案 - 新エネルギー・産業技術総合開発機構

参考資料2
バイオマスエネルギー導⼊に係る技術指針・導⼊要件
(案)
平成 26 年 12 ⽉
独⽴⾏政法⼈新エネルギー・産業技術総合開発機構
⽬ 次
1.
本書の目的 ............................................................................................................................................. 1
2.
バイオマスエネルギー地域自立システム化実証事業の全体像 ..................................................... 2
2.1.
3.
4.
事業の目的 ..................................................................................................................................... 2
木質系 ..................................................................................................................................................... 4
3.1.
地域自立システム ......................................................................................................................... 4
3.2.
対象とするバイオマス ................................................................................................................. 5
3.3.
対象とする技術 ............................................................................................................................. 5
3.4.
実施体制 ......................................................................................................................................... 6
湿潤系 ..................................................................................................................................................... 7
4.1.
地域自立システム ......................................................................................................................... 7
4.2.
対象とするバイオマス ................................................................................................................. 9
4.3.
対象とする技術 ............................................................................................................................. 9
4.4.
実施体制 ......................................................................................................................................... 9
バイオマスエネルギー導⼊に係る技術指針・導⼊要件
i
ii
1. 本書の⽬的
本書は、バイオマスエネルギーの地域自立システム化実証事業(平成 26~32 年度)において、
実施される事業性評価(FS)に求められる要件を定めるものである。
バイオマスエネルギー導⼊に係る技術指針・導⼊要件
1
2. バイオマスエネルギー地域⾃⽴システム化実証事業の全体像
2.1. 事業の⽬的
2.1.1. バイオマスエネルギーの利⽤拡⼤の推進
再生可能エネルギーの導入は、政府が主導して取り組むべき課題の一つとして位置づけられて
いることを受け、本実証事業は、再生可能エネルギーの一つであるバイオマスエネルギーの健全
な導入拡大に資することを目的としている。
2.1.2. 対象とするバイオマス
バイオマスは、主として農林漁業を起点に生産され、木材等の製品生産工程で発生する端材、
畜産業に伴う家畜排せつ物、スーパー等で発生する廃棄食材、住民の生活に伴って発生する家庭
ごみに含まれる厨芥類など、各種加工・利用プロセスを経て廃棄物として発生する。
