中国人民銀行工作論文「2015年中国マクロ経済予測」を基に作成
2015 年の雇用状況は引き続き安定するとした。
また、今後、国際商品価格の下落傾向の鈍化に加え、目下の豊作状況に鑑みると食品価格も 2014 年とほぼ横
ばいで推移すると見込まれる為、物価は+2.0%台で安定的に推移すると見ている。
なお、2015 年の GDP 成長率について、中国政府系シンクタンクである国家情報センターは+7.0%、中国社会
科学院は+7.0%前後との予測を示している。
【産業】
◆11 月の 70 大中都市住宅価格 67 都市で前月比下落
国家統計局は 18 日、11 月の 70 大中
<70大中都市の新築住宅価格:前月比変化の推移>
都市数
都市の不動産価格指数を発表した。 70 0 4 3 6
2
8
8
新築商品住宅価格については、前月
比下落した都市数は前月より 2 都市
減少して 67 都市となった。うち、大連
市(遼寧省)、桂林市(広西省)が共
に前月比▲1.4%、丹東市(遼寧省)
が同▲1.3%と、下落幅が最も大きか
った。対前年同月比価格が下落した
都市数は前月より1都市増加して 68
都市となった。うち、杭州市(浙江省)
が前年同月比▲9.9%、韶関市(広東
省)が同▲7.4%、瀋陽市(遼寧省)が
同▲6.8%と、下落幅が最も大きかっ
た。
60
10
10
30
15
22
21 16 24
21
7
25
36
50
31
35
44
50
20
53 54 53
40
62
62
66 65 65 66 65
66 68 67 65 63
24
30
64
18 35
11
21
68 69 69 67
55
18
48 45 46
43 43
10
57 56
15
14
20
11
4
20
7
24
8
7
17
10 8 10
3
1
9
0
11
価格下落
21
2
3
2
5
4
4
2
2
3
2
価格横ばい
3
2
3
1
3
2
2
6
9 10
4
4
8
価格上昇
(出所)国家統計局の公表データを基に作成
<70大中都市の新築住宅価格:前年同月比変化の推移>
都市数
また、中古住宅価格については、前
月比下落した都市数は前月より 6 都
市減少して 58 都市、対前年同月比
では下落した都市数は前月より 2 都
市増加して 67 都市となった。
70
同局は、10 月以降の全国各地にお
ける住宅購入規制の緩和、また 11 月
22 日からの利下げの実施が、不動産
市場にプラスの影響を与え、70 大中
都市の 11 月の新築商品住宅の成約
金額は今年最高となったとも発表し
た。
30
10
11 11 14 12 12
23
2 1
3 2 25
29
0
3
15
60
37
50
40
3
10
62
6
55 57 58 53 55 56
46
67 68 69 69 69 69 69 69 69 69 69 69 69 69 69 69 65
67 68
58
4
41
38
2
48
53
4
20
20
2
1
53
40
30
3
1
27
26
16 0
8
15
0
19
12
価格下落
(出所)国家統計局の公表データを基に作成
8
02
01
01
01
01
01
価格横ばい
01
01
01
01
01
価格上昇
01
01
01
01
2
3
DECEMBER 24TH 2014
【貿易・投資】
◆11 月の対内直接投資額 前年同月比+22.2% 伸び幅は大きく拡大
商務部の 17 日の記者会見によると、11 月の新規設立の外資企業数は前年同月比▲8.6%の 2,057 社、対内直
接投資額(実行ベース)は同+22.2%の 103.6 億米ドルとなり、3 ヶ月連続でプラスとなった。一方、1-11 月の累計
では、外資企業数は前年同期比+4.2%の 21,296 社、対内直接投資額は同+0.7%の 1,062.4 億米ドルとなった。
1-11 月の累計を国・地域別で見ると、日本からは前年同期比▲39.7%の 40.8 億米ドルと、1-10 月の同▲42.9%
から減少幅は小幅に縮小した。また、米国からは同▲22.2%の 24.6 億米ドル、EU からは同▲9.8%の 61.7 億米
ドル、ASEAN からは同▲23.6%の 58.7 億米ドルと何れも伸び率がマイナスになったのに対し、韓国からは同
+22.9%の 35.9 億米ドル、英国からは同+28.0%の 12.5 億米ドルとなった。
なお、同時に発表された 11 月の対外直接投資額は前年同月比▲26.1%の 79.2 億米ドルと減少幅が拡大した。
<中国対内直接投資の推移>
(億米ドル)
(%)
160
30
実行ベース(億米ドル)
前年同月比(%)
140
25
20
120
15
100
10
80
5
0
60
▲5
40
▲ 10
20
▲ 15
0
▲ 20
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11
2012年
2013年
2014年
(出所)商務部の公表データを基に作成
◆2015 年の中国の休日発表
国務院弁公庁はこのほど 2015 年の法定休日を発表した。春節の連休について、今年は春節当日から始まった
が、来年については、一般から意見募集を行った上で大晦日にあたる 2 月 18 日から休みとした。
1月
1月
1月
2月
2月
2月
2月
2月
2月
2月
4月
4月
5月
5月
5月
日付
1日
2日
3日
18日
19日
20日
21日
22日
23日
24日
5日
6日
1日
2日
3日
日付
祭日
6月
20日 ( 土 )
端午節
6月
21日 ( 日 )
6月
22日 ( 月 )
9月
27日 ( 日 )
中秋節
10月