一方、木質バイオマスについては、各種加工・利用プロセスを経ず、伐採された木を直接エネ
ルギー利用するなど積極的なエネルギー生産をする場合も増加してきている。
したがって、バイオマスのエネルギー利用は、「積極的なエネルギー生産」もしくは「廃棄物
の効果的なエネルギー利用・処理」に大別される。本実証事業においては、図 2-1 に示すとおり、
国内で利用・流通されている全てのバイオマスを対象とする。
積極的なエネルギー⽣産
輸⼊バイオマス
⽊質エネルギー等
森林資源
(チップ・ペレット等)
⽣産活動
⽊材の拡販
(製材所等)
輸⼊⽊材
製材端材等
建築廃材
酪農・畜産系
輸⼊品
家畜ふん尿
下⽔汚泥
住⺠⽣活
⽣ごみ
農業/漁業
(⼀般家庭・事業者)
⽣産活動
⾷品残さ
(⾷品⼯場)
廃棄物の効果的なエネルギー利⽤・処理
図 2-1 対象とするバイオマス
2
住宅
2.1.3. 対象とするバイオマスエネルギー事業と地域システム
前項に示したとおり、バイオマスは、何らかの農林漁業が関係する産業(以下、地域産業)お
よびその流通に伴って発生する。したがって、バイオマスエネルギーを持続的かつ経済的に利用
していくには、地域産業との健全な連携は不可欠である。
従来のバイオマスエネルギー利用の実証事業は、実証期間の終了と共に事業も終了していた事
例が非常に多い。その理由は、事業として経済的に成立していなかった、もしくは、未熟な技術
を適用したため持続的な事業として成立していなかった、のいずれかに集約される。特に前者で
は、バイオマスをエネルギーに転換する事業のことだけを考えていたため、持続的かつ経済的に
バイオマスを調達できなかったという事例が多い。これは、バイオマスを扱う事業は地域産業と
深い関係にあるにも関わらず、地域産業との連携を十分に考慮したビジネスモデルとしての検討
が不十分だったことが根本的な原因と考えられる。
本実証事業では、このような過去を繰り返すことなく、実証事業終了後も見据えた健全な事業
計画に基づく実証事業を目指している。その際、重要となるのが、実証事業をとりまく地域シス
テムである。今後の地域産業・経済の活性化は我が国の重要課題の一つとなっていることを考え
合わせると、地域経済の活性化と、それに伴うバイオマスエネルギー利用の拡大が相乗効果を生
み出す地域システムを創るという発想は極めて重要である。なお、ここでの地域システムとは、
地産地消という地域内に留まったシステムだけを指すのではなく、他地域等も含めた広い視野で
捉えたシステムを指す。
このような課題認識を踏まえ、ここで対象とするバイオマスエネルギー事業は、既存の地域産
業や他地域の産業等と相乗効果を発揮するような連携を図ることにより、実証事業終了後も健全
なバイオマスエネルギー事業として地域経済の活性化に資するものとする。
2.1.4. 地域システムと実証事業の関係
前項に示したとおり、本実証事業における地域システムとは実証事業を含む広い範囲を指す。
つまり、実証事業で対象とする事業は、地域システムの中でほんの一部に過ぎない。
本実証事業は、新規に実施する事業そのものが持続的に成立するだけではなく、地域経済の活
性化という観点から事業の最適化を検討することが重要である。バイオマスエネルギー事業はバ
イオマスの調達とエネルギー販売の両面で他事業者等(地方公共団体を含む)との連携は不可避
である。そのため、本実証事業では、他事業者等の関係者と協力・連携する地域システムの提案
が重要である。
なお、地域システムの検討にあたっては、地産地消という地域内に留まらず、他地域等も含め
た広い視野から検討することが重要である。
バイオマスエネルギー導⼊に係る技術指針・導⼊要件
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3. ⽊質系
一般的に、バイオマスとは、エネルギー利用をする場合に利用されることが多いため、本書で
もエネルギー利用する場合に「バイオマス」を使用する。ここでは、木質系に関する要件を記載
するため、「木質バイオマス」とする。
なお、木質バイオマスは森林で育った木に由来するが、古くからの木の主な用途は木材等のマ
テリアル利用である。このように木の用途は多岐に亘ることを念頭に置き、本書では、森林で育
つ木は各種用途を有する地域の「木質資源」と表記する。
3.1. 地域⾃⽴システム
3.1.1. 地域⾃⽴システム化実証事業で⽬指すこと
従来、木質バイオマスエネルギーは、自由経済の環境下において経済的に利用可能なものから
利用されてきた。製材所で木材生産に伴って発生する廃材を利用した木材乾燥用の熱源、そこで
発生する余剰スチームによる発電や建設発生木材を利用した木質バイオマス発電事業などが相
当する。特に前者は、バイオマスエネルギーの熱に主眼を置いた利用手法であり、エネルギー利
用効率の観点から意義が高い。
2012 年 7 月に開始した再生可能エネルギーの固定価格買取制度(FIT 制度)では、木質バイオ
マスによる発電が優遇されることとなったが、電力に注目した優遇策であるため熱利用は対象で
はない上、基本的に 20 年間の時限施策である。地域の新規事業として FIT 制度を活用する場合
には、20 年後も事業が継続することを目指した事業運営が非常に重要である。
国内の木質資源の最適利用の方法は、対象とする場所での社会インフラ、木質資源を利用する
産業の立地、エネルギー価格や木材価格などの各種の外部環境により千差万別であり、個々の事
業実施場所の事情に応じた地域システムの設計が重要である。
地域自立システム化実証事業は、木質資源および木質バイオマスを最大限活用し、バイオマス
エネルギーの健全な導入を目指すものである。この際、最も重視すべきは、単にバイオマスエネ
ルギー事業だけに注目するのではなく、地域産業の立地等を考慮した上で、木材等のマテリアル
利用からエネルギー利用までの複数の用途を見据え、木質資源の経済価値が最も高くなるような
事業を検討・構築することである。
3.1.2. 地域⾃⽴システムに求められる要件
(策定中)
4
3.1.3. 地域システムと対象事業のイメージ例
木質資源および木質バイオマスを利用した対象事業のイメージ例を図 3-1 に示す。
木質バイオマスエネルギーの健全な利用は、木質バイオマスの調達方法が大きく影響するため、
木質資源の生産、利用あるいは調達について、創意工夫による新たな仕組みや取り組みがある場
合は提案すること。
既存の大型需要先を核に安定な需要先の確保が鍵である
安定した品質の燃料
(ペレット化)
ペレット製造規模
2~3万t/年
安定した大規模な
エネルギー需用
大規模需要先との連携地域外へ
大規模製材所
小規模では
森林資
源
熱需要無し
廃材・端材等
中間土
場
草本系資
源
製紙工場
間伐材・未利用材
燃料化工場
地域需要の集約化
農業施設
バイオマス発電所
本事業の範囲(チップ,ペレットなど)
バイオ燃
料
ボイラ
発電機
安定した熱需要など
の規模拡大 が望まれる
発電効率
約20%
FIT発電事業(対象外)
石炭火力発電所
病院・介護施設 等
安定運転のため
ペレットを指向
・核となる燃料化設備および需要先の集約化が求められる
・大規模な需要先との共生による需給安定化が望まれる
バイオマス混焼
設備費安価
(バイオ供給設備のみ)
排熱の有効利用が可能なことが
効率向上に重要である
規模拡大・機械化によるコスト
ダウンと材料確保が求められる
安価な安定した木材供給
森林経営の大規模化・機械化
発電効率
約40%
地域外より
焼却灰処理
・リサイクル(肥料 等)
・設備費が安価(発電設備、環境装置、送電線が既設)
・発電効率が高く、最も効果的な利用方法
図 3-1 地域システムと対象事業のイメージ
3.2. 対象とするバイオマス
現在、国内では、国産材、輸入材をベースとする木質資源が利用されているため、地域で発生
する木質バイオマスは、国産材および輸入材の両方を含む。
そのため、地域自立システム化実証事業では、全ての木質資源を対象とする。
<対象とするバイオマスに求められる要件>
(策定中)
3.3. 対象とする技術
地域自立システム化実証事業では、何らかのエネルギー利用を行うことを要件の一つとしてい
る。
FIT 制度を利用する発電事業は本実証事業の対象にはならないが、描く地域システムの中に
FIT 制度を活用した発電事業が含まれていることを否定するものではない。
バイオマスエネルギー導⼊に係る技術指針・導⼊要件
5
これまでに国内で商業利用されているバイオマスエネルギー技術は、主に熱利用および発電利
用を目的とする技術であり、図 3-2 に示すとおりである。国内事例が多いほど信頼性が高い技術
と考えて、これらのうち、いずれかの技術を適用する事業を前提とする。
スチーム
タービン
チップ化
直接燃焼
⽊質
バイオマス
熱
ORC
ユニット
ペレット化
トレファク
ション
スクリュー
タービン
ガス化
凡例
<
>
国内事例無
国内事例少
国内事例多
主要なパス
その他のパス
枠無:例外
ガス
エンジン
電⼒
マイクロ
ガス
タービン
図 3-2 国内におけるバイオマスエネルギー技術の導⼊状況
<対象とする技術に求められる要件>
(策定中)
3.4. 実施体制
地域自立システム化実証事業は、地域の既存事業をベースに複数の主体が連携する仕組みの中
で、新たな役割・機能を担う事業を対象としている。そのため、基本的には新事業の実施主体を
代表とする体制とする。
<実施体制に求められる要件>
(策定中)
6
4. 湿潤系
酪農業、養豚業等に伴って排出される家畜排せつ物(畜産系バイオマス、とする)や一般廃棄
物中の厨芥類等は、含水率が高いため木質バイオマスのように燃焼技術は適さない。ここでは、
含水率が高いバイオマスを「湿潤系」とし、メタン発酵技術の適用を前提とした地域システムを
検討する。
4.1. 地域⾃⽴システム
4.1.1. 地域⾃⽴システム化実証事業で⽬指すこと
メタン発酵技術は、「家畜排せつ物の管理の適正化および利用の促進に関する法律」に基づく
家畜排せつ物の適正管理、その後は「家畜排せつ物利用の促進を図るための基本方針」に基づく
家畜排せつ物のエネルギー利用を推進するための技術として位置づけられてきた。
メタン発酵技術は、含水率が高いバイオマスを低温で処理できるため、焼却処理に比較して無
駄な燃料を必要としない上に、バイオガスとしてエネルギーを回収することが可能である。また、
消化液は代替肥料として利用することも可能である。したがって、メタン発酵技術を利用する事
業は、湿潤系バイオマスを対象とする場合、焼却に比較してエネルギー的に有利な廃棄物処理事
業であると同時に、消化液を利用・販売できる場合には肥料供給事業とみることができる。
畜産業が主要産業となっている地域では、地域の人口維持・増加の観点から、畜産系バイオマ
スを適切に処理することにより住民にとって魅力的な地域とすることは重要なことである。また、
畜産業が主要産業になっている地域には観光資源が豊富な地域もあるため、観光客の維持・増加
の観点からも畜産系バイオマスの適切な処理は重要である。