1日 ( 木 )
10月
2日 ( 金 )
10月
3日 ( 土 )
10月
4日 ( 日 )
国慶節
10月
5日 ( 月 )
10月
6日 ( 火 )
10月
7日 ( 水 )
以下の土・日は振替営業日となります
1月
4日 ( 日 )
2月
15日 ( 日 )
2月
28日 ( 土 )
10月
10日 ( 土 )
祭日
(木)
(金)
(土)
(水)
(木)
(金)
(土)
(日)
(月)
(火)
(日)
(月)
(金)
(土)
(日)
新年
春節(旧正月)
清明節
労働節
(出所):国務院弁公庁の公表データを基に作成
9
DECEMBER 24TH 2014
【金融・為替】
◆11 月の外国為替資金残高 前月比増加額が大幅減少
中国人民銀行の 15 日の発表によると、11 月末の外国為替資金残高は前月より 21.7 億元増加の 29 兆 5,274
億元となり、3 ヶ月連続のプラスとなったが、前月比増加額は今年に入り 2 番目の低水準となった。
同残高は中国で人民元に両替された外貨量を示し、残高の増加は海外からの資金流入量の増加を表す。
11 月の外国為替資金残高の前月比増加額が減少した要因については、人民銀行が 11 月に実施した利下げ
を受けて、外貨保有者が人民元への兌換を先送りしていることが一因と見られている。
人民元レビュー
◆現水準を中心とした推移を予想
今週の人民元は 6.18 台後半で寄り付いた後、週央まで 6.19 挟みの推移が続いた。その後、FOMC 後に
ドル高が進んだことに加えて、中国人民銀行が対ドル基準値を元安方向へ設定したことから人民元売りが強ま
り、本稿執筆時点では 6.23 台前半まで下落している。
また、短期金融市場では金利がじわりと上昇してきている。中国では、税金の支払い等の季節要因に加えて、
足元で盛り上がりを見せている新規株式公開(IPO)に絡む資金調達も流動性逼迫の要因となっているようだ。
18 日引け時点での 7 日物レポ金利加重平均は 5.61%まで上昇している。
中国人民銀行の主席エコノミスト馬氏は、12 日付報告書「2015 年のマクロ経済予測」において 2015 年の経済
成長見通しが不動産投資の鈍化等により 7.1%へ減速するとの見通しを示した。経済予測に関する報告書は今
年初めて発行されたものであるため、経済政策目標へどの程度反映されるかは不明だ。だが、報告書発表の前
日に閉幕した経済工作会議では、中国がこれまでの高成長とは異なる新常態(ニューノーマル)に移行したこと
が強調されており、同報告書はそれを裏付ける内容と言える。政府系シンクタンクである社会科学院も 2015 年
の GDP 成長率は 7%前後になる可能性があると発表しており、3 月の全人代で発表される経済成長目標が
2014 年の 7.5%から引き下げられる可能性は高い。
月末にかけては輸入企業によるドル買いも活発になることから、来週の人民元も軟調推移が続こう。ただ、対
ドル基準値は 6.12 付近での推移が続いており、当局による元安誘導姿勢は伺えない。基準値が現水準で推移
すると見られ、下値余地も限定的と見ている。
(12 月 19 日作成)(市場企画部市場ソリューション室 グローバルマーケットリサーチ)
日付
2 0 1 4 .1 2 .1 5
2 0 1 4 .1 2 .1 6
2 0 1 4 .1 2 .1 7
2 0 1 4 .1 2 .1 8
2 0 1 4 .1 2 .1 9
O pe n
6 .1 8 6 7
6 .1 9 4 1
6 .1 8 7 2
6 .1 9 7 7
6 .2 1 4 2
USD
Ran ge
6 .1 8 1 9 ~ 6 .1 9 4 6
6 .1 8 8 9 ~ 6 .1 9 8 5
6 .1 8 1 8 ~ 6 .1 9 9 9
6 .1 9 7 7 ~ 6 .2 2 1 5
6 .2 1 3 3 ~ 6 .2 3 1 6
C lo se
6 .1 9 1 2
6 .1 9 0 3
6 .1 9 7 5
6 .2 1 6 3
6 .2 2 0 2
前日比
0 .0 0 4 3
- 0 .0 0 0 9
0 .0 0 7 2
0 .0 1 8 8
0 .0 0 3 9
JPY ( 1 0 0 JPY )
HKD
C lo se
前日比
C lo se
5 .2 3 1 5
0 .0 1 8 0
0 .7 9 8 5 0
5 .2 8 5 5
0 .0 5 4 0
0 .7 9 8 3 7
5 .2 8 6 4
0 .0 0 0 9
0 .7 9 9 2 6
5 .2 4 1 8
- 0 .0 4 4 6
0 .8 0 1 0 0
5 .2 1 1 2
- 0 .0 3 0 6
0 .8 0 1 9 9
前日比
0 .0 0 0 4
- 0 .0 0 0 1
0 .0 0 0 9
0 .0 0 1 7
0 .0 0 1 0
EU R
C lo s e
7 .7 0 0 7
7 .7 1 6 3
7 .7 2 5 6
7 .6 5 5 0
7 .6 3 5 5
前日比
0 .0 1 4 1
0 .0 1 5 6
0 .0 0 9 3
- 0 .0 7 0 6
- 0 .0 1 9 5
(資料)中国外貨取引センター、中国人民銀行、上海証券取引所資料より三菱東京 UFJ 銀行国際業務部作成
10
上 海 A株
金利
( 1 w k)
指数
3 .6 8 0 0 3 0 9 3 .9 3
5 .0 0 0 0 3 1 6 4 .9 9
4 .0 3 0 0 3 2 0 6 .1 0
5 .6 1 0 0 3 2 0 3 .4 8
6 .1 0 0 0 3 2 5 7 .9 0
前日比
1 4 .8 1
7 1 .0 6
4 1 .1 1
- 2 .6 2
5 4 .4 2