一方、従来、一般廃棄物処理は焼却施設で行われてきたが、焼却設備が更新時期を迎える地域
では、再度焼却設備を建設するのか、別の処理方法を採用するかは問題である。今後の処理方法
の検討に際しては、将来の人口動態を十分に検討した上で、地域毎に最適な手法を選択していく
ことが重要である。この際、一般廃棄物中の厨芥類等は畜産系バイオマスに比較して熱量が高く
メタン発酵によるエネルギー回収に適しているため、厨芥類等の湿潤系バイオマスを分別してメ
タン発酵で処理する方法は選択肢の一つになると考えられる。
このように、地域で発生する廃棄物のうち湿潤系バイオマスを効率的に収集し、メタン発酵技
術を活用して低コストで処理することができれば、畜産業等の地域産業の競争力強化や行政コス
トの削減を通じた地域経済の活性化に繋げることが可能であると考えられる。この際、副産物で
ある消化液を肥料利用する事業との連携も視野に入れることができれば、更なる地域経済の活性
化に繋がる可能性がある。
本実証試験では、複数の発生源からの湿潤系バイオマスを効率的に収集した上で、メタン発酵
技術を適用することによって、地域経済の活性化に資するバイオマスエネルギー事業を実現する
地域システムの構築を目指す。
バイオマスエネルギー導⼊に係る技術指針・導⼊要件
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4.1.2. 地域システムに求められる要件
(策定中)
4.1.3. 地域システムと対象事業のイメージ例
湿潤系の地域システムと対象事業のイメージ例を図 4-1 に示す。
湿潤系バイオマスの収集、回収したエネルギーおよび副生物の利用について、既存の地域産業
や住民等との連携を十分に考慮した地域システムとし、そのシステムの中で経済的かつ持続的に
成立する事業とする。
なお、メタン発酵以外の技術を適用して、地域の湿潤系バイオマスを効果的に処理する方式が
ある場合は、新たな方式として提案すること。
季節による
発生ガス量変動
発電効率
約40%
集約による規模拡大
(畜糞系バイマス 300頭 規模)
<燃料化>
石炭火力 混焼
畜産廃棄物
< 国交省>
下水処理場
下水汚泥
<環境省>
都市ごみ系
集約化・大規模化
廃棄物輸送
(法規制など)
(需給調整手段の確保)
肥料
メタン発酵
食品工場系
残渣物
需要変動対策
<バイオガス製造>
事業系
家庭
<農水省/環境省>
<農水省>
温室・養殖 等
排水処理
<エネルギー変換>
病院 等
熱
工場 等
ボイラ コージェネレーション
コストダウン
高効率化
・ガスエンジンの安定長時間運転の信頼性が重要である
・長期安定操業のための保守体制が重要である
電力
本事業の範囲
大規模需要先との連携
安定した大規模
エネルギー需要が望まれる
・湿式メタン発酵:液肥の利用先確保が必須である
・排水処理の所内動力削減が重要である
図 4-1 地域システムと対象事業のイメージ(湿潤系)
8
排熱の需要先の確保・
集約化が重要である
「
メタン発生量の安定化」および「規模拡大による
経済性向上」
のために複合処理が重要である
複合処理による規模拡大
(都市系バイオマス処理量 50t/日規模)
効率的な廃棄物処理とメタン発酵
のために集約化が必須である
メタン発酵による廃棄物処理を主体にしたエネルギー利用が必須
4.2. 対象とするバイオマス
家畜排せつ物や一般廃棄物の厨芥類等の含水率が高いバイオマスを対象とする。
なお、事業性向上等の理由がある場合には、剪定枝等の湿潤系バイオマス以外の廃棄物を利用
することも可能である。
また、バイオマス以外の廃棄物を含む混合物を利用することも可能であるが、カロリーベース
で 60%以上のバイオマスを含むことを条件とする。
<対象バイオマスに求められる要件>
(策定中)
4.3. 対象とする技術
メタン発酵によるバイオマスエネルギー利用技術を対象とする。メタン発酵技術は、湿式メタ
ン発酵および乾式メタン発酵を含む。ただし、湿式メタン発酵技術は先行事例が豊富にあるため
既に信頼性が高い技術とみなせるが、乾式メタン発酵技術は、現時点において先行事例が数例で
あるため、適用を想定する場合には慎重に選定することが必要である。
メタン発酵によって得られるバイオガスの利用方法としては、ガスエンジンで発電する、近隣
に一定の熱需要があれば熱供給するなど複数の方法が考えられる。これらの選定にあたっては、
地域のインフラ状況、事業所立地等に応じて自由に提案することとする。ただし、技術の選定に
あたっては、持続的かつ経済的に成立可能な地域システムを前提とすることが重要である。
なお、地域自立システム化実証事業では、実施する事業が実証終了後も継続して地域の経済活
動に貢献するような地域システムを目指しているため、実証終了時点で安定稼動できうる技術を
対象とする。
原則として、湿潤系バイオマスに適用する技術はメタン発酵を想定しているが、それ以外で稼
動実績を有する熱および電気を生み出す技術を想定する場合には、新たな方式として提案するこ
と。
<対象とする技術に求められる要件>
(策定中)
4.4. 実施体制
地域自立システム化実証事業は、地域の既存事業をベースに複数の主体が連携する仕組みの中
で、新たな役割・機能を担う事業を対象としている。そのため、基本的には新事業の実施主体を
代表とする体制とする。
<実施体制に求められる要件>
(策定中)
バイオマスエネルギー導⼊に係る技術指針・導⼊要件
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